世界が三層構造であるとの発見がされてから、既に長い年月が経っていた。  
三層が、神界、人界、魔界で構成されている事は、今や広く知れ渡っている。  
但し、どの世界が最初に出来たかについては、諸説別れる所だ。  
ある者は神人が人を創造し、堕落した神人が魔人となったと言う。  
神界での主流はこの見方。  
ある者は魔人が人と人界を作り、人と交わり過ぎた魔人が、  
魔界と断絶すべく神界に篭ったと言う。  
これが魔界を代表する見方。  
ごく少数ではあるが、人が最初に産まれ、神人も魔人も人から派生したという見方もある。  
それが少数意見に過ぎないのは、この三層構造に人だけが気付いていないからだ。  
圧倒的多数種族である人族がこの三つの説を知ったら、  
少数派はたちまち大多数派に変化を遂げるだろう。  
 ただ、いずれが解答であるにせよ、現象を発見したのは神人と魔人であり、  
それはほぼ同時だった。  
交わる筈のない互いの世界が繋がり、神人と魔人は出会った。  
出会ってすぐ、二つの種族は反発しあった。  
肉体も知識も総数も均衡する二種族は、衝突を繰り返し、  
やがてそれは三層目の世界を発見するに至って、沈静化する。  
神人も魔人も、人界への興味が、相手への憎悪を上回った。  
相互干渉を禁じる契約が神界と魔界の間で結ばれてから、千数百年。  
築かれた均衡は、僅かな綻びを生じ始めている。  
 
 魔界に住むは魔人。  
魔人の中にも幾つかの亜種が存在し、魔界を統べる女王の血族を淫魔と呼ぶ。  
額に角、背に羽を持つ彼女らは、神人、魔人を問わず、あらゆる種族の精気を吸い尽くす。  
女王の齢は二千を越えるが、その肉体は常に若々しい水気に満ちていた。  
これまでに娘を十人程産み落としたが、目下の悩みは一番最後に産んだ娘の事。  
悩みの種は、今また、女王の目の前に立っている。  
「女王はいつになったら神界に攻め入るつもりか」  
つり目気味の目尻を更に上げて、幾度となくそう問い掛ける小娘。  
女王は玉座に凭れて、ため息をついた。  
「いずれは滅ぼすつもりじゃが、今はまだ早い。そう急くでない」  
「いずれいずれと言ってもう百年になる」  
二百にも見たない小娘の体つきは細く、淫魔に相応しくない。  
三層いずれの種族も魅惑する自分の体から、  
何故このような娘が産まれたのか、女王は時々疑問に思う。  
「百年など、我らの命に比ぶれば如何ほどの価値があろう。  
今は大人しゅう人の精を集めるのじゃ。  
聞けばお前は神界に出歩いているそうな。  
ディスパイスドゥルとわらわとの、小指の契約を忘れてはおるまい?  
ヤツの小指がわらわを見、わらわの小指がヤツを見ておる。  
互いに直接干渉は出来ぬ。故に人を介するのじゃ」  
「人はつまらない。あまりにも簡単に取り込める。  
神人相手が、私には面白い」  
娘は黒い翼を広げた。  
「ならんぞルラ」  
女王が声を上げた時、年若い淫魔の両足は既に地面を離れていた。  
両翼を大きく一度羽ばたかせると、道を塞ぐ衛兵の間を巧みにすり抜けて、  
風のように飛び去っていく。  
あの様子では、一気に城の外まで逃げ出す事だろう。  
小娘と言えど女王の子だ。  
本気となれば、連れ帰るには他の娘達を呼び戻すか、女王自身が出るしかない。  
女王は手の平を顔の前に掲げた。  
「あやつはわらわが止める。手を出すでないぞ、ディスパイスドゥル」  
玉座の前に投げ出した足を組み替えると、小指に向かって呟くように、そう語り掛けた。  
 
