風呂あがりの火照った身体も大分冷めた。  
暇つぶしに見ていたテレビを消し、灯かりもすべて消して戸締りを確かめてから2階の自室に向かう。  
今夜、この家には僕一人しかいない。ほんの1年前までは4人の家族が揃っていたのに。  
階段の黄色い明かりの下、そんなしんみりとしたことを思いながら階段を上がっていく。  
「さぶっ…!」  
と、2階に上がりきった僕の身体にどこからか流れてきた冷たい空気が当たった。  
『5月に似つかわしく今夜は冷える』ってさっきテレビの天気予報で言っていたけど、ここは屋内だ。  
周りを見渡し、冷気の出元を探る。  
(え、姉ちゃんの部屋から!?)  
僕はいぶかしみながら恐る恐る冷えた廊下を進んでいった。  
 
 
(泥棒ってことはないよね?)  
 閉ざされた扉の前に立った僕は湧き出てくる想像に溺れてしまいそうだった。  
冷気は目の前の扉と床の隙間からしんしんと漏れてくる。  
間違いない。冷気の源はこの扉の向こう、姉ちゃんの部屋だ。  
だがその扉を開ける勇気がなかなか出てこない。  
勇気の代わりにネガティブな想像はとめどなく出てくるのに。  
『泥棒と鉢合わせ』→『ブスっと一突き』→『強盗殺人の被害者』  
 自慢じゃないが僕はガタイは良くない。  
初対面の人には制服を着ていない場合、間違いなく中学生と思われる。  
もう成長期を終えた高校2年生なのに、かつてこの部屋の持ち主だった2才年上の姉ちゃんとほぼ同じ身長だったのだから。  
凶器を持った泥棒なんかがこの扉の向こうにいたらイチコロだろう。  
 そんなことを考えていたら、思い出さないようにしていたのに姉ちゃんの顔が頭に浮かんでしまった。  
すると恐怖に染まっていた心が気持ち悪いモヤモヤに塗り潰されていく。  
このモヤモヤを消したい。  
勇気を出したわけではなく、そういう自暴自棄な気持ちで僕は扉のノブを押し開けた。  
 
 部屋の中は僕の背後から僅かに差し込む階段の電灯しか光は無い。  
右手をあちこちに当てながらようやく部屋の灯かりのスイッチを押し当てた。  
仮に泥棒がいたらその隙に殺されていたかもしれない。  
でもそんなことはなく、僕は蛍光灯の光に包まれた姉ちゃんの部屋の中に立っていた。  
あんまり女の人らしくないすっきりとした部屋。  
ぬいぐるみなんか一つも無いし、ベッドシーツや絨毯も可愛らしいピンク色って物ではなく  
シンプルな水色で統一されている。  
 
 壁際の書棚には僕には何が面白いのかすらわからない難しそうな小説。姉ちゃんが高校2年生から  
演劇部の部長を務めていたからだろう、演技や脚本、劇作の専門書がぎっしりと詰まっていた。  
姉ちゃんの部屋に入るのは久しぶりだ。3,4年前、姉ちゃんがまだ中学生だった頃以来かもしれない。  
僕の記憶より本はずっと増えている。  
 
 そして、よく見ると本棚の隅にはフレグラスの小瓶と見慣れたオレンジ色のポーチが置いてあった。  
そのポーチは休日に姉ちゃんが出かける前に洗面所で化粧をする時に手元に置いていた物だ。  
いろんな化粧品をそこから取り出して、姉ちゃんは少女から『大人の女』に変身していた。  
姉ちゃんが化粧をしたり、フレグラスを付けるようになったのは高校生になってからだったと思う。  
 
 ふと気づくと胸のモヤモヤはさっぱりと消えていた。  
けどその代わりにいつものようにぽっかりと空洞が胸に空いたように感じ、僕の心を冷え切らせていった。  
身体と心、両方とも冷たくなってしまってはかなわない。  
冷気の元凶をと視線を巡らすとベッドの向こう側の窓が開け放たれていた。  
 
(母さん、僕には『戸締りをきちんと』って言っておいて自分が忘れたなら世話無いよ)  
ベッドに膝立ちになって上って窓を閉める。  
 僕の父は1年近く前から単身赴任をしている。そして今日の昼間、会社で急に倒れたと言う電話が家にあったらしい。  
僕の学校に電話を入れて言づてを頼むと取るものも取らず、母さんは父さんの単身赴任先に向かったそうだ。  
そんな風にして大急ぎで行ったのに先程、父さんは大したことは無かったと携帯に母さんから電話があった。  
過労と風邪が重なっただけらしい。念のため1週間程度入院をするとのことだ。  
そんなわけで当分の間母さんも付き添うとのことで家には僕一人残された。  
 
 膝立ちの向きを変え、ベッドから降りようとするとベッドとクローゼットの間に何かが落ちているのが見えた。  
ハンガーに掛けられたままのブレザー、スカート、そして1枚のブラウスだ。  
どうも位置関係から見ると、母さんが窓を開けて姉ちゃんの冬服を虫干ししていたらしい。  
ベッドから降りた僕はハンガーを持ち上げ、一番表のブレザーのほこりを軽く叩いた。  
 姉ちゃんはいつも仄かなカシスの香りを漂わせていた。  
それがボディーソープによるものかフレグラスによるものか僕には分からない。  
姉ちゃんの凛々しさを感じることが出来たから、僕はその香りが大好きだった。  
でもこのブレザーからはその香りはしない。  
去年の初夏、衣替えをしてクリーニングに出してから姉ちゃんはブレザーに袖を通すことは無かったからだ。  
 
