10:  
比較的大規模な街並み。大きな教会が立っている。  
フランスの教の中心と言っても過言ではない教会だ。  
その周辺から突如、音もなく夜空を裂くような火柱が立ちのぼったのだった。  
人々は慌てふためき、家財や子供などをかかえ教会付近から避難し始める。  
逃げ惑う最中に、燃え盛る周囲の建物の屋根の上に、  
黒い服を着た少女の姿をかなりの人間が確認した。  
両腕を広げまるで鴉が羽ばたくように炎を焚きつけるその姿を。  
 
「うふふ・・・無駄よ・・・足掻いても無駄なのに・・・・・。」  
教会の最上階には厳しい椅子に座る男と、その両端を取り囲むように立ち、  
屋根の上に立つ少女に向かい十字架を振りかざす男達。  
「もっと・・・もっと燃えて・・・燃えてちょうだい・・・・。」  
ゴゥ・・・と風が巻き起こり、教会の壁を強力な炎が舐めていく。  
熱風により、男達がいる部屋の窓の硝子が砕け散る。  
「・・・・・さあ、宴の時間よ・・・・・」  
金色に瞳を輝かせながらゆっくりと屋根伝いにその部屋へ向かった。  
 
「ああ・・・神よ・・・・」  
司祭と呼ばれる男は窓から舞い降りる美しい魔女を見ながら  
数時間前のことを苦々しく思い出す。  
 
「私達には神が付いていて下さる。怯むでない!」  
「ですが、確実に近隣の教会は破壊されました。助祭と使徒の者全て殺されてしまったのです。」  
「黙りなさい。それは彼らの力が及ばなかったまでのこと。」  
「しかし、万が一司祭様の身に危険が及ぶようなことがあると・・・」  
「我々が悪に後退するわけにはいかぬのだ。それがもし、他国に知られでもしたら・・・」  
「そんなことを言っている場合ですかっ!」  
「そこまで不安ならば、君一人でこの教会を出て行くがいい!」  
「・・・・!し・・・司祭・・・」  
「私は何をも恐れはしない!」  
 
恐れはしない・・・。  
ところが、今や彼は椅子につかまり弱った子供のように震えている。  
 
「こんばんわ・・・皆様・・・。」  
艶やかな少女の口から静かに声が発せられる。  
窓から熱風が押し寄せ、男達の肌がジリジリと熱さを感じているにもかかわらず、  
彼女は涼しそうな顔で微笑む。  
 
「魔女め!!ここがどこだか分かっているのか!!お前のような者が立ち入るべき場所ではない!」  
一番手前で司祭を守る使徒が声を震わせながら強気に言い放つ。  
「そうかしら・・・本当に私はここへ来てはいけない者なのかしら?  
 では、あなた方はここに相応しい人間だと言うのかしら・・・。」  
「何を訳の分からぬことを!とにかく早く立ち去るがいい!そうしないと・・・」  
「・・・そうしないと?」  
熱風を纏い、セシルは一歩男達へと近寄る。  
「いっ・・・!痛い目にあうぞ!去れっ!!」  
「ふふ・・・去れと言うあなたが後退してどうするのよ・・・。痛い・・・?痛い目とは・・・?」  
また一歩近づく。もう飛び掛れば触れる距離まで近づく。  
「去れ!!魔女よ!!」  
目をむき出して、男は叫ぶ。  
その男へセシルの手が伸び、宙を握るように指を閉じる。  
「はぐぅぅっっ!!!なっ・・・何をっ!!!」  
「痛い目とは・・・こういうことなのかしら?」  
目に見えない力に男の首が圧迫されて絞められていくように、  
セシルの指が縮むに合わせ喉仏付近が窪んでいく。  
「ううぐっ!!はっ・・・うっ・・・!!」  
もう一人の男がその光景を見ながら懐に震える手を入れそっと聖水を取り出す。  
「フフッ・・・私は・・・生粋の悪魔じゃないわ・・・それは効かない。」  
「そっ・・・その男を放し、立ち去られよ!」  
聖水を手にしたまま、冷静を装い初老の助祭はセシルに言う。  
 