 神界に住むは神人。  
日の差し込む神殿を、二人の神人が歩いている。  
二人の顔は同じ高さにあったが、一人は背が高く、一人は背が低い。  
「ジジィが俺に何の用件か、聞いているか?」  
小さな方が、隣を歩く大きな神人に尋ねた。  
背中の翼を繊細に操って、自分の体を相手の視線の高さに合わせている。  
「さぁな。俺はお前を大神に元に連れていくよう、上司から指示を受けただけだよ。  
だが、心当たりなら幾らでもあるんじゃないか?  
例えば人界の雌を飼ってるって噂とか」  
「アレの飼育は俺の仕事に不可欠だ」  
「おいおい・・・。監視局員の前で堂々と契約違反を口にするなよ。  
人界に行くのはいいが、連れ込むのはご法度だ」  
「俺に戦術開発を命じたのがジジィである以上、言わばあれはジジィの命令だ。  
いずれ魔界との衝突が避けられないのなら、契約もその時点で反故になる」  
「見た目に似合わず大胆なヤツだよ、お前は」  
小さい方が高い方を睨みつけたが、相手は気づかないふりで続けた。  
「出来れば俺に余命のあるうちは、開戦して欲しくないね。  
いっそお前一人で魔人を根絶やしにしてくれよ。  
お前なら誰にも負けやしないだろう」  
「負けない事と勝つ事は、同義ではない」  
二人の前に、巨大な扉が立ち塞がった。  
小さな神人は地面に降りると、翼を畳み込んだ。  
二本の足で立つと、彼は隣の神人の腰程までの背丈しかない。  
「種さえ判れば、俺を無効化する方法等、幾らでもある。  
知っているだろう?」  
「ああ、ガキの頃からさんざん聞かされたからな。  
サーフェスとだけは喧嘩するなって」  
背の高い方が、扉を開けた。背の低い方だけが扉を潜った。  
「争う事のない相手に、勝つ手は無い」  
扉が閉まる前に、彼は言い残した。  
 
扉の奥は謁見の間だ。  
大神と、彼に拝謁する者だけの広間。  
サーフェスの目の前で、ディスパイスドゥルは右手を掲げて見せた。  
皺枯れて骨ばった手の中で、一本の指だけが別の生き物のように瑞々しい。  
小指だった。  
「この所、魔人がこの世に出没しておる噂、聞いておるか?」  
小さな神人は水の詰まった円柱を見上げて、「いいや」と答えた。  
彼の十倍以上の高さにある天井から床までを、透明な円柱が繋いでいる。  
円柱の中は液体で満たされ、その中に老いた神人が浮かんでいた。  
もはや骨と皮だけの老神人の名はディスパイスドゥル。  
神界と共に産まれたとも噂される大神。  
神界を掌握する王だった。  
「契約を破った魔人が一匹、神界に時折紛れ込んでは、同胞の精気を食らっておる。  
小指によれば、其の者はエスパダの娘の一人。  
それを捕らえよ、サーフェス」  
「捕らえてどうする?」  
「殺すも飼うも、お主の好きにせい。  
エスパダの娘は女が好きだと言う。  
同胞を使うは忍びない。お主の飼う人の雌が餌に良かろう」  
老神人は言い終わると、水の中を上っていった。  
話は終わりという事だ。  
その姿が天井まで浮かび、更にその上に消えてしまうと、小さな神人は踵を返した。  
「クソジジィ」  
吐き捨てて扉を蹴り開ける。  
 
 扉の外では彼の友人が律儀に待っていた。  
「迎えが来てるぜ」  
頭上で友人の顎が指し示すのは、ディスパイスドゥルの言う餌だ。  
「俺は先に帰った事にしておく。あまりアレを人目に晒すな」  
背の高い神人は、体格に見合う翼を広げて飛び立った。  
残された小さな神人に、女が近寄る。  
エスパダには及ばないが、十分に男を誘惑し得る体つきをしていた。  
男が女に惹かれるのは、三層いずれの種族にも違いがない。  
「迎えに来ましたよ、フェス様。あまりご機嫌がよくないようですのね」  
小さな神人は翼を開くと、女の視線の高さまで浮かんだ。  
並んで立つと、胸の膨らみが邪魔で、お互いの顔が見えない。  
無表情で宙に浮かぶサーフェスを見て、女はくすくすと笑った。  
「手を繋いで帰ろうかと思っていましたのに」  
「アホか」  
にべも無く突き放して、サーフェスは先に進んだ。足ではなく翼を使って。  
女が続く。  
「本当に機嫌が悪いのですね。私の事で、何か言われました?」  
女が顔を寄せる。  
サーフェスは視線だけ動かして女を見ると、すぐに前を向いて答えた。  
「魔人が徘徊しているそうだ。それを捕らえる為に、お前の力がいる」  
「良かった。まだ私はフェス様と一緒にいていいのですね」  
サーフェスの隣で、女がはしゃぐ。  
彼女は小さな神人の腕を絡め取った。  
押し付けられる柔い弾力を、サーフェスが振り払おうとする。  
はずみで翼が胸に触れた。  
その後は、微細なコントロール等出来たものではなかった。  
浮力を失った小さな神人を女が引き寄せて、そのまま抱きすくめる。  
「よせ、エナ。相手は淫魔だ。人など簡単に取り殺せるのだぞ」  
「貴方がそうしろと命じるのでしたら、私は従います。  
神様の指示なんですもの」  
エナと呼ばれた女は、相手の頭を自らの谷間に埋もれさせた。  
小さな頭は、ふくよかな胸に容易く埋没してしまう。  
「でも、それ程に危険なのでしたら、今ご褒美を下さい」  
 
