カーテンから漏れてくる明るい朝の日差しの中、俺は目を覚ました。
「――う……」
昨日の練習試合で頑張りすぎたせいか、体のあちこちにまだ疲れが残っている。
血管と神経を介して全身を巡る倦怠感に、俺は力なく仰向けでベッドに横たわっていた。
だが彼女はそんな俺を容赦なく責めたてている。
――ぐちゅっ、ぐちゃぁっ、じゅぷぷっ……。
「――あぁっ……んんっ……け、啓一……起きた?」
「お前なぁ……」
呆れた表情の俺を、黒く大きな瞳が見下ろしている。
恵は目を細めて笑いながら俺の上で激しく腰を振っていた。
制服は上だけで、下半身には灰色の靴下以外何もはいていない。
細くくびれた腰も、なめらかな曲線を描く太ももも、そして汁を弾けさせて繋がる結合部も
全てが隠れることなく俺の前にさらけ出されていた。
「……朝から兄貴を強姦ですか。さすがに勘弁してくれません? 恵さん。
夕べも散々付き合ってやったじゃないか。正直、俺もう限界なんだけど」
いったいこの妹は何発ヤれば気が済むのだろうか。サキュバスじゃねーんだから。
しかし恵は俺の抗議の声に頬を膨らませて言った。
「だって……最近してなかったんだもん」
「当たり前だ。お前生理で滅茶苦茶辛そうだっただろ」
一応俺だって、お前のそういうとこはちゃんと注意して見てますよ。
だが彼女は俺が気を遣うと妙に不機嫌になるというか、なんか意地を張りたがる。
対等な立場ってのにすごいこだわるんだよな。まあわかるっちゃわかるけど。
「ほら啓一も動いてよ。そっちもたまってるでしょ?」
「いや昨日ので出し尽くした。ごめんなさい弾切れです」
「嘘。啓一の、私の中でビクビク動いてるじゃない……まだいけるよ」
全てを見透かした目で妹が俺を見つめている。
たしかに無理をすれば一発や二発できないこともないが、朝から体力使い果たしてどうすんだ。
俺、今日も部活あるっての。またキャプテンにどやされたくないぞ。
兄の思いをよそに、恵の膣は絶え間なく俺を締めつけ淫らな音を響かせた。
「はんっ……んあぁ……お、奥ぅっ……!」
硬い肉棒は鋭利な槍となって妹の中を思い切り貫いている。
その先端は奥の奥、恵の子宮をつついてコリコリと心地よい感触を伝えていた。
普段上に乗るのは嫌がる癖に、こういうときだけ都合いいんだから困ったもんだ。
俺はため息をついて大人しく妹に犯され続けた。
「う、くっそ……熱っ……!」
「あはぁっ……啓一ぃ……いいよぅ……!」
真っ直ぐ通った鼻筋。笑みの形に歪められた細い唇。振り乱されるストレートの長い黒髪。
こうして見ると、やはり一つ一つのパーツは俺と似ている気がする。
とはいえその雰囲気や顔立ちは俺よりも柔らかで繊細で、やはり女の子らしかった。
華奢で軽い体が上下に動くたび、俺のチンポが擦られて硬度を増す。
俺に絡みついてくる恵の肉も汁も、マグマのように熱くなって俺を溶かそうとする。
――やれやれ。今日の部活は休むか。
俺は仰向けに寝転がったまま両手を伸ばし、恵の腕をぐっとつかんだ。
「け、啓一……? きゃっ !!」
力を込めて引き寄せるとバランスを崩して俺の上に倒れかかってきた。
軽い悲鳴をあげる恵の乳房が、セーラー服とパジャマ越しに
ふにゃりという気持ちのいいおっぱいの感触を俺に伝えてくる。
妹の背中に腕を回し、彼女をぎゅっと抱きしめる俺。
――トクン、トクン……。
二つの心臓の鼓動が共鳴し合う。彼女は俺に抱かれたままで、上気した顔をこちらに向けていた。
「な、何するのよ……ちょっとびっくりしたじゃない……」
口をとがらせる恵だったが、隠しようのない嬉しさが顔からにじみ出ている。
こうして俺にぎゅうぎゅうされるのがこいつは本当に好きだ。
互いの体温を感じながら、俺たちは数秒間動きを止めて見つめ合った。
不意に恵の桃色の唇が動き、短い言葉を紡ぐ。
「啓一……大好き……」
悔しいことに、そのセリフに俺はグッときてしまった。あーもう、可愛いなあこいつは。
欲望の赴くままに俺の腰が動き、跳ねるように下から恵を突き上げた。
「――あああぁっ…… !?」
突然の突きこみに目を白黒させて彼女が喘ぐ。
俺は体力と筋力を総動員して恵を責めたて、存分に妹を鳴かせた。
「うあぁ、はあんっ…… !! 啓一ぃぃっ !!」
だが俺の体はそろそろ限界だった。てかこの体勢、思った以上にきついです。
早くこいつをイカせてやらんとこっちがやばい。
俺たちは抱き合ったまま激しく腰を動かし、本能のままに肉を重ね合った。
そして俺の気が遠くなってきた頃。
「あぁ、はひぃぃっ !? あああぁあぁっ !!!」
ようやく恵が絶頂に達し、俺の腕の中でくたっと意識を失った。
――ドク、ドクドクッ……!
