○プロローグ
明かりの消えた旧校舎。以前は音楽室として使われていた楽器倉庫の中。
窓から差し込んだ月光が床に転がった片方だけのサンダルと、・・・黒いタイト・スカートを照らし出す。
・・・スカートの傍に、もうひとつのサンダルが落ち、転がった。
サンダルは、何本もの触手によって宙に持ち上げられた女体から落ちたものだ。
その肉感的な女体は、四肢に触手を巻きつけられ、空中で四つん這いの体位をさせられている。
『・・・んッ・・・ん、うぐぅ・・・ん、んッッ・・・んンッ・・・』
赤いルージュの引かれた唇で、3、4本もの触手を咥えながら喘ぐ女を、触手は嬲りつづける。
ぼろぼろのストッキングに包まれた女の太腿を這いずりまわり・・・
ストッキングと切り放され、腰に巻きついただけのガーターベルトを弄び・・・
濡れたショーツの中に侵入し・・・
濡れて女の肌に貼りついた白いブラウスの襟元や裾からもぐりこみ・・・
女の豊かな乳房と、ピンク色の突起を揉みしだく・・・
『うぅんッ、ふッ・・・うごッッ・・・ん、んんッ・・・むごぉッッ!!』
びくんッ、びくん、びくんッッ!! くぐもった叫びを上げて、女の身体が硬直する。
やがて、女の口内を嬲っていた触手たちが引き抜かれると、ガックリと頭を垂れた女の力なく開いた唇から透明の液体が流れ出す。
液体は、真っ赤な唇から、形の良い顎を伝い、冷たい床に滴り落ちた。
○林警備員(1)
満月の晩が全ての始まりだった。いや、嫌な兆候はその日の朝からあった。朝、教師のひとりがいなくなった。
まだ25、6の若い教師だ。まあ、例の生物の一種の仕業であることは間違いないだろう。それで、ちょっとしたパニックになった。
その混乱は生徒のみならず、教師にまで広がり、校長が大人による捜索隊を交代で出すことを決めて、ようやく騒ぎは収まった。
教師と警備員で敷地内をくまなく捜索したが、結局その教師はみつからず、日が落ちると、その日の捜索は打ち切った。
オレも捜索後はくたくたで休みたかったが、夜間パトロールのシフトだったオレは続けてパトロールへ。
そのパトロールが終わったのが夜も暗くなってから。
それから遅い夕食をとるため、パトロールのメンバーたちと新校舎に戻ることになってたんだが、仕事の後の一服がしたくて、
オレ一人で煙草を燻らせながら、散歩がてら森の中を歩いていた。
そのときになって、はじめてその夜の月のひとつが満月だったことに気づいた。その明るさと美しさに圧倒されたよ。
なんだか、過酷だった一日の疲れが癒されるような不思議な感じだった。
そのとき、ふと元の世界にしがみついてないで、この世界に身を任せたり、死んだりした方が楽なんじゃないかと思ったんだ。
それまではそんなこと、これっぽっちも考えたことはない。自分でも少し驚いたよ。
警官を40年以上やってたし、体力にも自信のあるつもりだったが、まあ、定年を越えた身体に、この環境だ。
ネガティブにもなることもあるだろう。そんなことを考えてたときだ。
すぐ傍の旧校舎から何か声が聞こえたように思えたんだ。
旧校舎は倉庫代わりに使ってるだけだから、夜は誰もいないはず。また、気味の悪い生物かもしれない。
正直、仲間を呼んで来ようかとも思ったよ。でも、変にネガティブになってた自分をはね返そうとしてたんだろうな。
まだ一人でもやれるという気持ちを奮い起こして、手にしてた鉄パイプを握りなおして、旧校舎に向かったんだ。
○なつみ(1)
旧校舎、楽器倉庫になった元音楽室。
ピアノに顔を伏せていた西野なつみが顔を上げると、辺りはすでに暗くなっていた。
はっとして窓の外に視線を向ける、なつみ。しかし、夢の中で願い続けた想いは報われない。
窓の外は見慣れつつある荒涼とした光景に三つの月が明るさを増し始めた・・・佐島彩のいない世界だった。
なつみと佐島彩は、同時にこの学校に赴任して以来の仲だった。すぐに意気投合し、親友になった彩との想い出は、今では使われなくなったこの教室にも沢山残っている。・・・彩のことを考えると、また涙が溢れ出しそうになる、なつみ。
(こんなとき、一馬が居てくれたら・・・)
気持ちが落ち込むと、なつみは事件の2ヶ月前に結婚したばかりの夫のことを想ってしまう。一馬がいてくれたら、どれだけ力強いか・・・
でも、この世界に一馬も彩も、もういない・・・
カラン! ピアノから転げ落ちたペンが軽やかな音を立てる。
床に落ちた銀色に輝くペンは、かつて彩からもらったもの。いかにも真面目な彩らしい、なつみへの誕生日プレゼントだった。
なつみはふと思い出す。そのときのメッセージ・カードに“新任教師として、お互いがんばろう!”と、書かれていたことを・・・
(そうだ。残された私は、生徒たちのためにしっかりしないと)
なつみは深呼吸をして気持ちを落ち着けると教師の顔に戻る。
そして、椅子から立ちあがろうとして、スーツのスカートが濡れているのに気づく。
(いつの間に・・・なにかしら・・・)
何か透明の液体でびちょびちょに濡れていた。
なつみは不審に思いながらも、彩の捜索で服が汚れたときのために持ってきていたジャージに着替えるために立ち上がる。
立ち上がると、白いブラウスの上からでもわかるほどの豊かな胸の膨らみが露わになる。
西野なつみは身長160cm、スリーサイズは上から89−68−91のEカップ。やや太めではあったが、
その女の色香を発散させるような肉感的なプロポーションは常に男たちのイヤらしい視線を浴び続けてきた。
なつみが、女性ばかりのこの学校への赴任を希望したのも、そんな男たちの視線から逃れたいという思いも反映されていた。
なつみはスカートのファスナーを下げ、少し屈んでスカートを降ろした。スカートの下は、白のレースタイプのガーターベルトと、
太ももまでのベージュ色のロング・ストッキング、レースをあしらった白のショーツといういでたち。
そんな下着姿の下半身を露わにしたなつみが、スカートを脚から抜くため、視線を下げる。
と、視野の隅で何かが動いた。ビクッ!っと、身を固くするなつみ。恐怖感が湧き上がってくる。
(なに!?)
