「先生、また明日!」  
「明日は漢字の小テストだから、予習を忘れずにね!」  
「えええー!」  
夕暮れの光に染まる学び舎の廊下。  
穏やかな女の声に少女の悲鳴が重なる。  
 
「授業の時に言わなかったっけ? 大丈夫、佐久間さん本をたくさん読んでいるんだから読みは完璧じゃない。  
 あとは書き取りをしっかり予習すれば満点よ。」  
「綾那先生、そうは言っても〜。」  
教え子のいじけた様な反応に思わず笑みを漏らす女。  
教師にしては若過ぎる彼女の名は「美月 綾那」(みつき あやな)、この学校で教育実習を行っている大学生だ。  
緩くカールさせた黒髪を揺らしながら、楚々とした美貌を少女に向ける。  
「期待してるわよっ!佐久間さん。」  
「はぁああっ……がんばりますー…」  
黒いスーツに身を包んだ綾那の声に、彼女に佐久間と呼ばれたツインテールで髪を纏めたセーラー服姿の少女は  
肩を落としながら応じた。  
 
 
 
 
 昼間の喧騒が嘘のように静寂に覆われ、闇に包まれた中学校。  
その廊下を一つの影が走る。  
曲がり角に差し掛かり、立ち止まってそっと辺りの気配を探る影。  
影の正体はこの学校の教育実習生、美月綾那だった。  
 
 彼女の優しげだった美貌は昼間とは打って変わり怜悧ささえ感じる凛とした表情を見せている。  
身を包むものも大学生らしいリクルートスーツではなく、身体に密着した薄いウェットスーツのような漆黒の衣だ。  
ラバー状の材質のそれは彼女の豊満な胸、細くくびれたウェスト、そしてキュッと引き締まった桃尻の形を露わにしている。  
四肢の根元でラバー生地は途切れ、その先はタイツのような生地で出来た長手袋、ニーソックスが覆っていた。  
そして、黒い手袋に包まれた両手には鈍く刃が光る太刀が握られていた。  
 
「目標は……西館の2階!」  
一際眼光を鋭くした彼女はそのまま駆け始める。  
彼女は単なる教育実習生ではなく、「退魔教師実習生」だったのだ。  
 
 
 
 21世紀初頭、日本には「妖魔」といわれる人知を超えた怪物が出現するようになってしまった。  
人の欲望の思念を元に生まれるそれに対抗するために政府は魔を払う呪術を身に付け、それを行使出来る霊力を持った  
「退魔師」と呼ばれる者たちを育成し妖魔との闘いを開始した。  
その戦いの中、思春期の青少年が過ごす学校において彼らの欲望の思念の多さから妖魔が発生し、それによって  
女子生徒が被害に遭う事例が数多く起きてしまった。  
そのために文部科学省が教員資格を持った退魔師を養成して学校に配置する「退魔教師制度」を取り入れてから数年が過ぎていた。  
   
 大学の教育学部退魔教師養成過程において退魔師、そして教員としての能力も優れたものであろうと評価された美月綾那は  
退魔教師になるための関門の一つである「退魔教師実習」を受けていた。  
これは人に危害を及ぼす妖魔が発生する恐れがあると他の退魔師から報告された学校に教育実習生として送り込まれ、退魔を  
行うという実習だった。  
 実習を始めてから十日、彼女は初めて感じた妖魔の気配に意気込んで現場へ向かった。  
 
 無造作にゴムで一束に纏めて垂らした髪を揺らしながら廊下を駆ける実習生。  
立ち止まったのは2年4組の教室、その向かい側の男子トイレの扉の前だ。  
(すごい妖気……)  
扉の向こう側から感じられる妖気に戸惑いを見せる綾那、その頬をつぅーと一筋の汗が流れる。  
彼女にとってはこれが初陣、意気込みと共に僅かな怯えがその心の中を走る。  
大学の講義で学んだ妖魔に捕われた女性の悲惨な末路などが頭をよぎるがそれを振り払うかのように首を振る綾那。  
 