「あなた達は・・・一方的に去れと言うけれど、  
 何故私がここに来たか、そして火を放ったのか聞かないのね?」  
「まっ・・・魔女の汚らわしい言葉に耳を貸すことはない!」  
今まで沈黙していた司祭が立ち上がり憤りを叩きつける。  
「そう・・・・・確かに私は汚らわしいわ・・・。でも、何が汚れなのでしょう?  
 司祭様・・・あなたなら答えられるのでしょう・・・?」  
「うっ・・・うるさい!!黙れ!!!」  
叫んだ声と重なるように骨が砕ける音がした。  
「なっ・・・なんということを!!!」  
司祭の足元に血を口から吐き出し、あらぬ方向へ顔が傾いた使徒の男が投げ出される。  
「キャハハハハハ・・・・・・・私の変わりにこの人が黙ったわ!」  
金色の瞳が爛々と輝きを増し、二人を見据える。  
「くぅ・・・・・・っっ・・・ほ、滅びろ!!魔女め!!!」  
聖水を持っていた助祭が銀のナイフをかざし、セシルに向かって走り出す。  
それを静止させるように彼女は掌を彼に向けると、ボンッという音と共にその首が爆発する。  
「あははは・・・・っっ・・・滅びたわっ・・・・・・・」  
 
「くっ・・・狂っている・・・・お前は狂っている!!」  
ジリジリと後退しながら、華美な服を纏う男が叫ぶ。  
「ええ、狂っているわ・・・ねえ・・・穢れていて狂っていて・・・そんな私だから  
 ここに立ち入る資格がないの・・・?」  
音も無く足を前に進める。同じ分だけ司祭は後退する。  
「ひっ・・・近寄るな!!!わ・・・私を誰だと思っているんだ!!」  
セシルの嬉々とした表情が更に目を細め楽しそうに笑っていく。  
「司祭さまでしょぅ・・・?ねえ・・・私の問いに答えてよ・・・・・汚れが罪?狂いが罰?  
 そして、あなたのした決断は・・・なぁに?」  
「け・・・決断・・・?」  
壁際に背が付いた司祭は小さくなり、問い返す。  
「そう・・・。あなたは使徒の言うことを聞かなかった。  
 それどころか、逆に自らを守らせる為に他から有力な人材を呼んで、教会の四方を守らせたわ。」  
「そっ・・・それが・・・どうしたっ!!ひっ!!ひぃっ!!来るな!!」  
「そんな広大な力を持たれてはここへ忍び込めなかった・・・。だから火を放ったのよ?  
 何もせず、あなたも逃げていれば良かった・・・・。  
 尾を巻いて逃げるあなたならば誰からも信頼されることも無く、  
 聖なる者としての力も自然に消えうせたのに。」  
「そんなことっ・・・できるものか!!己の罪を人に押し付けるな!」  
「フフフッ・・・いいじゃない・・・。認めてもいいじゃない・・・。何が良いのか・・・?悪いのか?  
 あなたも私も愚かだわ・・・。でも、愚かであることはそんなに罪なことかしら?」  
「うっ・・うるさい!うるさい!!お前と私を一緒にするなぁっ!!!」  
司祭は横へ逃れようと壁伝いに走り出す。  
「そんなに・・・・そんなに聖なる者という場所にしがみついていたいのね・・・?」  
ゆっくり、彼の行動を見送る。慌て滑稽な足取りで窓を開け熱風を部屋に巻き込む。  
その先の廊下へ通じるドアを開けるが、黒い煙と炎が襲ってくる。  
「・・・でっ・・出られぬのか・・・・・・」  
「司祭様・・・無駄よ?見苦しいわ・・・・。もう、守る者は何処にもいないのよ・・・。」  
わなわなと震えながら、間近かに迫るセシルを見る。  
「わっ・・・私が何をしたのだ!!何故、こんなに苦しめられるのだ!!神は何をされているのか!!」  
「・・・神をなじるの?あなたのような何も出来ない・・・何もしなかったちっぽけな存在が?」  
「うっ・・・うるさああい!!!黙れ!!聞かぬ!!」  
「ウフフ・・・・何も・・・何も導いてくれないのね・・・司祭様。」  
「だっ!!黙れ!!!魔女めえっ!!!いつかその魂八つ裂きにされるがいい!!」  
「・・・・それもいいわね・・・でもその前に八つ裂きになるのは、あなたよ。」  
「なっ!!そんなこと!!やっ・・・・やめてくれぇっ!!!」  
司祭はもう立つ気力もなくし、地べたに這い蹲ってセシルに懇願する。  
「さようなら・・・」  
無防備な男の頭部に手をかざす。  
「ひっ!!ひゃおっ!!うっ・・・・ぎゅぅ・・・・・・!!!」  
 