 
――姉ちゃんは去年の夏の終わりに、亡くなったから。  
 
 
 蒸し暑い夜、姉ちゃんは予備校からの帰り道に信号無視の車にはねられた。  
それを知らせる警察からの電話を取ったあと、次第に青ざめていく母さんの顔は忘れることが出来ない。  
母さんがそんな顔をしたから良くないことが起きたとは分かって覚悟した。  
でも受話器を置いた母さんが発した言葉に僕の頭は真っ白になった。  
だってほんの数時間前、学校で元気な姉ちゃんを見ていたんだから。  
 駆けつけた病院の暗く冷たい部屋にいた姉ちゃんは別に変わった様子は無かった。  
学校で見たときと同じに見えたんだ。だけど、もう姉ちゃんの魂はその中には無かった。  
それからお通夜、葬式、納骨、初七日といった姉ちゃんがいなくなったことを再確認させられる儀式が  
行なわれ、あっという間に月日が流れた。  
 そしていつからそうなったのだろう、気がつくと僕の心にはぽっかりとした空洞が出来ていた。  
喜び、怒りといった感情はその空洞を突き抜けていって僕の心には何も残らなかった。  
ただ悲しみだけは、姉ちゃんのことを思い出すたびに澱のように心に溜まっていった。  
 
 
 幼稚園の頃から僕は姉ちゃんに遊び、宿題、習い事と何をするにも引っ張られて一緒にやっていた。  
姉ちゃんは並の男の子より背が高かったし、頭も良くて何をするにも一番じゃなくては気が済まなかった。  
そんな強い姉ちゃんの背中を見ながら僕は育っていった。  
 でも僕が中学生になった頃からそれまでの関係を保てなくなっていった。  
理由はなんだったけ?…………ひょっとしたらとくに理由なんて無かったのかもしれない。  
いつのまにかに僕たち姉弟は最低限の会話しか交わさない関係になっていた。  
 
 
 僕はそうなってしまったことに気づいた頃から昔のような関係に戻りたいと思っていた。  
また姉ちゃんと一緒に遊んで、一緒に勉強して、一緒に怒られて、一緒に笑いたかった。  
だけど、僕はその気持ちを姉ちゃんに伝えることは出来なかった。  
どんどん大人になっていく姉ちゃんは僕を振り返ってくれなかった。  
 ならいつか、同じように僕も成長して姉ちゃんに追いついたら姉ちゃんは僕のことを見てくれるかもしれない。  
振り返ってくれなくても、横に並んだら目を向けてくれるかもしれない。  
それまで出来る限り姉ちゃんと同じ道を歩きたい。  
 そう決めた僕は受験勉強を精一杯頑張って、とても僕の成績では入れなそうに無かった姉ちゃんが通う高校を受験した。  
何とか合格することが出来、少し姉ちゃんに追いついたようで嬉しかった。  
だが高校生活にようやく慣れた頃、姉ちゃんは追いつくことが出来ない場所に行ってしまった。  
 
「…ね…ねえちゃん、僕、これからどうすればいいんだよ……」  
モヤモヤとした悲しみの澱が僕の心を埋め尽くしていく。  
ぽろぽろと涙をブレザーに零し、心の澱に耐え切れなくなった僕は子供のときのように姉ちゃんに助けを求めた。  
 
「信司(しんじ)、お姉ちゃんの前で泣いたらグーでパンチって昔言わなかったっけ?」  
その時、背後から冷たい風とともに懐かしい声が聞こえた。  
急いで振り返った先には閉めたはずなのに再び開け放たれた窓。  
そしてその窓の桟に拳を握り締めた姉ちゃんが座っていた。  
 
「ね、姉ちゃん!?」  
「なによー、幽霊でも見た顔し……って現にそうなのか!あはははっ!」  
僕は驚きのあまり手にしたブレザーを取り落として間抜けな声を出した。  
それに高笑いで応じた姉ちゃんは窓を閉めながら腰をベッドにおろしてあぐらを組んだ。  
そんな座り方をするのは昔と変わっていない。  
黙っていれば勝気そうな瞳が光る整った容貌と白い肌が凛とした美しさを出しているのに。  
 
「ずっと見てたんだ……信司のこと」  
「えっ!?」  
突然現れた姉ちゃんの姿を驚きで見つめていたら  
穏やかな笑みを僕に向けたまま姉ちゃんがポツリと漏らす。  
 
「アタシがいなくなってから信司、変わっちゃったよね。  
友達とか母さんの前では前と同じようにしようとしているつもりなんだろうけど  
独りになった時の信司、とても見ていられない顔をしているよ。  
 でも、その姿を見た時、実はアタシとっても嬉しかったんだ。  
信司がアタシのことをそんなに想っていてくれたなんて気づきもしなかったから。  
中学生の時にわかったんだ、信司とアタシは同じ道を通っていくべきじゃないって。  
信司も自分の力で世界を築いていくべきだっていうことをね。  
だからそれから信司と仲良くしないように心がけてきたの。  
そんな風にしてきたのに、アタシのことをそんなに想っていてくれてホントに嬉しかったんだよ。」  
 
姉ちゃんの口から出る思わぬ告白に僕は何も反応出来ず、ただ呆然と聞いていた。  
そして姉ちゃんは僅かに笑顔を歪ませ、涙─姉ちゃんの泣き顔なんて見るのはいつ以来だろう─を頬に零しながら続ける。  
 
「でもね、信司の悲しすぎる顔を見ているうちにアタシ怖くなってきたんだ。  
信司がアタシのせいで壊れちゃうんじゃないかって。  
だからどうにかして信司をアタシが慰めなくちゃいけないって決めたんだ。」  
 
そういうと姉ちゃんはそのままベッドの上に立ち上がった。長身の夏の制服姿、その白いブラウスのボタンに手をかけ  
一つ一つ外していく。  
 
「それとねアタシ、ホントは信ちゃんとずっと仲良しでいたかったんだ。  
大人になって違う道に進んでも、おばあさんとおじいさんになっても、信ちゃんのそばにいたかったんだ。  
信ちゃんとふたりで休みの日に買い物に出かけて、お店の人とかに恋人に間違われたりしたかったんだ。  
アハハ、おかしいよねアタシ。」  
 
ずっと昔の呼び名だったちゃん付けで僕のことを呼びながら姉ちゃんはボタンを外しおわり、腕を袖から抜いて  
ブラウスをハラリと足元に落とす。  
あらわにされた姉ちゃんの白い裸体はとっても綺麗だった。  
ベージュ色のブラに覆われた胸のふくらみ、肉付きと細さのバランスが取れた腰まわりに僕の心はドキマギさせられた。  
だが姉ちゃんはそれだけでなく、スカートにも手をかけながら話し続ける。  
 