「ここで欲しいのか?」  
窒息の拷問器具を押し返し、サーフェスが顔を上げる。  
ここは神界の中央機関に繋がる通路。  
今でこそ神人の姿も無いが、いつ誰が通るか判らない。  
身を隠せるのは左右に並ぶ柱くらいのものだ。  
「ええ。もしこれきり会えなくなってしまうのなら、後では受け取れませんもの」  
言い終えるが早いか、エナは神人の唇を奪った。  
細く長い指を彼の服の中に忍ばせ、目的の物を引き出すと自らの腰にあてがう。  
下着は最初から身に付けていなかった。  
サーフェスが唇を離す前に、腰を下ろす。  
彼女の内側が、神人で溢れた。  
唇から吐息が漏れる。  
神人を強く抱きしめ、それきり、エナは動かなかった。  
ただ、彼女の中が激しく痙攣している感触が、分身を通してサーフェスにも伝わってくる。  
それがどういう意味を持つのか、この女を幾度となく抱いた神人には明白だった。  
「入れただけでイったのか。命の代償にしては、随分と安い褒美だな」  
冷笑する神人を、エナの潤んだ瞳が見下ろす。  
「駄目。すぐに、収まりますわ・・・。だから、最後まで」  
エナの膝が震え、抱き上げていた筈の小さな神人にもたれかかる。  
サーフェスは翼を広げて女を持ち上げた。  
突き上がる快楽に、エナが声もなく仰け反る。  
「最初からここでするつもりだったな?」  
エナの内側は、入り口に触れただけで判る程に濡れていた。  
問い質すサーフェスの翼が羽ばたく度、エナの乳房が震え、歯の隙間から嬌声が流れる。  
「・・・はい。もし、大神に私を戻すように言われていたら、  
貴方に、抱いて貰えるのも、最後ですもの・・・。  
ああ・・・フェス様。私、気を、無くしそう」  
サーフェスは無言で翼を動かした。  
神殿の柱に身を預けたエナは、サーフェスが最後を迎えるまでの間、  
立て続けに二度果て、熱い液体を胎内に受けて更に果てると、  
言葉通りに失神した。  
事が終わるとサーフェスは、ぐったりとした女の四肢を抱えて、空へと舞い上がった。  
 
 神界にも人界にも、等しく夜は来る。  
朝には太陽が上り、夜は月と星が輝く。  
しかし魔界では、月も太陽も上らない。  
地面と天面の発光量の差が、昼と夜とを別つ。  
魔人にとって、神界と人界の昼は明る過ぎた。  
魔人が他層に赴く時は、あまりに眩しい世界を嫌い、大抵夜に活動する。  
エスパダの娘ラウルゥラが、断層を抜けて神界に姿を現したのも夜。  
彼女はまず、額の触角に神経を集中させた。  
周囲に神人の姿はない。断層の計測技術は、魔界に分があるのだろう。  
三層を跨ぐ空間の裂け目。  
今やその発生場所と時間はかなりの確率で予想可能だった。  
神界側が気づいていれば、多少の警戒もあった筈だ。  
ラウルゥラは翼を広げ、宙に舞った。  
目を閉じ、触角を研ぎ澄ませる。  
神人の居場所が、微かな匂いで感じ取れる。  
狙うのは、一人でいる女。  
それを探してふと、違和感を覚えた。  
神人ではない匂いがする。  
「神界に、人がいるのか・・・?」  
好奇心が疼いた。  
都合よく近くに神人の気配もない。  
迷い込んだのか、契約を破って神人が連れ込んだのか。  
いずれにしろ、女王への手土産にはなるだろう。  
反骨精神の激しいこの娘とて、女王の力に畏怖は抱いている。  
命に背いた以上、代価を持ち帰るに越した事はない。  
ラウルゥラは吊り気味の瞳を開くと、匂いの元へと飛翔を始めた。  
 