膣内に噴き出す俺の汁も今日は出が悪い。
意識を手放しそうになりながら、俺はまだ恵と抱き合っていた。
遅刻しなかったのは恵が早めに起こしてくれたからだが、
おかげで今日一日、俺は物凄い眠気と疲労に襲われる羽目になった。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
食堂や購買が飢えた生徒で埋め尽くされる、平凡な高校の昼休み。
啓一はひとり、ひと気のない校舎裏に呼び出されていた。
そこで彼を待っていたのはひとりの小柄な少女。彼とは初対面だった。
「あ、あの、水野センパイ……あたしと、つ、付き合ってくれませんか……?」
真っ赤な顔でショートカットの頭を下げる彼女を、啓一は真剣な目で見つめた。
答えは初めから決まっている。ただそれを言うのが申し訳ない。
「……ごめん」
ようやく覚悟を決めて、啓一は短くつぶやいた。
少女はそれを聞いて少しの間動きを止めたが、やがて声を震わせて言った。
「い、いいえ……こちらこそ、無理言ってごめんなさい……。
その、やっぱりセンパイには……素敵な恋人さんとか、いるんですか……?」
「え? う、うーんと……」
毎度のことながらこの質問には返答に窮する。
彼と恵の仲は秘密であり、表向きはあくまで仲のいい双子の兄妹ということになっていた。
その妹に朝からレイプされましたなどとは口が裂けても言えない。
「う、うん。俺も好きな人がいるからさ……ホントごめんね」
「そうですか……」
悲しそうにうつむく少女。捨てられた子犬のような表情が啓一の哀愁を誘った。
「……でもありがとう、すごく嬉しかったよ。じゃあね」
「はい、さようなら。センパイ……」
いっそ全てを公にできたらこんな苦労をしなくても済むのだが。
重い気分を胸に、啓一は賑やかな校舎内へと戻っていった。
自分の教室に帰ると、既に仲のいい友人たちが啓一の席を囲んで昼食をとっていた。
その中には当然のように、水色の弁当箱を手にした彼の妹、恵の姿もあった。
「おー啓一、どこ行ってたんだ?」
「……トイレだよ」
感情を押し殺して簡潔に答える。また女子を振ったと言えば友人の嫉妬の拳が飛んできてしまう。
「なんだ腹でも壊してんのか? それならその弁当、俺が食ってやるよ」
「何言ってるんだ、お前はいつもパン食だろ」
啓一は友人の軽口に合わせ、机の上に自分の弁当箱を広げた。
塩鮭混ぜご飯。ほうれん草とベーコンの炒め物。ちくわとワカメの酢の物。そしてトマトと卵焼き。
量こそ違えど、メニューは恵のと全く同じものである。
友人は恵の弁当と啓一のをジロジロ見比べて羨望の声で言った。
「あーあ、恵さんの手作り弁当か。俺も食いてえなあ」
「いやこれ、半分は俺が作ってる」
「野郎の手料理など要らんわ! 恵さんの作ったとこだけよこせ!」
「お前は何を言ってるんだ……料理の腕はほとんど変わらんっての……」
ちらりと目をやると恵はこちらを向いて微笑んでいた。
彼女は何も聞いていないが、啓一が後輩の女子に呼び出されたことには気づいていた。
そしてその少女の告白に自分の兄が何と答えたかも。いつものことだ、彼女には全てわかっている。
嫉妬もやきもちもなく、恵は穏やかな顔で優しく兄を見つめていた。
「啓一、佐藤君におかず分けてあげたら? すごく欲しそうにしてるじゃない」
「じゃあ仕方ないからこのワカメとほうれん草をやろう。感謝するように」
次の瞬間、友人の手が素早く伸びて啓一の卵焼きをかっさらっていった。
放課後の帰り道、恵は啓一と肩を並べて二人きりで歩いている。
いつもは他の友達も一緒なのだが、今日はたまたま二人だけだ。
「啓一、ちょっと寄り道しない?」
