船のマストの上をカモメが飛び交っていく  
海峡を遥々越え『杭の岩の港街』にやってきた冒険者コンビ  
 
「うう!・・むぅ やっと着きましたね姉御!  
 ふぅ〜、何だか体がまだ揺れてるっす」  
 
短足チビの舎弟分が船から降りるやいなや、大きく伸びをして辺りを見渡す  
 
「いやぁ、デッカイ街っすねぇ!  
 おおーー! 妙な形の船が! ここは外国船も入港してんすねぇ  
 どこの国の船なんすかねぇ!」  
「お約束の田舎もの丸出しはいいから、さっさと行くぞ」  
 
はしゃぐ舎弟分を置いて、長弓を携えた背の高い姉貴分は  
すたすたと歩き出していた  
 
「おお!姉御! 今度こそ、俺、活躍してみせますよ!  
 それじゃ、冒険者の基本!てことで、さっそくギルド尋ねましょお!!」  
 
 
 
歩くこと十五分ほどで、ギルドの建物に到着  
何やら中でいがみ合うような声がする  
 
「冗談じゃない! マスター!頼むよ  
 あと三日、せめて二日チャンスをくれ!」  
「・・・そうしてやりたいのは山々だがなあ、依頼主にせっつかれてるんだよ  
 やはり、こいつは、あんた一人じゃ手に余るぜ」  
 
ギルドマスターらしき中年の男と背の高い若者が  
カウンターを挟んで言いあっていた  
 
「あ!!」  
「な!・・・」  
 
その若者を見た瞬間、姉御と舎弟分は息を呑んだ  
声に気付いて、言い合っていた二人もこちらを向く  
 
「え?!・・」  
 
同様に息を呑み、しばし時間が止まる  
建物内の他の連中も、首をかしげるように注目していた  
 
 
 
「な・・ なな?! あ・・姉御が・・二人・・」  
 
舎弟分が止まった時間を再び動き出させる  
全く同じ背丈、その半分以上を占める長大な脚、草色の短い髪、  
目鼻立ち・・金眼  
違うのは身に付けてる物と喉仏の有無  
その若者は腰にロングソードを挿し、そして男性であった  
 
瞬き一つせず、見開いた吊り眼がちな瞳が見つめあう  
しかし先に冷静さを取り戻したのは姉御のほうだった  
 
「何を揉めてたんだ?  
 手に負えない大仕事を、一人で抱え込んでるのか?」  
いまだ、つままれたような表情のギルドマスターに尋ねる  
 
「あ? ああ・・ 何だ、あんた 姉弟か何かかい?」  
「違う、 他人のそら似 ただの偶然だ」  
姉御が答える  
 
「そうか・・ あんたは、弓使い?か・・・ いや、随分と立派な弓だが・・  
 向こうの漁師町でローレライを片付けた『エウリュアレの眼』とかいう  
 女射手がいると聞いたが、まさか・・・」  
「おお! やっぱりあんたがそうか! 噂はしっかり届いてるぜ  
 いや、実にその通りなんだ  
 ここに逗留中の学者からの依頼なんだが  
 『杭の岩』て場所にある洞穴から大昔の海賊の遺品を回収してくる内容でな  
 せっつかれてるにも関わらず中々、彼一人で難儀してるようで、  
 あんた良かったら手伝ってやってくれねえかな」  
 
「ふざけるな!」  
姉御そっくりな剣士がようやく口を挟む  
 
「俺一人で充分だ! 誰の助けもいらん!」  
 
気の短い姉貴分がまた口を出す  
「かっこつけたい気持ちはわかるがな、分ってものをわきまえないとな  
 依頼主をイライラさせるなんざ、最低だぞ」  
「ぐ!・・」  
 
言い返そうとして、思わず口を噤む剣士  
顔は同じでも、気迫は彼女のほうが遥かに上だ  
 
 
結局彼はマスターの諭し口調と姉御の脅し口調の絶妙な  
説得コンビネーションの前に折れた  
 
姉御はようやく吊り上った目に笑みを浮かべてみせたが、  
彼は同じ吊り上った目をやや悔しげに伏せたまま足早に立去って行った  
 
「いやぁ、驚いたっすね・・  
 世の中、あんなそっくりな人がいるものなんすねぇ」  
「・・・」  
終始意地を張りあう同じ顔を注視し続けるのみだった舎弟分  
姉御もまた、今更ながらうわの空に陥っていた  
 
