少女が男を受け入れる準備は充分に整っていた。  
一度絶頂を迎え、ヒク付く充血した秘所は失禁したかの如く濡れそぼっている。  
「ふぇ……だめ、怖い……それだけは、ひくっ、お願い……やめてぇ怖い」  
咽び泣きながら嫌々をする様にかぶりを振る少女。  
「慣れない内は辛いかも知れぬが、最初に少しだけ我慢すれば、更なる快楽がお前を待っている」  
今か今かと出番を待ち続け、魔王の巨根は腹を打つ程に反り返っている。  
先走りの涎で照り返すそれを、彼は片手で扱き上げた。  
「ぐすっ、ひく、無理、死んじゃう……! 入らない……絶対にっ、そんなおっきいの……」  
腫れ上がった円らな青い瞳は潤み、酷く扇情的だった。  
ビクビクと臆する様子が、魔王の狩猟本能を尚更焚き付ける。  
少女の一挙一動が彼にとっては新鮮に感じるのだ。もっと様々な反応を見たい。もっと少女のことを知りたい。  
「お前を食ってしまいたい」  
赤銅色の眼光は情熱的な恋の病に浮かされていた。  
丸みを帯びた美味しそうな身体に、今直ぐむしゃぶり付きたくなる衝動に駆られる。  
「お母さん、助けて……お母さん、お母さん、助けて……!」  
成熟した女体には似合わぬ、舌足らずな幼い悲鳴。哀れを誘う。  
しかし魔王もそろそろ辛抱の限界。猛りきった自身を鎮めるには女が欲しい。  
人間と何ら変わり無い形態の生殖器を入り口に宛がい、少女を一気に貫いた。  
「――――――っ!!!!」  
言葉にならない悲鳴が渇いた喉から漏れる。一拍置いてからの絶叫。  
「やぁぁぁぁぁ!!」  
今まで使ったことの無かった器官が抉じ開けられ、僅かに出血があった。  
少女が力んで入り口が窄まり、肉の襞が浸入する魔王を次々に巻き込む。  
温もりにくるまれる快感に目を細めると、情動に従って彼はゆっくりと腰を遣い始めた。  
「ひっ、いたい……ん、は、痛い、ぁ、待って、動か、ないで……あぁっ」  
「恐れることは無い。力を抜け」  
逞しい肉茎が少女の愛液を掻き出す。内部を充分にほぐし馴染ませてから彼は囁いた。  
「余の上においで」  
魔王は細い腰を持ち上げ、少女を自分の太腿の上へ乗せる。至近距離で顔が向き合う。  
結合部に少女の体重が掛かり、より一層深く突き刺さった。  
「ひぅ、ふぁっ……!」  
異物の挿入によって内臓が押し上げられる感覚。角度が急変し先端が最奥まで届く。  
激痛から逃れようとした少女は、思わず後方に倒れた。  
魔王はそれを腕を回して支え、火照った体を引き寄せる。裸の胸同士を密着させて固く抱擁した。  
張りのある尻肉を弄りながら、魔王は剛直を力強く突き上げる。呼応し躍動する女体。  
上下運動に合わせて、豊かな母性の象徴が彼の眼前でプルン、プルン、と跳ねる。  
堪らなくなって頂にかぶり付くと、荒い息遣いの中から嬌声を引き出した。  
「やだぁっ、おっぱい吸わないでぇ……あっ、あん、んぅ……ぅ」  
胸への刺激が少女は特に弱いらしい。膣が一際引き締まって蠕動した。魔王の与える快楽が彼女を苛む。  
彼が出入りする度に、張り出した傘の部分が少女の『よいところ』に丁度当たり、  
また前後に動かれると根元と淫核が摩擦し合い、更なる愉悦を生み出す。  
 
――魔王の前に少女は無力だった。圧倒的な体格差と腕力差の所為で抗うことが出来ない。  
彼がその気になれば四肢を圧し折ることすら容易く、少女の命は脆く儚い。  
厳然たる恐怖が彼女を拘束し自由を奪っていた。  
「そろそろ余の力を理解してくれたろう。我が求婚を諾してくれるな? さぁ、妻になると言え」  
肉厚の唇を時折啄ばみながら、魔王は相手に言葉を掛ける。それに対し少女は泣きじゃくって頑なに拒む。  