ゴオ・・・と勢い良く炎が室内に進入を果たす。  
今まで何かに抑えられていて、関を切ったかのように。  
その炎の中をセシルはうつろな表情で来た道を戻って行った。  
 
「おい!早く逃げないと!!巻き込まれるぞ!!」  
「嫌よ!見て!あそこ!!見つけたわ!」  
「あの、お前が正体を明かしたいと言っていた娘か?」  
「そうよ・・・・もう娘じゃないわ、邪悪な魔女よ。」  
「どうするんだ?オリヴィエ・・・。」  
「・・・・・そうね・・・このままでは私たちまで劫火にやられてしまうわよね・・・。」  
オリヴィエは、ユラユラと揺れる炎の奥のセシルを睨むように見つめながら考える。  
「熱っ・・・!そろそろ、本当にここもヤバイって・・・。」  
「分かったわ・・・本来はあの子の叔父の家に先回りするのが目的・・・。」  
「じゃあ、先を急ぐとするか?」  
「ええ、行きましょうユハニ。」  
足早に市外へ抜ける道へと二人は走り抜ける。  
街の炎の柱が微かに見える場所までたどりつくと彼女らは倒れ込むように息をつく。  
 
「はぁ・・・はぁ・・・・・・俺・・初めて見たぜあんなの・・・。」  
「・・・まさか、あのこがあんなに強力な力を身につけていたなんて・・・・」  
全身にびっしょりと汗をかき頬にはりついた髪をはらいのけ、オリヴィエは険しい表情を見せる。  
「まさか、アレと戦うなんてことはしないよなぁ?」  
「・・・・あたりまえじゃないの!私たち人間では敵いっこないわ!でも、多くの人々が力をあわせれば・・・」  
「やっつけられんのかぁ?あの馬鹿でかい教会を一瞬で火達磨にしたんだぜ?  
 中の司祭様たちも今頃どーなってんだかなぁ・・・。このままアレを敵にまわしては・・・」  
「ああ・・そんな不安なことを言わないでちょうだい・・・。大丈夫よ・・・。  
 私たちは直接あの子に会わないで、存在の情報を人々に広めるのが使命よ。  
 その為に、イギリスへ向かうの。」  
地面に大の字で寝そべるユハニの分厚い胸に手を置き彼の不安を取り除こうとする。  
「イギリスかぁ・・・・。最低でもあと3日は船に乗るまでにかかるな。  
 何でそんなにイギリスへ行かなくてはいけないんだ。」  
「何度も言っているじゃない?あの子達が何食わぬ顔でイギリスという他所の土地で  
 人間として生活することが出来るなんて許すまじき事実だわ。」  
すねるようにユハニの顔を覗き込み言う。その様子は正に恋人同士だった。  
「いいじゃねーかぁ。俺たちフランス人にとってイギリスがどうなろうとも関係ねえよ。  
 悪魔達があっちに行くなら好都合じゃねえか。」  
「んもう・・・バカね!  
 今まで破壊された教会を辿ると、本来私があの子と通ろうとしていた道だということが分かるわ。  
 そして、最終の目的はフランス横断破壊して、イギリスで暮らすことだと思うの・・・。  
 その最後の目的を排除してしまえば相当戸惑うでしょう。  
 そしたら、この国を破壊する行為をやめるかもしれない。」  
「ああ?なんだか良くわかんねえよ。ま、いいや。とにかくイギリスいきゃあいいんだろう?」  
ユハニは面倒臭そうに起き上がり、オリヴィエの手をどかす。  
「そ・・そうよ・・・。あなたはとにかく私と一緒に来ればいいのよ。」  
そしたらイギリスで平和に暮らせるわ・・・。  
 
オリヴィエは心の中で小さな夢を想像する。  
多分、セシルの叔父に彼女は魔に落ちたことを理解させれば、セシル達が来ることは無いだろう。  
来たとしても叔父は追い出すことだろう。唯一の親戚である叔父に、叔父の住むイギリスに  
危害は加えないと彼女は強く確信していた。  
 
