一日目  
「ごめんね。今朝からちょっと、頭が痛いの」  
「お弁当、一緒に食べようか」  
「ううん。もう平気…え、ここで?」  
「はぁ…はぁ…直秋のこと、大好きだよ」  
二日目  
「おはよう。昨日は、ありがとう」  
「え…ダメだよ。まだそんな積極的になんて…」  
「しょうがないなあ。キスだけだからね」  
「直秋くん、一緒に帰ろう」  
三日目  
「迎えに来てくれたんだ。嬉しいな」  
「いや…まだ、早いってば」  
「そんな顔しないでよ。…分かった」  
「男の子にキスしたの、これが初めてだよ?」  
四日目  
「最近私によく話しかけてくれるよね」  
「でも、ちょっと馴れ馴れしいかな。嬉しくない訳じゃないけど」  
「好きだなんて、軽々しく言わないで」  
「…もう少し考えさせて。まだあなたのことは、友達としか思えない」  
五日目  
「あ、同じクラスの…石山くん、だっけ?」  
「面白い人」  
「ごめんね。用事があるの」  
「まだ何かあるの?」  
六日目  
「失礼ですが、どちら様ですか?」  
「よく…分からないの」  
「ごめんなさい。見覚えが…ないです」  
「どうして泣くの?」  
七日目  
「え? 私にお弁当?」  
「私部屋にいるのに…あ、何だかお父さんのみたい」  
「……」  
「美味しい…のに、何で涙が出るのかな?」  
 
「記憶退行? がやっと止まったってママが言ってた」  
「いつもお弁当ありがとう。お兄ちゃんのこと、大好き」  
「これ食べてるとね、とても幸せになれるんだ」  
「ずっとお弁当、作ってほしい」  
 

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