 ラウルゥラが目指す相手、エナは、ベッドに一人横たわっていた。  
神界のベッドも、人界と同じで柔らかい。  
ここでの季節は移り変わる事は無く、常に春を思わせた。  
だから休む時はいつも、ネグリジェのような薄い絹を羽織るだけ。  
エナは右手の小さな鏡を握った。  
サーフェスから渡しされたものだ。  
 神殿での行為の後、気づくと彼女はこのベッドに横たわっていた。  
傍らにはサーフェスの姿がある。  
彼はエナが目を開けるとすぐ、用件を切り出した。  
労わりを言葉に出す事はない。いつもの事だ。  
「いいか、お前が相手にする淫魔は、魔人の中でも一番強力な種族だ。  
対象の欲望を増幅させ、操る。  
神人だろうと人だろうと、精気を吸い尽くすまで弄ぶ」  
「それでもフェス様なら、簡単に打ち負かせますわね」  
ベッドに埋もれたままエナは言った。  
小さな神人は腕を組んで鼻を鳴らす。  
「相手がエスパダだろうと、俺が負ける事はない。  
問題は如何にして俺の前に引き出すかだ。  
ヤツらは常に単独の相手を狙う。  
精気を吸い終わるまで誰にも邪魔をされない者だけを探し出す。  
エスパダの娘の嗜好は女だというから、これからしばらくお前を一人にさせる。  
首尾よく獲物がお前の元に来ても、ヤツがお前に夢中になるまで待つ。  
俺が来るまでは耐えろ」  
「耐え切れなかったら?」  
「精気を吸い尽くされれば、死ぬ」  
表情を変えずにサーフェスが言った。  
その頬に、エナは手を伸ばした。  
「死ぬ前にもう一度・・・」  
「アホか」  
エナは顔を近づけようとしたが、サーフェスが叩き落とした。  
「代わりにこれをくれてやる。運が良ければ身を守れるだろう」  
「淫魔の力は、鏡で跳ね返せるのですか?」  
「何となくそんな気がするだけだ。根拠はない」  
自分の三分の二程の背格好の癖に、この神人はいつも偉ぶっている。  
何処か粋がった子供を見ているようで、それがエナは好きだった。  
「淫魔がショタだったら楽でしたのに・・・」  
神人の目がギロリとエナを突き刺した。  
言葉の意味は、エナが教えた。  
「アホか。エスパダの娘が来る前に、俺が殺すぞ」  
そう言い残して、小さな神人は去っていった。  
 
 エナは右手で鏡を握り締めたまま、左手をそっと下腹部に伸ばした。  
体の奥に、サーフェスの残した体液を感じる。  
神界に来て以来、神人の体液を受ける事で、エナは空腹を感じる事がなかった。  
神人と人の間に子が成せるのかは判らなかったが、もともと神人の妊娠率は極端に低い。  
それは彼らの寿命が恐ろしく長いせいだろう。  
子供のように見えるあのサーフェスも、既に三百歳を越えているそうだ。  
人から見れば信じられない程長寿の老人の癖に、  
未だに自分の背が低い事を気にして、常に難しい顔をしてみせている。  
三百年も続けていれば、もはやそれが地になってしまっているのだろうが、  
エナから見ると酷くおかしい。  
瞼の裏に、敬愛する神人の顔が浮かんだ。  
左手を、更に伸ばす。  
太股の間、その中心を、下着超しに触れてみる。  
小さな電撃がエナの身体を巡って、思わず声が漏れる。  
唇を噛んで、今度は声を出さないように、爪でそっと擦ってみた。  
僅かな突起に引っかかる。  
いつの間にか充血して、下着の上からでも簡単に判った。  
刺激に弱いそこを、爪で弾く。  
弾く度、その刺激に夢中になり、何度も弾いた。  
声が上がるのを抑えられなくなる。  
もっと、もっと、自分の急所を、自分で苛めたくなる。  
「だって・・・、気持ち良いんですもの。フェス様・・・」  
瞼の裏の神人に語りかけると、感度が跳ね上がった。  
僅かに腰が浮き上がる。  
神人に抱かれて以来、自分でした事などなかった。  
初めての経験は、予想外に気持ちがいい。  
何故こんなに感じてしまうのだろう。  
何故、こうしようと思ったのか。  
自らの指で自らを攻め続けながら、エナの何処かがそう考えた。  
ずっとこの心地よさに埋もれていたいと思う一方で、  
瞼を開けなければならないと考えた。  
思考とは関係なく、指だけが別の生き物のように股間をまさぐっている。  
もはや爪では満足出来ず、指の腹が突起を押さえつけていた。  
グリグリと撫で付けると、抑えきれない快感が唇の間から溢れ出す。  
 
エナは左手で自慰に耽りながら、瞳を開いた。  
目の前に、知らない女がのしかかっている。  
横に切り揃えた前髪。吊り気味で切れ長の瞳。  
まっすぐに伸びた後ろ髪を揺らして、女は小首をかしげた。  
「感が鋭いな。面白い」  
エナは夢中で相手を突き飛ばした。悲鳴を上げたのはその後。  
突き飛ばされた女は翼を広げ、音も無く床に足を着ける。  
エナはベッドを降た。  
よく見れば、少女の域にも思える。  
サーフェスの白く柔らかな翼とは対照的に、黒く鋭い翼。  
身体に張り付くような服。  
薄い胸の尖端が浮かんで見える事といい、  
臍や太股の露出の高さといい、随分と挑発的な服装だった。  
「人が何故ここにいる? 言っても判らないだろうが、契約違反だぞ」  
翼を畳んで、女がエナに歩み寄った。  
エナの鼻先に、顔を突きつける。  
真っ赤な瞳が、エナを捉えた。  
「魔人がここに来るのも契約違反ですわ」  
エナは相手をまっすぐ見返す。  
「詳しいな。もう随分と飼い慣らされているのか。  
面白いな。さっきの感の良さといい、並の人よりは楽しめそうだ。  
私の名はラウルゥラ。お前の名は?」  
エナは鏡を握り締めた。  
「私の名前は、これですわ」  
相手の鼻先に鏡を突き出す。  
ラウルゥラと名乗った少女は、身じろぎ一つしない。  
完全に硬直しているように見えた。  
嘘のように簡単だったが、上手くいったのだろうか。  
エナは鏡を持つ手を下ろした。  
 
