最早簪も耐えられないほどに薄くなった白髪の男が、訥々として語りだしたのは  
次のような話である。  
 
 
墨をだらりと溶かしたような闇に炎のように燃える紅い瞳が煌き、拉げたくぐもる音が連鎖し  
鉄のような血飛沫の匂いが重く立ち込め、新緑の葉や干乾びた大地に無数の紅い花を  
咲かせた。  
二十尺程の異形の主は、炯炯とした瞳に黒金の体躯、姿は人の形に似ていたが  
その首からは襟巻きのように長い蛇が十匹、緩くトグロを巻き時折毒を吐いている。  
 
一人の女が邪淫を強いられていた。男根は既に深々と突き刺さっており、意識は遥かに  
遠のいているのが幸いである。着衣は散り乱れ、もはや隠すべき肌も残っていない。  
異形の影から伸び行く蛇たちが女体にぬめった痕跡を無数に走らせ、僅かに差し込む  
月明かりがそれに静かな光沢を湛えさせる。  
二つの蛇は両の乳房に螺旋の筋を描きながら頂を吸う。ある蛇は菊門の帳を容易く開き、  
ある蛇は足の付け根から朝顔の弦のような曲線を描きながら這い上がっていく。  
時に甦る意識の破片が、女に羞恥の吐息を毀れさせるが、その都度異形の影が唇で  
その吐息ごと意識を暗黒へと封じ込める。  
 
快楽を許され嬲られているのはその女のみで、絡み睦んだ塊の傍には、男達の切り裂かれた  
四肢が幾重にも重なりあっていた。血の匂いが一層濃くなった。  
−−突然、異形の動きがぴたと止まった。  
 
“道士”  
脳髄に直接響く声を、若い男は受け止めた。緋色のマントを膝まで垂らし、首から翡翠の  
勾玉を揺らしている。顔立ちは精悍で目元が鋭く身体は引き締まって俊敏さを発散していた。  
 
「魔界人よ、我がロハスの名において直ちに命ずる。その身来るべき所へ還り、  
納まるべき場所に結せよ。至福の精よ、安寧をこの地に現さん」  
 
ロハスが呪文を唱え終わる瞬間に、異形の者から黒煙が噴出し、その肉片が木の葉のように  
剥れ落ち、朱に染まった大地を更に蹂躙していく。常人には耐えられないほどの腐臭が  
一帯に纏わりはじめたが、ロハスは眉ひとつ動かさず女だけを抱き取り、疾風より早くその場から  
遠のいた。  
 
“道士。強大になったものだな。だが、まだ俺は息絶えぬぞ”  
再びロハスの脳に忌まわしい声が轟き、花火のように沈静化した。  
 
「手遅れか」  
奪還した女の手首を握り、事切れているのを確認したロハスは失意の溜息を長く吐いた。  
蝸牛の這ったようなべとついた光沢を裸身にまとい、腿の付け根から魔界人の腐った  
種が艶々と滴っている。命の根のない体躯とて寄生の恐れの芽は摘まねばならない。  
大方、旅の途中に襲われたのであろう、供人らしい男達の惨たらしい屍とともに、榊の葉で  
彩った窪地に女の身体を横たえ、ロハスは右の腕に強く息を吹きかけた。  
すぐに掌に透きとおるような炎が揺らめき、それを折り重なった物言わぬ身体たちにかざすと、  
ゆっくりと浄化の舞を見せながら窪地いっぱいに橙の光が満ち溢れた。  
「風・火・水・土。何を飲み込んでも穢れないのは、炎だけだな」  
明るい光に照らされて、整った鼻梁に深い影が施され、厳しい面差しを一層精悍なものに  
見せている。その双眸は炎を見据え、強健な体躯は微動だにもしない。  
 
