5:
あの倉庫での宴は男達が満足したらちゃんと開放してくれた。
満足そうにタバコをふかす男達を余所に
服を着て菜穂は気丈を装って帰路に着いた。
その後、倉庫から断末魔の男達の悲鳴が聞こえたのは知ることはなかった。
「あの子・・・菜穂もずいぶん悲惨なめにあっちゃったね・・・。」
「ふむ・・・そういうものなのか。あの女も悪事を働いたわけなのであろう・・・?」
「そうだけど・・・でも、私も悪かった所はあるわけだし・・・」
「そうか・・・俺はよく分からんがな・・・」
「それにしても・・・・葉山の奴・・・・許せない・・・・
いくら自分を守るためだって言っても・・・
心を交わした人間をこんな最低な方法で苦しめるなんて・・・!!」
「うむ・・・奴の魂はそうとう淀んでいるな・・・さぞかし負のエネルギーが強くて美味だろう・・・」
愉快そうに手のひらで青い炎が揺れた。
ジャスバルスとは、あの泉の出来事以来は体を求め合っていない。
そんな雰囲気でもなかったし、彼のほうから求めてくることもなかった。
そういえば、あそこの泉は魔界でも奇異な場所で、
昔から想いの強いものとシンクロするために利用される場所なのだと言う。
私の場合は意地悪な方向に働いてしまったのだ。
まだまだ、魔界には色々な場所が眠っているのだろう。
時間も距離も人間の世とは違う、けれど、どこか似ている。
こんなことが私の身に起こらないで魔界に入り込んだのなら
のん気に観光していたかもしれない。
「ねえ・・・・ずっと聞きたかったんだけど、
なんで私に名前を教えてくれたの?」
「・・・・・・なんでだろうな・・・お前と組めば
俺達にとって良質な魂が手に入りやすいと思ったのか・・・」
「ふぅーん。そうなんだぁ。でも、もし、仮によ?
望めば地球を手にいれることだって出来るでしょ。そしたらすごい大変だし。
魔界にだって影響ありそうだし。
それに・・・・・・」
「それに?」
「私があなたを裏切ることだって出来る。
そしたら、自分が死んじゃうかもしれないじゃない?」
「ふむ・・・まあそうだな。死ぬというか消滅は俺もまだしたくはないな・・・」
「なんで、悪魔なのにそんな危険なことをしたのかすごい不思議なの。
あー!私のテクにいちころ??」
ふざけて笑いながら尋ねた。
「ばっ・・・馬鹿を言うでない!!これでも、上級悪魔のはしくれだ。
処女に毛の生えた程度のお前などに翻弄されるか・・・・・」
チカチカと炎が揺れる。動揺したのだろうか。
「あはは、ジャスバルス面白いよ。なんか、和んだ。」
「・・・っ・・・ゴホッ・・・ふざけるな・・・。
・・・・・何というか・・・俺は悪魔だろう・・・
人間の一生などとは比べ物にならないほど生きているのだ。」
「そう・・・なんだ。」
「ああ、人間界創世記頃魔界も同時に誕生して、上級以上の悪魔もその頃誕生した。
下等な悪魔はそれこそ泡のようにいつでも生まれるがな・・・
それ以来、俺達悪魔のエネルギーは人間の負のエネルギーを吸収しているのだ。」
「・・・なんだか難しいのね。」
「まあ、長い歴史を掻い摘んで話すとこうなる。
なので、人間とは実は密接な関係なのだ。魔界がなくなっても人間界がなくなっても
両の世界は存在できなくなるだろう。」
「知らなかったぁ・・・すごい話よ!それ。」
「うむ、まあ、この話を知る人間はその後生きている者など
ほとんどおらぬからな。
それで、俺も多くの人間を見て、色々契約をしてきた。」
「へぇ・・・そっかぁ・・・。」
「その中には、契約を知り結ぶ者も、知らずに結ぶ者もいた。
しかし、どの人間も悪魔を嫌悪し、蔑んでいることは確かだった。」
「なんか・・・そっか・・・切ないね・・・・・」
「まあ、異形の者だから、仕方は無い。特に何も感じない。