海にせり出すように突き出た断崖絶壁、  
この港町の名ともなっている『杭の岩』と呼ばれる名勝奇岩群だ  
その、そそり立つ岩のひとつの中腹に開いた穴を波飛沫が飛び散る海岸から  
見上げる三人の冒険者  
 
「あの穴に登りたいわけだな」  
「・・足場になる場所があったのだが、鳥の化物に襲われて、  
 足を踏ん張った拍子に崩れてしまったんだ」  
「よく命が無事だったな」  
「上手い具合に海に落ちたから」  
「運の強い男だ それであの上った先の穴の奥にお宝があるわけか」  
「下へ降りる複雑な回廊になってるようだ、途中水没してる場所があり  
 目標の海賊の宝はその奥のようだ」  
「つまりそこから先は! 俺の出番すね!」  
何やら鼻息荒い舎弟分  
 
「・・そうだな、おまえ泳ぎだけは得意だからな」  
「へい! 任せておくれっす!!」  
 
上を見上げたまま、剣士に話し掛ける姉貴分  
「しかしなぁ、 あんた一人じゃ一生かかってもこんな場所、攻略できねえぞ  
 もう少し、身の丈にあった仕事を選ばねえとな」  
 
剣士は拗ねたように目を逸らす  
 
「ふん、可愛げない奴だね」  
((あたしも拗ねるとこんな顔なわけか・・ なんか可笑しいね))  
普段なら小突いてるところだが、なんとなく手出しできない彼女であった  
 
「さて、それじゃ始めるか」  
姉貴分はロープのついた矢を弓に番え、真上へ向けた  
 
ヒュン!シュル!シュル!シュル!・・  
 
ロープアローが勢いよく空にむかって尾を引き、ガッ!と穴付近の岩壁に  
突き刺さった  
グッ!とロープを力一杯引っ張ってみる  
「うん、大丈夫だ しっかり突き刺さってる   
 あの時の教訓から持ち歩いてるが、こんなところで役に立つとはな  
 それじゃ、あたしが登りきったら一人づつ付いておいで」  
一方的に指示を出すと、ひょいとロープに捕まり、あれよあれよと登って行く  
 
下から、長い脚で壁を蹴って登って行く姉御の尻を見上げる野郎二人  
「・・・あんたの彼女、身が軽いな まるで蜘蛛みたいだ」  
「・・・彼女・・ いい響きだねぇ、 残念ながらそうじゃないんだよね」  
「・・彼女が言ってた、あの時の教訓て?」  
「・・俺はあの時、こんな物、持ってなくてよかったと思ってるけどね」  
「はぁ?・・ ん? なんだ?彼女登る手が止まったぞ」  
「し! 敵の近づく気配を感じてるんだよ、あの目つきは」  
 
間もなく、翼の幅が5メートルは超えようかという影が陽光の中から出現した  
しかし、岩壁の途中の女射手の動きは早い  
その姿がはっきり確認できそうな距離まで近づいた頃には、魔法の光を  
たなびかせる術矢が、飛翔物体を目指していた  
 
クエェ!!!ーーーーーーーーーーーー  
 
鋭い鳴き声がしたと同時に、怪鳥の首と両方の翼と胴体は別々に飛び散り  
螺旋を描きながら、バシャ!バシャ!バシャ!と其々別の海面に墜落した  
 
ざざぁ・・と、何事もなくさざめく海面を信じらないといった目で見つめる剣士  
 
「そ・・ そんな、 あの怪鳥を・・たったの一発で・・・」  
「あの程度の化物なら、姉御にとっちゃ、赤子みたいなもんだよ」  
舎弟分が我が事のように自慢げに鼻を鳴らした  
 
「おーーーい! いいぞ! 上がって来ーい!」  
何時の間にか穴まで辿り着いた姉貴分が大声で呼ぶ  
 
 
「・・ふう やっと登れた」  
「遅かったじゃないか」  
「ぜえ・・ ぜえ・・ すんません・・ お二人みたく足が長く無いもんで」  
「それじゃ、さっさと行くよ」  
三人は松明に火を灯し、回廊の中へ降りて行った  
 