「はぁ、はぁ……やだ、絶対に、ならないっ……嫌ったら嫌!」  
「まだ足りないと言うのか……分かった。ならば」  
一瞬後、繋がった状態のまま魔王が立ち上がった。  
軽々と抱き上げられた少女は宙に浮き、驚愕で目を一杯に見開く。  
「ァ、あぁ、やッ!!」  
不安定な体勢をいきなり無理強いされ、少女は必死に魔王にしがみ付いた。  
振り落とされない様に足を腰に絡める。どっと噴き出した嫌な汗が背を伝う。  
「首を縦に振るまで、お前を離さぬぞ」  
魔王が腰を打ち込むと、まるで空中に放り投げられた様な浮遊感を少女は覚える。  
グチャグチャと忙しなく水音を立てる律動。男と女の愛液が混ざり合い、飛沫となって周りに撒き散らされる。  
「ぅん、んっ、ま、まおう……もう……もう許して……もうやぁ……あ、あっ」  
狭い胎内で魔王の怒張が暴れ回る。既に少女は何度も果ててしまっていた。  
「どうしたことだ、お前と余は相性も呼吸もぴったりではないか。我等はきっと良い夫婦になる」  
再び魔王は語り掛けるが、少女から返事は無い。ギュっと目を瞑り、奥歯を噛み締めて振動に耐えている。  
魔王の筋力と体力は尋常で無かった。長いこと交わり続けているのに消耗が全く見られない。  
また徐々に突き上げが高くなってゆき、少女は酔い始めた。  
相手の銀髪を掻き毟る様に頭を抱え、揺さぶりを何とか遣り過ごす。  
がむしゃらに頭部を探っていると、左右に対となっている固い出っ張りを発見した。  
握るのに丁度良いそれを思い切り鷲掴む。――正体は表面にギザギザの刻まれた魔王の角だった。  
「ッ!? 待て、ちょっと待て」  
すると、余裕たっぷりだった魔王の顔色が急変する。  
「角は止せ……ぅぐぁ……角はいけない……つ、角は」  
表情を苦痛に歪め、玉の汗をかきながら低く呻く。  
「角は、余の弱点、なのだ……! っ、離せ!!」  
膣内で魔王がドクン、と何倍にも膨れ上がった。角は魔族の弱点であると同時に性感帯でもあるからだ。  
普段魔力を溜めておく場所が角であり、魔法を構築する際に神経を集中させる軸でもある。  
その急所を乱暴に触られると一溜まりも無い。  
「こら、離せと言っておるだろう!」  
意識の朦朧としている少女には、魔王の哀願を聞く余裕は無かった。  
「角は止せと言うに! な、なんと大胆な娘だ――――ますます気に入った! それでこそ我が妃」  
弱点を押さえられたことで臨界点を超えてしまった。こうなると、もう保てない。  
結実を目指して腰を疾走させ、魔王は最後の仕上げに取り掛かった。  
「はぁ、は、余の子を産んでくれ……! 人数は15人だ!」  
発情した魔物の雄と人間の雌が獣の様に交わり、狂おしい程に互いを貪り合う。  
「そんなに、産めるわけ……ないでしょ……!」  
「仕方無い、なら10人に妥協する!」  
言い終えると絶頂の波が訪れる。魔王は身震いし、精を叩き込んで雌に子種を撒いた。  
「あぁ、まおうっ……!」  
同時に少女も薄目を開けて恍惚の表情を浮かべる。また達したのだ。そのまま彼女は意識を手放す。  
まだ名残惜しかったものの、魔王は萎えた自身をズルリと引き抜く。――ごぽ、と白濁液が噴き零れた。  
 
汗だくになった身体を包む倦怠感。少女が覚醒すると視界は厚い胸板で埋められていた。  
誰かに腕枕をされているのだと気付く。驚いて見上げると、魔王のとびっきりの笑顔が飛び込んで来た。  
「気持ち良さそうに眠っていたな。どうだ、疲れは取れたか。そうであれば早速もう一回――」  
「……どうしよう……私、魔物に抱かれてしまった……」  
呆然と呟く。魔王の陽気な口調を聞いた途端、最中の記憶がまざまざと蘇り、少女は蒼白になった。  