「でもそんな夢も叶えることは出来なくなっちゃった。  
だからせめて信ちゃんの心にアタシの想いを残したいって思ったんだ。  
それとさっき言った通りアタシは信ちゃんを慰めなくちゃいけない。  
アタシがいなくなったことでぽっかり空いた信ちゃんの心はアタシが埋めなくちゃいけない。」  
 
ホックが外されたスカートがひらりと落ちる。  
スラリとした長い脚、そしてブラと同色のパンツが曝け出され目のやり場に困って視線をさ迷わせる僕。  
そんな僕を見つめながら姉ちゃんは手の甲で涙を拭い、ニコッといっそう笑みを強くしてこう告げた。  
 
「だから信ちゃん、アタシとエッチしよっ!」  
 
 姉ちゃんが何を言っているのか受け止められず、僕はそのまま八重歯を零した姉ちゃんの笑顔を見つめて固まっていた。  
すると膝立ちになった姉ちゃんは両腕を背中に回し、身を捩るように動かした。  
やがて右の掌につかまれたベージュ色の布、それは姉ちゃんの胸のふくらみを隠していたものだ。  
あらわにされた姉ちゃんの胸、それは姉ちゃんの長身に引けを取らない存在感を持っていた。  
ツンと僕のほうに向かって突き出された乳房、その頂には濃い桜色に染まった乳首が白肌にアクセントを添えている。  
 
「見蕩れていないの!ほら!」  
「うわぁ!」  
そのまま立ち尽くしていた僕の手をブラを放した右手で姉ちゃんに掴まれ一気に引き寄せられた。  
驚きで抵抗できない僕はたたらを踏み、そのままベットの上の姉ちゃんに倒れ被さってしまった  
うつ伏せになって僕の視界は閉ざされた。何で目の前が真っ暗に?  
 
「うっん……うむっ!?むぅぅぅううう!!」  
「アハハハッ!声出さないで信ちゃん。胸がくすぐったいよー」  
僕の顔の下にあるのは姉ちゃんのおっぱいだ!慌てて離そうとするが頭が動かない。  
頭の後ろに姉ちゃんの腕が回されがっちりロックされちゃった。  
 
「放さないわよー。まずはそのぼぉーと固まった顔をアタシの胸で暖めてゆるくしてあげるんだから!」  
頭のてっぺんから姉ちゃんの声が響く。  
 僕の顔を包み込んだ姉ちゃんの胸の暖かさ、久しぶりに僕の鼻孔をくすぐった姉ちゃんの肌の匂い、カシスの香り。  
それらに弾け飛びそうなほど心を刺激させられた。  
僕は姉ちゃんから離れようと頭の後ろの腕を力ずくで解こうとした。  
だがふとあることに気づいてそのまま姉ちゃんの為すがままにされた。  
 
――ドキマギさせられた僕の心臓の音は頭にまで響き渡るのに、顔のすぐそこから響いてるはずの姉ちゃんの心音が  
まったく聞こえないということに。――  
 
 
 僕が抵抗をやめると後頭部に回された姉ちゃんの腕の力も弱められて、優しく僕の頭を抱きかかえてくれた。  
姉ちゃんの暖かさが徐々に僕の心を溶かしていくような心地良ささえ僕は感じてきた。  
僕の心の空洞に姉ちゃんの息吹が注ぎ込まれていく。  
しばらくそのままでいた  
 
 
「信ちゃん…?……信司、寝ちゃったってことはないよね?」  
姉ちゃんの腕が解かれ、僕の両肩を胸から押し上げてくれた。  
まぶしい光に目をしばかせると、目の前には姉ちゃんのいぶかしげな顔が  
「…う、ん……だいじょうぶだよー」  
応えた僕の声は蕩けきっていた。まだおっぱいの余韻が顔全体に残っていて頭もとろーんとしている。  
 
「はぁー。ちょっと緩くしすぎたわね、こりゃ。」  
そんな僕を見て姉ちゃんはため息をつくと僕の身体を右のほうに押し退けた。  
されるがまま、僕はそのままごろんとベットの上に仰向けになる。  
すると僕の横を姉ちゃんが膝立ちで動いて僕の脚の方に回った。  
ちょうどベッドに仰向けになった僕の下半身に膝立ちした姉ちゃんが覆いかぶさろうとする体勢だ。  
 
姉ちゃんが僕のズボンを弄っている。衝撃から僕の頭が覚めないうちに手際よくズボンを脱がされてしまった。  
 
「こっちも硬いかなー?でもこっちは顔のように柔らかくするんじゃなくて、もっと硬くしてあげる!」  
パンツ越しに僕のペニスに人差し指を押し当てながら、姉ちゃんはそう宣言した。  
そのまま指をパンツに掛け、一気に下に脱がされる。  
すると姉ちゃんのすぐ鼻先に僕のペニスが姿を現した。  
 
「わっ!……おっきぃー…。小学生の頃、一緒にお風呂に入って見た時はこの小指ぐらいだったのに。」  
そのまま小指をペニスの横に添えて、まじまじと見比べる姉ちゃん。恥ずかしいよ……  
 
「大人の"ココ"見るの初めてなんだけど、まだこの状態って全開じゃないの?信司?」  
姉ちゃんが奇妙な表現で問いかけてくる。確かに僕のペニスは姉ちゃんの胸の力でだいぶ膨らんでいたが  
まだ垂れており全勃ちではなかった。  
「う、うん……そうだけど…」  
「なら、もっと大きくしてあげる。」  
おずおずと答えた僕に姉ちゃんはそう応じた。  
 そのまま姉ちゃんは僕の股間に手を伸ばし、右掌で僕のペニスを包む。火照った肌に冷たい指の感触が伝わる。  
姉ちゃんの白い五指が僕の濃い肌色をしたペニスの包皮の上をうねっていく。  
まるで木の幹を伝い登っていく白蛇のような艶かしさだ。  
優しく、そしてリズミカルに姉ちゃんが指を動かしていく。その動きとともに、掌中のペニスが屹立しはじめる。  
 
