森の奥に住む魔法使いを退治してほしい。  
旅の途中立ち寄った村で受けたその依頼は、ありがちといえばありがちなものだった。  
なんでも、かつては村人ともそれなりに良好な関係を気づいていた魔法使いが  
いつしか邪悪な儀式に手を染め、村の女達を差し出すよう要求し始めたらしい。  
そんな女の敵を打ち倒すために意気揚々と村を出た私は、しばらくして体の異変に気がついた。  
手足が思うように動かなくなり、その内意識も薄れ始めたのだ。  
村で出された朝食に何か盛られた。  
村の娘を差し出す代わりに旅人を生贄にしている。  
そこに思い至った時には、もう全てがあとのまつりだった。  
 
※  
 
意識がゆっくりと浮上する。  
どうやらこの館に来る前のことを夢に見ていたらしい。  
いっそ全てが夢だったら良かったのに。  
心の底からそう思う。  
けれど、じゃらりという鎖の音と手首に走る痛みのせいで、これが現実だと思い知らされた。  
 
森の中で意識を失った私は、気づけばこの部屋で拘束されていた。  
天井から下ろされた鎖に手枷を繋がれ、足は足で膝を肩幅ほどに開いた状態で棒を括り付けられ閉じられないようにされている。  
鎧はおろか服も下着ですらも身に着けていない全裸。  
 
「起きたか、では始めるとしよう」  
 
目の前にいる魔法使いが、目深に下ろしたフードの奥からぼそぼそと何事かを呟く。  
その詠唱に反応して、床に描かれた魔法陣が淡い光を帯び始めた。  
 
いったい、もう何度こんなことを繰り返しただろうか。  
意識を取り戻すたびに魔法使いが召喚した魔物に再び意識を失うまで嬲られる日々。  
ある時はスライムに首から下の全身を余すところなく責め立てられ、  
ある時はオーガに大の男の腕ほどあるペニスを突き立てられ子宮を殴打され、  
ある時は無数のオークに何時間も輪姦された。  
前回なんて夥しい数の触手の集合体のような化け物に、強い催淫作用のある体液を穴という穴に注ぎ込まれて気が狂うほどの快感を味合わされたのだ。  
男自身は一切手を出してこない。  
常に少し離れた場所で、様々な魔物に犯される私を観察していた。  
 
果たして今回はどんな魔物が相手なのか。  
固唾を呑んで見つめていると、魔法陣の中心に現れた影は全く予想していないもの。  
 
「ケケッ、こいつが今度の相手か」  
 
背中の蝙蝠の羽をせわしなく動かしながらこちらを見るその魔物は悪魔だった。  
ただしそのサイズは私の親指ほどしかない。  
オークの時のように次々と召喚されてくるわけでもなく、すぐに魔法陣の光は消えてしまう。  
本当に、今回の相手はこの悪魔1匹なのだろうか。  
 
「お、てめえ今俺のこと馬鹿にしやがったな?  
 いいぜ、いいぜ、すぐに後悔させてやっからな」  
 
ニヤニヤとした笑いと共に告げられた言葉に込められた自信が偽りではないことを、私はすぐに思い知らされた。  
 
※  
 
「あ、ひぃ、っああああ、ああーーーっ!?」  
 
1匹しかおらず、しかも指ほどの大きさしかない悪魔の責めは、たった1点に集中していた。  
度重なる陵辱の中で開発され尽くした全身の中でも最も敏感な弱点――クリトリスに。  
 
「俺に言わせりゃ、女ヨガリ狂わせんならここだけで充分なのよ」  
 
そこは今までにも何度も責められた経験のある場所だ。  
だけどこんなのは初めてだった。  
包皮を剥かれ無防備に勃起したクリトリス。  
根元を尻尾で締め上げられ、中ほどを手で挟み込まれて擦り上げられ、先端を口で吸われ舌で舐められ尖った牙で甘がみされる。  
一つ一つなら経験のある責め。  
だけど、全部まとめてやられるとここまで効くとは想像もしていなかった。  
 
「どうよ、キクだろ? 図体でかい奴らじゃできねー責めだかんな」  
 
キキキ、と耳障りな声で笑う悪魔。  
 
「あー、あー、あーーーーっ!」  
 
その声、そのわずかな空気の振動すら今の私にはたまらない。  
責めが始まってからどれくらい経ったのか。  
延々クリトリスだけを責め続けられ、ただでさえ敏感なそこの感度は極限まで高まってしまっている。  
 
「いい加減、俺のすごさがわかったか? だったらちゃんと言ってみろよ、わかりましたってな」  
「わ、わか、いひぃあ、わかあああ、あ、やめ、、もうそこやめてえぇ」  
 
バチバチ炸裂する快感のせいで、たった6文字の言葉すら言いきれない。  
 
「やれやれ、まーだわかってないみてーだな。  
 まあいいぜ、俺は根気づえーからわかるまで教えてやっからよ」  
「いッ、ク、またイクゥッ!?」  
 
腰が勝手に前後に揺れ、ブシュっと音を立てて愛液とも尿ともつかないものが床に撒き散らされる。  
湯気と共にいやらしい匂いを立ち上らせる液溜りは、もうかなりの大きさになっていた。  
このままじゃ全身の水分が絞りつくされてしまいそうだ。  
 
「おいおい締まりねーな」  
 
クリトリスの根元をぎゅぎゅうと締め上げていた尻尾が解かれ、わずかな安堵を覚えた私。  
だけどそれは続く責めへの準備に過ぎなかった。  
 
「仕方ねーから親切な俺が塞いでやんよ」  
「あぐっ!?」  
 
液体しか通したことのない尿道を細いとはいえ確かな実体をもった尻尾に抉られる。  
だけどかすかな痛みを感じたのは一瞬。  
 
「な、なに、これえぇえーーーーっ!?」  
 
クリトリスが爆発したような劇的な快感。  
悪魔の尻尾の先端に付いた返しが、クリトリスを裏側から引っかいていきたのだ。  
最大まで勃起しても指先にすら満たないサイズのクリトリスからの感覚に、今や全身を支配されていた。  
 
「――――!? ―――――――!!」  
 
もう何度イッたのかわからない。  
そもそもイってる最中にも絶えず快感を送り込まれ、イッている状態とそれ以外の境目がなくなっていた。  
 
「ケケケッ、こりゃあわかる前にブッ壊れちまいそーだな」  
 
弾ける意識が最後に聞いたのは、そんな悪魔の言葉だった。  
 
 

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