「お前の名は?」  
不意に耳元で囁かれた。  
目の前の少女の姿が揺らめいて消え去る。  
振り返ると、真っ赤な両目が自分を見ていた。  
猫のように縦に伸びた瞳孔。  
その周囲で、丸い炎が渦を巻いている。  
炎の渦に自分が飲み込まれていく。  
「あ・・・・・・」  
声を漏らして、エナの腰が崩れ落ちた。  
腰から下の力が抜け、床に尻餅をついてしまう。  
そのくせ上半身は不必要に力が入り、小刻みに震えている。  
下着が冷たい。  
床のせいだけでなく、濡れて湿っているのが自分でも判る。  
視線を下に向けると、薄い絹の下で、  
盛り上がった山の先端が、硬くしこっているのが見えた。  
「や・・・、あ・・・」  
今にも泣き出しそうな表情で見上げると、炎の瞳が再び彼女を捉えた。  
「お前の名は?」  
「エ、ナ・・・・・・あっ」  
三度の問いかけに、エナの唇が勝手に動いた。  
「よく答えたな。ご褒美をやろう」  
黒髪の淫魔の唇がエナに重なった。  
「んっ、んーー!!」  
唇に吸い付かれただけで、エナはまるでオーガスムスに達したような声を漏らした。  
実際、それだけで殆ど達してしまっていた。  
相手の舌が唇をなぞるたび、彼女の下半身が疼き、  
吸い上げられるたびに、何かが溢れ出て来る。  
少し冷たい舌が口内に侵入してくると、  
下着が信じられない程に濡れていくのがハッキリと判った。  
ようやくラウルゥラが唇を離した後、エナは目を見開いたまま、ゆっくりと仰け反った。  
下着越しの性器が相手に晒される。  
ラウルゥラは笑みを浮かべた。  
「たかがキス一つで精気が駄々漏れじゃないか。  
ラビアから直接吸うのはまだ後なんだ。それまでに流し終わるなよ?」  
言葉に反応して、エナの性器がまた下着を濡らした。  
自覚して涙が零れる。  
それを舐め取られる行為にさえ感じてしまうのが、  
エナにはたまらなく恐ろしかった。  
 
「これからお前を五箇所でイカせてやる。  
淫魔だけが与える事の出来る快楽に酔いしれるといい」  
淫魔がエナの纏った薄い絹を、力任せに破り裂く。  
ボリュームのある乳房が天井に向けて露わになった。  
少女の姿をした淫魔の細く長い指が、成熟したエナの身体を這う。  
白く柔らかな部分に顔を近づけると、淫魔は小さく唇を開けた。  
鋭く尖った八重歯がピンク色の尖端を突き刺すと、エナが声を上げて震える。  
ラウルゥラの手が、エナの胸を包んだ。  
「まずは乳房で男の快楽を味わえ」  
手には到底入りきらない肉を、少女が握り締めた。  
乳白色の液体が飛び散り、黒髪の少女の顔を濡らす。  
エナが悲鳴をあげた。  
液体は、エナのたっぷりとした乳房から噴き出している。  
「な、何ですの。こんな事・・・って!?」  
ぐにゃりと潰された片乳の中を、刺激が渦巻く。  
手の平からもたらされる快楽の波が乳房の内側を駆け巡り、頂点へと集まった。  
乳輪が僅かに盛り上がり、尖端から体液が吹き上がる。  
胸が爆発しそうだった。  
(胸が・・・。胸がこんなに、気持ちいいだなんて)  
少女の手が乳肉を上下にしごく。  
指が肉にめり込む度に、淡い色の液体が乳首から発射される。  
断続して噴出するそれは、少女の黒髪を濡らし、角を流れた。  
ラウルゥラは舌を伸ばして唇にかかる乳液を舐め取ると、  
まだ手をつけていないエナの片乳に顔を寄せた。  
「あ・・・ダメ。両方、なんて、そんなっ、ひっ、ヒィィィ!!」  
エナが胸に近づく頭を押し返そうとするが、淫魔は構わずピンク色の膨らみを口に含んだ。  
牙を突き刺すと同時に噴き上がる液体を、喉を鳴らして飲み込んでいく。  
エナという名の獲物が、腰を浮かしながら大きく痙攣した。  
自分の身体で相手を押さえつけながら、ラウルゥラは人の精気を貪る。  
淫魔は獲物の精気を体液に変えて吸い上げる。  
ラウルゥラの好みは神人女だったが、人の味も悪くなかった。  
噴射を終えた右乳を握ると、どろっとした絞りカスが口の中に流れ込んで来る。  
飲み干してラウルゥラは、エナの身体から離れた。  
 