「フフッ、大きくなってきたぁー。何かゲーセンの戦闘機ゲームの操縦桿みたいだね。」  
姉ちゃんが笑ったときの息が亀頭にかかり、より刺激させられる。  
すると姉ちゃんはゲームでミサイルの発射ボタンを押す仕草を真似て亀頭に親指を押し当ててきた。  
敏感な亀頭が細い指で弄くられる。  
 
「あー、でも”ココ”ってよくソーセージって言葉で隠喩されるよね?アタシにもそう見えてきた!  
ちょっと色塗ればハンブルグの屋台で食べたソーセージにそっくりだよ!  
細かい場所は覚えてないけど、信司も言ったら必ず食べなさい。姉ちゃんのお薦めよ。」  
姉ちゃんや僕が通っている高校は2年生の秋にドイツに修学旅行に行くことになっている。  
そのときの思い出を僕のペニスで思い出さなくても……  
「もう、そんなこと言ってたらかぶり付きたくなってきたじゃない。じゃあ信司、いただきまーす。」  
「うわぁ、姉ちゃん!そんなとこを!?」  
僕の驚きの声も聞かず、大きく開けられた姉ちゃんの口にペニスが咥えられてしまう。  
 
ジュ、ジュジュル。ジュル  
濁った音を響かせ、姉ちゃんはすごい勢いで僕のペニスを吸っていく。  
それだけでなく窄められた口唇、そして前歯で根元が甘く噛まれ、吸引で張り詰めたペニスから甘美な刺激が僕の脳に伝わってくる。  
目を閉じ、必死に刺激を抑えようとしていると  
チロッ  
「はふぅー」  
しっとりと温かい水気を帯びた何か─姉ちゃんの舌だ─が僕のペニスの最頂点を舐め、脊髄を電流が走った。  
思わず情けない声を上げてしまう。  
驚きで瞼を開くと、上目遣いで僕の顔を窺う姉ちゃんと目が合った。するとソーセージを咥えた姉ちゃんは小悪魔っぽい笑みを浮かべる。  
 
 根元の陰毛が姉ちゃんの荒い鼻息でそよぎ、こそばゆい。  
そこから順に、僅かに涎が溢れる口唇、前歯によって姉ちゃんに拘束された僕のペニス。  
それを姉ちゃんはキャンディーでも味わうかのようにゆっくりと舐め回していく。  
亀頭に唾液を塗りつけおえた舌先は、カリ首を一周する。  
まるで溶け始めたアイスキャンディーから垂れそうなシロップを舐め取る様に。  
「はぁふっ、ふぃっ……。ふ、ふはぁ!」  
姉ちゃんは皮から赤い肉を覗かせている部分のみならず、根元のほうの皮に覆われているところにも舌を伸ばし  
あらゆるところを舌で舐め尽して行く。  
次第に激しくなる口舌愛撫に僕の心は昂ぶり、口から情けない声を続けて出してしまう。  
そして、姉ちゃんの舌が根元から頂点に縦に─ちょうど青みを帯びた血管が浮かんでいるところだ─舌を走らせた瞬間。  
「はあぁんっ!……はぁっ、はぁっ、で、出るよ。出ちゃう!姉ちゃんどいてっ!」  
 
 このままじゃ姉ちゃんの顔にかかっちゃう!  
快感に我慢できず、精液を噴き出してしまいそうな僕は声を張り上げた。  
「えっ!?……だーめ。出しちゃダメ!信ちゃんだけ気持ち良くなったらずるーい!」  
なのに姉ちゃんはそんなことを言ってペニスから顔を離す。  
そして右の人差し指をまるで栓をするかのように僕の亀頭のてっぺんに触れさせた。  
 
「はううッ!」  
もう耐え切れない。熱くなった亀頭に冷たい指の腹が触れるだけで僕の快感は弾けそうだ。  
「だーめ、絶対に出しちゃダメだよ。アタシの中で出すまで大事に我慢してて。お姉さまの命令だぞ!」  
命令には従うしかない。出したら噛み切られても文句は言えなそうな剣幕だ。  
必死に我慢する僕に更なる命令が下る。  
 
「今度はアタシをいじくって。おっぱい触らせてあげる!」  
そして姉ちゃんはペニスから離れると、僕の上に覆い被さるような形をとる。  
姉ちゃんの顔がすぐ目の前だ。少し視線を下にするといやがおうにも乳房が目に入る。  
「ふふっ。そのまま見てて……さあ、手を出して触れてもいいよ。」  
息遣いが届く距離で姉ちゃんが囁く。  
おずおずと右手を出す僕。姉ちゃんの乳房に触れるとむにゅとした柔らかな感触が感じられた。  
 
「ひゃう!くすぐったいよ信司。」  
ビクンと身体を震わせ、変な声を出す姉ちゃん。  
その乳房は僕の手に余る大きさだった。すごく柔らかいハンドボールほどの大きさだ。  
「ほらっ、右胸も!」  
姉ちゃんの腕に左手を取られ、右の乳房に押し付けられる。  
姉ちゃんの乳房の感触を両手いっぱいに味わう僕  
 
 十指をミルク色の肌の上に這わせる。  
力を入れればすぐ指が沈み込む柔らかさ。でも深層に位置する弾力が一定以上は沈ませず弾き返す。  
その感触の虜になったように僕は姉ちゃんの乳房を揉みくちゃにしていく。  
「はぁっ…ハっ!……い、いいよぉ、信ちゃん。もっとぉ…もっと揉んでぇ…」  
姉ちゃんの声、凛としたいつもの声からだいぶ声色が違う。  
 胸に吸い付いていた視線を外して上に向けると、すっかり上気した姉ちゃんの顔が目に映る。  
すっかり瞳は潤み、目尻も垂れている。汗で白い頬に張り付いた黒髪の艶かしさにドキッとしたが  
横のおちょぼ口で喘ぐ口唇の可愛らしさとのギャップに思わず笑ってしまう。  
 
