リッチモンド家は、ダルカザル王国北端、カザム地方を代々治める領主の家系である。
領主といっても小村と険しい山だけの土地しか持たない、辺境の田舎領主になる。厳しい自然環境に少ない産業、
戦略的な価値もない地理的条件と、誰もが統治をいやがるカザムを代々治めてきた。
少年リッチ・リッチモンドは、そんなリッチモンド家の若き当主である。
「で、あの娘今どうしてる?」
「さぁね。知ったこっちゃないわ」
「さぁねってお前」
「そんなことより」
そう言って彼の股間の前に跪いた同じ年ほどの金髪の少女は、屋敷の警護担当キネリルカである。
さっさとズボンを降ろすと、何の抵抗もなく目の前の肉棒を咥える。ちゅぅと音を立て、上目で見つめながら吸い上げる。
やがて顔が前後に動き始めると、リッチに腰が抜けるような快感が走った。
それを見ていたずらに笑うこのリルは、亜人と呼ばれる存在である。
人間と同じかそれ以上の知能を持つ生物は、生態がどうであれ皆亜人と定義されている。亜人は国によって迫害されて
いる場合もあれば、人族、いわゆる人間と同じように暮らしている場合もあり、このダルカザル王国においては人と同等の
権利を与えられている。
キネリルカは、リエンラという名の亜人であった。
可憐な顔立ちに勝ち気な瞳、深い緑色の瞳。細身の体と発展途上の胸からは、独特の幼さを感じさせる。
リエンラは比較的人間に近い容貌をしてるが、皆、頭やこめかみに立派な角を生やしている。
「うっ」
「んぐ、んぐっ」
しばらく耐えていたリッチだが、健闘空しく妙技に屈し、達すると同時に精を放ってしまった。
ごくりと精液を飲み干しても、少女が股間から離れることはない。見下すような笑み浮かべると、また舌をちろちろと延ばし
始めた。
すぐに亀頭にまとわりつくその長い舌は、十代そこそこという年齢に合わない滑らかさを伴っている。
「今度はあたしの頭を押さえて、それで自由に動かしてくれていいから」
「それより、俺の話聞けよ」
「うっさいわね、せっかくこのあたしが言ってあげてんのに……」
「へーへー、わかったよ」
この極めて短気な少女には逆らわないのが、リッチモンド家暗黙の了解になっている。この歳、この華奢な体格で警護担当に
なっている理由を考えれば、ごく当然のことだ。
リッチは言われた通りに艶のある金髪を掴み、己のそれを根本まで入れてやった。
「んっ……んっ」
ぬるぬるっとした感触が包み込む。そのままおずおずと、前後に動かし始めた。
キネリルカの方は肉棒を喉まで咥えながらも、両手を尻の方へと手を回し、なで回しながら再びその行為に耽っている。
「…… ?」
「あんたも脱ぎなさいよ」
と、突然彼女が行為をやめて立ち上がったと思うと、穿いていたスカートを脱ぎ始めた。
降ろしたその下から、細く白い足と、レースが入ったショーツが姿を現す。いつの間か上着も脱がされ、完全な下着姿となった。
言われるまま、リッチも上着を脱ぎ捨てる。
「ほらっ」
右手をグイッと引かれ、彼はリルの若い乳房に押し込まれた。
「そういえば……二人きりになるのって、久しぶりじゃない」
「まぁ、そうだな」
そこにあったのは、一点の曇りもない少女の体だった。
輝く肢体、滑らかな曲線、わずかに主張する乳房。少年を抱きしめる全てが、完璧な柔らかさを伴っている。
「じゃ、いくわよ」
「うわぁぁ……」
ささやくと同時に耳を甘噛み、長い舌が入ってきた。ぞくりとした感触が、全身を巡る。そのまま地面に寝かされると、彼女が腰の
上辺りで中腰になった。
そして、
「……」
「いっ、いきなり!?」
「んふっ」
ショーツがずらされ薄い茂みが見えたかと思うと、独特の肉感が訪れる。肉棒は見る間秘裂に包み込まれていった。
既に濡れていたらしく、何の抵抗もなくキネリルカは腰を下ろしてしまう。
「いきなりで、入るんだな」
「あたしをこうしたの、どこの誰だと思ってんの?」
「……」
やがて彼女は、腰を激しく動かし始めた。
(ぬ〜〜〜)
腰のあたりを中心に、全身から力が抜けてしまうような快感の波が走る。