 
曲がりくねった地下道を歩くこと小一時間、ようやく開けた場所に辿り着いた  
そこから先は道が水没している  
 
「よし、ここから先はおまえの出番だ」  
「よっしゃ! それじゃ失礼して・・・」  
そそくさと服を脱ぎ出す舎弟分  
 
「しかし、この洞窟・・ 自然に出来たものじゃないな」  
「そうですね、 海賊が掘ったものでしょう   
 途中いくつも白骨が落ちてましたが、 たぶん秘密を保持するために  
 殺されたのかもしれませんね」  
剣士は怪鳥を撃ち落す様を見てからは、すっかり言葉遣いが丁寧になっていた  
 
不意に姉貴分の視線が鋭くなる  
間髪入れず、背後のこれまで来た道のほうから、  
カタカタ・・、カチャカチャ・・という妙な音が聞こえ始めた  
 
「来るぞ・・ 足音からして不死者だな」  
「はい・・ けっこうな数いるようですね」  
姉貴分は弓を構え、剣士もすらりと剣を抜く  
 
「姉御・・」  
「心配するな! 所詮ザコだ! おまえは早く行け!」  
「わ! わかったっす!」  
舎弟分は二人を残してざぷん!と水の中に消えて行った  
 
剣士が射手の前に回りこみ、そこから狭まる場所に剣を構えて立ち塞がった  
「おい! おい!・・」  
「大丈夫です! 足場の覚束ない場所ならともかく、ここなら!  
 立会いなら任せてください! ただ、俺の剣は並みの剣だから、  
 アンデッドを完全に粉砕出来ない  
 あなたの腕なら、一本の矢で縦に敵を数体づつ粉砕出来るはず!  
 引き付けて引き止めますんで、どうか!」  
 
姉貴分はふっ・・と笑みをこぼした  
カタカタという骨を鳴らす音はいよいよ大きくなり、  
間もなく、骸骨戦士が錆付いた剣を振り上げて現れた  
 
キーン! カァーン!  
 
骸骨戦士と剣士がはげしく斬り合いを演じる  
狭いといっても、無駄な肉のない不死者は、横に二体並んで攻撃できる  
剣士はそれを一人で上手くさばき、 しかも敵が縦に並ぶよう巧みに身を翻す  
 
ビシュ! グシャァ!!  
 
背後からここぞという瞬間、術矢が放たれ、一度に二、三体の白骨体を  
木っ端微塵にする  
ここまで細かく粉砕されるとさすがの骸骨戦士も二度と復活出来ない  
 
「ぐ!・・」  
剣士の腕を錆びた剣が掠める  
怯んだところを、続けざまに脚と腹部にも斬撃が襲った  
「う!ぐぅ・・」  
 
「もういい! こっちに跳んで、伏せろ!」  
射手の指示で、剣士は素早くその場から飛び退く  
 
『エウリュアレの眼』は二本の矢を番えると、最大限に念を込め、  
回廊をズカズカと寄せて来る醜い死体どもの、最も後方にいるやつめがけて放ち  
自らも床に伏せた  
 
ドッ!! と魔力の暴発する音が響くやいなや、光の爆風が回廊内を吹き荒れた  
 
 
「・・ふぅ、終わったな」  
 
二人の冒険者は、ぱらぱらと頭や肩に積もった骨の破片を払い落としながら  
ゆらりと起き上がる  
 
「さすが・・ やるものですね」  
「あんたこそ大した剣の腕じゃないか  
 一人で突っ走りたくなる気にもなるわけだ」  
二人は同時に笑みをこぼした  
 
 
ザバァ!   
水没した回廊部分から舎弟分が顔を出した  
 
「姉御! 無事だったすか!」  
「あたしがやられるわけないだろ それで、この先はどうなってんだ?」  
「へい、 水に浸かってるのはこの先100メートルくらいすね、  
 その先はまたぽっかりと広くなってて、それで・・」  
 
舎弟分は手に持ったレリーフのような物をかざして見せた  
「他にも、壺やら装飾品やら色々落ちてたっす」  
「お! 本当か!」  
「あ、じゃ俺も行きますよ・・」  
 
傷を抑えながらも剣士が立ち上がろうとするのを、姉御が押しとどめる  
「あんたは駄目だ、 水に浸かると怪我が化膿するぞ  
 てわけで、袋を渡すからおまえ、一人で頑張れるか?」  
「もちろん! これ位しか役に立たないっすから」  
 