「なに、わらってんのぉ……もっと…アタシの胸をいじくってよぉ…」  
そう言いながら姉ちゃんは右手を股の間に回し、秘所……いわゆるオマンコを慰めはじめる。  
「はやぁく…はやくアタシを気持ち良くしてぇ…」  
その姉ちゃんの言葉に従い、再び胸に目を向ける。  
 姉ちゃんの色情に火照った表情に見蕩れている間に、胸の白肌にも僅かに桃色が混ざった気がした。  
そして乳首、さっきまで乳房の白肌にくすんだ赤い影を落としていたそれは、鮮やかな朱色に変わり  
姉ちゃんの色欲の激しさを示すようにピンと立っていた。  
 
僕は見慣れぬ物に興味を持つ子供のようにその乳首に指を当て、軽くつねってみた。  
 
「ひっ…ヒィッ!…」  
姉ちゃんが短い叫び声をあげる。  
「しん、じ、やめてぇ……やさしくいじってぇ…」  
そんな姉ちゃんの弱々しい声を聞くのは初めてだった。  
「…ごめん、痛かったよね。もう乳首には触れないようにする。」  
罪悪感が胸いっぱいに広がった僕は、そう応じたのだが……  
 
「ううん…止めないで…乳首をいじってちょうだいっ。もっと優しくいじってぇ。」  
「う、うん」  
そうかすれた声で姉ちゃんに懇願され、僕は胸を揉みながら中指や人差し指の腹で姉ちゃんの乳首を転がす。  
やがてそれは硬さを増し、僕の指で弾かれるようになっていく。  
「ハッ…はぁ…ひぃぅぅっ!……はぁあ…」  
乳首が硬くなっていくのと共に、僕の顔にかかる姉ちゃんの吐息に熱さが増していく。  
僕のお腹の上、姉ちゃんが指でかき回す陰部からもクチュクチュと水っぽい音が聞こえてきた。  
 
「イイっ!…もおぉ、イっちゃうよぉ!…もっとぉ…もふぉぉ、アタシをいじめてぇぇええ!」  
姉ちゃんは身体を震わせ、嬌声を挙げる。  
僕はその声に導かれるように、いっそう姉ちゃんの胸を激しく責めていく。  
「ハヒィィッッ!…いくぅうッ!…あたふぃっ…もう、イっちゃうぅぅううう!」  
そうして姉ちゃんがいっそう激しく声をあげた時  
僕は指の隙間から垣間見えた姉ちゃんの乳首、野苺のように瑞々しく光ったそれを口に含み甘く齧った。  
 
コリッ  
歯ごたえが感じられ、すぐそこの姉ちゃんの乳房からの汗の匂いが僕の鼻腔を包んだ瞬間  
「イっくくぅぅううっっ!」  
姉ちゃんは甲高い叫び声を挙げ、僕の上で身体を突っ張らせる。  
陰部からもプシュとした音が聞こえたような気がし、僕のお腹をシャツ越しに温かい液体が濡らす。  
…姉ちゃんの愛液だ。そう、姉ちゃんは僕の上でイったんだ。  
 
 しばらく身体を仰け反らせ、絶頂の余韻から抜け出せなかった姉ちゃんだったが、全身の力を抜いて  
僕の身体の上にもたれ掛かってくる。  
圧迫感よりは、姉ちゃんの身体が羽毛布団のように僕の身体包み込んでいく感覚を僕は味わう。  
「はふぃい…しんちゃぁん……」  
「姉ちゃん……寝ちゃった?」  
僕の顔の横で、瞳を閉じた姉ちゃんはふぬけた声を出していた。その声を聞いた思わず僕はそう問いかけてしまった。  
「むっ!ム、ムグウウッ!」  
すると突然、姉ちゃんの人差し指が僕の口に突っ込まれた。  
 
姉ちゃんの指が僕の舌の上で踊る。  
少ししょっぱく、粘っこい味わいが広がる。  
「信ちゃん……モーニングジュース、ラブジュースだよ。目、覚めた?」  
眠そうな声出していたのは姉ちゃんなのに……  
 でも僕はあっという間に口に入れられた姉ちゃんの指に心を奪われた。  
姉ちゃんはさっき秘部を弄くっていた指を僕の口に入れているんだ。  
舌を動かし、形が整えられた爪や肌の皺を感じるぐらいじっくりと指をしゃぶる。  
 
「指くすぐったい!信ちゃん、おいしい?」  
「むうぅぅっ」  
くぐもった声と共に僕は頷いた。  
「そう、良かった。……なら、アタシにも味見させて」  
そういうと姉ちゃんはチュポと音をさせ、僕の口から指を引き抜いた。  
だが引き抜いた指には見向きもせず、僕に顔を近づけてくる。  
「えっ……姉ちゃっ、む……」  
 すぐそこまで近づき、上目遣いで僕の顔を覗き込む姉ちゃん。その姉ちゃんに問いかけようとした時  
僕の口は姉ちゃんの口唇に塞がれた。  
 
 睫毛の一本一本まで見分けられる姉ちゃんの綺麗な瞳。  
僕の鼻に寄り添う鼻梁から、上気した荒く熱い息が僕の肌を撫でる。  
桜色の水気たっぷりの口唇は僕の口唇に覆いかぶさっていた。  
クッキリ整った目尻を優しく緩ませ、姉ちゃんは僕の瞳を見つめる。  
 
 そして、するりと伸ばした舌で僕の口唇をこじ開け侵入を開始した。  
まだ先ほどの愛液と混じった唾液を湛えた僕の口腔、そこに姉ちゃんは舌を挿入していく。  
唾液に塗れた僕の舌、そこに姉ちゃんは自らの舌を重ねる。  
「むふううぅぅっっ!」  
まるで僕の口腔を味わいつくすかのように姉ちゃんの舌の動きは激しさを増す。  
 ジュブ!ジュブリと音を立て姉ちゃんの舌は僕を口腔を犯す。  
瞳をきつく閉じ、その表情は一心不乱だ。  
舌は、僕の舌の裏、歯の表裏、まるで歯垢を削ぎ落とすかのような勢いで舐め回していく。  
そうして僕は姉ちゃんの為すがままに口腔を舐め尽された。  
 