「ん、いいぞ」
双子の片割れは彼女の提案にそう言ってうなずく。
基本的にこの双子は相手の望むようにして、反対することは滅多にない。
少し西に傾いた日に照らされて、恵と啓一は通学路を外れて細い路地を進んでいった。
歩幅は啓一の方が大きいため、どうしても彼女は少しだけ早足になってしまう。
「ねえ、啓一」
「どうした?」
横を向いて兄を見上げる妹を、啓一の黒い瞳が映し出している。
彼女の目から見ても、兄は凛々しくて優しい理想の男性だった。
先ほどのように告白されることも多いが彼は全て断っていた。それも彼女のためだ。
「……何でもない」
顔を正面に戻して恵はそうつぶやいた。
そんな妹の心など全てお見通しと言わんばかりに、啓一が彼女に笑いかける。
「今なら人いないから、ぎゅーっとしていいぞ」
「馬鹿……誰か来たらどうするのよ。家まで我慢するもん」
「あーあ、無理しちゃって。大丈夫だよ、ほら」
からかうような口調で言い、いきなり啓一は彼女の頬にキスをした。
幼い子供がするような無邪気な口づけと、してやったりの兄の笑顔。
完全な不意打ちに恵は思わず真っ赤になってしまった。
「け、啓一……」
頭から湯気を立てる妹を優しく抱き寄せる啓一。
今我慢すると言ったばかりだと言うのに、彼女は兄に力いっぱいもたれかかってしまった。
そうして二人がたどり着いたのは、住宅地の片隅にある小さなコンビニだった。
自動ドアをくぐり、兄妹は誰も客がいない店内に足を踏み入れる。
「んー……新刊出てないなあ……」
「あ、俺腹減ったから何か買ってくる。恵も食べないか?」
そう聞いてくる啓一に、恵は少し強い口調で言い返した。
「私はちゃんとカロリーをコントロールしてるの! 間食ダメ、絶対!」
「はいはい、わかりましたよ」
笑ってレジに向かう啓一から離れ、店内を適当にうろうろする。
さらさらの自分の黒髪を撫でながら、わずかな待ち時間を彼女は楽しんでいた。
「おまたせ、んじゃ行くか」
「うん」
ありがとうございましたー、という店員の声を背中に、二人並んで店を出る。
一面の青い空が目に飛び込んできて、彼女は何とはなしにそれを見上げた。
(綺麗だけど、なんか、その……お腹減ってきちゃうな……)
そのとき、空腹を自覚してしまった妹に向かって啓一が手を差し出した。
「――ほい」
「あ……」
ほかほかの肉まん。その白い肌は西日を照り返し、黄色く染まって恵を誘惑してくる。
(――お、おいしそう……でも間食は……)
肉まんを見つめて唾を飲み込む妹を見て兄は笑っていた。
「どうした、食べないのか?」
「う、うう……」
「んじゃ俺がいただきまーす。はむっ」
「あっ!」
肉まんにかぶりつく啓一の姿に、彼女はつい声をあげてしまった。
彼は勝ち誇ったような顔で恵を見つめ、旨そうに口を動かしている。
「うん。あったかくてジューシー、そしてこのアクセントのカラシが最高」
「け、啓一の意地悪……」
「という訳で、ほれ?」
「…………」
目の前に突き出されたのは、啓一の食べかけの肉まんではなく新しいのだった。
妹の心の葛藤などお見通しらしく、ちゃんともう一個買ってきていたようだ。
さすがにこれには逆らえず、彼女はついつい手が伸びてしまう。
(――うぅ……私、啓一の思い通りになっちゃってる……)
伸ばした手をぴたりと止めて、悔しそうに双子の兄を見上げる恵。
「ほれほれ、どうしたどうした?」
「う、く……!」
歯を食いしばり、彼女は精一杯の抵抗をしてみせた。
このまま懐柔される訳にはいかない。乙女のプライドを総動員して意思を示す。
「い、いらない……」
「ふーん。意外に強情だな。じゃあ俺が両方とも――」
