「ひ……ぎぃっ……ぐぁ……」  
流石に数時間ぶっ続けともなると、漏らす声も  
「嬌声」と呼ぶには色気が欠けているような呻き声ばかりになってくる。  
「ブ……がっ、ブはッ……」  
……まあ、「鳴き声」混じりの嬌声などに、元から色っぽさなんてものがあったのか疑問だが。  
「……これくらいで音を上げられては困るな。目標消費カロリーにはまだまだ遠いぞ」  
私は目の前の「豚」をそう叱咤する。  
「も……や、め、でぇえ……」  
「やめてと言われてもな。『どんなことをしても痩せたい』と言っていたのはお前だろう。  
 ……まあ、どうしても、と言うならやめてもいいが、  
 最初に言った通り、目標に達しない限りその姿のままだ。それでも良いならやめるが、な」  
先ほど「豚」と呼んだのは別に比喩表現ではなく、  
俺の目の前に居る女……もとい雌は、本当に豚のような姿をしていた。  
湿った大きな鼻をブヒブヒと鳴らし、  
手術用のようなベッドの上に大の字に固定されたその手足の先は歪な蹄のように固まっている。  
そのデカい耳が垂れ下がらずに立ち上がってピンと広がっているのは興奮している証拠らしい。  
まあ品種にもよるらしいけど。  
「い、いやぁ……こ、こんな姿……も、もどして……」  
「ダイエットに限らず、目標に向かって努力するのを長続きさせるには、  
 日々の小さな目標を達成した時に褒美をやるか、あるいは達成できなかった時にペナルティを課すのが一番だ。  
 ましてや、お前みたいな自分に甘い奴には尚更な。お似合いじゃないかその姿。腹の肉もこんなぷよぷよだし」  
腹部の肉を数回つまみつつ、その近くの出来物のような突起も一回つねる。  
「ブヒィッ!!」  
びくんと豚の体が跳ねた。  
いわゆる複乳というものである。胸の位置には人間と同じ……  
いや、今は脂肪もあいまって人間より大きいくらいのサイズの乳房が揺れているが、  
その下の腹部には豚らしい小さな乳首がいくつも列を成して並んでいた。  
「それに『でも、できれば辛くなく、程よく気持ちいい程度のレクリエーション的な……』って  
 わがままも叶えてやったはずだが」  
結局「ダイエット」なんてものは、エネルギーの摂取を制限するか、  
摂取される以上のエネルギーを消費するかのどちらかしか無いわけで、  
運動好きなら別としても、「気持ちいいダイエット」なんてものはほぼ無いと言っていい。  
が、そんな幻想を夢見るのが人間の甘えというもので……。  
そこで心優しい俺はそんな哀れな方々が悩む様を見て毎日心を痛め、  
その切なる願いを満たすために、苦心してこの「トレーニング」を考案してさし上げたわけである。  
理屈は簡単で、ちょっとした短距離走に近いエネルギー消費量の「とある行為」を反復する……  
 
まあ、つまるところ「えっちしまくって痩せる」という方法である。  
 
……とは言っても、行為の相手をいちいち探す手間などかけていられないので、  
代わりに器具を使っての「トレーニング」である。  
今日の器具は膣や陰核を責める張り形状のアタッチメントを先端に付けた電動マッサージ機。  
それが突き立った秘所は延々と刺激された事で充血し赤めのサーモンピンクに染まって腫れ上がっている。  
肉がひくひくと動く度にくぐもった振動音がヴン、ヴン、と音色を変え、  
その音も豚の羞恥心を煽っているようだった。  
にじみ出る液体が周囲の体毛を濡らし、ねじれた尻尾の先まで滴っている。  
 