「ぷはッ!」  
僕の口腔を味わい尽くすディープキスを終え、姉ちゃんは口唇を離す。  
息を大きく吸い込む姉ちゃんと僕。  
僕と姉ちゃんの口唇の間には混ざり合った唾液のアーチがかかっていたが、すぐ崩れ落ちてベッドシーツを汚した。  
姉ちゃんと僕の唾液が口腔を満たしている。その、とても大切に思える飲み物をゆっくりと嚥下した。  
「ラブジュースの信ちゃんのよだれ割り、ごちそうさま!」  
同じようにごくりと音を立て唾液を飲み込んだ姉ちゃんが笑みを零しながらそう言った。  
 
 
「さあ、それじゃあ起きて起きて!はい、座る!」  
間近に見えるその笑顔に見蕩れていると、むくりと起き上がった姉ちゃんに手を取られベッドの上に引き起こされた。  
「これだけ大きかったら、もうアタシの中に入れられるのかな?」  
ベッドの上に座った僕、姉ちゃんは身を屈ませ、僕の下腹部を見つめている。  
その視線の先、僕のペニスは姉ちゃんの裸体と触れ合い続けたせいかビンビンだ。  
 
「うん、大丈夫…だと思うよ。」  
「アタシも……たぶん大丈夫よね?」  
姉ちゃんは再び指を秘所にまわし、感触を確かめたみたいだ。  
僕から見ても、姉ちゃんの秘所はびっしょり濡れて桃色の陰唇は緩んでいるようだった。  
「そう、なら信ちゃんはこのまま。アタシが立った後、身を屈ませるから信ちゃんがリードしてね。」  
 
そう告げると姉ちゃんはベッドの上で立ち上がった。  
「ワッ!とっと!」  
マットレスが柔らかいせいか、姉ちゃんの身体がバランスを崩して揺れる。  
「わぁっ!ね、姉ちゃん!」  
慌てて僕は目の前の姉ちゃんの腰に手を廻し押さえる。  
手の甲には少し骨張った感触、そして指先にはお尻の肉感が伝わる。  
 
「ふふっ、腰周りなんか触っちゃうなんて信ちゃんエッチ〜」  
「ち、違うよ、それは!」  
「はいっ!腰を下ろしていくからきっちりフィットするように誘導してね!」  
姉ちゃんにからかわれ、顔を真っ赤にして否定する僕に命令が下る。  
そうして姉ちゃんは僕の肩に両手を付いて、ゆっくりと腰を下ろし始めた。  
 
 僕は左手を姉ちゃんの背に添え、右手でペニスを掴む。  
僕の股間と姉ちゃんの秘所を見定めながら左手に力を込め、姉ちゃんの身体を誘導する。  
そして僕のペニスの頂点が、姉ちゃんの入口に触れた。  
陰毛の少しチクチクした感じ、そしてしっとりとした肉の感触が僕の背筋を駆け上がる。  
「信ちゃんのおちんちんに触れた、かな?」  
だいぶ身体が下がり、僕の頭の少し上から姉ちゃんはそう問いかけた。  
姉ちゃんからは顔を下に向けていても見えないみたいだ。  
「うん、姉ちゃんの大事なところの入り口に当たってるよ。」  
「そっかぁ…じゃあ、挿れていくね。」  
姉ちゃんはそう言うと、再び身を低くしていく。  
それと同時に、姉ちゃんの秘所に僕のペニスが入り始めた。  
柔らかい肉壷が僕を包んでいく。  
だが、少しした所で硬いシコリのような物に触れた気がした。  
姉ちゃんもその違和感を感じたのか、動きを止める。  
 
「……信ちゃん、信ちゃんはセックスは初めてだよね?」  
「えっ!?…う、うん、そうだよ。」  
僕の顔とほぼ向かい合った姉ちゃんの顔、姉ちゃんは真剣な面持ちで僕に問いかけた。  
それに僕が驚きながら応じると、姉ちゃんは柔らかな微笑みを浮かべ  
「なら初めて同士だね。アタシの初めてをあげる瞬間、ずっと憶えていてね。」  
そう告げて、腰を沈めた。  
 やや硬い何かに押し当てられる感触の後、それが一気に消えた。  
姉ちゃんの肉壷の中のしこり、今まで姉ちゃんを護ってきた膜を僕は突き抜けた。  
より一層広がりを持った姉ちゃんの未踏の秘部に僕のペニスは挿し込まれる。  
温かく水気を帯びた肉襞に僕のペニスは包み込まれるようだった。  
 
「クッ!くぅぅうううッ…」  
だが姉ちゃんの肉壷の感触に浸る前に、眉をしかめ、苦悶の声を漏らした姉ちゃんの姿に驚いた。  
「ね、姉ちゃん!どうしたの?痛いの!?」  
慌てて僕は姉ちゃんの腰に廻した手に力を入れ、姉ちゃんの膣中から僕のペニスを引き抜こうとする。  
 
「ウっ……う、ううん…そのまま、続けて……アタシは…大丈夫だから」  
姉ちゃんは硬く閉じられた瞼をかすかに開け、苦しそうに歪んだ顔に精一杯笑みを浮かべた。  
そんな姉ちゃんの反応はとても痛々しく見えた。  
僕はたまらず姉ちゃんの意に反してペニスを引き抜こうとする。  
 
「やッ、やめて…しんちゃ、ん……そのまま、続けて、クッ…お姉ちゃんの、最後のお願い………」  
姉ちゃんの瞳は潤み、僕にすがるような視線を向けてくる。  
痛みでそんな目をしているのかと思い、さらに僕は胸が苦しくなった。  
 だけど姉ちゃんが僕にお願いをする言葉なんてはじめて聞いた。  
それも…『最後の』なんて枕詞がついているものを……  
葛藤を抱えながらも姉ちゃんの望みに従うことにした。  
「……もっと痛くなったらすぐ言ってね、我慢しないでよ。」  
「うん、わかった……」  
 