それが当たり前だと思っていたのだが・・・・
舞・・・お前は何か違った。」
「えっ・・・そうなの??」
「うむ・・・浅田の所で会った時はまだ他の人間と大差はなかった。
ところが、あの泉で再会した時・・・お前は心から俺を求めた。
それが伝わってきたのだ・・・。
正直、複雑な気持ちではあったが、悪魔としては失格なのかもしれぬが
嬉しい・・・とはこういうことなのかもしれぬと思った・・・」
今までにないくらいの小さな声でジャスバルスは私への気持ちを告げてくれた。
嬉しかった。荒んだ私の心が温かく色づいてゆく。
「・・・・そう・・・あの時ね、ジャスバルスが一生懸命私のことを探してくれてて、
うん、助けるとかそんなんじゃないのは知ってたの。
でも、冷たい凍りそうな気持ちの時に、私だけを必要としてくれた。
それが、すごく嬉しくてホッとしたんだ。だから、心を許せたのかも・・・
へ、変かな・・・」
「なるほど、そうだったのか。お互い同じ状態になったのだな。
やはり、契約は間違っていなかったのだと思うぞ。」
満足そうに炎が揺れる。
血なまぐさく冷酷な行為を、契約以来ずっと見ていた。
本当に悪魔なんだなぁ。って実感して怖いと思うことも無くは無かったけれど、
そんなジャスバルスが私にとっては、人間よりももっと近い存在に感じる。
いや、人間よりも人間らしいのか・・・・・。
「そうかもね。私も契約して良かった・・・ジャスバルス・・・これからも宜しくね・・・」
返事の代わりに炎が強く煌いた。
誰も存在を知ることのない悪魔に
私はお互いを求め合うことがこんなに温かいことなのだと初めて
気づかされたのかもしれない。
その先に死があったとしても、それは本望なのだろう。
そんな暖かな空気が流れる私の小さな部屋に
泉の水滴が一滴落ちて頬を濡らす。
脳裏に菜穂の映像が浮かんだ・・・・・・・。
「ねえ、聞いてるの?!ちょっと!」
(ああ・・・でもよ、俺もう怖いよ・・・・いつ俺が狙われるかわかんねえもん・・・)
「・・・大丈夫よぉ!私が守ってあげるから!
それより可愛い妹がこんなに屈辱的にされてるのよ!
兄のアンタが黙って見捨てるつもり??」
(・・・そりゃあ・・まあ、なあ?)
「いいのよ!お父さんに頼んでアンタへの仕送りを止めてもらっても・・・」
(いっ!!いやそりゃ困る!!分かったよ・・・で・・今度は何をすんだよ・・・)
「ふふん・・・分かればいいのよ。
それでね・・・この間襲わせた女と男いたでしょ?」
(ああ・・・)
「あいつらを二人まとめて苦しめさせて、東京湾へ沈めちゃってよ!」
(・・・・・!!おい!こ・・・殺しは・・・・)
「なぁに言ってるのよ!相手はこの可愛い妹を死ぬほど苦しめた奴らなのよ!」
(・・・・だってよぉ・・・強姦は楽しいし止めるつもりはないけどよぉ・・・)
「馬鹿ね!!やれと言ったらやればいいの!!分かった?
でもね、ただ殺すだけじゃあ、つまんないからぁ・・・あいつらの家族ともども
沈めちゃいましょうよぉ〜・・・!その前に、アンタの仲間の族とかいっぱーい集めてさ、
女も男も犯してさぁ・・・ね?」
(・・・・菜穂・・・く・・・狂ったのか・・・)
「あはは!!アンタの妹よ!狂ってないわけないでしょお?
いい?分かったわね!今後生活していきたかったら、やるしかないのよ!
そうじゃないと・・・こっちがやられるわ!!」
(・・・わ、分かったよ・・・そうだよな。あいつらがいるから俺もビクビクしてるんだよな。
よぅし・・・今までで一番の祭りにしてやるぜぇ〜・・・)
「お願いよ・・・そうそう、男の妹はすっごーく可愛かったけえ。母親もきっと美人ね。」
(・・・・ぁあぁ・・・そいつはいぃ・・・なんかやる気出てきたぜ・・・任せておけ!)
