アルプなる生物に付いて実際に観察した学者の資料がここに存在している。
とは言っても、三枚の羊皮紙に覚え書きの様に書きなぐった程度の代物でしかなく、所々でインクが滲んでいると言う有様だ。
──と言うのも、その研究していた学者がアルプ達の生息する森林で行方不明となり、唯一発見された学者の所持品の中にから発見された物であるが故だった。
前置きは此処までとして、その資料を紐解いてみよう。
青の 、第一月、十 。
ついに、 の森にてアルプ達の集落を発見。
彼女達(不思 な事に、 性しか 在して ないのだ)は 猟や採集を行って暮ら いる 様。
ある程度の距 を置かねば、探査の魔 で発見され しまう恐れ ある。
しか 、 女達は美 。
青 節、第一 、 三日。
ルプ達の郷から少 離れた泉 、毒蛇に れたらしい若い(飽く も、 た目の上 、だが)アル を見つ た。
毒で意 朦朧として ようだ……症 からして、この季 にのみ毒 持つ灰色蛇 ろう。
僅か 逡巡す が、助け る命を 捨てる事 出来な 。
幸い して、手持 の毒消しがア プにも効果 あった。
識を失っ ままの彼 を、郷の近 まで連れ く。
近くで見 と、魂 奪われ な程に、 しい。
──いかん、私 何を考え る。
の節、 一月、十 日。
頃、 に監 され いる気 する。
やはり、あのアル を助け 事が原因だろ か。
彼女 けた事 後悔はし いな が、調 を断念せざ を得な 。
数日 様子を見た りでは、特 危険という訳 ないが、アルプ が外 との接触 を好 いのは、定説で 。
敵対 としての ルプほど ろしい存在も ない。
夜の に、ここか 立 るべき ろう。
………公式にはここまでしか存在していない資料だが、更にもう一枚の羊皮紙が存在していた。
木炭で描かれたこの資料は、これまでの物と違って滲みこそないが、殆どの文が同一人物が描いたとは思えないほどに非常に乱雑な筆跡である。
その理由も、資料には記されていた。
どうじつ、ゆうこく。
きょうれつ な ねむけ が、しゅっぱつ の じゅんび をする わたし をおそった。
め を さます と、わたし の てあし には つた が からみ ついていた。
どうにか のがれようと もがく わたし の みみ に ちいさなこえ が きこえる。
「おれい が したい のに もう かえるの ?」
こえのぬし は かなしげに わたしに こう といかけた。
ああ そのこえの なんと うつくしいことか。
そのすがたの なんと うつくしいことか。
ふと かすみがかった いしきのすみ で ちゃーむのまほう という ことばが よぎ
はて なんだったか。
そんなこと どうでもいい。
けんきゅう も なんだか めんどうくさい。
ここは いい。
かのじょは うつくしく あいらしく やさしい。
くだもの も あまく はなは かぐわしい。
すばらしい もう この もり から かえりたく ない。
そう いうと かのじょは やさしく わらい てあし の つたが ゆるむ。
……あぁ、彼女が生まれたままの姿で私を待っている。
この下らない資料も捨ててしまおう。
私は、この森で彼女と添い遂げる事にした。
ホシュトヴァーン・スレ・エロフパロ