ウチの生徒会長さんは困った人だ。
何をやっても失敗ばかり。いつも必ず何かでドジる。
体育祭では演説の最中に貧血で倒れて壇上から転落したり、(ちなみに副会長の俺がキャッチした)
文化祭では生徒会主催でメイド喫茶を取り仕切ったのはいいものの自分一人だけ下着姿で出て行ったり、(ちなみに副会長の俺が男どもの視線からガードした)
生徒総会では何を言えば良いのか忘れて挙句「和人さぁ〜ん」とか言って俺に泣きついてきたり。
もう本当に勘弁してくれ。行動力がやけにあるから俺はいつも尻拭いで忙しいんだ。
「きゃあっ」
ほらまただ。一日何回やりゃ気が済むんだろうな。
俺は髪の毛を掻き毟って声の聞こえた場所――生徒会の給湯室――へ向かった。
「会長、また何を――!?」
「あ、か、和人さんっ!」
俺を待ちうけていたのはなぜか制服がびしょ濡れで下着とかがスケスケな会長さんだった。官能的だ。
俺はとりあえず「早く着替えてください!」と叫び、給湯室を後にした。こればかりはどうしようも出来まい。少し後ろ髪を引かれる思いなのは内緒だ。
「……あのー、和人さん?」
給湯室近くの壁にもたれかかっていた俺に会長の控えめな声がかかった。
出来るだけ彼女を見ないように「なんですか」と問うと、
「タオル、頂けませんか?」
俺は保健室へ全速力で向かう事になった。
畜生、何であんなにドジばっかなんだ。危なっかしくて目を離せない……。
「はいどうぞタオルですっ!」
目を閉じて乱暴にタオルを渡すと俺は給湯室を出た。ここにいたら理性が持たなくなりそうだ。
給湯室を出た後に「ありがとうございますっ……ひゃうっ!」とか言う声が聞こえた気がしたけど幻聴って事にしておいた。