彼女は官能の表情を浮かべ、息がかかる程目の前で見つめながら、腰を振っている。レースの下着からのぞく薄い茂みが、
妙に生々しい。
「そういえば、あんたの初めての相手って、誰?」
「くぅぅ……」
耳元で吐息混じりに、キネリルカがささやく。
「言いなさいよ」
「覚えてないって」
「ホントに?」
「嘘ついてどうす……んむっ」
精一杯余裕をみせようとする唇が、彼女のそれによって塞がれた。
ついばみ、吸い、舌でなぞり、口の中を激しく蹂躙する。両腕を首に回し悩ましい舌の動きで愛撫すると、さらに、
動物のように彼の顔まで舐め始めた。
「……おい」
「え? ……あん」
反撃とばかり、その桃色の乳首をそっとつまんでみる。
ここに来て、初めて甘いあえぎが漏れた。
「……ぅん……あっ、あん、はぁ……ん」
そのまま両の乳房への愛撫を開始した途端、キネリルカは吐息混じりであえぎ始めた。
一点のくすみもない完璧な肌と美乳である。乳首にふれるかふれないかの辺りを、舌でゆっくりを舐めていく。
左手でやはり乳輪のあたりを撫でながら、焦らすように愛撫を重ねていく。
「あ、あっ、ん……あん」
今まで冷静だった彼女の、思わぬ嬌声。だがその間も、腰は止まらない。
「……リッチぃ……」
「っ……も、もうヤバい」
「!」
とその瞬間、彼女はさっと体を離してしまった
何をするかと思えば、とどめとばかりに、再び股間に顔を近づけ……
「まっ、またか!?」
「んふっ」
萎えかけているそれを咥え、愛撫を始めたのだった。
「例の女なら目が覚めたって、ルウが言ってたわよ」
満足したのか、ようやくキネリルカが質問に答えた。
例の女というのは、今朝早く屋敷があるアルムの村近くで倒れていた少女のことである。木を切り出しに行った
村人が発見し、その身なりの良さから位の高い騎士に違いないと、この屋敷へ運ばれてきた。
さっそく階下へ降りて、少女が運び込まれた客室へと向かう。
と、
「わっ、若様大変です!」
リッチモンド家の侍従長兼財務担当、小太りのコリンがドタドタと走ってきた。
息を切らし、慌てた様子で顔面蒼白になっている。
「例の娘が、はぁ、目覚めた途端、あ、暴れ出したんです! それで……」
「それで? 今どこにいる?」
「ルウ殿が取り押さえまして、はぁ、若を地下倉庫へ、呼べと」
息を切らせながら、コリンが必死に事の次第を話す。
が、ルウが応戦と聞いて、リッチはいくらか安堵した。
「地下倉庫……アイツ何かする気ね」
「だ、大丈夫でしょうか? どうも、あの娘はただの騎士とは」
「まぁ、大丈夫だろ。コリンは仕事に戻っていいぜ」
首をかしげるコリンを落ち着かせると、二人は地下倉庫へ向かった。
急な階段を降り、ほこりっぽい倉庫をかき分け奥のカギのかかった部屋。見ると、カギは空いている。
「ルウ」
「! 二人とも」
リッチ達を迎えたのは、執事服を着こなした銀髪の麗人だった。
尖った耳と犬歯、黒一色の瞳。透き通るような肌に、どこか神秘的な美貌。ルウはリッチモンド家の執事であり、
ノアという種族の亜人である。
「ハダカにして縄で縛るなんて、ちょっかい出そうとしてんじゃないわよ」
「凶器がないか検めていたんだ。君と一緒にするな」
奥の壁に、下着姿の少女が見えた。
歳はまだ若く、十代ほどだろうか。短い黒髪に大きな瞳、どこか品のあるその顔立ちには、凜とした美しさがある。
来ていた軽鎧は脱がされ、脇に放り出されている。少女は天井から下がった縄に両腕を縛られた状態で、気を失って
いるらしい。
「コリンに聞いたぜ。いきなり暴れ出したらしいじゃねえか」
「目を覚ました途端、額の手拭いを変えようとした僕の手首を折りにきたんだ」
「で、こうして縛り上げたってワケ?」
「ああ」
少女は上下とも、色気のない黒の下着である。しなやかな体は引き締まっており、形の良い胸はそれなりに主張している。
体に傷が付いていない所を見ると、まだ駆け出しか、それなりの地位にいる者らしい。
「それより二人とも、これを見てくれないか」
「何これ? ずいぶん小さな短剣じゃない」
「……こりゃ、ミシェラント王家の紋章じゃねえか」