舎弟分は、持って来た数枚の大袋を抱えて、ざぷん!とまた潜って行った  
 
「・・・何だか、申し訳ないな 元々俺の受けた仕事なのに・・・」  
 
姉貴分が近づいてきて、その脇にしゃがみ込んだ  
「持ちつ、持たれつだよ人生は、 てところで怪我を見せてみろ」  
 
剣士は上着を脱ぎ捨て、上半身裸になる  
 
「・・・ふぅん 肩幅は狭いけど、やはり男だね  
 細いながらもしっかり筋肉がついてるな」  
「・・肩幅の話はやめてください  
 昔から女に間違われて、結構気にしてるのですから」  
「そうかい あたしは子供の頃はよく男に間違われたけど  
 何とも思わなかったぜ」  
 
姉貴分は松明を更に数本、火を灯して周囲に置くと、  
ポーチから酒の入ったボトルを取り出した  
 
「あの・・ それは?」  
「気付け薬代わりさ 下手な薬草より消毒効果がある」  
そう言うと、くっ・・と一杯口に含み、  
ぶぅー!と剣士の腕の傷口めがけて噴きかけた  
 
「うぉ!」  
染みて、顔を顰める剣士  
 
「冷たいままだともっと染みる、 それで口の中で温めてやったのさ 感謝しな  
 それじゃズボンも脱ぎな」  
「え? あ、はい」  
 
剣士は血の滲んだズボンも脱いで、下着一枚になった  
 
「あらら、脛毛が無いねえ 自分の脚見てるみたいだよ」  
「・・・言わないでください」  
 
姉御はニヤニヤしながら、ぐびっと酒を口に含んだ  
ぶぶぅっ!・・・脚の傷に酒を引っ掛けられる剣士  
 
「く!・・」  
又しても、染みて顔を顰める  
 
「くく・・それにしても・・」  
「くぅ・・ ん? なん・・ですか?」  
急にクスクス笑い出す姉御に剣士が訝る  
 
「あたしもこんな時にはこんな顔してるわけか、それがちょっと可笑しくてね  
 自分と顔が同じやつが目の前にいるってのは妙な気分だな」  
「・・・それは、  
 俺のほうこそ自分に説教されてるような、おかしな気分ですよ」  
「それじゃ、最後に腹にぶっかけるよ」  
 
姉御は、ぐびぃ〜と思い切り酒を口に含む  
そして、覚悟!とばかり、彼の臍の脇目掛けて吹き付けた  
 
「うあお!!」  
 
飛び上がりそうなほど染みて、体を震わす剣士  
 
「あはは! 大袈裟だね」  
「くぅ!・・ 笑い事じゃない・・ですよ」  
 
「ところで、あんた歳いくつだ?」  
「え?・・・」  
姉御の唐突な質問に剣士は顔を上げた、吊り眼同士が見合わせる  
 
「へえ、あたしより三つ下か あいつよりもさらに年下だったんだね」  
「そうでしたか それじゃ俺も姐さんて呼ばなきゃかな  
 ええと・・ 彼とは? 恋人では無いと言ってましたが」  
「その通りだよ 冒険者仲間さ ・・・まあ、セックスはしたことあるけどね」  
 
あたかも鏡を置いて映しているかのような二人の間に流れる沈黙  
 
「なんだい? その目は? もしかして軽い女だと思ってるのか?」  
「・・いえ、別に」  
「ふぅん・・ あたしも嫌悪感を抱いてる時は、こんな顔なわけか  
 まさか、女を知らないってわけじゃないだろ?」  
 
剣士は無言のまま答えとした  
 
「あれま、そりゃまた意外だね 娼館も行ったこと無いってかい?」  
 
姉御の好奇心丸出しの詰問に剣士は口篭もりながら答える  
 
「・・俺 ・・その、女に触られると、鳥肌立つのです・・」  
「へえ・・」  
 
姉貴分が悪戯っぽく細めた視線で指を不意に近づける  
 
「わ!・・」  
すいっ・・と軽く胸を撫でられ身を竦める剣士  
 
「な・・ 何、するんだ・・」  
「触ったんだよ どれどれ、鳥肌なんか立ってないじゃないか」  
「ふ・・・不思議ですね あなたは特別なのかも  
 何だか、顔そっくりだし・・・」  
 