全て焼き終えた後、ロハスの目の端に何かが映りこんだ。  
黒い茂みと灰色の岩の間に見える、白い影。  
警戒と好奇を携え、ロハスはそれに近づいていった。  
 
腰を引き即座に飛びのける体勢を崩さずに、白い布を引っ張ってみる。  
「ん」  
ゆっくりと弧を描きながら、少女の身体が中から転げ落ちた。  
固く合わされた長い睫が月光を彩り、薄く白い皮膚に濃い陰影を添えている。  
頬や項に乾いた土が付着していたが、整った顔立ちや珊瑚色の愛らしい唇、  
美々しいたおやかさは隠しようがなかった。  
どうやら異形のものではないらしい。おそらく先刻犠牲になった者たちの主であり、  
襲われた瞬時に誰かが被布にくるんで、保護を図ったのであろうとロハスは推測した。  
このままこの場所に放置すれば、魔の手のものに堕ちるのは必定である。  
 
「男所帯だが、いたしかたないか」  
 
ロハスは頭を掻きながら少女を抱き上げた。恐ろしいほど軽く柔らかな感触が、  
再び巻きなおした白い被布の上からも明瞭に伝わってくる。艶やかで真っ直ぐな黒髪が  
はらはらと数束落ちたのを、引っ張らないように注意しながらロハスは自らの庵に歩を進めた。  
 
 
ロハスは、この魔の森の片隅に居室でもある庵を構えている道士である。  
シラオネの国が魔に汚濁され、人々の心に闇を住まわせ、闘いに明け暮れる日々が続いたとき、  
国王の命を受け老師ジェタリオンとともに、巣窟であるダンダロイの森に遣わされたのである。  
老師ジェダリオンは、孤児だったロハスの才能を7歳の頃から的確に見抜き、手元で養育して  
己が持つ全ての知育を隈なく施した。  
必要な学問、言霊や四元素の自在な操り、肉体の鍛錬に−−女の抱き方まで。  
 
遡ること数年前、ロハスのほかに数名の兄弟子がおり、彼らと連れ立って町の娼館に  
足を踏み入れたのが筆おろしであった。老師自身はともに行こうとはしなかったが、  
「学ぶべきことだ」と短く笑って見送ってくれたのを、ロハスは今も瞼の裏に思い描くことができる。  
 
兄弟子達は下卑た笑いを漏らしながら、気に入った女の肩を抱きすくめながら、暗い小部屋に  
めいめい消えていった。何か冷やかしの言葉を投げられたような気もしたが、あまり明確には  
思い出せない。  
ロハスの初めての女は若いというにはかなり無理がある、下腹に豊満な肉をみなぎらせた者で  
大きすぎる胸をいきなりはだけてロハスの顔を押し付けてきたときには、色気を感じるどころか  
嫌悪がその胸に湧き上がったほどだ。だが、百戦錬磨の娼妓はともに身体を隔てる布地を  
ゆっくり取りはがし、少年ロハスに自らの唇を重ねてきた。ぼってりとした唇が少年の唇を容易く  
割り込み、舌を舐めつくす。武器以外持たぬ指先をたわんだ乳房にいざない、感応の場所を  
教えていく。  
「あんたの兄さんから、懇切丁寧に教えてやれっていわれているのよ。  
大丈夫、あんたいい身体しているし、飲み込みも早そうだもんね。良い男になるわ」  
乳首を舐めあげられると娼妓のその言葉は嬌声に変わり、やがて短い喘ぎを連発し始めた。  
彼女の手がロハスの一物を緩く掴むと、彼は一瞬全身を強張らせたが、手淫が始まると  
硬くなったのは一点のみに集中した。女は彼のモノをほおばり、襞を忠実に舌でなぞっていく。  
 
「ああ」不本意だ、と頭のどこか冷えた部分がそう思うのに、下半身のみ灼熱の様相を帯び、  
命じられたとおりに彼女の胸を揉みあげ続ける。どくん、と自分の中に何かが波打つのが  
感じられ、間髪を入れずにロハスは女の口腔に精を吐き出していた。  
「まだよ・・・もうひとつの口に与えなきゃね」  
唇を淫靡な液体で濡らしたまま、彼女は再びロハスの唇に舌を差し入れる。  
己の種を口にしたことのないロハスは、必死に逃れようとしたが、豊満な乳房がすばやく彼の  
頭を谷間に誘い込み、軽く耳を甘噛みして再び軽く口付けし、再び彼のモノを攻め立てた。  
 