なつみは、無意識に脱いだスカートでショーツの前部分を隠す。そして、息を潜めて周りの様子を探る。
しかし、埃の積もった教室には、ケースに入った楽器が積み上げられているだけで、おかしな様子はない。
(気のせい・・・?)
少し気を緩めたなつみは、動きがあった方に視線を向けたまま、手にしたスカートをピアノに置こうと手を伸ばす。
その一瞬だった。真っ黒で人間の指ほどの太さの触手が、なつみの手首に巻きつく!
『きゃっ!』 と、驚いたなつみの手からスカートがすべり落ちる。
触手の動きは早く、なつみの肘まで巻きつくと、その腕をねじり上げる。
『あッ、いぁぁぁッッ・・・!!』
なつみはパニックを起こしかけながらも、自由になる左手で腕に巻きつく触手を引き放そうとする。
しかし、すぐに別の触手が左手に巻きつき、なつみの両手を頭上に引き上げていく。
なつみは、身体を揺すり、脚を振り、激しく抵抗するが、爪先立ちになるまで両手を吊り上げられた。
無防備な体勢をとらされ、後ろから襲われたなつみには相手の姿も見えない。 なつみにとっては云いようのない恐怖だ。
(いや、こんな風に死ぬのはイヤ・・・)
『・・ぁぁ・・・だ、誰かぁぁ! 誰か助けてぇぇ!!』
外はすっかり夜を迎え、昼間とは比べ物にならないくらい危険が増している。そんな時間に校内を歩き回っている者はいない。
また、ここ旧校舎の閉じられた教室で叫んでも、新校舎や学生寮まで声は届かないだろう。
しかし、パニックに陥ったなつみは、僅かな望みをかけて叫びつづけるしかなかった。
やがて、なつみの声を煩わしいと思ったのだろうか、ピアノの蔭にひそむ生物が一気に何十本という触手を伸ばす。
黒々とした触手が、床を這いずりながら、なつみのストッキングに包まれた爪先に殺到する。
『い、いぁぁぁ・・・き、気持ち悪いッ・・・来ないで・・・こ、来ないでぇ!!』
なつみは、脚をバタつかせ、近づく触手を次々に踏みつける。
しかし、触手はそれぞれ別の意思を持ったように狡猾に動きまわり、一本の触手がなつみの左脚を捕らえた。
『イヤぁぁァァ・・・』
なつみの抵抗も虚しく、脚に獲りついた一本の触手を足がかりに他の触手が殺到する。
すぐに右脚も捉えられ、触手は這いずりながら、足首からふくらはぎ、太ももへとゆっくりと登ってくる。
ぞっとするような嫌悪感がなつみを襲う。なつみはすっかりパニックになった。
『ぁぁ・・・イヤぁ・・・イヤぁぁぁぁ!!』
まさに不意打ちだった。叫び声を上げたなつみの口に触手が突き入れられた。それは腕を伝って、なつみに近づいてたものだった。
『・・ぁぁぁ、うッ、ふごッ、・・・うぐぅぅッッ』
触手は、なつみの口内を撫でまわす。
それは脚をぎゅうぎゅうと絞めつける触手たちとは異なり、まるで何かデリケートなものを探すかのように柔らかい動きをしていた。
しかし、なつみはイヤイヤをするように首を左右に揺らし、口を犯す触手から逃げようとし続けた。
『うぅぅッ・・・んんッ・・・んッ、んッ・・・んッ! うぁえぉッッ!』
触手を咥えたなつみが首を震わせると、赤いルージュの引かれた唇から涎が溢れる。
窓から差し込む月光に照らされた、なつみのその横顔は淫らそのものだった。
そして・・・その間にも、脚に獲りついた触手が、ショーツに覆われた、なつみの女性の部分に達しつつあった。
○林警備員(2)
旧校舎の明かりは消えてたが、満月の月明かりは明るく、教室の中も窓際まで近づけばどうにか様子を確認できるくらい
だった。といっても、無防備に窓へ近づくのは危険だと思ったオレは、壁伝いで慎重にひとつひとつの窓を確かめていった。
そして、幾つ目かの窓枠に手をかけると、そこの窓が少し開いた。
気味の悪い生物の侵入を防ぐためにも、鍵はかけることになっていたはずだが、かかっていない。
ここかもしれないと緊張しながら教室の中を覗きこんだオレは思わず息をのんだ。
