「やめろ、耳を触んじゃねえ」
「そういきり立つな。俺より長くて尖っているんだ、気になる訳よ」
「だったら遠目でヘーホー観察してろってんだ。触んな」
「良いじゃん減るもんじゃなし」
「他人から耳を触られるのは犬猫だって嫌なんだよ。俺が例外な訳ゃねえだろうが」
「やれやれ……困ったエルフだな。何処で育ったらこんな野蛮な奴が出来上がるんだか」
「やんのかコラ、表へ出ろ!」
「あーすぐこれだ。……それっ」
「? わっ、何だよせやめろ抱きついてんじゃねぇ、離れろっ!」
「こういう奴は耳元に息を吹きかければ、あっという間に力が抜けるのさ。ふぅっ、とね」
「ひゃあっ!?」
「ほーら。じゃあ大人しく俺の女に……ってあれ?」
「――焼け氏ねっ!!」