 出来る限りゆっくりと姉ちゃんの膣内で抽送を続ける。  
「ぐっ……うっぅぅ…」  
でも姉ちゃんは僕がペニスを動かすたびにかすかにうめき声を挙げる。  
再び眉も顰められ、瞼も閉じられた苦しげな顔をしている。  
 
もう見てられない。でもやめるわけにはいかない。  
姉ちゃんの背に廻した腕を引き、姉ちゃんの身体を僕の方に近づける。  
「あうっ!う、うぐっぅぅ……」  
その動きでペニスが一層姉ちゃんの中に押し込められてしまったのか、姉ちゃんの呻き声が耳に入った。  
(ごめんね姉ちゃん。でも少しだけ我慢して。)  
すぐ目の前まで近づいた姉ちゃんの顔、苦悶で歪んでしまったその美貌の桜色の口唇にそっと僕の口を近づける。  
 
「うっ、ぐっうぅ……むっ!?むっううう」  
口唇が重なった瞬間、姉ちゃんが驚いた表情をし目を見開く。  
その姉ちゃんに僕は優しさをあらわすように緩ませた瞳で応える。  
 口唇を重ね合わせ、僕は姉ちゃんの苦しげな呻き声を吸い取っていく。  
柔らかく感じられる姉ちゃんの口唇、そして僕のものと触れ合っている鼻梁、姉ちゃんの汗に濡れた顔は僕のすぐそこだ。  
胸には僕が着たシャツ越しに乳房が押し付けられている。  
 
 
 そのまま姉ちゃんと身体を重ね合わせて、姉ちゃんと温もりを分け合っているうちに姉ちゃんの驚いた顔が  
次第に穏やかになっていき、僕の顔を見つめてくる。  
その表情の変化を目にした僕は口唇を離した。  
「プハッ」  
だが顔は離すことなく、そのまま姉ちゃんの頬にすり寄せる。  
少し汗ばんだ姉ちゃんの熱さが僕の頬に伝わってくる。  
「姉ちゃん…少し痛み紛らすこと、出来た?」  
目の前の姉ちゃんの耳朶に向け問いかける。  
姉ちゃんがどんな顔をしているかわからない。でも僕の耳元にかかる姉ちゃんの息吹は穏やかだ。  
「ごめんね、僕下手で。姉ちゃん初めてなのに苦しい思いだけさせちゃって……ごめん……」  
一語一語絞り出すように、言葉を紡ぐ。  
「僕、姉ちゃんが初めての女の人になってくれてとっても嬉しかったんだ。でも、でも……」  
自分の不甲斐無さ、姉ちゃんへの謝罪の気持ち、そういうのが僕の心から溢れ、涙となって言葉を止める。  
 
「…信司……おとこのこは泣いちゃダメ。泣き虫なおとこのこはアタシ、キライだぞ。……でも…優しい弟は大好きだよ……」  
そっと僕の頬に姉ちゃんの口唇が触れる。  
「アタシがいなくなっても……泣きたい時に…ギュッと抱いて、支えてくれる女の人……見つけるんだよ……」  
耳の側から嗚咽と共に絞り出すような姉ちゃんの声が聞こえる。  
寄せ合った僕と姉ちゃんの頬を伝わりあう2人の涙。抱き締めあう2人の身体。  
 
 
 
「ぐすッ……泣き虫お姉ちゃんも……弟の手本にならないダメなお姉ちゃんかな?」  
 しばらくした後、僕の頬から離れる姉ちゃんの肌。  
正面に向き合った姉ちゃんの顔ははにかむような笑みを浮かべている。  
涙は頬を伝わった痕しか残っていない。  
「ね、姉ちゃん、大丈夫?」  
「だいじょーぶ!さあっ、動いてアタシの中をめちゃくちゃにしなさいっ!」  
自信たっぷりの明るさに満ちた声、とっても姉ちゃんらしいその声に導かれ再び僕はゆっくり腰を動かし始める。  
 
 腰を動かすたびにペニスから柔らかな姉ちゃんの肉襞、締め付けるような肉壁と硬軟混じった刺激が響く。  
優しい姉ちゃん、厳しい姉ちゃん、僕のペニスは色んな姉ちゃんに触れ合っていく。  
声をかけた後、また頬を寄せ合った僕と姉ちゃん。  
表情は見えないけど姉ちゃんが吐く息はとっても安らかだ。  
「ねえ信ちゃん、もっと強くしていいよ。いつまでも人に頼っていちゃダメ、信ちゃんが女の人をリードしなくちゃ!」  
姉ちゃんの膣中の温かさに浸っている僕に、姉ちゃんはちょっと厳しさの混じった声をかけた。  
「う、うん、……姉ちゃん、痛かったらすぐ言ってね!お願いだよ!」  
腰を動かすリズムを少しずつ速くしていく。  
「ふふっ、素直な信ちゃん、かわいいよ!」  
僕の突き上げに揺らされながら姉ちゃんは頬をすり寄せる。  
 
 
 姉ちゃんに抱き締められた僕の身体、姉ちゃんに覆い尽くされている僕のペニス。  
僕の全身に姉ちゃんから昂ぶりが伝わってくる。  
「あっ…はッ……姉ちゃん!気持ちいいよ!」  
「……ふッ…くッ!……信ちゃん、イイッ!アタシもいいよッ!」  
身体と昂ぶる性感を交じり合わせ、僕と姉ちゃんは高みに上っていく。  
「し、んじ…ヒっ……この瞬間…を……絶対に忘れないで!」  
呻き声を上げながら姉ちゃんが叫ぶ。  
より一層硬さと瑞々しさを増した姉ちゃんの秘所が僕のペニスを弄くり上げていく。  
真っ赤な粘膜を覆っていた皮を剥かれ、亀頭の根元を姉ちゃんの肉襞が締め上げる。  
 