ルウが手にしている短剣を見て、リッチは驚きを抑えながら言った。
ミシェラントといえば、ダルカザルと十年ほど前まで戦争状態にあった国である。今でこそ停戦協定を結んではいるが
両国の対立は続いており、小さな小競り合いでも再び戦争状態へ突入する可能性を含んだ、危うい関係が続いている。
その程度のことは、辺境の田舎者とはいえリッチも知っていることである。
「僕の予想だが、彼女は王族か、それに準ずる位の人間の護衛部隊だと思う。この短剣と軽鎧を着ていた事実から
見ても、可能性は高い」
「つーことはやっぱ……護衛してたお偉いさんも、こっちに来てるよな? たぶん」
「だろうね」
「当たり前じゃない」
平然と答える二人とは対照的に、リッチは頭を抱えてしまった。
一般民衆の入国さえ閉ざしているダルカザルに、このような少女が護衛する位の人間がいるとわかれば、どんな
騒ぎになるかわからない。場合によっては、このリッチモンド家など簡単に潰されることも考えられる。
「それで? この女」
「んっ……」
と、キネリルカはおもむろに少女に近づくと、下着の上から左の乳房を揉み始めた。
少女の息が乱れ、体がよじれる。
「これからどうするの?」
「あっ……ふ……」
乳首の周りを焦らすようになぞっては、指で弾いてやる。
少女から声が漏れ、反応が段々と大きくなってきた。
「とにかく、まともに話ができるよう落ち着かせるんだ。そうしないと話が進まない」
「問答無用で言うこと聞かせりゃいいのよ、人族なんて。いざとなったら消せばいいし」
「ていうか、お前なんで乳いじってんだよ」
リエンラはプライドが高い種族ではあるが、キネリルカは特に他の種族を見下す傾向が強い。
根幹の部分で人族、つまり人間を下等に見ているふしがあり、このような発言も決して珍しくない。
「う、うぅ……」
「おっ?」
と、ここで少女が目を覚ました。
ぼんやりとした眼が、ゆっくりと開いていく。
「っ!! なっ、何をしている!? 離せっ! 貴様!」
そして自分が置かれた状況に気付いたらしく、少女は全身で暴れ始めた。必死にもがいてみるが、両腕に巻き付く
縄が解けることはない。
と、リッチがまず口を開いた。
「えーっと、まずはこんな格好にさせて悪かったな。俺はリッチ、一応この辺りの領主を…」
「この外道が、何をするつもりだ!」
「……あら、そうですか」
やれやれと、リッチが肩をすくめる。
そしてため息を一つつくと、そのままルウ達を部屋の隅へ集め、何やら耳打ちを始めた。
「どうするよ? 案の定何か怒ってらっしゃるんだけど」
「だーかーら、あーゆー女は力で黙らせるに限んのよ!いいじゃない、実際にあたし達は敵なんだから」
「敵じゃまずいだろ……何とか、何も見なかったことにできればいいんだけどな」
「あんたねぇ、よくその目むいてあの女見てみなさいよ! 全然話のわかる状態じゃないじゃない」
「まあ、そうだけど…… ってルウ?」
リッチが声をかけるが、ルウに反応はない。
わずかにうつむき、黙って立ちつくしている。目は半眼でぼんやりとしており、意識がないようにも見える。
「……おいおい、こんな時に……」
勘弁してくれ、といった顔でリッチが呟く。
そして、ルウの目がゆっくり開かれたかと思うと、なぜかその場で伸びを始めた。
「…… んっ、んんんん〜〜〜 ふわぁぁぁ……」
「!? なっ、何を……」
「ふぅ」
眠りから覚めたように、あくびをひとつ。
そして、リッチの方へゆっくりと向き直った。
「話は全部、聞いていたわ」
どこか雰囲気が変わったルウが、穏やかな口調で言った。
「あーあ、邪魔なヤツが出てきちゃった」
両手を後頭部に当て、キネリルカがわざと聞かせるように漏らした。
ルウは両肘を抱き、穏やかな表情でリッチを見つめている。その視線には、明らかにある種の熱が見て取れる。
立ち姿、表情と全てが先程とは打って変わり、女性らしい雰囲気をまとっている。
「……誰が?」
「あんたよあんた。いきなり出てきて何のつもり?」
「それより……」
「それより? ……んむっ!?」
キネリルカに近づいたと思うと、ルウは突然彼女の唇を塞いだ。