「二つ同時の射精なんて、男ですら味わえないぞ。  
気持ちよかっただろう?」  
語りかけてみたが、エナは「あ・・・あ・・・」と繰り返すのみで、  
まともな返事はない。  
唾液が頬を伝って耳元まで流れていた。  
よほど気持ちよかったらしい。  
或いは強すぎる刺激に、既に耐え切れなくなっているのか。  
「まだ二箇所、オードブルだ。  
メインディッシュまで行かせてくれよ。私はお腹が空いているんだ」  
ラウルゥラはエナの膝を掴んで、太股をこじ開けた。  
獲物の熟れた体を包む最後の一枚は、絞れば零れそうな程に濡れている。  
少女はいきなり女の股間にかぶりついた。  
「ひゃっ、ひゃひいいいいい!」  
悲鳴を上げて、エナが腰を突き上げた。  
下着越しに強く吸われると、今度はエナの股間が潮を吹く。  
正確には、膣から溢れる蜜が、潮吹きのような勢いで溢れ出ていた。  
手の平ですくえる程の愛液が、下着の隙間から漏れて、ラウルゥラの口内に流れ込んでいく。  
空腹な少女の舌が、内股を付け根目指して這い上がった。  
股下を通る布をずらして、甘く濃厚な精気の湧き出る割れ目から、直接すくいあげる。  
途端に、吸いきれぬ程の体液が舌先を満たした。  
「ふあっ、だ、駄目ですわ。もうこれ以上は、イキたくな・・・ふっ、ぐうう!」  
これまでラウルゥラの唇が触れた回数だけ、エナは強制的な絶頂感を味わっていた。  
唇と胸だけで三度も達したのだ。  
もともと快楽を得る為の部分に触れられては、下降する暇がなかった。  
長く長く、イッたまま、その快楽と刺激が収まらない。  
蜜が溢れる度に思考は爆発し、刺激を受けて感じる事以外に何も考えられなくなっていた。  
ラウルゥラの舌が、ピチャピチャと卑猥な音を立て、  
エナの割れ目を上下に舐める。  
膣から飛び散った体液が床に溜まり、エナの腰は尻まで濡れていた。  
「私、もう駄目。これ以上は、耐えられ・・・ません、わ・・・」  
エナはサーフェスの名を呟こうとしたが、呂律が回らない。  
たっぷりと唾液の絡まった舌がだらしなく突き出され、唇の動きを阻害していた。  
瞳が裏返り、白目を剥いてしまっている。  
 
「なんだ、もう限界か。  
私の空腹はまだ満たされていないし、  
お前の性感帯も二つ残っているのだぞ?  
仕方のないヤツだ。  
面倒だから同時にやって絞り尽くすか。  
本当はもうちょっと遊んでいたかったがな。  
あまり簡単にはイクなよ。イク時はイクと叫んで許しを請うんだ」  
ラウルゥラはエナの股間を隠す布を剥ぎ取ると、尻肉に手の平を当てた。  
筋肉の引き締まりによる若干の固さと柔らかさの同居した丸みは、さわり心地が良い。  
この獲物は当たりだ。  
絞り尽くすまでもう少し遊んでおきたい。  
何度か撫で回した後、ラウルゥラは指先を奥底へと無造作に捻じ込んだ。  
二つの尻の中心にある窄まりは、上から流れ込んでくる液体に濡れて、  
少女の細い指を簡単に受け入れる。  
「はおっ、おぉ・・・ど、どこに・・・ひゃあっ、お、おおおぅ。  
ヤ・・・。そこ、こすっちゃ・・・・ひっ」  
突き込んだ指をグリグリと捻り回すと、エナの腰が蠢き、  
新たな精気が前から溢れてくる。  
それを吸い上げようと、ラウルゥラは再び股間にしゃぶりついた。  
ついでに愛液の排出口の、そのすぐ上で小さく膨らむ芽に牙を突きたてる。  
感度の塊へともらたらされた無慈悲な一撃は、エナの精神にトドメを刺した。  
ラウルゥラの両手が、べちゃべちゃに濡れぼそったアヌスとクリトリスを、  
好き放題に捏ね繰り回す。  
「ぎゃひいいいっ。駄目っ、イクっ、イってる! イッてますから、もう、触らないで」  
刺激が強すぎるのか、触られてもいない乳房から、どろどろの液体が再び零れた。  
エナは床に頭を何度も叩きつけた。  
それでもラウルゥラの指と舌は、エナの下半身を一層強く撫で回す。  
「イヤ、もう、イギだくなっ、イギたくないのっひゃあっ、イク。またイク、イグゥッ」  
ラウルゥラの束縛で、エナは達する度に自らイクと叫ぶ。  
強制的で強烈な快楽の連続は、苦痛にも似ていた。  
髪を振り乱したエナは口から泡を吹き、白目を剥いて涙を流した。  
全身が飛び跳ねるように痙攣し、上半身下半身を問わず、  
あらゆる穴から精気を噴き零しても、エナはイカされ続ける。  
彼女の発する悲鳴に聞き惚れながら、ラウルゥラは獲物の膣から溢れ出る蜜を夢中で貪った。  
夢中になるあまり、彼女は背後に立つ者に気付かないという失態を犯していた。  
それ以前に、エナの乳から吹き出た精気で触角を濡らしたのが失敗だった。  
そうでなければ、サーフェスが包囲を完成させる前に、違和感位は湧き上がった筈だろう。  
 