(そんな人を生まないためにわたしは退魔教師になるって決めたんだから。しっかりしなさい綾那!)  
綾那は心の中から逡巡を振り落とし、決意を込めた視線をトイレの扉に向ける。  
(わたしのことは気づいているはずなのに?……待ち構えているつもりなら御望み通りこっちから行って上げる!)  
腰に回したベルト、それにつけられたポーチの中から一枚の呪符を取り出して扉に向かって投げる。  
扉に張り付いた呪術的な文字や模様で埋め尽くされた呪符。  
「――――」  
するとその模様が青白い光を帯び始める。  
「破ッ!」  
甲高い綾那の叫び声と共に爆音が響き扉が真っ二つに破壊される。  
「えいっ!」  
トイレの中から開口部を通り、濃密な妖気が流れ出る。  
それを肌で感じながら綾那は更に幾枚も呪符をトイレに投げ入れる。  
 
「破ッ!」  
一瞬の後、爆発音が重なって響く。  
そしてトイレからはタイルが砕けたことによる塵が空気によって流れ出て綾那の身体を覆っていく。  
視界が失われても微動だにせず彼女は太刀を構え、じっとトイレの奥の気配を探っている。  
 しばらくして視界が晴れたトイレの中、そこには赤黒い触手がのた打ち回る様にうねっていた。  
幾本もの触手、それはトイレの中央の毛糸玉のように絡み重なった球体の触手の群れから伸ばされていた。  
その触手玉の触手もあちこちに焦げや切断面を覗かせている。  
   
(よしっ、やったわっ!)  
その光景を目にし、凛とした表情を僅かに緩ませる綾那。  
彼女の呪符による攻撃は妖魔にかなりのダメージを与えているようだった。  
「たあああぁぁぁああっっっ!」  
気迫がこもった雄叫びを上げ、綾那はトイレへ飛び込む。  
襲い掛かる触手を手にした太刀で切り落とし、瞬く間に触手玉に近づく。  
そして触手玉の表面、赤黒い肉肌に呪符を貼り付けて飛び退る綾那。  
「破っ!」  
再び甲高い爆音が響き渡った。  
 
 
 
「もうっ、びしょびしょになっちゃったじゃない。」  
爆発の破壊で大便器の仕切りの壁は失われ、トイレ本体の壁のタイルや小便器が半ば崩れかけているトイレ。  
触手玉は辺り一面にに飛び散った焦げた肉片と化している。  
その中で綾那は情けない声を上げた。  
爆発の衝撃そのものは頭をガードした腕、そして耐衝撃、耐火性に優れた退魔師用スーツのおかげで大したことは  
なかったが、四散した妖魔の体液や肉片が彼女の身体やその髪の毛を汚してしまっていたのだ。  
「どうしよう、部室棟のシャワー借りようかしら?」  
ため息をつきながら彼女は未だうねうねと動く触手の切れ端を太刀で突いている。  
すっかり戦士から年頃の女性の雰囲気に戻った綾那。  
 
 
――その油断が彼女に敗北をもたらす事になる。――  
 
ゴボッ!  
「えっ!?」  
傘で地面を突くように、戦いというよりは後片付けといった風に緊張感を持たずに床の触手を突いていた綾那。  
だが、その耳が異様な音を捉えた。  
視線を音がした方向、半壊した大便器の一つに向ける。  
するとその便器から太い触手が飛び出した。  
「くっ!」  
綾那は慌てて太刀を構える。  
しかし次の瞬間、左右の別の便器、背後の小便器、そして足元の排水口から同時に多数の触手が繰り出されていく。  
「や、やめぇっ!ひぃっ!」  
瞬く間に綾那の身体は触手に絡め取られ、宙に×の字で拘束されてしまった。  
触手によって腰のベルトが剥ぎ取られ、呪符の入ったポーチごと投げ捨てられる。  
「ああっ!くっ!うぅ……っ!」  
必死に身を捩じらして拘束から逃れようとする彼女だったが、一際強い手首への締め付けに思わず太刀を取り落としてしまう。  
 