この陽気で屈強な男となら何処へ行っても幸せになれると思う。  
ユハニと平和な土地で家庭が築きたいと、この道のりで思いを募らせていたのだ。  
 
「じゃあ、先に進みましょうか・・・?」  
「おいおい・・・。今日は月明かりも何もねえよ。この先は真っ暗だ。」  
「でも・・・。こんな何も無い場所でどうするのよ・・・。」  
「ははは・・・たまには野宿もいいじゃねえか。曇ってはいるが、雨はふりそうもねえ。  
 夜明けまでこの木根の筵で休むとしようぜ。な?」  
ユハニはそう言うとオリヴィエの体にまとわり付く。  
しっとりと汗のにおいと女特有の甘い香りが彼女のうなじから立ち昇る。  
耳たぶの下に舌を這わせると微かにしょっぱい味がした。  
「・・・はっ・・・ぁ・・・・そぅね・・・明け方、動きましょうか・・・。」  
彼はオリヴィエを近くの木に押し付け、また首元に舌を這わす。  
喉の骨が上下するのが分かる。  
「あっ・・・・汗を・・たくさんかいたわ・・・・・・だっ・・・だからっ・・・んんっっ・・・・・」  
「かまわねえよ・・・俺は。むしろこっちのほうが興奮するぜ・・・」  
彼女の胸元をはだけさせ、汗に濡れる豊かな胸の谷間を舌先が滑る。  
「ああんっ・・・ユハニ・・・・ユハニ・・・・・・」  
オリヴィエはこの旅の間、ずっとユハニに抱かれてきた。  
体力のある男は精力も強大だ。色々な行為を彼はオリヴィエに施した。  
そのせいか、初めてだった頃よりも彼女は快楽へ落ちていくのも早くなり  
自らも貪欲にユハニを求める。  
「んっあっ・・・・ユハニッ・・・・いっぱい吸ってぇっ・・・・」  
乳首をわざと外すように、舌先で乳輪をなぞる彼に要求する。  
それに従うように、つんと立ち上がった乳首を口に含み大きく吸い上げながら  
舌先で先端を転がす。  
「あああっ・・・!!そうよっ・・・・あんっ・・・ああっ・・・」  
暗闇にオリヴィエの濡れた声が響き渡る。  
まだ指も触れていないのに彼女のソコはびしょびしょになっていた。  
「すごいじゃねえか・・・外だといつもと違うから余計に感じるのか?」  
その濡れそぼった股間に指を這わせユハニはにやりと笑う。  
「ふっ・・・んっ・・・・・そんなんじゃ・・・・あっ・・・・」  
下着の上からぴちゃぴちゃと音を鳴らすように中指で入り口をを叩く。  
今にも歓喜でこぼれそうな涙を目に溜め、じらすユハニを睨む。  
「まあ、そんなに焦るなよぉ・・・。」  
そう言いながら彼の中指が足の付け根から下着の中に滑り込む。  
そして、熱くなった息づく穴へと挿入されていく。  
「あっ・・・はっ・・・・!!ぅんんっっ・・・・・・・」  
異物が入ってくる感覚。ガサガサした指先が粘膜を刺激する。  
彼女の目頭がその快感によりぎゅっと熱くなり、我慢していた快感の涙が零れた。  
中指を中でかき回しながら親指で敏感なクリトリスを押しつぶすように動かされる。  
「やっ・・あああっ・・・あっ・・・・!!」  
「なあ、なあ・・・もっといいことしようぜ・・・・?」  
「ああぁっ・・・・なっ・・・・なぁに・・っ?」  
悪戯を思い浮かんだ子供のような顔でユハニが言う。  
「ここ・・・ここに入れてみてえよ・・・・。お前の。」  
開いていたほうの手がするりとオリヴィエの尻にまわり、硬く閉じられた後ろの穴を突く。  
「あっ・・・えっ?!・・・そっ・・・そこはっ・・・ああっ!!」  
前には指が3本入り、男のソレのように出し入れされている。  
「なあ・・・いいだろう?」  
ぐいっと指で下着の上から肛門を押し込む。  
「ああっ!!嫌っ!!・・・そんなのっ・・・汚いわっ!!」  
尻に回った腕をオリヴィエはどかそうとするがびくともしない。  
「汚くねえよ!大丈夫。大丈夫!」  
 