動けないように後頭部を手で押さえ、舌を激しく絡める。見る間に、キネリルカの額に血管が走った。
「ぷはっ…… ……いっ、いきなり何してんのよ!?」
慌てて突き放し、キネリルカが怒鳴った。
本気で嫌だったらしく、顔は青ざめている。ルウは唇をそっと指でなぞると、鋭い視線を向けた。
「リッチ君の味がする」
「!」
「抜け駆けしたのね。でも許してあげる」
「しょ、しょうがないじゃな……えっ?」
ルウはきびすを返すと、捕らわれの少女の元へゆっくりと近づいていった。
突然の変貌に、少女はただ驚いたように呆然としている。
「コイツ、こういう種族なんだ。男と女、両方持ってるっつうか……一つの体に二、三人がいるっつうか」
すっかり参った様子で、リッチが言った。
ルウの種族、ノアは比較的人間に近い容姿をしているが、決定的に違う特徴がある。両性具有、さらに多重人格という
点である。人間の場合、このような人々は大概異端として奇異の目に曝されがちだが、ノアの場合はごく自然の特徴である。
「ちなみに名前も別で付いてるぜ。コイツはルルカってんだ」
「……二人とも、ここはボクに任せて」
「? 任せろって、何か考えでもあんの?」
「ええ。だから、ここは二人きりにして欲しいの」
そう言って、無表情だった顔がわずかに微笑んだように見えた。
リッチとキネリルカが上階へ上がると、再び地下倉庫を静寂が支配し始めた。
ぎしぎしと鳴る縄と自らの心臓以外、少女に聞こえる音はない。明らかに様子が変わった銀髪の麗人に対する、
言いようのない不安が胸のうちに渦巻いている。
「私を……どうする気?」
精一杯睨み付ける少女の額に、既に汗が滲んでいた。
「危害を加えるつもりはないわ。だから、あなたも冷静になって欲しい」
「人を捕らえておいて……!」
「目を覚ました途端、私の手首を折りに来たでしょう。こうされるのは当然じゃないの」
「突然振る舞いを変えたり、ふざけたマネをしたり……何を言うの」
ルルカはため息をつくと、そっと少女に近づいた。
警戒するように、少女がきっと固くなる。
「少し痛いわ」
「なっ!? やっ、やめ…… 痛っ!」
耳元に顔を寄せると、少女の耳たぶに歯を立てたのである。
そのまま滲んだ血を舌で舐めとり、ゆっくりとそれを吸い始める。左手を少女の頬に添えながら、地下の空間に
その水音が響いた。
「気分はどう?」
「気分なんてそんな…… うっ!?」
言いかけて、少女の言葉が途切れた。
ふいに心臓の鼓動が大きくなったかと思うと、体中の血液が沸騰したように、体温が上がっていく感覚が少女を
襲った。
「こ、これ……あっ、あぅっ……!」
まだ十代半ば程の少女にとって、未知の感覚が生まれる。下腹部に言いようのない熱さが沸き、感じたこともない
せつなさが駆けめぐっていく。
自然とその両足が、下半身のうずきを覚まそうと悶え始めた。
「んぅぅ……えっ?」
「……可愛い」
「うっ、うあぁぁっ……! や、やめ、見ないで……!」
少女の頬を手でそっと挟み、慈しむような瞳で囁いた途端、さらに少女に強い感情がわき上がってきた。
自分を捕らえた相手であるはずのルルカに対する、生まれて初めての欲望。会って間もない彼女に対し、信じられ
ない感情である。
「どうしたの? なぜボクを見ようとしないの?」
「いっ、いやぁ……!! 違う、違うの」
「力、抜いて」
「いや、やめ、あ…んん…!!」
ルルカは強引に顔を自分の方へ向けると、少女の唇に自らのそれを重ねた。
湿った音と共に、ルルカはより深く唇を絡めていく。少し吸い、舌で内側をなぞる。片手で少女の腰を抱き寄せ、
足を股の間に分け入っていくと、彼女の体が震えた。
動きが止まり、体から力が抜け、瞳から必死な光が消えわずかに半眼になった。
「言ったでしょう」
と、ここでルルカが少女から離れる。
上着を脱ぎ、シャツのボタンを外し胸元を開くと、そこに真っ白な肌が露わになった。
「ただ、あなたに落ち着いて欲しいって」
「……」
一点のくすみもない体に、それなりに主張する乳房。
それを間のあたりにした少女の顔が、徐々に赤らめていった。