「あぁぁっ……」  
綾那は気づいた、この学校全体から先程まで感じなかった恐るべき妖気が放たれていることに。  
彼女が倒した妖魔はその妖気の持ち主の子や部下のような格下のものでしかなかった。  
今まで妖気を抑えてじっとしていた妖魔は、もう一体を囮にして彼女を捕らえたのだ。  
(や、奴の本体はどこ?)  
排水口や便器から突き出された触手、その根元を気配で探ろうとする綾那。  
しかしこの学校全体が妖魔に埋め尽くされているような気配しか感じ取れない。  
(まさか……排水管を埋め尽くしているの?)  
綾那は想像した触手の長大さに慄然とする。  
(そんな…これは実習に充てられるような妖魔じゃないわ……)  
最初の報告を行った退魔師もこの妖魔には気づいていなかったのだろうか。  
この妖魔は、綾那にはベテランの退魔師が何人かでようやく倒せるような強さに思えた。  
無論、彼女が敵う筈がない。  
 
(し、指導役の退魔師は気づいているの!?)  
退魔教師実習には実習生に指導役の退魔師が付く事になっている。  
しかしその実習生への対応は様々だ。手取り足取り教える指導役もいれば、全くの放任主義の指導役もいる。  
綾那の場合、指導役の退魔師が誰なのかすらわかっていなかった。  
この学校には彼女以外の退魔教師はいないと考えていた。  
そして学校の外から監視している退魔師の気配までは未熟な彼女は察知することは出来なかった。  
 
 
 綾那が乱れた思考をしている内に、捕らえた獲物が妙齢の女であることに気づいた妖魔は次の行動に移る。  
まず、ベルトを剥がしたことで上下に分離した退魔師スーツ、その下のスパッツのように太腿まで覆ったスーツに触手を伸ばす。  
「あっ…ひぃやぁっ!」  
怯えた声を上げる綾那。  
構わず触手はスパッツをずり下げる。そして露わになった彼女の秘所を隠す純白のレース地の下着。  
「ひぃ……くぅっ……」  
薄い防壁しか残されていない綾那の股間に3本の触手が近づく。  
彼女の秘所の匂いを嗅ぐ様に動きを止めた触手、やがてそのうちの一本は臍から秘所へと縦に、もう一本は下着越しに  
秘部を、そしてもう1本はむっちりとした臀部に回りその肌に押し当てられた。  
綾那の肌をこねくり回すように動く3本の触手。  
 
「あっ……ひっ!」  
絶対的に優位な状況で戯れのように肌を蹂躙していく触手の動きに綾那は引きつった声を漏らす。  
やがて触手は満足したのか動きを止める。ホッとする綾那。  
だがそれは次の段階に進むための小休止でしかなかった。  
3本の触手は下着を掴むとそれを裂く。  
「ひぃぃやああぁぁぁっっ!」  
甲高い悲鳴を上げる綾那。その秘所に触手の先端が触れた。  
「ぃっ……い、いやぁっ!……まさか…?や、やめっ!」  
恐れに満ちた綾那の声、それを無視するかのように触手は彼女の秘所に勢いよく突きこまれた。  
 
「いやあぁぁぁあああぁぁっっ!!」  
次の瞬間、綾那は秘所から脳天に突き抜ける灼熱感、汚辱感、そして痛みに絶望の叫びを放つ。  
処女ではないが、さほど男性経験のない彼女の膣に触手が抉る様に突き入れられる。  
「あ、あぐっ!うぐっ!」  
瞳を固く閉じて妖魔の暴虐に耐える彼女。  
そしてその臀部、同じように固く閉じられている菊穴にも触手が押し当てられる。  
「いぐっ!…えっ!?…ぎぃっ……そ、そこは、そこはやめてぇぇっっ!」  
悲痛な叫びも空しく、めりめりと音を立てながら未踏の穴に触手が突きこまれた。  
 
「あぎぎぎぃぃいいいぃぃッッッ!」  
信じがたい痛みに目を見開いて叫ぶ綾那。  
まるで下半身の感覚が痛覚しか残っていないかのように、下腹部からの激痛の波が彼女の脳を襲う。  
(痛いいぃぃっっ!だれか、助けてぇぇぇっっ!)  
「ひぎぃっっ!いいぃぃぃっっっ!」  
心の中で助けを求めるが、それを口にすることが出来ない。  
「あがっ!ぎいいぃぃいいいぃぃッッッ!」  
同時に触手を更に深く膣と直腸に突きこまれ苦悶する綾那。  
 
