ディストお嬢様に命じられたことを反復する。  
 着替え…なんかこの子汚れているからお風呂が先ね。  
 にしてもわざわざ人間を夢魔にする…。よっぽどヒマなのかしら。  
 そういえばご主人様は行っていた。  
『娯楽こそ吸血鬼の人生!』  
 バカかなぁとその時は思ったが時折の戯れを思うとその精神は妹たちにも受け継がれているようだ。  
 受け継がれているといえば細身で可愛らしい顔立ちの家系だと思う。  
 
「ソレイユ? まずお風呂に案内するわ」  
「おねぇさまは何ていうの」  
 ああ、またか。また私はお姉さまよばわりか。  
「おねぇさまじゃなくって夢弦朋樹。トモキの方が名前よ」  
「トモキおねぇさま」  
 はぁ  
「それと私はメイド長だから、アンタは…お嬢様のペットでいいや」  
 楽しそうにソレイユという子は笑う。  
 ああ、まともな会話が懐かしい。  
 
「あ、メイド長さま」  
「あ? 何かしら」  
「え。あ、あの、捕まえた吸血用の人間の一人が自害しました」  
「あらあら。他は平気なわけね」  
「はい」  
「ギャグでも咥えさせときなさい。ああ、あと何か服をもってきてこの子に合うサイズで」  
 はいと礼を返しメイドが消える。  
 はぁ、九人か。その内また私が吸血されるのだろうか。  
 吸血がイヤなのではない。  
 ディストお嬢様はそこそこで終わる。  
 シルクお嬢様は痛い。  
 ご主人さまは致死量ぎりぎりまで飲む。  
 あーーーーーー。忙しいし大変だし…。  
 それにこのこの子正気じゃないっぽい。  
 またお嬢様の戯れだろう。吸血鬼のあの目に逆らえる人間なんてそうそういないらしい。  
 私はその目を見たことがないからこれ以上言うことはない。  
 チラリと後ろを振り返ると、寝ているような…なにか情事の後のようなそんな表情を浮かべている。  
 …。  
 
 
 
 さらに私はお風呂の上がり裸体で出てきたソレイユに頭を痛めた  
 メイドが持ってきた服に頭を痛めた。  
 そりゃあメイド服しかね…ないわよね。  
 

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