「こちらもいい感じよ」  
にやりと笑い、自分の茂みに少年の手を押し当てる。ねっとりした蜜が指に絡みついた。  
ロハスは、どうすればいいか既に察しており、女の言葉を待つまでもなく、自らの切っ先を  
秘所に宛がい、一気に貫いた。柔らかく温かな褥は彼をじわりと包み込み、その官能は  
脳天を痺れさせる。腰を振るたびに女は動物のような咆哮を喉の奥から迸らせ、やがて  
ロハスは彼女の奥地に種を放逐した。  
 
「やっぱりあんたは筋がいいわ。途中から、アタシの指導が要らなかったもんね」  
大きな胸を波打たせ、数回目の射精を終えた後、娼妓は呟いた。  
だが、ロハスは何かやりきれない思いがこみ上げてくるのを止められない。手技と舌技、  
柔らかな肉体に確かに自分の肉は反応し、快楽を互いに貪りあった。決して感覚に不満は  
持っていないのに、満たされないような、敵に屈服したかのような口惜しさの残照は何なのか。  
しなだれかかる女の腕を静かに外し、ロハスは素早く着衣を整えると、兄弟子達の艶声を  
後ろに聞きながら、老師の元に駆け出した。  
 
事の顛末を頬を赤らめた少年から聞き終えると、老師は愉快そうに笑い飛ばした。  
「それはいい、それでいい、ロハス。あの場所は今のお前に必要なものを与え、そして最も重要な  
ものを得ないと、必ず示唆してくれると思うていた。吉祥じゃな」  
「吉祥とは?兄弟子達は与えてもらえていたのですか?俺は何かおかしいのでしょうか」  
「いやいや、そうではない。兄弟子達は目が曇っておるのじゃ。とにかくお前は良き経験をしたと  
いうことじゃ、ロハス。若いお前は急ぐことはない、数年かけてわかることもある」  
 
 
庵に戻り、自らの寝台に横たえた少女の顔を湯を絞った布でふき取ると、白いおもては一層  
汚れない美しさを放ち、比類ない芳しい息づかいが殺風景なロハスの部屋を一気に愛らしい  
雰囲気に変容させた。寝台から流れ落ちる艶やかな黒髪は床にまで達し、少女の肌の白さを  
一層引き立てている。長い睫の下に溜められた影、すっきりした鼻と珊瑚の唇、どこにも欠点  
らしいものは見受けられない。  
 
「だが、俺には関係ないことだ。女ごときに惑わされるようでは護りの役は務まらない」  
ロハスは呟き、寝台から離れた。美しい少女を見て、記憶の底に封じ込めていた筆おろしの日の  
残影や、亡き老師の言葉が胸に去来したのは何故なのか。  
苦笑いを口の端に浮かべ、隣室の板間にその強躯を横たえて、彼は深いまどろみのなかに落ちていった。  
 
柔らかな茜の色がにぶく漂う明け方、ロハスは周囲の空気がかすかに変化したのを  
感じ取り、静かに目を開けた。自分の身体のすぐ脇に、昨夜の少女が物言いたげな  
表情で膝をついて座っている。一瞬黒曜石の瞳がこちらを見据え、すぐ恥ずかしそうに  
違うほうを見やった。  
 
「あの・・・貴方さまがお助けくださったのでしょうか。わたくしの供のものを、ご存知ではありませんか」  
声は鈴のような張りをしめし、双眸は闇のように深い黒を湛えている。  
一瞬何かが自分の中でわきあがったような感覚を覚えたが、ロハスはそれを心の中で否定し、  
ゆっくりと身を起こした。  
「残念ながら、この地の魔界人に残らずやられてしまった。  
聞くが、一体なんのためにここへ来た?ダンダロイの森が魔の巣窟というのは誰でも知っている。  
ここにおれば命の保障はない。疾く帰れ・・・送っていくから」  
少女の切り落としたばかりの林檎のように白い頬は一層色を失った。  
繊細な指に顔を埋め暫く嗚咽を漏らしていたが、やがて震えながら語りだした。  
 
自分はアロンソニア=ミュラ。シラオネの巫女として宮廷に仕えていたが、祈りの声も空しく  
国は乱れ民は憂えていく。そんなとき、ダンダロイの森で魔界人と闘う道士ロハスの話を聞いた。  
より具体的に国を護るためには室にこもって祈るだけでは足りぬ、直接ロハスとともに魔物を  
封じ込めよと神託がくだり、宮廷の番人数名と侍女のオリンピアとともに山々を越えてやってきた。  
しかし突然疾風が沸き起こり・・・  
 