彼女にとってはまるで悪夢だったが、これは現実。全身の筋肉痛と下半身の違和感で思い知らされる。  
「もう、もう何処にもお嫁に行けない。両親にも顔向け出来ないわ……」  
絶望し憔悴しきった様子の少女に、魔王は暢気に話し掛ける。  
「何を言う。お前は余の許に嫁ぐのだから、何も問題はあるまい?」  
「馬鹿! 勝手に決めないでっ」  
言いながらポカポカと魔王を殴る。しかし彼女の攻撃など、魔王にとってはこそばゆいだけだった。  
「ははは、止めろ。くすぐったい」  
暫くじゃれ合っていると、不意に、何処からともなく『ぐうぅぅぅ』と間の抜けた音が鳴った。  
「私のお腹の音……」  
あまりのタイミングの悪さに赤面する。体力を著しく消耗し、酷く空腹なのだ。  
「確か、お弁当があったはず」  
ハッと思い出して辺りを見渡すと、丁寧に畳まれた衣服の隣にバスケットが転がっていた。  
拾って蓋を開ける。思った通り昼食用のお弁当箱が入っている。  
すると、近くから好奇心旺盛な視線を感じた。ちらりと見遣れば魔王が興味津々でお弁当箱を覗いている。  
「……良かったら、一緒に食べる?」  
一人で食べるのは流石に気が引けた。魔王はパッと顔を輝かせる。  
「良いのか」  
「肉食獣っぽいから、きっと野菜よりお肉の方がいいわよね……このお団子あげる」  
少女は手製の肉団子を串に刺して手渡す。魔王は礼を述べて受け取り串ごと大きな口に放り込んだ。  
「あっ、串は食べちゃ駄目!」  
慌てて注意するが、彼は歯牙にも掛けない。直ぐに頬を綻ばせる。  
「お前が作ったのか」  
「そうよ。美味しい?」  
「我が妃は見目麗しいだけでなく料理上手でもあるのか。余は幸せ者だな」  
ほっぺたが落ちる、とはこのことだ。好きな女の手作り料理かと思うと、尚更美味しく感じる。  
「貴方の奥さんになるなんて一言も言ってないでしょ。……でも、ありがとう」  
魔王があんまり美味しそうに食べるものだから、結局おかずを殆どあげてしまった。  
全て平らげた後、彼は嬉しそうに破顔して『ご馳走様』と言った。  
自分を犯した相手と、お弁当を仲良く分け合うなどと滑稽な話だ。しかも全裸で。  
――少女の胸に複雑な感情が去来する。  
魔王には愛嬌があり、大らかでどこか憎めない人柄。彼は感情表現豊かでころころと表情が変化する。  
容貌こそ成人男性のそれだが、図体ばかりが大きく中身はまるで子供だ。  
あれだけ酷いことをされたと言うのに、完全には嫌いになれない。  
何よりここまで真っ直ぐで激しい好意を向けられると、男から夢中で求められると、初めてのことで  
どうして良いか分からなくなり困惑すると同時に、女としての本能的な悦びも少女は感じてしまう。  
彼女はいつの間にか相手のペースに引き込まれ、逃げるチャンスを逸してしまっていた。  
 
寝転がって二人は一緒に蒼穹を仰いだ。自然と手を繋ぐ。全裸のまま森で仰向けになるのは、  
中々に開放感があった。温かい風に頬を撫でられながら木漏れ日を浴びる。  
小鳥の囀りや虫の鳴き声を聞き、草いきれを嗅いで大地の息吹を感じる。  
穏やかで静かな時間。この世界に二人きりになったのではないかと錯覚する程、静謐だった。  
「良い天気だな」  
「うん……空がとても綺麗」  
二人の間に沈黙が落ちる。しかし、けして居心地の悪いものでは無かった。  
「……お前を一目見た時から、余の景色は変わった。久しく心が躍っている。  
鈍器で後頭部を思い切り殴られた、とでも言うのか……とにかく、衝撃を受けたのだ」  
少女に顔を向けると、魔王は情事の後の甘い睦言を始めた。  
「お前のあまりの美しさに、まるで呼吸が止まるかと……。すっかり目が離せなくなった。  