その言葉に、ついに心が折れた。
「じ、じゃあ……そっちの、食べかけのをちょうだい……」
まるまる一個と言わなかっただけマシだろうか。だが彼女はささやかな敗北感に打ちのめされていた。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
その晩またも私は啓一の部屋に夜這いをしかけた。
なんかここ最近、啓一のペースばっかりで面白くない。私たちが対等だって
この辺で改めてちゃんと思い知らせておかないと、このまま彼のいいようにされてしまいそうだ。
近頃の啓一は妙に用心してるから、その隙をつくのも容易じゃない。
音もなくドアを開けると私は寝ている啓一のベッドに近寄り、そっと中をめくった。
啓一は仰向けでぐっすりと眠っているようで、こちらに無防備な寝顔を晒していた。
……う、この顔いいかも。後でキスしちゃおう。
そう思いながらパジャマの下を下着ごとずらし、啓一の性器を露にした。
本人と同様にぐったりしたあそこに軽く口づけして、愛情を込めて舌を這わせる。
袋を指でしごきつつ棒の先をチロチロ舐めていくと、ゆっくりそれは立ち上がっていった。
十七年間見慣れた、啓一のおチンチン。
どこを舐めれば感じるか、どういじれば気持ちいいか、私は全て知っている。
「ん、はぁ……」
荒い息を吐いて、私は勃起した男性器を熱っぽい眼差しで見つめた。
小さい頃、なんで啓一にだけ象さんがついてるのか不思議に思ってたっけ。
その象さんは、今や私の夜の生活にとって無くてはならないものになっている。
「う……」
すっかり硬くなったそれをくわえると、啓一がうめき声をあげた。
起きちゃったかな? と思ったが、幸い彼の意識は闇に沈んだままだった。
私の口は小さめで、啓一のコレをくわえるのも楽じゃない。
でも彼に言わせると、私がコレを一生懸命口に含んでるところがまた可愛いんだって。
そんなことを笑いながら言うから、私の怒りを買うんだけどね。
おチンチンをほおばり、私は兄に奉仕するように口内の亀頭を舌で優しく愛撫した。
――ちゅぱ、ちゅぱちゅぱ。
唾と先走りの汁が混ざっていやらしい音をたてる。
私は満足感と劣情に体を火照らせ、しつこく啓一の肉棒を舐め続けた。
「――う、あ……め、恵……?」
しまった、起きちゃったか。まあ仕方ない。
「はあ……お前、またか……? なんでそんなにスケベなんだよ……」
なんで私が怒られるのやら。しかも双子の妹、自分の分身をまるで痴女のようなこの言い方。
元はと言えば学校でも家でもセックスのときも、啓一が偉そうに兄貴面するからじゃない。
私も君も元々は一つ、何でも対等のはずなんだよ? 忘れちゃったの?
私は怒りを込めて彼を責めたててやった。
「く、やべ、出る――」
彼の陰茎がビクビク震えて発射準備を整える。
これを待っていた。私は急いでおチンチンから口を離し、両手で彼の棒をぎゅっと握り締めた。
「痛っ……! 恵、お前……」
「うふふ、寸止めされて苦しそうね。出したい? 出したい?」
啓一は苦しそうな顔で私をにらみつけている。なんかとってもいい気分。
「お前――やめろっ……!」
「ふふん♪ やーだよーだ」
おチンチンを握ったまま微笑んで、先っちょを軽くねぶりあげる。
啓一は悲鳴をあげて身をよじり、苦悶の視線を私に向けた。
「出したいなら大人しく私の言うこと聞いてよ。いい?」
「……うう、くそ……わ、わかった……」
悔しさをにじみ出し、降参して白旗をあげる啓一。ふん、いい顔よ。
私はそんな兄の上にゆっくりとのしかかり、既に濡れ濡れの私の中に彼のを導いていった。
――じゅぷ……ぬぷぽっ……!