 
ザパァ!!  
水の中から舎弟分が一杯になった大袋を持って顔を出した  
 
「とりあえず、第一陣かき集めて来ましたぜ  
 まだ奥に道があるの見つけたんで、そっちも見て来ます」  
「あまり無理はするなよ、 危なそうなら引き返してこいよ」  
 
水の中に彼が消えると、姉御は唐突な展開に腰の引けた彼ににじり寄る  
 
「女に興味が無いってわけじゃなさそうだね・・」  
 
固まった彼の引き攣った顔に姉御の手がかかる  
手鏡に映したような自分と同じ顔  
 
「あ・・ あの・・ やめて・・ください・・」  
「ふふ・・・ そういう割には、体は拒否してないじゃないか」  
 
姉御はぺろりと一回舌なめずりすると、すっ・・と顔を近づけた  
そして形の同じ唇同士が接触するいやらしい音が響いた  
「ん!・・」  
 
同じ顔した年上女に突然唇を奪われ、驚いて眼を見開く剣士  
ナルシストが鏡に映った自分と口付けを交わすかのような情景  
しかし、その唇は鏡面を歪めてしまったかのようにはっきりと重なりあっていた  
 
はぁ〜・・と口の中に片方の顔が、もう一方の口の中に息を吹き込む  
「ん!・・ は・・」  
先ほど口に含んでいた酒の風味も混じる女の甘い息に、  
吹き込まれた方は頭がかぁー!と熱くなった  
 
「ぬふ・・ んちゅ・・」  
重なりあった鏡像の互いの口の中に其々の舌が潜り込んでいくのだった  
 
濃厚な接吻を交わす姉御と年下剣士  
 
「んふ・・ んく・・」  
同じ並びの歯が軽く当り、同じ長さの舌が絡み合い  
唾をたっぷり含ませて淫靡な音を立てながら飲ませあった  
 
 
姉御は唇を離した  
今だ痺れたように伸ばしたままの舌先同士、たらり・・と唾液の糸が繋がっている  
 
「はぁ はぁ・・・ いきなり・・何を・・」  
「キス、 したんだよ」  
「あ、あんたが・・ こんなに・・淫乱だった・・なんて」  
「ふぅ、馬鹿だね 誰にでもってわけじゃないさ  
 あの剣捌き見て、もっとスキンシップを取りたくなってきた、仲間としてね」  
 
姉御は鎧を脱ぎ捨てた、そしてシャツを捲り上げて胸を肌蹴た  
 
「わ・・・」  
剣士は、同じ位の肩幅でありながら、自分の体には無い、形のいい二つの隆起に  
視線を奪われる  
 
「触りたきゃ、好きにしていいぞ」  
胸を突き出すように腰を捩る姉御  
剣士は二つの生白い惑星の引力に惹かれていくように手を伸ばしていく  
 
「どうだい? 鳥肌立つかい?」  
「あ・・ その・・ いえ・・」  
剣士は初めて触る女の乳房の感触に無意識に指を動かしていた  
 
((・・これが女の胸・・ なんという、やわらかさ・・・))  
「ん・・ ふふ いいよ もっと・・揉んで」  
 
彼は姉御の乳房を揉みしだいた   
女のようなしなやかな指が美乳に食い込み、揉みくちゃにした  
 
「んん・・ あたしの・・胸 気にいったみたいだね・・  
 吸って・・みても いいんだよ」  
強気な面に似合わぬ、艶のかかった囁きに呼応するように彼の頭が  
倒れこんで来た  
 
「あ・・」  
乳首を咥えられ、びくんと身を震わす姉御  
 
「んぐ・・ むぐ・・」  
((ああ・・ 温かい・・ 彼女の・・心臓の音が・・ 頭に響く・・))  
彼は夢中で姉御の乳を口に含んで吸いたてた  
 
「は・・ふ・・ 自分で・・ 自分の胸・・ 吸われてる気分・・だよ」  
姉御は、必死で被り付いてる自分と同じ色の髪を撫でた  
 
   
ザパァ!!  
水の中から舎弟分が一杯になった大袋を持って顔を出した  
 
「第二陣!到着っす!  
 あれ? 鎧、外しちまったんすか」  
「うん、肩が凝っちまうからね あんた今回、大活躍じゃないか」  
「おお! そう言われるとうれしいっす! そんじゃ、また行ってきまーす」  
舎弟分は水の中へ消えて行った  
 