「後は全く覚えていないのです」  
ロハスの顎がゆっくり下に落ちた。こんな無茶で浅慮な人間は初めてである。  
「いいかよく聞けお嬢さん。あんたの無鉄砲さで幾多の人間が死んだんだ。  
あんたが魔界人に喰われなかったのは、奇跡的に身体が岩陰に落ちたからなんだよ。  
神託なんぞ信じずに、早く今ある場所へ帰ってくれ」  
「無理です・・・シラオネの神託に巫女は絶対の服従を誓うのです。  
魔物をロハス様と封じ込めるまでは帰れません・・・あなたがそのロハス様なのですね」  
まなじりに強い色を滲ませて、ミュラはロハスを見つめ返す。  
 
ややこしいことになった、とこの国一の道士は困惑の表情で腕組みをした。魔界人には  
滅法強いロハスも、このような世間知らずの乙女に手向かう術を持っていない。  
何より思い込みが激しくそうで単なる脅しすかし程度では帰るように感じられない。  
 
・・・ふとひとつの悪戯が心に浮かんだ。  
 
「ミュラ、本当に魔物を俺とともに封じ込める気概があるのか」  
「勿論ですわ。ロハス様と魔物を封じ込めよという聖なるお告げなのです。  
まっとうするまでここから動きませんわ」目には微塵の揺るぎも見られない。  
「・・・全く良い覚悟だ」  
 
言い捨ててロハスは下半身の布をはらりと落とした。ミュラは顔をそむけるでもなく  
ただ一点を凝視している。  
「それは?」  
「これが俺の魔物さ」  
口にしながら可笑しさがこみあげる。全く男根も知らぬ乙女がいるとは驚くべきことだ。  
「普段はおとなしいが時に立ち上がって悪さをする。今もほら」  
それに無邪気な視線が絡むと、ロハスは胸の中が熱くなりますます彼の精は屹立した。  
「まあ・・・良かったわ、わたくしにはそんな魔物はありませんもの」  
「だが、お前には魔界があるだろう、知らぬのか?」  
 
怪訝そうに見返す瞳に顔を近づけながら、ロハスはそっとミュラの被布をたくしあげ、  
股間に手を差し込んだ。小さく悲鳴を上げて逃げ出そうとするミュラの腰を片腕が  
しっかりと取り押さえ、空いたほうの指先が直に恥毛を掻き分け、女陰をなぞった。  
「あうっ」  
「これがお前の魔界」  
中指を割れ目に沿って何度か往復させ、時折突起を弄ぶとミュラは身を捩って  
暴れだした。秘所からは清冽な泉が静かに滴ってきている。  
「いやっ・・・やめ・・・あ・・・っ」  
 
瞳孔が開き、黒い瞳の焦点が定まらなくなっていく。薔薇の唇が半開きになり  
甘い吐息が漏れたとき、ロハスの悪戯が何か違うものに変化しはじめた。  
 
「撤回するなら今だぞ・・・もう少しで俺も抑えられなくなる。どうする」  
「撤回は・・・しません」  
荒い息を弾ませながら、ミュラが反応した瞬間、ロハスの頭の中で何かが弾けた。  
ミュラの顎をつかんで上向かせるとそのまま唇を重ねる。必死で繊手が彼の  
厚い胸板を押し返そうとするのを意に介さず、舌で上唇と下唇をなぞり、そのまま  
唇を割って舌を絡ませてゆっくり吸い上げる。ミュラの身体がびくんびくんと  
雷光に打たれたかのように反応するのが心地よく、長いこと唇を離さずにいた。  
 