「はぎぃッ!いややああぁぁぁあああぁぁぁッッッ!」  
その紅潮した顔、悲鳴を上げ続ける口唇にもう一本の触手が近づく。  
「やああぁっ!…むぐっ…ムグッゥゥゥッッ!」  
強引に綾那の口唇を奪い、触手はそのまま口中をも犯し始める。  
(いやあああっっ、やめてぇぇぇええっ!)  
むせ返るような肉の臭いを放つ触手が口に突きこまれ涙をぽろぽろ零しながら悶える綾那。  
苦悶に頭を振り乱して続けたことで纏められていた髪が解け、背の半ばまで乱れた髪が垂れる。  
 
 
 苦しみに囚われた綾那は気づかないが、口中を犯す触手の先端から僅かな液体が分泌されて彼女の喉を侵し始める。  
そして徐々に分泌される量を増していく。  
「むぎぃっ…うぐぅッ!うううっっぅぅッッッ!」  
喉を襲う液体、それによって呼吸をも阻害されそうになることでようやく事態に気づいた綾那。  
何度もえずくが、口を触手で塞がれているため吐き出すことが出来ない。  
(な、何!?苦しい!うぐぅぅぅぅっっ!)  
綾那は半ば白目を剥きながら、空気の通り道を確保するため必死に液体を嚥下し始める。  
 
「がぁッ!ひゃぁふ…ふぁああああっっっ!」  
しばらくして綾那は全ての液体を飲み干して呼吸を取り戻した。  
それと同時に口の触手も抜かれ、彼女は胸一杯に空気を吸い込む。  
「はぁッ!は、はぁ……ふぁ…ふぅ……」  
荒い息をつきながら、窒息の危機を逃れたことでホッとする綾那。  
とやや落ち着きを取り戻したその心に新たな暗雲が立ち込める。  
「えぁ……い、痛くない?」  
驚きの呟きを吐く彼女。  
先ほどまで膣穴と菊穴から絶え間なく身体中に響いていた激痛が嘘のように消えているのだ。  
瞳には未だに突きこまれた2本の触手が映っているのに。  
 
一瞬の後、動揺する彼女の心に信じられない感覚が走る。  
「あひゃぁッ!」  
瞳に映るのは膣に突きこまれた汚らわしい触手。  
その膣から熱い、だが痛みとは違う感覚が発せられたのだ。  
「な、なにぃ……ひぃ、ひゃんッ!」  
事実を受け止められない綾那、その脳髄に今度は尻穴から同じような感覚が突き抜ける。  
(いやぁぁぁ……どうして、どうしてわたし感じているの!?)  
彼女の身体を飲み込んでしまった媚薬成分に満ちた触手の体液が侵して行く。  
 
 2週間前、禁欲が求められる退魔教師実習前の最後の自慰を行った綾那。  
その時に感じた快感を遥かに超える疼きが彼女の身体に湧き始めていた。  
「ひぃぁ……感じな、い……こんな、触手なんか、ひぃッ!」  
綾那は退魔教師を目指すものとしてのプライドから必死に己の感覚を否定する。  
だが赤黒い触手に埋め尽くされた膣、そして太い触手に無惨に広げられたアナルからの疼きは止まらない。  
 
「ぃッ!ひぃああああッ!」  
先程とは打って変わって、ゆっくりと優しく動く彼女の下半身に差し込まれた触手。  
その動きに綾那の官能は徐々に昂ぶっていってしまう。  
「ぃ、いやぁ……もう、やめぇ、やめてえ……ひあッ!」  
潤んだ瞳を彷徨わせ、だらしなく開いた口唇から喘ぎ声と涎を垂らす。  
その容貌はもはや穏やかな教師のもの、凛々しい退魔師のものでもなく堕ちた雌でしかなかった。  
触手が動くたびに、秘所、そして尻穴から放たれる快楽が彼女の精神を侵していく。  
「やぁ……ああッ!…いあぁ……」  
(わたしは……退魔教師になるためにがんばってきたのに……もう、だめかも……)  
情けなさ、そして恐怖から零した涙が頬を流れる。  
「あぁ…えぁ!?……な、なに、それ?」  
その彼女の瞳に更に絶望がもたらされる光景が映った。  
 
