私は生まれつき足が動かなかった。
そのような子だから両親にも捨てられた。
だがそんな両親だがこれから生活に困らないようにと
生活するためのお金と
寡黙な介護士の「それ」を置いて行ってくれた。
「それ」とはかれこれもう共に暮らして16年となる。
私は「それ」最初は意識していなかったのだが最近一人の異性としてみるようになってしまった。
そう。私は「それ」を愛してしまったのだ。
だが障害を持つ私とそれとでは釣り合わないだろう。
…だが私もこのまま思いを心にしまっておいたまま「それ」と暮らしていきたくはない。
だから告白する。
たとえその思い通じずとも。
「…あなたに伝えたいことがあります。」
「…」
いつものことだが「それ」は一言も口にせずじっとこちらを見ている。
「私はあなたのことを愛しています。」
「…」
「それ」は静かにこちらの言うことを聞いている。
「だから…」
「……」
「私と交わってください。」
「………コクリ」
「それ」はほんの少し首を前に傾け肯定の意を表すと
こちらに近づいてきた。
どうも「それ」は私をリードしてくれるらしい。
「んっ…」
1度目は軽いキス。
そして二度目に「それ」は私の唇を割って
私の口に舌を入れてきた。
私も入ってきた舌を私の舌で舐めまわす。
「ンはぁ…」
そうして唇を離すと二人の間に涎でできた淫猥な橋がかかっていた。
3分…いや5分だろうか…
もはや二人とも一言も言葉を交わさなかった。
そんな静寂の中で
私と「それ」は新たな段階へ
行動を移す…