 
姉御はショートパンツを、中の下着ごとずり降ろし  
ブーツを履いたまま片方の足から抜いた  
そして、挑発するような姿勢で大きく足を広げて見せる姉御  
 
「うぅ・・」  
剣士は自分と明らかに違う腰周りと生白い下腹と太ももの付け根を  
食い入るように見つめる  
 
「・・・これが・・ 女の・・・ 毛の色だけは・・俺と同じ・・・ 」  
「あんたも下着、膝まで降ろしな」  
 
姉御が命じる  
しかし彼は、女の生の腰周りに眼を奪われつつも、中々応じようとしない  
 
「何、してんだい?」  
じれったくなった姉御が手を伸ばそうとした時、彼の手がそれを阻んだ  
 
「自分で出来ます」  
何やら覚悟を決めた表情で、彼はパンツをずり下げた  
その中から、目の前の痴態にすっかり興奮して力を漲らした肉の剣がお目見えした  
・・・しかしそれは、しっかりと皮を被っていた  
 
恥じ入るように視線を落とし、ぐっ!と唇を噛み締める剣士  
姉御は彼の心中を手早く察し、そっと寄り添った  
 
「あんた、 女に触れると鳥肌立つてのは嘘だね  
 こいつを女に馬鹿にされて、それが心の傷になってたわけか・・」  
「く!・・」  
 
思わず横を向く剣士に、姉御の手が伸びた  
 
「え?・・うわ!」  
姉御のしなやかな指が、被った状態でありながらも立派に屹立してる物を掴んだ  
ビクン!と彼の身に電流が走る  
 
「こんなくらいで、劣等感抱いて情けない顔してんじゃないよ  
 こっちまで情けなくなるよ、自分の顔みたいで」  
 
そういうと姉御のしなやかな指が彼を剥き始めた  
 
「く!・・」  
「痛いのかい?」  
「いえ・・ 騒ぐほどでは・・」  
姉御は摩擦を加えながら、ゆっくりと剥いて行く  
 
「うう!」  
「我慢しなよ・・ 全部、面倒みるから」  
 
姉御は亀頭の上に顔を翳し、舌を伸ばしてとろり・・と涎を垂らす  
満遍なくしなやかな指で塗しつけ、潤滑させながら更に剥く  
 
「あぁ!・・」  
「もぉ少し・・」  
剥かれる痛みと快感が入り混じり、女みたいな声で喘ぐ剣士  
やがて彼は、姉御の手の中で完全に芯を露出させられるのだった  
 
「ふふ・・ あいつと比べて、綺麗なピンク色だね」  
「ふぅ・・ ふぅ・・」  
姉御の涎でべたべたになった彼の分身を、尚も彼女の手が軽く摩り続ける  
 
「さ、それじゃ横になりな」  
 
大人しく従う彼  
姉御は、ゆっくりとその腰の上に跨り、身を添えた  
 
騎乗位の体勢で同じ顔の金の瞳が見つめあう  
しなやかな指が脈打つ頼りなげな色の剣身を掴み、自身の鞘口に宛がった  
 
「う・・」  
ぺちょっとした感触と、自分以外の体温を先端に感じて彼の身に一層力が入る  
 
姉御は心の中で呟いていた  
((・・・あの日、おまえがあたしを女にしたように、あたしはこいつを男にする  
  おまえとは、恋仲というわけじゃないが・・ すまん))  
 
「・・・それじゃ、一つになるぞ」  
上に乗った姉御の口が呟くやいなや、股の間で湿った生温かい感触が、  
ずん・・と割れながら天を向く漲りを包むように沈み込んで来た  
 
「んう!・・ く・・」  
 
双子のように姿が同じ者同士、互いの体温がずぶずぶと交合していく心地よさに  
同じ調子で声を上げる  
やがて、男の未使の竿は女の尻の陰で見えなくなり  
草色の陰毛同士がじょりっと接する音が、二人の交合が最深部まで成された  
ことを告げた  
 
騎乗位で繋がった同じ顔の潤んだ金色の瞳が見つめあう  
 
「ふふ・・ どうだい? はじめて・・ 女の体に・・ 突っ込んだ・・  
 気分・・は?  
 ほら、見てみな・・ 感じるだろ?  
 あたしら・・ セックス・・してんだよ」   
「はぁ・・ はぁ・・ あぁ・・・」  
((きも!・・ち・・いい・・ なんで・・ こんな!))  
 
