兵十は、物置で縄をなっていました。それで、ごんは、うちの裏口から、こっそり中へ入りました。  
 そのとき兵十は、ふと顔を上げました。と、狐がうちの中へ入ったではありませんか。あのごんぎつねめが、またいたずらをしに来たな。  
 兵十は立ち上がって、納屋にかけてある火縄銃を取って、火薬を詰めました。  
 そして、足音を忍ばせて近よって、今、戸口を出ようとするごんを、ドンと銃床で打ちました。  
 ごんは、ばたりとたおれました。  
 その拍子に着物の裾が乱れ、張りのある細い太腿が姿を表しました。  
 まだ化け方が下手なのでしょう。二本ある尻尾は消せず、無理矢理に着物の下に詰め込んでいたものですから、はらりと帯がほどけてしまいました。  
 土間の上で、寸足らずの小さい着物は、あっという間に乱れてしまいました。  
 襟元は肌蹴け、膨らみ始めたばかりの緩やかな胸が、絶妙な曲線を描いています。  
 太腿どころか、その付け根さえも裾の陰から姿を現し、ふっくらとした餅のような白さと柔らかさを兵十の目に焼き付けます。  
 兵十は駆け寄ってきました。  
 見れば兵十の股間の火縄銃にもぎっしりと火薬が詰められ、いまに火を噴きそうです。そう、兵十は炉裏魂だったのです。そうでなければ、いい加減いい年なのに嫁を取らない訳がありません。  
 兵十は倒れたごんに伸し掛かるなり  
「わるい子狐め。もう悪さをしないようにお仕置きをしてやるぞ」  
 と無毛の割れ目に筒先を擦りつけました。  
 危なっかしい目付きと鼻息の兵十に怯えたのでしょうか。何も言わないごんの態度に気を良くした兵十は、ごんの控えめすぎる胸の頂きに吸い付きます。乳臭くも芳しい、なんとも良い匂いで鼻の奥まで満たされ、兵十はさらに猛ります。  
 ずぶり、と兵十はごんに自身を埋めました。  
 そこは温かく、きつく、かと言って痛いほどではないと言う、夢の中にいるようでした。  
 抜けば、ごんは胸を兵十に押し付けるようにして身を反らせます。  
 差し入れれば、ごんは何かに耐えるようにきゅっと目を瞑り、頭から突き出した大振りな狐の耳がふるふると震えます。  
 ほんの十往復もしないうちに兵十は、ごんに向けて撃ち放っていました。  
「ふう……」  
 言うなり、兵十の頭の中がさーっと冷えていきます。  
 いくら溜まっていたとは言え、相手が悪戯狐のごんだったとは言え、炉裏獣娘にお仕置きと言う抗いがたい状況だったとは言え、相手はまだ子供です。実際に手を出すなど言語同断の、変態紳士としてあるまじき行為です。  
 はっとして、体の下を見ると、土間に赤いものがぱたぱたと零れているのが、目につきました。  
「おや」  
 と、兵十はびっくりして、ごんに目を落としました。  
「ごん、おまえ、はじめてだったのか」  
 ごんは、ぐったりと目をつぶったまま、うなずきました。  
 兵十は、股間の火縄銃をぬぷりと抜き取りました。白い残滓が、まだ筒先から細く出ていました。  
 

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