・少女剣士の手難 ep7  
 
 一行が満身創痍でヒュールト岩窟を脱し、晴れわたったモーへギ荒野の地をふむと、多数のモーへギ族にかこまれていた。  
 かれらは大分まえから待ち伏せしていた雰囲気であり、一行が目的を達したのがわかっている様子でもあった。  
 一様に口をつぐみ、また動きかねている冒険者四人に対し、長らしき一人の男が前にすすみでて口をひらいた。  
 
「ぬしらはなんということをしてくれたのじゃ。  
 アンドゥリルはわれら一族を守護すべく安置されていた秘なるつるぎ。それを持ち去ってしまうとは、われらに滅びよというのか」  
「…………………………」  
 
 少女一人と男三人の冒険者はみな同じような雰囲気で、感情を押し殺した無表情をくずさない。  
 誤算だったとは全員が思ったことだが、弓使いロシーニだけは怒りをも押し殺さねばならなかった。  
 ――この老体、虚を弄している。  
 
 この老体は邪術に拠って、僕達が秘剣アンドゥリルを手に入れたのを‘視た’。  
 今までにも多くの冒険者をそそのかし、ヒュールト岩窟に赴かせて持ち去ろうとしたところを奪うつもりだったのだろう。  
 一体なんの驚異から守護するのか訊きたいところだが…………。  
 おそらく大人しく渡さねば、生かして帰さないつもりだろう。  
 さて、どうしたものか…………  
 
 青年が熟考していると、長は再び重々しく話しはじめた。  
 
「それはこれと認めし者しか扱えぬ。  
 主たる者が持っていなければわが里は衰滅してしまうのじゃ。  
 ぬしらがアンドゥリルをどうしても望むというのであれば、『試練の祭壇』にて資格を試さねばならぬ」  
 
 ここでモーへギ一族を敵に回すのは得策ではない。  
 五百はくだらない戦士の集団相手に対抗しようとするのは、勇気ではなく無謀だ。  
 となれば、選択肢は試練を受けるか、大人しくアンドゥリルを譲渡するかのいずれかだろう。  
 三人の若者は、変わらぬ様相で少女剣士リディアの顔をうかがった。  
 
「――その試練、受けましょう」  
 
 彼女のセリフに、僧侶キフレセルは卒倒しそうになった。  
 モーへギ族長は神妙にうなずいたが、少女の仲間三人は内心当惑していた。  
 魔術士ラバンなどは「本当にいいのか? 罠かもしれないぜ」と小声で忠告してみたが、少女の覚悟は変わらないようだ。  
 
「あれだけ苦労して手に入れたのに、横取りされるなんてかなわないわ。それに、あたしは剣士だもの」  
 
 自分のプライドが多少傷つこうと、男はあっさり引き下がることにした。  
 剣士である彼女のそれの方がよほど高尚なものだと思ったからだ。  
 
 
 四人は、モーへギ族長と百ほどのモーへギ族戦士にともなわれ、『試練の祭壇』に案内された。  
 砂色の岩がピラミッドの形状のように積み重ねられ、頂には磔台のごとき十字の板がある。  
 標高はたかく、また晴天なので、荒野といえどその景色の眺望はどこか爽快なものがあった。  
 しかし、十字を見たリディアの心は曇天におおわれはじめた。  
 ‘また’あの恐怖を味わわなければならないの――  
 
「では、そちはわが同胞にしたがい、あの祭壇にくくられるがよい」  
 
 あの十字架が祭壇?  
 という思いは、面にも口に出さなかった。  
 リディアは大人しくモーへギ族戦士たちについて行き、指示通りに動いた。  
 
(痛みに耐える試練でありますように……)  
 
 彼女の願いは、ある意味では正しいのかもしれない。  
 少女剣士――いや、少女が十字板にしばられると、族長はなにやらあやしげな呪文を諳んじはじめた。  
 三人の若者はそれぞれ複雑な心境をかかえながら、固唾をのんでそれを見守っていた。  
 すると、リディアの心境をそのまま映し出したかのような雨雲がみるみるうちに普天を覆い、周囲はまたたく間に薄闇につつまれた。  
 邪術であることは理解るが、その詳細までもは知りえない。  
 老体はものすごい面相をつくって、叫んだ。  
 
「エレンディル! エレンディル! 剣神エレンディルよ!  
 彼の娘に試練を与えよ! そなたの剣に相応しき剣人か! 試したまえ! エレンディルよ!」  
 
 とどろく雷鳴。  
 それと同時に、刹那のうちに少女の衣服が微塵にきざまれた!  
 