「いくよ、いく!姉ちゃん、僕出ちゃうよ!」  
「いいわ!中に、アタシの中に出してぇ!」  
重なり合う僕と姉ちゃんの声。  
そして姉ちゃんの身体がもたらした快楽で限界に達した僕のペニス、その先端から白濁した液が姉ちゃんの膣中にほとばしった。  
今まで僕の心の中に溜まっていた悲しみに満ちた澱が生まれて初めて感じる女体の快楽、姉ちゃんの肢体でかき消されていく。  
「ひやぁああっ!熱いのがぁ!熱いのがアタシの中にっ!いっちゃうううぅぅうううッッッ!」  
頤を反らした姉ちゃんは、淫らな色に染まった叫びを吐く。  
姉ちゃんのうなじが僕の目の前でふるふると揺れている。  
 
「姉ちゃん、大好きだよ。」  
僕はその桃色に染まった白肌にそっと口づけをした。  
 
 
 
 
 抱き締めあったままベッドの上で寝そべる姉弟。  
弟は穏やかな寝息を立て、満足そうな表情で眠りについていた。  
その寝顔を優しげに見つめていた姉はそっと弟の身体を抱いていた腕を解く。  
夏至までひと月ほど、もう夜は明けようとしている時刻だった。  
「う……くッ!」  
姉は顔をしかめながら弟との繋がり、股間に挿れられた彼のペニスを引き抜いた。  
その瞬間にどろりと流れ出る弟の白い精液、そして姉の破瓜を示す赤い血。  
「他の人とする時はコンドーム付けなさいよ、信司。」  
零れ出た精液を眺めながら弟に優しく声をかける姉。  
ティシュを幾枚か手に取り、汚れたベッド、そして弟の股間をそっと拭いていく。  
ある程度の大きさは保っているものの、しんなりと垂れた弟のペニス。  
その皮の裏までもティシュがこびり付かないように丁寧に拭いていく姉。  
 
 汚れが拭き取られたペニスに新たに零れ落ちる滴。  
その正体は姉の瞳から湧き出る涙だ。  
「このおちんちんで女の人を幸せにしなさい……アタシの分まで……」  
越えてはならない姉弟の間柄、そして今は越えることの出来ない生と死の裂け目に隔てられた姉は  
悔しさと弟のことを想う慈愛の心から涙を零したのだ。  
 
そっと、弟のペニスにキスをして彼女は立ち上がった。  
 
「カミサマとの約束の時間までもう少しか。」  
信司の着ていた服を元通りにしたアタシ、意識の無いまるで着せ替え人形のような弟にズボンとパンツを穿かせたアタシは  
薄っすらと光が射し始めた東の空を見ながらつぶやく。  
「あれっ、と!?」  
未だ裸のアタシも服を着ようと着てきた夏服を探すが、床に脱ぎ捨てたはずのそれは見当たらない。  
「まさか、服を先に天国に戻しちゃったわけ!?」  
アタシは融通の利かない、いやエロい魂胆でもあるのかと邪推したくなるカミサマの行動に怒りの声を出す。  
そのまま天を睨むがもちろん何の返答も無い。  
 
「はぁ、裸っていうのもアレだし。仕方ない、この冬服借りよっと。」  
信司がアタシに驚いて取り落とした冬服を手に取る。  
ひょいっとブラウス、ブレザーと上半身を衣で覆ったアタシは身体を前屈させて股間を覗き込む。  
黒々とした陰毛を濡らしたままの信司の精液、半ば乾いて毛をパリパリにしている。  
その奥、アタシの膣にもまだ零れ落ちずに残っている信ちゃんの精液がある。  
信ちゃんの身体を綺麗にしたとき、アタシを汚したままのその精液を拭き取る気にはとてもなれなかった。  
アタシの中で信ちゃんを感じる、生の熱さを感じるそれを大事に取って置きたかったんだ。  
 よし、パンツは穿かない事にしよう。  
パンツについて少しでも精液が失われるのはイヤだし、アタシが天国にこの世の服を着ていくとその服はどうなるかわからないから。  
もし、寝ている信ちゃんの横に精液のついたアタシのパンツが転がっていることになり、その光景を母さんが見たりしたら――  
 
 さて、ちょっと股間がスースーするけどスカートを履いたアタシの帰り支度は整った。  
「カミサマー、もういいよー!」  
アタシの願いを聞き遂げてくれて、信ちゃんと一夜を過ごすことを許してくれたカミサマに天国への帰り支度が整ったことを告げる。  
そして朝日の光が差し込み始めた窓、その光を受けながらアタシの身体はだんだん薄く、軽くなっていく。  
「さっき、アソコにもキスをしたからちょっと汚いかな?」  
可愛い寝顔を見せている信ちゃん、最後にその寝顔を間近で見れるように屈んだアタシは口唇を近づける。  
 
「信ちゃん、愛しているよ。」  
アタシは信ちゃんとそっと口唇を触れ合わせた。  
 
そして、その顔、信ちゃんが生まれてきてから17年間見守ってきた弟の顔を瞳に焼き付けて、アタシは再びこの世を後にした。  
 
 
 
 
 
「う、うう〜?」  
まぶしい朝の光で僕は目覚めた。  
「え、あれ!?」  
 何故か姉ちゃんの部屋、そのベッドで寝ていた僕。  
こんなところに寝ていたせいか、姉ちゃんが出てきたことしか覚えていないがとても生々しい夢を見たような気がする。  
そういえば、姉ちゃんが死んじゃってから姉ちゃんが出てきた夢を見たのは初めてかもしれない。  
夢の中であれ、姉ちゃんと触れ合えたことでちょっと僕の心は晴れやかだった。  
   
 クローゼットの扉にかけられている姉ちゃんの冬服、昨夜、母さんが干していたのを取り込んだものだ。  
ちゃんとクローゼットの中に仕舞おうとそれを手に取る。  
扉を開け、中の横棒にハンガーをかけようとして冬服を僕の鼻先に掲げた瞬間――  
 
 
――胸いっぱいにカシスの匂い、姉ちゃんの香りが飛び込んできた。――  
 
 

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