見飽きていた退屈な風景に一瞬にして精彩が戻り、今では見る物全てが新鮮で輝いている」  
「大袈裟だわ。私より綺麗な女の人は、他に沢山いるもの。それに、まだ子供だし……」  
「いや、そんなことは無い。お前はどんな女よりも綺麗だ。――そうだな、今のお前はさしずめ森の妖精か」  
彼の軽口に少女はクスリと笑みを零す。少し打ち解けたとはいえ、気障な口説き文句はまだ照れ臭い。  
「なぁ、娘よ。魔界の王妃になってくれぬか。住み心地はけして悪い処では無い。お前のことは大事にする」  
もう何度目かも分からないプロポーズ。魔王は握る手に力を込めた。少女は返答に窮する。  
今日一日の目まぐるしい展開に混乱していた。ほんの短時間で彼女の人生が変わろうとしているのだ。  
情が移っていないと言えば嘘になる。  
あれだけ狂おしく自分を抱いた男を、何とも思っていないと言えば嘘になる。  
「――お、お友達からなら」  
少女にはそれだけしか言えなかった。相変わらずちぐはぐで噛み合っていない会話。しかし魔王には充分だった。  
「フフフ、ハハハハハ!」  
返答を聞いて笑い出した魔王は起き上がり、少女を抱き締める。そのまま彼女を掬い上げ、立ち上がった。  
「お友達からか、何だそれは! ハハハ、ハハハハハ!」  
「きゃ、ちょっと、高いっ……怖い」  
長身の魔王にヒョイと抱き上げられ、唐突に目線が高くなり視野が広がる。  
「怖いか! ならば、しっかりと余にしがみ付くが良い。ハーハッハッハッハ!!!!」  
腹に響く大音量で豪快に笑う魔王。  
「そ、そんな大きな声で笑ったら駄目なんだからね! ご近所迷惑よ。森の動物さん達がビックリしちゃうでしょ」  
もう自分でも、何を言っているのか訳が分からない。  
「ふふっ……ふふふ」  
馬鹿馬鹿しい遣り取りが段々と楽しくなって来て、つられて少女も噴き出す。和やかな空気だった。  
しかし、突如二人の世界に闖入者が現れる。遥か上空から、空を切る羽音と男の怒声が飛んで来た。  
「お探し申し上げました、魔王陛下! この森一帯に結界を張っておいたでしょう、まったく。  
お陰でこちらは手間取って――――んっ!?」  
魔王と少女が頭上を仰ぐと、人語を話す巨大な蝙蝠がこちらに急降下してくる。  
「誰? 貴方のことを呼んでいるみたいだけど、知り合いなの」  
少女は裸体を掻き抱き、不安そうに魔王の後ろへと隠れた。  
「ああ、安心しろ。彼は余の側近でな、どうやら後を追って来たらしい」  
地上に降り立った使い魔の蝙蝠は、途端にその姿を蜃気楼の様に揺らめかせる。姿形を変化させ人型に化けると、  
痩せた青年が現れた。黒髪で頭部に角こそ生えていないが、両の瞳は魔王と同じ赤銅色。  
野生的な印象の魔王に比べ、知的な雰囲気を纏い品がある。  
「どうした、到着するなり人型になったりして。まさか我等に混ざりたいとでも言うのか? 3Pならお断りだぞ」  
魔王の戯言を見事に無視し、使い魔は羽織っていた上等な上着を脱いだ。  
「失礼致します。お嬢さん、宜しければこれを」  
戸惑う少女に歩み寄ると白い肩に上着を掛けてやる。予想もしていなかった紳士的な気遣いに彼女は驚いた。  
「ありがとう、ございます……」  
素直な感謝に優しく微笑み返すと、使い魔は今度は己の主君に向き直った。凄まじい形相である。  
「畏れながら、魔王陛下。貴方という御方は……やって下さいましたね」  
「……うむ、始まるのか。お前の説教はいつも長くて敵わん」  
悪戯が見付かった少年の様なばつの悪い表情をして、魔王は嘆息した。  
 
続く。  

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