更に埋まった指先が押し込まれ、第一関節までめり込んでいく。  
「やっ!!いっ・・・いたぁいっ!!あっ・・・いやっ・・・!!」  
今までに無い種類の刺激に彼女は困惑を覚える。  
「じゃあよ・・・今日は指だけ・・・指だけなっ?」  
「あっ・・・ああっ・・・・・い・・・痛くしない?」  
「大丈夫、しないっ!なっ?」  
「うっ・・・あっ・・・じゃ・・・いいわ・・・・・」  
「よし!!」  
野性味のある顔がにっこり笑う。  
そして下着をずりおろし、木にすがりつく彼女のバックを捕らえヴァギナへ挿入する。  
「はっあああっ!!!ああっ!!んあぁっっ!!」  
特有の音を立て出入りする。  
ダラダラと流れ出す愛液を指ですくいあげ、彼が出入りするたびに窄まる穴へと塗りつける。  
「はっ・・・あああっ!!!ああっ・・・あんんっ・・・!!」  
くすぐられる様な感覚が後ろで巻き起こり彼女は挿入の快感を増幅させられているような気がした。  
ぬるぬると滑る肛門へ人差し指をゆっくりと進入させていく。  
「あっ!!ああんっ・・・・!!」  
つるっと指が入った時にオリヴィエの眉間に悩ましい皺が刻まれ、  
指から逃れるように尻を振った。  
「にっ・・・逃げるなよぉ・・・・・」  
ユハニはむき出しの乳房を掴み、彼女が動かないようにして  
さらに指を奥に進めてゆく。第二関節の節がなかなか入らない。  
「あああっ・・・!!あっ・・いっ・・・いたいっ・・・・!!」  
「はははっ・・・の、わりには中がすごい締め付けになったぜ〜?」  
もじもじと逃れようとする腰に向かいユハニは奥深くまで自分を進め動きを停止する。  
「ああっ!!!そ・・・んなっ・・・・。」  
膣から得ていた快楽が急激に弱くなり、彼女を困らせる。  
「ま、焦るな・・・へへへ・・・・・・。」  
なかなか入らなかった第二関節をねじ込むように進入させていく。  
「ああっ・・・くぅっ・・・・・!!んんっ・・・・」  
前と後ろに挿入された彼女はまったく動きが取れない。  
脂汗を浮かべ、微かな痛みを伴う彼の指の動きを待つしかなかった。  
「はっ・・・・ぅううぅ・・・・く・・・・・・・」  
じりじりと指の根元まで埋まってしまう。  
「おお・・・全部入ったぜ・・・・・すげえ・・・すげえキツイ・・・。」  
そう言いながら、腰の動きを再開させる。後ろの穴に挿入している気になるのか  
腰の動きに合わせて人差し指も出し入れする。  
それと共に内壁の粘膜が指にまとわり付く感覚があった。  
「やあああっ・・・・・あああっ・・・!!あはっ・・・ああんっ・・・・!!」  
いつもの感覚以上にオリヴィエの下半身は敏感になっていた。  
両穴で熱い摩擦がおこり、何か体全体を大きなペニスで貫かれているような気分になる。  
膝がガクガクと震え、木にしがみついていないと今にも崩れそうだった。  
「ああ・・・いいぜぇ・・・オリヴィエ・・・・すげえ・・・・・。」  
弛緩した顔つきでユハニは彼女をだんだんと早く攻め立てる。  
いつもよりずっと膣の絞め具合も増しているので、ユハニはそれに酔いしれた。  
ピストンの速度が増すごとに、指の動きも複雑に内壁を擦っていく。  
「ああああぁぁ・・・・ああっ・・・・はあぁぁっ!!あうっううっっ・・・・・!!」  
ガクガクと下半身を揺さぶられ、獣のような荒い喘ぎをつく。  
その潤んだオリヴィエの視界にふと何かの影が映りこんだ。  
 
いたるところで人々の悲鳴が聞こえる。  
つい昨日までは平穏に住人たちは日常を送っていた。  
酒を飲み、歌を歌い、肉を食む。  
 
それが、今や必死な表情で逃げ惑う。  
花々はなぎ倒され、壁は崩れ落ち、女は犯される。  
この町を守るものはもう何もなかった。  
歯向かう男たちは容赦なく殺されていく。  
 