 ぬちゅり。  
小さな粘着音と、小さくない刺激が、ラウルゥラの太股の間から沸き起こった。  
「ひゃんっ」  
胸の薄い淫魔は、思わず仰け反った。  
黒髪が揺れて背後に立つサーフェスの顔を撫でる。  
ラウルゥラは振り返り、少年のように小さな神人が自分の背後にいる事を知った。  
その手が無遠慮に自分の股間を握っている事も。  
「淫魔自身も濡らすのだな。エナはいい女だったか?」  
小憎らしい笑みを浮かべるその顔をラウルゥラは張り倒してやろうと思ったが、  
指の刺激に身体が反応した。  
薄い衣装越しに割れ目をかき回されて、ラウルゥラは「あっ」と叫んだ。  
思ったより遥かに強い刺激に震えてしまう。  
サーフェスが見た目に似合わぬ力で、そのまま淫魔の身体を投げ捨てる。  
翼を開く間も無く、ラウルゥラは背中から壁に叩きつけられた。  
黒い髪が乱れて壁一面に広がる。  
床に落ちてう呻く淫魔には目もくれず、サーフェスは痙攣を続けるエナに近寄った。  
裸のエナの肩に触れ、泡を吹く唇に唇を重ねる。  
エナは抗った。  
精気が飛んで服を濡らしたが、サーフェスは構わず口づけを続ける。  
やがてエナの喉が動き、何かを飲んだのが判ると、神人は口を離した。  
エナの動きが、次第に緩慢になっていく。  
「聞こえるな、エナ。お前に俺の体液を流し込んだ。  
やがて落ち着く。上出来だ、後で褒美をくれてやる」  
エナの唇が「フェ、ス」と動くのがサーフェスにも判る。  
激しく揺れ動いていた胸の膨らみが、ゆっくりとした上下運動に変わっていった。  
「男に興味は無いが、今回は特別だ。貴様だけはよがり狂わせて殺してやる!」  
ラウルゥラの瞳孔が縦に伸びる。  
瞳が真っ赤に燃え上がった。  
淫魔の身で辱めを受けたのは、ラウルゥラにとってこの上ない屈辱だった。  
少女は真っ黒な翼を開いて、サーフィスの背中目掛けて空を切る。  
小さな肩を掴んで神人の身体を引きずり上げ、相手の顔を覗き込んだ。  
赤い瞳に相手を飲み込むのだ。  
「貴様のモノに私の牙をくれてやる。  
噴水のように精気を吐き出し続けろ。自分の精液に溺れて無様に死んでゆけ!」  
目を合わせたが最後、神人だろうと魔人だろうと、ラウルゥラの意のままになる。  
 