ようやく唇を離すとまだ息の整わない熱を帯びた華奢な身体を抱き上げ、寝室へと運びこむ。  
ミュラを仰向けに横たえて再び熱い舌を唇に与え、そのまま首筋に這わせていく。  
服をすばやく滑らせるように脱がすと、たわわな乳房が誘うように揺れている。一つを口に含み、  
もうひとつの頂に指を立て静かに埋め込みながら円を描くように揉みしだく。  
「あっ・・・だめ・・・そんな・・・くっ・・・ん」  
初めて与えられた感覚に、ミュラは顔を真紅に染めかぶりを振って抵抗するが、  
男の力が腹の上にかかっているので逃れることができない。  
「もう遅い」  
そう呟くとロハスは両の乳首を舐めあげたり舌で転がしたり、軽く甘噛みを施す。  
ミュラの艶声は一層切ないものに変わっていった。  
 
舌が乳房を嬲っている最中に、彼は少女の腰を持ち上げ、そこを覆っている布を一気に  
取り外した。  
「ああっ、いや!み、見ないで・・・っ」  
恥ずかしさのあまり逃げようとするミュラを再び押し倒し、細い足の間に身体を割りいれる。  
「ここだな、お前の魔界・・・すでに涎が流れているぞ」  
「うそっ・・・いや・・・」  
涙を浮かべて逃れようとするミュラの膝を高くあげ、ロハスは腿を抱きしめるとその女陰に唇をつけた。  
敏感な部分に男の唇が触れ、淫らな音を立てて吸い上げられるとミュラの抵抗は  
一層激しさを増したが、屈強な男の腕の中では逃げることも叶わず、直に時折脚を痙攣させては  
甘い溜息をもらすだけとなった。  
 
「そろそろ行くぞ」  
ロハスがミュラにかぶさった瞬間、敏感なところに何か固いものが当たり、一気に上へと  
向かって貫かれた。  
「いやあ・・・痛いっ、いた・・・っ・・・やめ・・・て・・・」  
まだ半分ほどなのにミュラは恐ろしいほど苦悶の表情をみせる。眉間に寄せられた皺と目尻に  
走る涙の後をロハスはちらりと見たが、それよりも自身を熱く締め上げる極上の感覚に  
酔いしれており、もっと到達したいという欲望の波の方が強烈に彼を痺れさせていた。  
少しだけ静かに肉刃を差し込んでいく。ミュラの脆弱な悲鳴は途切れなかったが、  
やっと終着までたどり着き、彼はそのまとわりつく感覚の甘美さに恍惚とした。  
 
「今、やっと魔物を魔界に追い込んだ。魔物は暴れん坊だから用心しろ」  
そうミュラの耳元に囁き、耳朶をそっと唇ではさむ。そのまま顔中に口付けの雨を優しく  
降らし、軽く唇を合わせた後、掌を豊かな乳房に押し当てながらゆっくりと腰を動かしていく。  
充分に泉を湛えている秘所は滑らかだったが、男を初めて受け入れているためか、  
収縮が厳しさを増し、それが一層ロハスの一物に刺激を与えているのである。  
ロハスは前へ後ろへと腰を振り、それにあわせてミュラはかなしいほどの艶声を響かせた。  
 
彼の一物が瞬間引き締まったように感じ、次の瞬間一気に少女の奥底に彼の精が  
放たれた。ミュラの何度目かの絶頂もほぼ同時に達した。  
 
 
ロハスは、果てた後もミュラを逞しい腕に抱えたままなかなか抜き取ろうとしない。  
これほど女体に耽溺したのは初めてのことである。恥ずかしさと痛みで流す涙を  
唇で吸うと、また唇を重ねる。  
 
「まだ痛むか?」  
「大丈夫・・・です。でも酷い魔物ね。中で大暴れして魔界が壊れるかと思いましたわ」  
邪気のない言葉にロハスは少し苦笑をもらした。  
「そろそろ大人しくなったかもな。解放するか」  
そのままゆっくり引き抜くと、欠損した空間を追い上げるように肉襞が絡みつき、ふたりは  
同時に喘ぎ声を漏らした。  
ミュラの腿に這う血や精をロハスは手近の布で丹念にふき取ったあと、再び彼女を  
抱きしめる。ミュラは恥ずかしさのためか、彼の胸に顔を埋めて目をあわせない。  
柔らかな肢体は、一向に熱が引かないようだった。  
 
「ミュラ」ロハスは静かに彼女を呼んだ。  
「また魔物が息を吹き返したようだ・・・鎮めてくれるか?」  
 
 

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