「そうそう!聞いてよなっちゃん!」
「ん?何?」
「こないださー、源ちゃんがさ、また女の子に告白されてたんだよ!」
「へぇー…… それで?」
「本人は『断った』って言ってるんだけど、見てると満更じゃないみたいだし…」
「その前に、さ」
「ん?なになに?」
「なずな、まだ源五郎君に告白してないの?」
「う……」
「なずなと源五郎君って、出会ってから何年経ってるのよ」
「えと……かれこれ13年ぐらい、かな?」
「ずーっと一緒に居るのに、なんで告白しないかなぁ」
「だ、だって!源ちゃんと居ると舞い上がっちゃって、なんだかそれだけで満足しちゃうって言うか、なんていうか…
こ、この間だってね!源ちゃんが勉強頑張ったからって言って頭撫でてくれて、もう嬉しくって嬉しくって仕方なくって、でも恥ずかしくなってすぐ源ちゃんの家から飛び出しちゃって」
「すとーっぷ」
「え、え?なになに?」
「……いや、なんでもない」
「なになになになに!気になる気になるー!」
「あ、そういえばさ」
「ん?何?」
「この前、ミッキーが女の子と一緒に歩いてたの、見たよ〜」
「それどこで?いつ?その女の背格好は?証拠写真は?」
「ちょっ、こ、怖いってなっちゃん」
「はっ……ごめんごめん」
「はぁ……ビックリした〜」
「本当にごめんって。で、それはいつの話?」
「えっとね、三日前くらいかな?」
(その日は用事があるって言って先に帰った日…)
「じゃあ、次。どこで?」
「うんとね、確か駅ビルの3階だったかな」
(女性物の衣料品のフロアよね…)
「で、一緒にいた女の子はどんな子だった?」
「えっとね〜…顔はどこと無くミッキーに似てた気がするなぁ」
(深雪似?……!もしかして)
「その子って、深雪とおんなじくらいの背丈じゃない?」
「うん、そのくらいだったと思うよ〜」
「で、髪の毛はツインテールにして、腰ぐらいまであった?」
「あ!うんうん!そんな感じ!なんだ〜、なっちゃん知ってるじゃ〜ん」
(なるほど、だから昨日……)
「あれあれ?なっちゃん、嬉しそうだね?」
「え?そ、そんなこと、無いけど?」
「え〜?だって今、すっごーくニヤニヤしてたよ〜?もしかして何か良いことでもあったの〜?」
「き、気のせいだって!そう!なずなの気のせい!」
「そういやなっちゃんもミッキーと幼馴染だったよね〜?でも恋人じゃなかったよね〜?それでかなぁ〜?」
「〜〜〜〜〜〜っ!なずなぁ!」
「わ〜〜〜!なっちゃんが怒った〜〜〜!」
― 終 ―