淫魔と神人の視線が交わった。  
サーフェスの瞳は、ラウルゥラと同じ赤。  
瞳孔が縦に伸び、その周囲で炎が揺らめいている。  
飲み込むつもりが、次第に飲み込まれている事に、ラウルゥラは衝撃を受けた。  
淫魔しか持たない筈の瞳を、何故神人が持っているのか。  
やがてそれが間違いだと気付いた時には、手遅れだった。  
サーフェスの顔には、瞳が無かった。  
それどころか鼻も口もない。  
頭の形をした鏡の中で、ラウルゥラの瞳がラウルゥラを見ている。  
彼女は不意に思い出した。  
女王から聞いた、絶対に殺せない神人の話。  
自分の瞳に飲み込まれた淫魔は、浮力を失って床に落下した。  
鏡顔の神人は、白い翼を開いて静かに降り立つ。  
翼の尖端が顔を撫でると、鏡が消え、サーフェスの顔がそこに現れた。  
全てを反射する力。それがサーフェスの持って産まれた能力だった。  
「この力を知って生きているのは、神界でも二人だけだ。  
お前は運がいい。エナの精気を吸い終わっていたら、嬲り殺しにした。  
お前を飼って三人目にしてやる、ラウルゥラ」  
黒髪の淫魔は、立ち上がる事も出来ず、床を這った。  
胸が床に擦れるだけで、信じられない程の快感が湧きあがってくる。  
一度だけ、淫魔の力を体験した事がある。  
放蕩が過ぎ、女王の制裁を受けた時だ。  
幼ない体の全身が爆発し、強烈な快楽の拷問で気がふれる寸前だった。  
もう二度とあの体験はしたくない。しかも相手は神人で男だ。  
ラウルゥラにとって、これ以上の屈辱はない。  
胸からの刺激に声が出るのも構わず、ラウルゥラは逃げた。  
精気が股間から漏れ出して、彼女が這った後は、  
まるでナメクジが通った後のように濡れて光る。  
「逃げ場は無い。周囲は全て空間ごと俺が塞いだ。  
淫魔について知りたい事は多い。大神だろうと邪魔はさせん」  
サーフェスは床を這う淫魔の隣に立つと、剥き出しの腹に足先を入れてひっくり返した。  
仰向けになった淫魔の太股の間につま先を当て、割れ目を踏みにじる。  
ラウルゥラが悲鳴をあげた。  
精気が噴き出して、神人の足を濡らす。  
「まずは精気の量から試すか。  
エナが起きるまで待っていろ。二人掛かりでやれば手間も省ける」  
ラウルゥラにとって耐えがたいのは、忌み嫌う相手の足の動き一つで、  
自分が感じてしまっている事だ。  
今まで貪ってきた獲物のように、この男に責められて嬌声を上げてしまうのだろう。  
精気を撒き散らして喘ぐ自分の姿を想像して、ラウルゥラは絶望した。  
 
背の高い神人が、サーフェスを尋ねた。  
幾度か別の局員が彼の元へ出向いていたが、いずれも空振りだったという。  
サーフェス本人で無いとはいえ、対応が出て来ただけ自分はマシだろう。  
神人はそう考えた。  
契約管理局員の前に、人を差し向けるサーフェスの倫理は理解出来ないが。  
「フェス様はもうしばらく誰にもお会いにならないそうですわ。  
ただ、貴方にだけは伝言があります。  
大神に会う機会があれば、次の話は半年以上先にしろと伝えて欲しいと」  
「伝言の伝言かよ。判った。伝えておく。  
だが半年より早く声がかかるかもしれないぞ。  
どうも最近キナ臭い。  
女王の娘の失踪を口実に、魔界が進行してきそうだ。  
向こうは神界が関与していると言い張ってる。  
大神は認めていないが、受けて立つ構えだ。  
ホントに消えたのかどうかは知らないが、放蕩娘のせいで面倒な事だぜ。  
しかしサーフェスの野郎、今は何に夢中なんだ?」  
「下らない事ですわ」  
対応に出た女は、面白くも無さそうに言った。  
神人は小さく肩をすくめて、翼を広げた。  
飛び上がった彼を、足元の女が呼び止める。  
「神人から見て、私って魅力あるでしょうか?」  
「可愛いとは思うが、監視局員には答えられない質問だな」  
「魔人と比べてはどう?」  
「もっと答えられない質問だ」  
言い残して神人は飛び去った。  
サーフェス・・・。  
全速で滑空しながら、神人は友人の名を呟いた。  
「俺が生きてるうちは開戦すんなっつったろーが!!」  
彼が幼い頃からの友人を心から呪うのは、これで何度目だろう。  
 
黒い髪のエスパダの娘は、薄い胸の尖端を捻り潰され、  
精気を吹き零して悲鳴を上げている。  
戻ったエナは、サーフェスの背後から手を伸ばし、  
淫魔の股間にある肉の芽を力任せに捻り潰した。  
絶叫が迸り、エナの手に精気の雨が降り注ぐ。  
ラウルゥラは白目を剥いて悶絶した。  
サーフェスがエナを睨み上げる。  
そ知らぬ顔で、エナは部屋を出た。  
 
 ディスパイスドゥルは自らの手に繋がれた、エスパダの小指を眺めていた。  
殺すにしろ殺されるにしろ、絶世の美女の相手は、  
自分の身に、壮絶な快楽をもたらしてくれる事だろう。  
水中で笑みを浮かべると、口元から気泡がたゆたった。  
 
エスパダはラウルゥラを除く全ての娘を城に集めて、開戦を宣言する。  
神界から戻らぬ十人目の娘の事など、もはやどうでも良かった。  
ただ、干からびた老人との駆け引きを続ける事に、ウンザリしただけなのだ。  
 
 やがて来る神魔開戦の引き金を引いたのは、神界。  
立案者はディスパイスドゥル、実行者がサーフェス。  
それを知るのは、三層それぞれの種族で、ただ一人ずつだった。  
 

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