あまりの快感に、ろくに話もできない彼の鼻の頭にちゅっと口付けする姉御  
彼の力弱い亀頭を姉御の熱く滑る膣がやわやわと揉み包む  
 
「あ!・・ あぁ!」  
((だめ! だぁ・・))  
とても堪え切れず、彼はドッ!と迸らせた  
 
「ん・・ 出たか・・ くぅ・・ あつ・・」  
姉御は金眼を細め、彼と共に小刻みに震えながら、その濃く熱い一番搾りを  
身中深く受け止める  
 
「ふぅ・・ ふぅ・・ んく・・」  
「ふぅ・・ ふぅ・・ ちと早かったけど、おまえ・・  
 あたしの・・この腹ん中に射精・・したんだぞ  
 これで一応・・ 男に・・なれた・・わけだ」  
 
あっという間に精注を終え、いまだ、しっかり嵌ったままの二人のつがい目から、  
黄ばんだどろどろが溢れ落ちた  
 
「ふふ・・ あんたの出したやつが、あたしの中を流れていくのがわかるよ  
 かなり、溜めてたみたいだな・・」  
「あ・・ あね・・姐・・さん・・ 俺・・ 俺・・ すいま・・せん」  
「別に、謝らなくともいいさ 変なやつだね」  
 
 
ザパァ!!  
水の中から舎弟分が一杯になった大袋を持って顔を出した  
 
「第三陣!! あれ? 姉御は?」  
「・・・用を足しに少し上に登ってます」  
「そおか そんじゃ、また行ってくるぜ」  
舎弟分は水の中へ消えて行った  
 
「・・・行ったか」  
 
暗がりから、姉御がすぅ・・と現れる  
上着もブーツも全て脱ぎ捨て、産まれたままの姿となっていた  
ごくり・・と唾を呑む剣士も下着を脱ぎ捨てた  
 
松明の灯りに照らし出される全裸の男女  
 
「あらら、せっかく剥いたのに、また幾らか元に戻っちまってるね  
 でもあんた、心なしか、少し自信の出た顔してるな」  
「頼りなくて・・ すいません・・・」  
「それじゃ続きやるぞ 今度はあんたが上になってみるかい?」  
 
胸周りと股間以外シルエットの同じ肉体がむにぃと抱き合い、床に沈んでいった  
 
「・・・慌てるなよ さっき入れた場所だからな 間違って、ケツに挿すなよ」  
「・・・はい・・」  
 
先ほどの放出で泡立ち塗れの女の脚の付け根が大きく広げられ  
まだまだ放ち足りない男の脚の付け根が重なった  
 
「確か・・ ここだ・・」  
興奮気味の彼は、サイズだけはそれなりの分身を手で掴んで  
姉御の温かな体の中へ挿入し始めた  
 
「う・・ん・・」  
姉御は低く溜息をつくと、きゅっ!と中を締めるように体の奥を蠢かせる  
 
「く!・・うぅ・・」  
余りの快感に頭を逸らして唸る剣士  
姉御の強烈な膣圧により、彼の分身は嵌って行くにつれ、  
包皮が再び捲れて芯が露出していく  
そして、根元まで姉御に挿し込むと同時に、ほぼ完全に剥けた  
 
「ふぅ・・ 全部・・ 突っ込めた・・・みたいだね」  
「ふぅ・・ ふぅ・・」  
 
結合した男女のシルエットから熱い溜息が漏れる  
姉御が、己の上の同じ顔立ちを下から両手で掴んで引き寄せた  
 
「・・さあ あたしを抱きな あんたのやりたい様でいいから」  
 
松明の灯りに囲まれた中で、同じ長さの二つの白い肉体が抱きしめあい、  
熱気を帯びて妖しげに蠢く  
 
「ふ・・ う・・ く・・ う・・」  
 
二人揃って密着した肌をリズミカルに波打たせ、同じ調子の喘ぎを合唱する  
冒険者達は、共に手を携えて戦った者同士、労いと絆を深めるため  
素っ裸で結び合い、情を交わしているのだ  
 
