ここは、何処だ―。
鬱蒼とした茂みの中、見えるのは極彩色の異様な植物、聞いたことのない鳥と獣の声、溢れる緑の匂いにどこか硫黄のような臭気が混じった奇妙な臭い。
こんな場所は世界中を探したってあるかどうか。そもそも俺は日本にいたわけだから、というか学校にいたしな。
いや、俺は、重要な事を忘れていた! 俺はこんな場所に居るわけがないのだ! スレタイが“女の子が〜”だからな。
失礼失礼。これからは女の子やりますので。でわ着替えてきます。
此処は何処?
確か、式の話が長くて、立っているのが辛くなって、それで……貧血?
貧血なら保健室にいるはずなのに、小生地面に投げ出されていますよ?
植物は癒し効果があると聞いたことがありますが、こんな派手な色で、動く植物は逆に体に悪いのはないでせうか。
ていうか、此処はすでに現代日本ではないと思うのですが。
1:背景はセット
2:誘拐されて人跡未踏の秘境に
3:異世界に転移
4:世紀末救世主
4は問題外として、正解は5の夢ね。あー、夢なら早く醒めて欲しい。
なぜなら、目の前の植物が、無数の蔦をこちらに向けているから。乙女のカンではピンチですよ? 蔦というか触手ですよ? このままでわ21歳未満お断りな世界になるというか、起きてー。小生起きてー。
てなわけで、小生謎の植物に捕らえられてしまいました。
先端から透明な汁を出している蔦、いや、触手に手足の自由を奪われております。今は手首や足首にまとわりつく程度ですが、21禁な展開も時間の問題ですよ?具体的には2、3日後までには。
うむむ。小生の必死の抵抗(力任せに脱出を試みる、命乞い、誉め殺し)も効かない強敵であるとは。植物、貴様が12人目だ。小生の最終兵器、『神に祈る』を使わせたのはっ!
えーと。はんにゃーはんにゃー。
ひゃんっ。
祈りに夢中で気がついたら、細い触手がカラダを弄ってました。
首筋や頬、一部で絶対領域とか言われるスカートとソックスの間なんかの肌が露出した部分を舐めるように這い回っていますよ。くすぐったいような気持ち悪いような妙な感覚。
ふわわわわっ!
器用にもタイを解きにかかりましたよ。このままでわ脱がされるのも時間の問題というか、何故植物が服を脱がそうとするのか―!
ごぶるっ。
ツッコミを防ぐためか太い触手を口に突っ込まれました。
この触手、表面がヌルヌルするし、腐り墜ちた果実の臭いがします。噛みきってやろうにも、大きすぎて顎に力が入らないのと、液体で滑るためうまくいかない。
ええい、ならば舌で押し出してくれるわ!
んちゅ、くちゅ……ぺろぺろ……。
ふふふ。どうやら舌が弱点のようですのう。くびれている部分や先端を舐めるだけで痙攣を起こしておるわ。
少し太さが増したような気がするが、せめてもの抵抗なのでしょう。
しかし、手、いや舌を緩めるわけにはいかないのです。口の触手を舐めている間はカラダの触手の動きが鈍っているけど、舌の動きを止めれば再び活発化するのは必定。
そうすれば、小生の(御想像にお任せします)カップの乳がまろび出るやもしれぬ。そんな展開には持っていかせるわけには。
くちゅ。んむ……あんっ。
さらに舌を激しく動かす。小生のカンでは大分弱っている。ならば全力でトドメを刺してくれる!
ぴちゃ…。んっ、ごぶっ。
少しも経たぬ間に触手はどろりとした液体を吐き出す。毒ではないかとも思ったが、触手に口を塞がれていては吐き出す事はできません。次第に、液体の味がわかってきました。
甘い……。
舌根から脳へ至る恍惚に耐えられず、液体を飲み始めました。
ごくっ。……ごくっ。んっ……。
もっと……もっと、触手を舐めれば液体はでるのだろうか……? 小生は再び舌を動かしました。
後ろから迫ってくるモノには気付かずに……。