そこで、舞の脳裏への通信がとぎれる。
柔らかかった瞳の様子がガラリと変わり、手のひらに乗っていた
小さな炎が大きく異形な悪魔へと変身を遂げる。
「菜穂・・・あなたってつくづく馬鹿ね・・・
葉山先輩に裏切られて反省してるかと思って
見逃してあげようと思っていたけれど・・・
もう少しお仕置きが必要かもしれないわね・・・・・」
「・・・行くか・・・・」
「うん、それより魔界に面白い場所があったらあの兄妹を招待してあげようよ・・・」
「・・・招致した・・・・・」
6:
木々がひしめく鬱蒼とした森の中、男は歩いていた。
まるで、ヘンゼルとグレーテルが迷い込んだような森・・・
霧が深く、木に絡まるツタが時折、行く手を遮る。
「おかしいな・・・・俺の車どこいったんだろう・・・」
かれこれ1時間は迷っている。
しかも、見渡す限り民家もない。
ちょっと、用を足しに車から降りて、人気のない林の中へ
入っただけだったのに。こんな深い森に迷い込むはずなど無かったのに・・・。
途方にくれて、木の根に腰を下ろしため息をつく。
落ち着こうと思い、点けたタバコを吸う暇も無く、不安が横切る。
「やっぱ、携帯も・・・アンテナたってねぇ・・・・クッソ!!
ぁぁあ・・・早く行動しねえと、また菜穂の奴に怒られる・・・マジあいつこええし・・・
オヤジから金もらえなくなったら・・・・そんなの、ヤバすぎる!!!」
《・・・・ウルサイ・・・・》
「あぁ??なんだ?何か声が・・・・誰かいるのかぁ?!!」
《・・・・黙レ・・・小僧・・・・・・!!》
大音量で恫喝されると同時に、男の首には木のツタが巻きつく。
「グッ・・・グェッ・・・ヒッ!!ヒィィィ!!」
振り向くと、木が意思を持ったかのように蠢き、
男に襲い掛かる。
地面から無数の根が這い出し、男の足に絡まり、
ズボンの裾から服の中に進入していく。
圧迫するような勢いで大量の根が走る。
「ヒッゥ・・グゥ!!ゆっ・・・ゆるヒ・・・テ・・・」
男の、体中にある穴という穴へ意思を持った根は針のように突き刺さる。
「グァアアッ・・・グオオオオオ!!!」
そのうち皮膚の中にも浸透し、血管を這い回る木の根・・・
森の中で最後の悲鳴を上げることすら許されず、
男は静かに魔界の木と同化した。
「悲惨な最期ね・・・。」
舞は少し離れた上空からジャスバルスと共に男の様子を眺めていた。
「・・・まだ最期ではないな・・・」
「え?生きたまま、この森と同化したのだ。」
「・・・どういうこと?」
「ここいらの木々は動物から直接養分や知識、行動パターンなどを得ている。
それで成長しているのだ。
しかし、所詮は植物なので大した養分は必要が無い。
だから、長い間養分を保管するため、獲物を生かし続ける。」
「う・・・なんか・・・怖い・・・すぐ死ぬよりも怖い・・・」
「そう・・・だな・・・」
ジャスバルスは舞をしっかりと抱き抱えなおした。
一方、妹の菜穂も同じ森でさまよっていた。
不機嫌そうに辺りの植物を引きちぎりながら歩く。
まさか、兄と共の空間にいるとは思いもよらなかったろう。
「なんで、こんな目にあわなきゃいけないの?!
あ・・・夢?そうよ・・・そうだわ・・・夢よ!!」
自室のドアを開いたらそこに広大な森が広がっていた。
思わず一歩踏み出し、呆然と辺りを確認するが、あるはずの2階の廊下はどこにもなく、
見たことも無いような木々がひしめくばかりだった。
部屋へ戻ろうと振り向くが、その部屋のドアもどこかへ消えてしまった。
背後にあるのも、暗い口を空けた濃い森だけだった。
その時の狼狽ぶりもさることながら、
今現在は、戻れるのかという恐怖と戦わなくてはいけなかった。
いくら、思考が他の者より歪んでいるとはいえ、
まだ高校にはいったばかりの少女。
心細さに気持ちが滅入るには時間はいらない。
「・・・もぅ・・・早く・・・目が覚めて・・・もう・・・嫌・・・」
森の中の少し土地の開いた空間で菜穂はひざまづく。
微かに葉が薄くなって灰色の空が見える。
木々が密集して何かにひっかかるような道をさ迷うよりかは
少しは休憩が出来る。
自分を見回すと服が枝などでかなり解れたりしている。
肌が露出しているところは、いたる所に引っかき傷が出来ていた。
「やだよぉ・・・もぅ・・・疲れた・・・・・
もしかして、人殺しの計画なんかしたから・・・・・
そんなこと・・・」
思考がパンク寸前になりかけた時、手前の茂みが奥のほうから
ガサガサと音を立てる。
得体の知れない者が近づいてくる予感・・・
「なっ・・・・何?・・・何かいるの・・・?」
獣か・・・風か・・・それとも怪物か・・・・・
もしかしたら助けてくれる人間かもしれない・・・
不安と期待がせめぎ合い激しく鼓動が高鳴った。
ふと暗がりに何かがぼんやりと見えてくる。
・・・顔・・・・・・?