「は! あぁ! あ!・・ あね!・・ あね・・さふ!」  
新たな舎弟分は、そのまだまだ頼りない抜き身で、  
若さに任せて姉御を突き上げ、かき回した  
 
「は! あぁ! いぃ! なか!・・なか! いぃ!」  
下で抱かれる姉御は、単調ながらも必死で自分の中で擦り動く彼に  
しとどに潤わせて応える  
 
((ん! ん!  姐さん! 感じる! 気持ち!・・いい!  
  これ! これが・・ セッ・・クス  
  おれ! 俺たち! やって・・ るの・・ です・・ね!))  
新舎弟分は強く優しい姉貴分に今や身だけでなく心も包み込まれていた  
 
((ん・・ ん・・  感じる・・ あたし・・が あたし・・の 中で・・  
  びくびく・・ して・・・る))  
姉御は瓜二つの異性との抱擁による快感で澱んだ意識の中、  
鏡の中にいる幻想に囚われていた  
 
((ふ! ふふ! 姐さんの・・!  もっと・・! 感じたい!     
  う! ふぅ・・  もっと!・・ やるんだ!  姐さんに・・・))  
((ふ・・ ふふ・・ よだ・・ れ・・ 垂ら・・ して・・  
  う! ふぅ・・  ひ ひでえ・・ あた・・あたし・・の・・ 顔・・))  
 
互いを刻みあう姉貴分と新たな舎弟分  
見詰め合う金の吊り目、鼻の頭をくっつけあい、同じリズムで息を吹きかけあう  
 
「あ! あぅ! あ! ん!」  
 
一塊の雌雄と化して情交に埋没する冒険者達  
白い蛇の如く、同じ長さの脚を絡ませ合い、腕を巻きつけた身をくねらせる  
同じ色の短い髪が汗を散らし、交わる二つの肉体をしっぽりと濡らす  
 
あたかも双子の姉弟が相姦を行ってるかのような二人の体が  
いよいよ蕩けあって行く  
 
「は! は! あね! あね・・さん!・・こし!・・ こしが!・・  
 う! くふ・・ とまら!・・なぃ!」  
 
善がり捲くる姉貴分の溢れ返る熱泉の中で、彼はいよいよ窒息しようとしていた  
 
「は! は! あぃ!・・いぃ・・よ!   
 う! くふ・・ さい!・・ご!・・まで・・ ぜん・・ぶ!  
 あたし・・に!」  
 
互いの粘膜を刻みあう卑猥な湿り音が沸騰して行く  
二人の体液で、ずぶ濡れになった草色の陰毛同士がぐちゅ!ぐちゅ!と  
激しく縺れ合う  
 
「う! ぐうぅ!!・・」  
感極まった新舎弟は唸り声を発しながら、姉貴分と深々と合体すると  
遂にその奥で二度目の欲情を吐き出した  
 
「あ!・・ はぁ・・・」  
胎内で弾け出る熱い感触に姉御はぶるんと身を奮わす  
必死に自分を抱き締め、腰を押し付けて精を放つ彼を  
下から両手足でぎゅっと抱き止める  
 
((あ・・・ あたしが・・ 注い・・でる・・  
  ふ・・ぅ・・ たんまり・・ だされ・・てる・・))  
 
だらしなく舌を伸ばし、瞳を朦朧とさせて緩みきった同じ顔が  
互いにがくがくと戦慄かせながら子宮への放出と充填を愉しむ  
 
『エウリュアレの眼』の異名を持つ凄腕女冒険者は、自分の中で男になった  
彼の欲望の濁流を、幻鏡の錯覚の中で受け止め続けた  
 
**********************************  
 
ザパァ!!  
水の中から短足舎弟が一杯になった大袋を持って顔を出した  
 
「ふぅ! これで、最終っすね」  
「よくやった! すごいお宝の量だな  
 このまま持ち逃げしたほうが儲かりそうな気もするぞ」  
 
足長舎弟が口を出す  
「姐さん、これは金目のものにはとても・・」  
 
短足舎弟が言葉を繋ぐ  
「そおっすね  
 まあ、学者さんなら、価値があるってところじゃないですかねえ」  
 
舎弟どもに解説されて、柄にも無く舞い上がり気味の顔を引き締める姉御  
「馬鹿だな、 冗談だよ  
 さて、それじゃあ 撤収するかい・・  
 ん? なんだ、おまえ 何嗅いでんだ?」  
 
しきりにくんくんと鼻を鳴らす短足舎弟  
 
「・・・いえ、なんか妙な匂いがしたもんすから・・」  
 
(終わり)  
 

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