私の肉をかき分けて入ってくる太い肉棒の感触に、私は熱い息を吐いた。
「あはぁ……♪ いい、啓一? 今日は私より先にイキなさい」
「なん、だって……?」
「いつもいつも私ばっかりイカされてるから今日は仕返し。だから早く出してね」
「…………」
啓一は気にいらない顔だったが、射精寸前で止められたことと
彼を包み込む私の膣の絡みに理性を失ったのか、私が上になって腰を振ると激しく喘ぎ始めた。
「うあっ! く……ぐぅぅ……!」
「ほ、ほらぁ……啓一、いいでしょ……?」
いい気になって兄を責めたてる私だったが、見た目ほどの余裕がある訳ではない。
ガチガチになったおチンチンは容赦なく私を貫いてくるし、先ほどのフェラで
私が多少なりとも感じてしまっていたのも、この我慢比べには辛いところだった。
でも今回は負けるわけにはいかない。
私は両手で自分の口を押さえて、声をあげるのを必死で我慢しながら彼を苛んでいく。
ギシギシとベッドがきしみ、幾度となく繰り返されてきた私たちの交わりを見届けていた。
「ほら……早く、イっちゃい……なさい、啓一……!」
「うあぁ――く、くそ……!」
――じゅぷぷっ、くちゅっ! じゅぽっ !!
私の膣はエッチな音をたてて啓一を包み込み、彼の肉棒をしごいてやまない。
たしかに対抗心や悔しさが私たちの心にはあったけれど、
こうやって繋がったままで互いの顔を見ていると、とても懐かしい安心感を覚える。
興味本位から初めて本番をしたのは中学生になったばかりのときだっけ。あれは痛かった。
あのときは啓一だけ気持ちよくなって、私は痛さのあまり泣き喚くだけだった。
それから好奇心はどんどんエスカレートしていって、相手の体で何でも試した。
傷がついたり痛かったりするのはさすがにやらなかったけれど、おかげで経験だけは豊富になった。
でもそれが愛とか恋だったのかと聞かれると、多分違うと思う。
年頃になって芽生えた性欲を互いの体で発散させていただけ。
それがこうやって男女の仲、本当に愛し合うようになったのはほんの最近のことだ。
今の私は啓一が好きだし、啓一も私が大好きだ。
両親にも友達にもバレていないと思うけど、やっぱり近親相姦だから今でも少しドキドキする。
知らない人から告白されて断るのも申し訳ないと思う。
でも私は啓一がいないと生きられない。そしてそれは啓一も同じ。
心も体も同じで、性別だけが違う一組の双子の男女。それが私たちなんだ。
「ぐああっ……駄目だ、出るっ……!」
その声と共に啓一が弾け、私の中にどろどろの液体を注ぎこんだ。
――ビュルビュルビュル……ドクゥッ!
「ああぁ……♪ やった、啓一ぃ……!」
が、私の忍耐もそこまでだった。体の奥から熱いものがせり上がり、熱い衝動となってあふれ出す。
「――ああぁぁ……!」
私の意識も闇に飲まれ、その体が啓一の上に力なく横たわった。
ベッドの中で、私と啓一はくっついて寝転がっている。
もう深夜だ。また明日も寝不足になってしまいそうで、啓一は大変だろう。
そんな兄の胸を指でいじりながら、私は彼の名を呼んだ。
「啓一……」
「なんだよ。もう俺は怒ってないぞ?」
そんなことはわかっている。私の心は君の想い、君の心は私の想い。
私たちの間にわからないことなんてあるわけない。
「私、啓一の……何かな?」
「おいおい、なんで今さらそんなこと聞くんだ。わかってるくせに」
「そうだね、ふふふ……」
私は笑い返した。大事な片割れ、心の分身、もう一人の自分。
色々な言い方があるけれど、私たちの仲を一言で説明するのはどんな言葉でも不可能だろう。
「じゃ、おやすみ……」
腕を伸ばし、狭いベッドの中で私は啓一に抱きついた。向こうもいつものように私を抱き返してくる。
そんな当たり前のことに私は笑みを浮かべつつ、今夜も安らかな眠りについた。