 彼女の肢体に突き込まれた2本の触手、その根元の方から触手の内部を膨らますように太さが増していくのだ。  
まるで水が先に向かって進むホースのように。  
(ま、まさか妖魔の精液!?そんなのイヤぁ)  
それが何を意味するのか気づき、幼い子供のように首を横に振る綾那。  
無論触手は意に介さず、膨張部が先端に近づくにつれ徐々に動きを激しくしていく。  
その動きと共に、触手と綾那の肌の隙間から流れ出る僅かな血や飛び散る勢いの愛液が彼女の股間を濡らしていく。  
「あうッ!はぁッ!……はぎッ!」  
激しくなった突き上げに苦悶の呻きを上げながら自らの股間を見た綾那。  
もう膨らみは彼女の肌に触れそうなところまで迫っている。  
「い、いやぁ……いやよぉ……」  
恐怖の光景を目の当たりにして綾那は今にも泣き出しそうな声を出す。  
その瞬間、半ば崩れた壁にかけられた割れた鏡に映った綾那の素顔。  
鏡越しに自分自身の恐れや怯えに満ち、今にも悪に屈しそうな表情を目にした綾那。  
(なに情けない顔をしているの綾那!わたしは退魔教師を目指す者。たとえ退魔師の実力が及ばなくても  
 妖魔に屈したら教師失格よ。生徒の身の守るため、少しでもこの妖魔の責めをわたしに向けさせないと!)  
その心に教師として、生徒を思う気持ちが湧き立つ。  
だが、触手は無造作に膨らみを彼女の膣、そして尻に押し入れる。  
「あがぁッ!ぎいいいいぃぃッッ!」  
強烈な圧迫感と痛みに絶叫する綾那。  
しかし彼女は睨みつけるような視線を触手に向ける。  
「ひぎゃッ!ま、負けないっ!わたしは屈しないッ!……あがぃッ!ヒッ、ヒアアアアァァァッッッ!」  
決意の叫びを放った瞬間、彼女の身体の中に触手から精液がぶちまけられた。  
 
「ムグゥゥッ!ムゴォッ!ゴボァッ!」  
精液の臭いに満ちた便所。  
妖魔に囚われた退魔教師実習生、美月綾那は悲痛な呻き声を上げていた。  
口唇から喉元まで触手をねじ込まれ、喉元まで妖魔に犯されている彼女。  
「ムグググウウウウウッッッ!」  
絶叫と共に触手と口唇の隙間から白濁液が噴き出した。  
いまだ触手が刺さったままの秘所と尻穴に加え、口腔まで精液に汚された綾那はがくりと頭を垂れた。  
「ゴボッ……アァ……がッ……」  
汚辱液を吐き出し終え、彼女の口唇から引き抜かれる触手。  
同時にどろりと妖魔の精液が綾那の口から垂れる。  
幾本もの触手に拘束され座るような格好で宙に吊られている綾那、その胸元を吐き戻した精液が汚していく。  
 
 綾那が妖魔に敗北し、囚われてからおよそ2時間。  
その2時間は彼女の人生でもっとも長く感じられる2時間だった。  
疲れを知らない触手に身体の隅々まで凌辱された綾那。  
退魔師の戦闘スーツはぼろ布と化し、いたるところから白い肌が覗いていた。  
解けてばらばらに乱れた黒髪をこびり付いた白濁液が汚している。  
そして凛とした意志を示していた瞳は光を失い、虚ろに視線を彷徨わせていた。  
 
 その時、彼女の彷徨う視線が秘所に近づく触手に気づいた。  
すでにそこには一本の触手が突き入れられているが、無造作に入口に先端を押し当てる。  
「い、いやぁ……二本なんて……入らないッ……」  
掠れた声を漏らす綾那。  
だが触手はもう一本の触手と膣との間に先端を潜り込ませ、捻り込ませようとする。  
「ハギイイィィィッッッ!イダアアアァァッッッ!」  
時間がたち強制的に快楽をもたらす液の効果が半ば切れてしまったことで、膣が裂かんばかりの苦痛に彼女は身を悶えさせる。  
その間も膣肉が強引に押し広げられ、触手がねじ込まれていく。  
背中をピンとそらして苦悶の激しさを表すその肢体。  
「アギャァッ!……お、お願い…ギィッ!もう許してぇ……許してえぇ!」  
そしてその心は妖魔に屈した。  
妖魔と戦うべくその身を捧げた退魔教師実習生、美月綾那は口唇から半ば泡となった涎と共に哀願の叫びを放つ。  
「ヒギャッ!だれか…だ、誰か助けてぇ!誰かァッ!」  
悲痛な声を漏らし、幼女のように涙をぽろぽろと零す綾那。  
既に彼女は妖魔と戦う術を持った退魔師ではなく、一人の弱き女でしかなかった。  
 
