『ミラさん、ご指名入りました、準備お願いします』  
受話器を置くと、私は気だるげに起き上がり浴槽にお湯を溜め始める。  
今まで寝ていた棺にカバーを被せベットにして体に巻いていた包帯を取り払う。  
「この包帯は伸縮性がイマイチね」  
ひとりごちて私は鏡で自分の姿を見る。  
相変わらず酷い姿だ。  
肌は潤いを無くしシワシワのガサガサに、  
髪も艶を失いパサパサに、  
土気色の肌はまるで生気を感じない。  
とても人前に出られる姿ではない。  
だから、これから人前に出るための準備をする。  
浴槽を見やるとすでにお湯は溜まっていたので、倒れ込むように湯船に浸かる。  
すぐに変化は表れた。  
ガサガサだった肌は瑞々しい玉のような肌に、  
髪は潤いを取り戻し艶やかな黒髪に、  
生気のない土気色は健康的な褐色の肌へと変貌を遂げていた。  
湯船から上がると、そこにお湯は残っていなかった。  
軽く流して再びお湯を溜め始める。  
髪を整え、ナイトドレスに身を包み、私を指名したお客さんの元へ向かう。  
 
『ソープ アンデッド』のコンパニオン、ミラの仕事が始まる。  
 

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