人間の顔が見える気がした。
スーッと近寄るそれは目をこらすと兄の顔だった。
「!!あっ・・アニキ!!」
普段はアンタとかお前呼ばわりだったが、心細い今は
昔の比較的仲の良かった時代のソレに変わる。
「アニキ!!助けにきてくれたのね!!」
ぱぁっと笑顔を輝かせ、菜穂は自分の兄のもとへ走り寄った。
「きゃあああ!!!・・・・・・・あぁあぁ・・・・」
のそり・・・のそりと・・・兄が近寄ってくる・・・
顔の位置は今地上3mの辺りを力なく漂う。
兄だった者が、更に近寄り全貌が見える。
地に付く足は兄の足ではなく、巨木の根。
大きく広げた腕は、指先から枝が生えている。
まるで、腕をいれて操る人形のような状態の兄。
青白い顔だけが無傷でいつものように情けなくうな垂れている。
「・・・・いぁぁ・・・そんな・・・・アニキ・・・・・・ど・・して・・・」
ガクガク震える膝をなんとか動かし後退する。
目の前にいるのは兄ではなく、巨大な樹木。
それなのに、生気の無い兄の眼がゆっくり開いてゆく。
「・・・・ぁ・・ぉ・・・な・・・・・・ほぉ・・・・」
乾いた唇を割るように声を出す兄の顔。
「いやぁ!!化け物!!来ないで!!アニキじゃないもん!!」
叫んで正気を取り戻したのか、菜穂は急いで後ろに逃げようとした。
しかし、多少の空間が広がっていたはずのそこには
大きな樹木が立っていた。
まるで、何十年も植わっているかのように。
「えっ・・なんで?!こんな所に・・・・に・・逃げなくちゃ・・・」
木の間を潜り抜けようとするが、細かい枝がびっしりと絡みつき、
抜け出せそうで抜け出せない。
緊張と恐怖でどんどん息が上がってゆく。
「たっ・・・助けてーーーーーー!!!」
完全に兄と同化した巨木と菜穂は狭い範囲で隔離されてしまっていた。
「ちっ・・・近寄らないでよぉぉ!!!」
恐怖を凝縮したような表情で菜穂が力なく兄だったものに懇願する。
しかし、背を押し付けた樹木から垂れ下がるツタが
スルスルと音も無く菜穂の細い両手首に巻き付いていく。
「!・・・・・いやっ!!なにこれ?!ちょ・・・いやぁぁ!!」
巻きついたツタは今度はゆっくり上に縮んでゆく。
それにつれ、菜穂は腕を高く持ち上げられて、
兄のと同じ高さまで引きずり上げられた。
「ぁぁああ・・・・・いやぁ・・・・・・助けて!!誰か!!」
制服の可愛らしい少女がまるで猪が狩られた時のような状態になっている。
足をばたつかせ、どうにかツタから逃げ出せないか試みるが
両手首は頭上で微動だにしなかった。
目の前には更に枯れたような兄の顔が迫ってくる。
「ひぃっ・・・・やだっ!!来ないで!近寄らないでぇぇ!!」
泣きじゃくり怖がる菜穂を他所に、木になった兄の指が
柔らかい妹の足に伸びる。
乾いた枝先が膝頭をなで、太腿をなぞる。
それと共に、白く淡い引っかき傷が残る。
「やっ・・・・なっ・・・・アニキ・・・何を・・・」
ただ恐怖を感じていた菜穂だったが、
兄の行動がおかしいことに気づき狼狽する。
太腿に触れた枝先がそのまま上に上がってゆく。
枝にひっかかりスカートも一緒にたくし上げられる。
「・・・なぁ・・・ほぉ・・・・」
生気のない目玉が不気味に笑っているような気がした。
ゆっくり、スカートの中を覗くように下にその視線が落ちる。
「いやぁ・・・いやぁ・・・・こんなの・・・・」
枝先はゆっくり菜穂のスカートを引きちぎり、
今度は腕を持ち上げられ、張り出した胸のブラウスのボタンの隙間へ入り込み
ひとつひとつボタンを飛ばしていく。