「あ・・・・あいつらの・・・言っていたことは本当だったのかぁ・・・・・・・!!」  
息も絶え絶えに老人がつぶやく。  
彼の目前にあるものは、地面から湧き出し唸り声を上げ人々を襲う邪悪な黒い生き物と、  
地面に転がる鎌を握り締めた自分の右腕だった。  
 
「あ・・・悪魔が・・・・・何故こんなにも・・・・・・何故なのだ・・・・・・あ!!がっうう!!」  
彼の心臓は外気に触れ、悪魔の歯に租借されていく。  
野獣のような黒い怪物たちは言葉を持たず、絶え間なく唸り声と  
雄たけびを上げ、次々と獲物を捕らえていった。  
 
セシルの通って来た道にはそんな光景が徐々に広がっていた。  
 
「ちょっとぉ・・・どういうことなの?アンドラス!!!」  
大げさな黒いフリルの丈が短いドレスを身に着け、深紅の髪を持つ美しい女が怒った表情で  
鏡の光景を愉快そうに見つめていた悪魔を問い詰める。  
「・・・どういうことって?」  
彼女の顔を見ずに答える。  
 
「しらばっくれるのぉっ?アンタが囲っている人間の雌よぅ!!アンタの馬鹿な友達から聞いたわぁっ。」  
小さな顔を赤らめて怒鳴り、猫の目のように丸い目、ツンと上を向いた小さい鼻。  
そんな可愛い顔に似合わない荒い口調。  
真っ白な牙の生える歯をギリギリと鳴らしている。  
アンドラスはそれでも彼女のことを見ない。  
 
「なんでどこから入ってきたの?」  
つまらなそうに問いかける。  
「映し世の扉よ・・・・開いていたから。」  
バツが悪そうに彼女は答える。ある意味不法侵入であるからだろうか。  
「そう・・・、あれは君のために開けておいたわけじゃないんだ。  
 だから、出て行ってくれないか・・・・。」  
頬杖をつきなおし鏡をまっすぐに見つめる。  
 
「うぅぅ〜っ・・・ひどいわぁ。アタシを差し置いて、また人間なんてっ・・・。  
あの時、アタシのこと優しく抱いてくれたじゃないのぅ・・・。」  
「・・・あの時??」  
アンドラスは赤い瞳を天井に向け考えてみる。  
 
「以前、人間の雌が死んでしまった後よぅ!  
 もうそれで人間には愛想をつかしたのかと思ったのにぃ〜。」  
今にも泣きそうな顔でアンドラスを見る。まるで14,5歳程度の少女のようだった。  
実際はその百倍以上生きているのだが。  
 
「・・・そんな昔のことかぁ・・・・・。カサンドラ・・・あれは間違いだよ。」  
「昔・・・って・・・。あれからずっとアタシ・・・アンタに言ってきたじゃないっ。  
 聞いてなかったなんて、言わせないわよぅっ!」  
アンドラスの腰掛ける椅子の肘置きに噛み付くようにしがみつく。  
「・・・・。」  
「言っていたでしょぉ・・・。アタシと組もうって・・・。アンタとアタシだったら、魔王にだってっ・・・!」  
必死にしゃべる彼女を手で制する。  
「そんなことはないよ。魔王様は絶対的な存在だ・・・。それに・・・俺にそんな意思はない。」  
「なんで?なんでよぅ。魔界を支配できれば、何だって手に入るのよっ?  
 それに、アタシはアンドラスがほしぃのっ・・・」  
必死に取りすがる彼女を初めてゆっくりとアンドラスが見据える。  
 
「もう・・・欲しい物はすべて手に入れたんだ。  
 それに、魔界の者同士で求め合うというのは俺は間違っていると思う。  
 何も変化がない・・・何も変わらない・・・。意味がない・・。」  
「・・・・・なんで・・・・・・・」  
カサンドラは悲壮な顔つきになり、無言のまま着ているドレスのホックを外していった。  
パサリと足元へドレスが落ちる。  
「こんなにもアタシは全身でアンタが欲しいわ・・・・・。これが間違いなの?ねぇ・・・。」  
アンドラスの手を取り、自分の足の間へと運んでいく。  
彼の指が敏感な場所にたどりつき、それを自分の指で上から動かして  
潤んだ場所を教えた。  
その間彼はカサンドラの顔から目を逸らさず見つめている。  
 