 
 
 その綾那の悲鳴を聞き取ったものが一人だけいた。  
甲高い叫び声を耳にした校舎の屋上に立っているその人物はフッと息をつく。  
「だいぶ持ったけど残念ね。……退魔実習指導官「佐久間 伊織」、実習生戦意喪失につきこれより介入し妖魔の処理を行う!」  
女性らしい声で言い放った人物は手にした呪符を目の前にそびえる貯水タンクにぶつけた。  
その瞬間、神々しい光に包まれるタンク。  
「破ッ!」  
彼女の叫びと共にタンクに蔵された水が轟く。  
 呪符により霊気を帯びた水は猛烈な勢いで校舎内部の水道管を満たしていく。  
そしてバルブを破った流れは轟音と共に噴き出し、排水口に吸い込まれていった。  
 
 
『ギヤヤヤヤヤヤヤャャャャッッッッ!』  
僅かな後、綾那が凌辱されていたトイレでもいたるところから光輝く水が噴き出して妖魔の身体を灼き尽くす。  
断末魔の叫びと共に妖魔は息絶え、力を失った触手から解放された綾那は床に倒れ落ちた。  
 
 
『ぇ………ぇぃ……せんせい?』  
深い闇に落ちていた綾那の意識。  
それが呼びかけによって徐々に目覚める。  
「ぁ…ぅあ…………あぁ…?」  
まどろみから覚めた綾那。  
そのぼやけた視界には白い天井、同色のカーテン、そして自分を見下ろす人影が映った。  
「……う、ぁ………しゃ……さく、ま…さん…?」  
ようやく焦点が合った瞳が、人影を傍らに座る教え子の姿だと認識する。  
同時に悪夢のような妖魔の存在を思い出し、頭の中の霞を振り払って教え子に警告する。  
「さ、佐久間さん!今すぐ学校から逃げて!ここには妖魔が、とてつもなく強い妖魔が!」  
 
だが佐久間はくすりと笑みを零して応じた。  
「そんなに慌てないでくださいよ美月先生。先生を犯していた妖魔はわたし、退魔師『佐久間 伊織』が  
 きちんと処理しましたから。」  
思いもよらぬ教え子の返答に呆然とする綾那。  
「こう見えてもわたし、代々続く退魔師の一族の人間なんです。あと退魔教師実習の指導官の資格も持ってます。」  
言葉を返せない綾那を差し置いて話を続ける伊織。  
「まぁ、指導官っていってもほとんどの実習生はわたしのような子供のいうことを聞いてくれないんで、何にもアドバイスや  
 教育はしないんですけどね。ただ、実習生が負けちゃって完璧に戦意を喪失したら後の処理を行うって役目だけです。」  
「というわけで指導官としてお伝えします。美月実習生、あなたの退魔教師実習の評価は不可です。確かに妖魔は強力でしたが  
 事前の情報収集、そして油断に陥らなければもう少し善戦出来たと思います。ここ数日、トイレや水飲み場などから  
 僅かですが妖気が漂っていたけど気づきました?」  
全く気づかなかった事実に綾那は頭を横に振る。  
「そうですよね。後、呪符を使った防御をもっと身に付けるべきです。それじゃあ、また来年頑張ってください。美月実習生。」  
無表情で落第の宣告をする伊織。  
 
だがふと表情を崩すと  
「でも教師としての綾那先生は生徒から見て合格点をあげられる先生でしたよ。良い退魔教師を目指してくださいね、綾那先生!」  
佐久間は笑顔でそう綾那に告げた。  
 
 
 

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