「やだっ!!正気にもどってよ!!アニキ!!私、妹よ!!」
さすがに、服を剥がされ事態を察したのか
菜穂は青くなり激しく暴れる。
左右にくねる体が艶かしく、美しかった。
「ぁぁ・・・ほぉぉぉ・・・・お・・・ぇはぁ・・・ずっとぉぉ・・・」
肺に穴の開いたような搾り出される声で菜穂に語りかける。
はだけた胸元のブラに枝先がひっかかりずり下げられ少しだけ乳首が露出する。
ブラの肩紐がその露出した乳首に擦れる。
「いやぁ!!止めて!!もうこんな馬鹿なこと止めて!!」
「・・・ずっとぉ・・・・ぉ・・・こ・・してぇ・・・なほぉと・・・ヤ・・・リ・・たかった・・・」
「なっ・・・・!!!何いってるの!?っ・・・痛いよっ・・・・いやっ・・」
ブラに押されひしゃげた乳首の先端を枝が突付く。
刺さらない程度にプスリプスリと弾力を楽しむように。
「・・・おまえと・・・・・ぇ・・で・・きないから・・・お・・おんなを・・・おそって・・・た・・・」
「・・・・・・!!!・・・そ・・・そんなっ・・・」
冷や水を頭から浴びせられたように、菜穂はショックを受ける。
今では、上下関係が逆転したように兄をこき使っているが、
昔は不良から守ってくれたり、自分のお菓子をくれたりと
案外良い兄だと少しだけでも慕う心があった。
それなのに、その僅かな思い出をも覆すような兄の黒い欲望を
今、人外に成り果てた姿で告げられたのだ。
「な・ほぉぉ・・・もう・・・えんりょ・・・しない・・・」
「いやっ!!ヤダ!!アニキじゃん!!血が繋がってるんだよ!!
そんなの!そんなのぉ!!・・・うああっっ!!いっ・・・痛い!!止めて!!」
指先の枝が成長し、乳房を覆いもみ始める。
硬い材質の木に圧迫される胸。
網状になった枝の隙間から乳首が飛び出して卑猥な光景に兄はうっとりとした。
白い乳房に小枝が引っ掻き、赤い傷を作っていく。
突き出した乳首に向かい、兄の首がニュッっと突き出され
ささくれた唇を付け、吸い上げる。
「あぁぁっ・・・!!やめっ・・・・止めてっっ!!!」
いつの間にか、膝あたりにツタが絡みつき、強引に開こうと左右に力が加わる。
何とか閉じようとするが、乳首に新緑の葉が擦れるような刺激が加えられ
足の力が抜ける。
ゆっくりと、菜穂のひざを捕らえたツタが左右に開き、
完全にM字開脚させられてしまう。
「いやよぉぉ!!アニキ!!!!気持ち悪いぃぃ!!止めて!!お願いぃぃ!!」
パキパキと音を立てながら両胸が揉みこまれ
兄の歯が乳首にたてられ引っ張られる。
産毛の生えた太いツタのような舌でその乳首先端をチロチロと嘗め回す。
そして自由に舌先が変形し、巻きついたり吸い付いたりする。
「ああっ・・・・んっ・・・嫌っ!!もう・・・っ」
ザラザラとした今までに無い刺激と、自分の兄に襲われる嫌悪感とが
相まって、背筋に寒気が走る。
と、その時、股間に何かを感じる。
節くれだった、古い流木のようなモノが下着越しに
菜穂のあそこを掠った。
「ひっ・・・・!!やっ!!」
その、流木状のものは兄の股間部分から伸び、
長さ1mはあるだろう。
先端がゴツゴツとしており、表面はツルツルとしていた。
しかし、太さは男の拳程度はあるだろうか。
それが、やんわりと奥の窪みを何度もなぞり上げる。
「いやっ・・・いやっ・・・!!」
泣きながら兄に許しを請う。きっと生まれて初めての行為だろう。
そんな怯える妹の肢体を意のままに操る兄。
俯く首に柔らかいツタを絡ませ、上に向かせて
今まで乳首を弄んでいた舌を菜穂の震える唇に割り込ませる。
「ふっ・・・!!むぐっ・・・・うぐっ!!」