何故通常のバイブではないかと言うと、有線なので電池式とは比にならない出力を得られる上に、  
電池切れ等の持続時間の心配が無いからだった。  
まあトレーニングというものは肉体に対して  
それなりに強い負荷を長期に渡ってかけるものだと相場が決まっているしな!  
「ブ……も、もう……こんなに、、長く、やってたら、気持ちよく、なんて、ないっ、です……」  
実際、息も絶え絶えな感じでそう呟く豚だが、  
「あ、そ」  
と俺は、コンセントと電動マッサージ機の間を繋ぐ延長コードに付いた、ダイヤルのようなものをグリッと回してみる。  
「ブひぎいいいいいぃぃぃッ!!?」  
電動マッサージ機のモーター音が一瞬で1オクターブ以上高くなり音量も一気に大きくなり、  
そしてワンテンポ遅れて豚の甲高い悲鳴のオクターブと音量も上がった。  
これは、本来なら白熱電球等の明るさ等を調節するために使われる調光機という器具。  
マッサージ機に繋げば無段階で細かく出力を調整するのに便利なのだが、そのつまみをMAXにしたわけだ。  
(まあ多分メーカー想定外の使用法なので、これで故障したり事故が起きても補償はされないだろう。良い子は真似すんな)  
「ブヒィイイイイイッ!!ブィ、ブギッ、ピギィイイイッ!!!」  
「あらら、またイっちゃって。やっぱり感じてるんじゃないか。何が『気持ちよくないです』だこの淫乱雌豚」  
とは言え、快楽に酔い痴れると言うよりは、泣き喚きながら必死に逃れようとしているようにも見える。  
それもそうだ……豚の絶頂は数十分続くと言うが、  
いくら達しようがマッサージ機は責める手を緩めてはくれないのだから。  
これが人であれ豚であれ、相手が生身の雄ならまだ射精まで耐えれば解放されるのだろうが、  
機械は遠慮も無く容赦も無く情けも無く疲労も無く、ただ延々と永遠と連綿と淡々とひたすら犯し続けるだけだ。  
絶頂に達しながらも更に責められ続け、自分の許容量を超えた膨大な快楽を流しこまれる……。  
それはある意味拷問でもある。  
……いや他人事のように言ってるが、まあ狙ってやってるんだけど。  
 
「うん。いいぞー。全身の筋肉が緊張してるなー凄ぇエビ反りっぷりだ。これなら消費カロリーも凄いんじゃないかー」  
「ブギイイーッ!……ブギヒッ!……ガハッ……」  
涙と涎を垂れ流しつつ全身を震わせていた豚だが、しばらくして糸が切れたように急に体から力が抜けた。  
どうも失神してしまったらしい。  
「……まあ、まだ、もつかな」  
俺はちょっと考えた後、ホースを持ってきて豚の顔に冷水をぶっかけた。  
「ブハッ!?フゴッ!?……ぐ、ブゥウウ……!」  
ショックで意識を取り戻した豚は、一瞬驚きと混乱を表情に浮かべるが、すぐさま再び振動が与える快楽に悶える。  
あまりに責め過ぎて「壊れて」しまうと元も子も無いので、  
「もたない」と思ったらその時点で今日のトレーニングは終えるつもりだが、今はまだまだ大丈夫そうだと判断。  
アレです。ハードなトレーニングでも故障はさせないというギリギリの線を見極める。それが名トレーナーってもんです!  
「……ああそうだ。トレーニングには水分と栄養補給を欠かしちゃいけないんだよな」  
トレーニング中に必要な栄養と言うのは、ビタミンやミネラル・カルシウムはもちろんだが、  
実はタンパク質も重要である。  
タンパク質が不足した状態でトレーニングをすると、脂肪だけでなく筋肉も落ちてしまうのである。  
欠乏気味の栄養を補うために肉体が筋肉を分解して必要なアミノ酸量を維持しようとするとかどうとか。  
ダイエット中だからって「太りそう」という短絡的なイメージで肉を食ってないという人は注意な!  
せめて魚は食っておこうぜ!もしくは大豆製品!  
「……と言うわけで、水分とタンパク質をくれてやる」  
そう言って、俺はパンツを脱ぎ、ベッドの上に、豚の顔をまたぐように上がる。  
「ほら、咥えろ」  
「……ブ、ぐぅ……!」  
もはや全てを諦めたかのように、豚は涙を浮かべつつも、顔に押し付けられた俺のそれを口に含んだのだった。  
 
 
……で、このトレーニングメニューの卒業者がどれくらいかと言うと、  
実は目標消費カロリー値を達成した奴は結構多い。  
……多いんだけど……「卒業して人間社会に戻った」という奴はゼロなんだよなコレが。  
何故かって言うのは、まあ……  
「training」の意味を辞書で引いてみてくださいよ、と。「訓練・養成」じゃない意味の方で。  
 
 
おわり。  
 

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