「ねえ・・・動かしてよぅ・・・アタシをどうにでもしていいから・・・・・。」  
冷たい指はピクリとも動いてくれない。  
もう片方の手もちょうど良い形の乳房へ導き、  
手のひらに乳首が当たるように動かしてみる。  
 
「ねえ・・・・何か言ってよぉ・・・。アタシ・・・初めてアンタを見た時から  
 もう何百年もずっと欲しかったの・・・。  
 意味なんてどうだっていいじゃなぃっ・・・・・・。」  
美しい惨めな悪魔を彼はただ眺める。  
その時、カサンドラの小さな鼻がピクリと動いた。  
 
「こ・・・この臭い・・・・・・・人間??の・・・雄・・・・」  
アンドラスの手を離し、あたりを見回す。  
歩き出し、詮索しようと歩き出すカサンドラの細い手首を何かが掴む。  
 
「ア・・・アンドラス・・・・。この屋敷に・・・人間を匿っているのね?!」  
彼は掴んだ彼女の手首を引き寄せ、椅子に座る自分の膝の上に乗せる。  
「そんなこと、君には関係ない・・・・。」  
背後からカサンドラをきつく抱きしめる。  
「か・・・関係なくないわっ・・・おかしいわよっ・・・・雌だけならまだしも・・・なんで雄までいるのぉっ?」  
「そんなことより・・・せっかく来たのだから見ていきなよ・・・。」  
彼女の顎を掴み、顔を先ほど見ていた鏡に向かわせる。  
「なっ・・・なによぅ・・・これ・・・・・。」  
想いを寄せる悪魔に抱きしめられ、彼女の語気が和らぐ。  
 
「君も悪魔なら気づいているでしょ・・・最近の魔界の力の波を・・・。」  
「・・・た・・確かに・・・少しいつもより・・・強いエネルギーが魔界を満たしているわね・・・。でも、それがっ・・・」  
目の前に映る焼け爛れる町並み、襲われる人間。  
炎を巻き起こす少女・・・・・。  
「この娘がこのエネルギーを生んでいるんだ・・・・分かるかい?」  
「・・・も・・・もしかして・・・こ・・これ、人間なの?」  
「うん、そう。正しくは人間だった。俺たちには出来ないことをたやすく出来る人間と魔の曖昧な存在だ。」  
「そんなっ・・・こんな力・・・何故?!今までは皆壊れていたじゃないのっ・・・」  
「それは何故だか分からないな・・・。ただ、このままいけばやがて・・・」  
「やがて・・・?」  
息を呑みカサンドラは彼の言葉を待つ。  
 
「なんでもない・・・・とにかく、俺はこの力が必要だった。それ以外はもう何もいらない。」  
そう言って、きつく抱きしめていた腕をほどいた。  
「アンドラス・・・・。」  
困惑したような表情で背後の悪魔を見上げる。  
「さ、帰るかい?それとも、やる?」  
意地悪な表情でアンドラスはカサンドラを見つめ返す。  
「・・・・っ・・・・侮辱だわ・・・・・。アタシが・・・体だけを求めているとでも・・・?」  
青ざめ震えながら言葉を吐き出す。  
「違うの・・・?意味なんてどうでもいいんでしょ?瞬間の快楽だけなら分かち合えるかもね。」  
「・・・・酷いわ・・・・酷いわ・・・・・・!!!」  
膝の上から飛び降り、床に落ちたドレスを拾いあげカサンドラは地団駄を踏んだ。  
「なっ・・・何が出来ないことを容易く出来る力よ!!人間に何が出来るというのよ!!  
 アタシ達悪魔のほうが遥かに偉大だわっ!!!」  
ドレスを乱暴に着込みながら怒鳴り、怒る。  
「ククッ・・・・・・・そうかもね・・・・。」  
子供の冗談を聞くような顔で着替えるカサンドラを眺めていた。  
「こ・・・後悔させてやるんだから!!!アンタも・・・この人間も!!!」  
そう言うと、きびすを返しカツカツと踵を鳴らしながら  
映し世の扉へと向かった。  
 
「さよなら・・・・・。」  
彼女の影にアンドラスは別れの挨拶を送った。  
 
 

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