普通の舌の長さではなく、まるでペニスを咥え込んだような長さと大きさだった。
その、棒状になった産毛の生えた舌が
菜穂の口の中でグチャグチャと暴れる。
喉の奥まで到達すると、何かドロリとした液体を流し込む。
「んっふぅうぅ〜!!」
液体が喉を通過すると、口の中で暴れていた兄の舌が抜かれ、
菜穂の唾液と、飲まされた液体が絡み合い糸を引く。
「・・・っ・・・!!いやぁ!!何をしたの?!・・・ひどいっ・・」
「・・・き・・もち・・よ・・くなる・・・じゅえき・・・」
こけた頬を歪ませ兄はニタリと笑う。
下半身をなで上げていたゴツゴツした枝が
先端を曲げ、今度はあそこを叩き始める。
「きゃ!!いぃやあ!!いたぁい!!!」
丁度、入り口とクリトリスの部分にイボ状の節くれが当たるように叩く。
工場の機械のように均一に動く兄のペニス。
それに押し上げられるように菜穂の半裸の体が弾む。
「やっ・・・やだっ!!!こんな・・・・!!あっ・・・あぁっ!!」
まるで、男の拳であそこをパンチされているような
そんな錯覚に陥る。
それなのに、菜穂のあそこからは、徐々に湿った
液体が下着にしみこんで来た。
叩いた勢いで、愛液がピシャピチャ!と音が鳴るまで続いた行為がぴたりと静止する。
「・・・あぁ・・・もう止めて・・・アニキ・・・もう・・・これ以上されたら・・・」
「な・・ほぉ・・・ヤる・・・」
「やだっ!!ヤダよぉぉっ・・・!!」
腰を突き出し、ビシャビシャに濡れた菜穂の下着の上から
木で出来たバットのようなソレを突き上げる。
「うっ!!くぅっ!!いやぁぁあっ!!あはぅああ・・・!!」
下着越とはいえ、入り口付近の骨を押し上げるような勢いで
先が進入しかける。
新たなツタが菜穂の腰に巻きつき、木のペニスが挿入しやすい
角度へ導いていく。
そして、そのツタが更に伸び下着のあて布部分を横にずらし、
菜穂の恥ずかしい部分だけを露出させる。
「いやあ!!お願い!!許して!!アニキとだけは!!」
絶叫に近い拒絶の言葉を菜穂は涙をふりまきながら
人ではない兄に訴える。
だが、木製のペニスは躊躇することなく、そのゴツゴツとした醜い先端を
愛しい妹の秘所に再度あてがった。
「あっ!!くぅっ!!いっ・・・あっ!!!あぐっ!!!やめっ!!」
息も出来ないほどの刺激が下半身から襲ってくる。
先端が少しだけ入り口に飲み込まれ、いぼ状の節がクリに当たり
なかなか中に入れない。
しかし力で突き進まれ、クリが押しつぶされそうになる。
「うっ・・・ああっ!!いやぁ!!いっ・・・痛いの!!いたぁい!!!」
あまりの大きさに、あそこが張り裂けそうになる。
ガクンとせき止めていた節くれがクリからずれ、
勢い良く、菜穂の中へ入り込んでいった。
「あああああああああ!!!!!くっ!ああやああ!!」
髪を振り乱し、痛みとショックを絶えようと叫んだ。
今まで、何人かの男を迎え入れて来たが、こんなに大きなものを入れたことはなかった。
ましてや、フィストファックをするようなマニアな男にもまだ出会っていなかった。
いくら、男なれしているとはいえ、耐え難い衝撃が菜穂を襲う。
ゴツンと奥の壁にその節くれが当たる。
すると、バイブのように中でくねり始めるジュバジュバという音が
菜穂の内臓から聞こえる。
「はっ!!ぐっ・・・!!」
背中を反り、刺激に耐えるが、何をしても狂おしいほどの
刺激が腰から這い上がる。
「うっ・・・あああっ!!んんんっ・・・はぁぁ・・・」
眉根を寄せ、体をくねらせる。
痛みとは違う吐息が菜穂の口から漏れ始める。