「あー、童貞捨てたいーっ!綺麗なお姉さんがいいな。ミニスカ美脚の。
俺の上に乗っかかって誘惑して欲しいぜ!」
「俺はかわいい後輩がいい…。身も心も捧げますと言われたい…」
「それもいいよなっ!
おい利一、お前はどうだよ?お前も男なら、エッチなことしてみたいよな?!」
「そんなの当たり前だろ」
「お前ってあまり自分の好み語らないよな。もしかして凶暴なひんに……」
「俺の好みは顔が埋まるくらいの巨乳のお姉さんだっ!!」
男なら日課とも言える、いつも通りの何気ない馬鹿三人組の会話。
空が美しい昼時の屋上に相応しい会話ともいえる。すなわち青い春。
しかし気をつけよう。その後ろ、給水塔の影に誰かがいないかを……。
紗枝は親の仇のごとく焼売に箸を突き立てた。
そもそも屋上には自分の方が先にいたのだ。
三馬鹿どもをいつも通りに父譲りの蹴り技で撃退することも考えたが、
お弁当で腹を満たしてからと思っているうちに下ネタが始まり、出そこねたのだ。
これでも乙女、恥ずかしいものは恥ずかしい。
(ふん。来栖め、誰が凶暴貧乳よ。それに利一も。そんなに巨乳が好きなら埋もれてシネ)
利一のやつ、誰のおかげで高校まで進学できたと思ってる。
あんな脳みそ空っぽの体力バカ、あたしが家庭教師やんなきゃ小学校で中退よ中退!
ぶつぶつ呟きながら、それでも見つからないように身を縮こまらせて、
何故怒っているのか理由を考えないようにしながら、紗枝はすごい勢いで弁当をつめこみ始めた。
そんな青春。