・・・そこには女がいた。それも異形の生物に身体を嬲られながら・・・
ショックな光景だった。オレは、ショックでしばらく放心していたと思う。
しばらくして、放心状態から立ち直りはじめたオレは女が誰か思い出した。
あんな状況じゃなきゃ忘れられるはずのない女。そう、それは英語教師の西野なつみだった。
彼女は外回りの警備員仲間の間でも評判だった女のうちの一人だ。お堅い雰囲気のルックスに、なんせあの身体だ。
その上、最近人妻になったことも、学園のガキ共とは違う大人の色気を感じさせると評判になっていた。
“女の園”の数少ない男たちの戯言だ、勘弁してくれ。
・・・だが、ショックから立ち直ったオレは、・・・その女がオレに捧げられてると思った。
・・・この世界に飛ばされたのも、こうして西野なつみの姿を眺めていられるのも
・・・すべて、オレに与えられたチャンスだと思った。
× × ×
ピアノの陰に潜むカメの甲羅のような生物。そこから伸びた真黒な触手たちによって拘束され、弄ばれ、なつみは悶えていた。
両手を頭上高くに拘束され、半ば宙吊りにされながら、黒髪や耳にその先を伸ばそうとする触手から逃げようとしている。
触手が耳に触れるたびに激しく首を振る仕草のなつみだったが、口に3本も触手を咥えた状態では、それもままならない。
身体を左右に激しく振り、触手の責めから逃れようとする度に、白いブラウスの下で大きな乳房が揺れた。
それを見ていたわけでもないだろうが、一本の触手がブラウスの襟元から胸元に潜り込む。
すぐに、きちんと留められていた第一ボタンが弾け飛び、ブラに包まれた胸の谷間の上の部分だけが、
ここからでも少し覗けるようになる。触手は自身の先っぽを谷間にグイグイと押し込んでいる。
しかし、真っ白なレースのブラと、弾けんばかりの乳房の間に潜り込む余地はないようだ。
『ふぅぅんッ! ・・・うッ、うぅッッ・・・』
なつみは胸元を見つめ、眉間にシワをよせながら、必死になって肩を揺する。
が、抵抗もむなしく、他の触手も同じように胸元に入り込むと、
触手たちはつっかえが取れたように一気にブラウスの中に潜り込んでいった。
ブラのホックが外れたらしい。ブラの拘束を解かれた乳房は、触手に弄ばれているのが
ブラウスの上からでもわかるくらい乱れ動く。
そんな胸ばかり見ていたオレだったが、突然なつみの身体がビクンッと反応した。
脚から這い上がってきた触手の一本が、ガーターベルトの下に穿かれたショーツの中心に触れていた。
『うぅぅ、ん・・・ん、んッ・・・うぅぅ、う・・・』
なつみは触手に巻きつかれた脚を閉じるように擦りあわせ、腰をくねらせ、触手の責めから逃れようと
身悶えていたが、やがて触手がその先っぽでショーツの中心部をつつくと、また身体を震わせる。
触手が離れると、ショーツの上はじわっと濡れていた。
なつみが濡れているのかと思ったが、どうやら触手の先から液が出ているようだ。
思いがけない責めだったのだろう。さらに激しく抵抗するなつみだったが、触手たちは伸びをさせるような
体勢で、どんどん身体を締付け、その身体の自由を奪っていく。
ショーツの上の触手はその濡れた先端で、再びなつみのワレメ辺りをこすりつけている。
そのうち急に生物の本体から伸びた触手の一部がふくらみ、そのふくらみが触手の先端まで流れてくる。と、
ブッ、ブシュッッ! 触手の先端が割れ、そこから透明の液を大量に放出した。
液はショーツにかかり、染み込んでゆく。
ショーツが濡れだすと、なつみの黒い茂みとワレメが透けはじめる。
やがて、ブラウスに潜り込んだ触手も液体を出しているらしく、白いブラウスが内側から濡れはじめ、
中が透け、身体に貼りつき、ズレたブラと乳房に巻きついた触手が露わになる。
なつみが触手を咥えた口で鳴き声のようなうめきを漏らしながら涙を流した。