「………………っ!!!」  
 
 裸身になったリディアは羞恥と屈辱に歯をかみしめ、それを見守っていた仲間も異なる反応を見せたが、もはや止めることはできない。  
 次いで、十字の祭壇の両側から、何かが天にむかって伸びた。  
 ――砂色の触手だ。  
 不気味にうねる双手が、少女が縛られている十字板にせまってきた。  
 それも、異様な速さで、唐突に…………リディアの乳頭に触れたのである。  
 
「――っ!!!」  
 
 少女はさらに強く歯噛みし、眼を瞑った。  
 触手はいやらしく、しかしやさしく乳頭を弄りまわした。  
 
「ふぅっ………………んんっ………………ひあぁ……っ!」  
 
 僧侶は、リディアが悶えるのを見てはいられなくなり、眼を逸らして自らの無力を悔やんだ。  
 悔やんでも仕様がないことかもしれなかったが、あの時自分がなんとしても止めていればこんなことにならなかった筈なのだ。  
 なんでも自分のせいにしようとするのが、この少年の良いとも悪いともいえる癖である。  
 
「ひっ、うっ……あっ…………ひゃあ! あぅっ! くぅっ…………あぁぁん!!」  
 
 魔術士は、おかしい光景だ、と思った。  
 ただ――といってはなんだが――乳首を愛撫されているだけなのに、彼女の感じようときたら相当なものだ。  
 確かに触手は濡れていて、何かが塗布されているのかもしれないが……  
 と思考しているうちに、ちゅく、ちゅく、という吸音が聞こえてきた。  
 触手が紅い突起を吸いあげはじめたらしい。  
 
「や……いやぁ! あぅ……だっ、やっ、はっ、んあ! あぁっ! ひあぁぁンっ!!」  
 
 ちゅくちゅく、ちゅくちゅく、といやらしく響く淫音と、それにともなうリディアの甘い鳴きごえに、弓使いは理性を保つのがむずかしくなってきた。  
 股間に手が伸びそうになるのをなんとかこらえ、冷静な面持ちはくずさないが、額には冷や汗が浮かんでいる。  
 何げなく少女の秘処に視線を移し――――本当に股間に手をあててしまった。  
 胸を攻められているだけなのに、あそこがはっきりと濡れていたからだ。  
 
「あぅ、あん、はぁァん!! やだっ、でちゃっ、あっあっやだぁぁぁ……」  
 
 ついに、喘ぎ声に合わせて愛液をリズムよく噴かしだした。  
 少しずつではあるが、「あぅん! はぁん!」とよがるたびに小気味よく放水し、また秘めやかな肢体をびくっとふるわせた。  
 絶頂をむかえたわけではないため、やがてそれが終わっても触手の愛撫は止むことがなかった。  
 今度は乳首にまきつき、搾り上げていた――母乳を。  
 
「あぁン!! ひゃあン!! はぁっふあぁっひゃぁぁあぁん!! スゴひよぉ……!! イっ! くっ! イっちゃう、よぉ……ッ!!!」  
 
 ピュクッピュクッ、と白液をふき出すそのつど、少女の顔は恍惚たる快感にゆがんでいた。  
 ありえないほどの気持ちよさなのに、何故か果てることはできない。  
 実は彼女自身が達さないように堪えていたからだが――もう限界だった。  
 
「ッッ――――――――!!!!!」  
 
 絶頂の瞬間、少女は全身を反りかえらせて痙攣したが、声は無かった。  
 身体を強張らせる瞬間に花弁から、ピュッ、ピュッ、ピュッ、と潮が放たれる。  
 それが収まってようやくリディアは声を出すのを許された。  
 
「ひぁぁ…………あぁん、あぁん、あぁん、きゃぁぁぁぅ…………んぁぁ……」  
 
 意識を手放さないのがやっとなくらいの快楽で、少女はよだれはおろか涙まで流していた。  
 そんな彼女を眺める男性陣の面差しは、そろって苦痛に歪んでいた――  
 
 
 
 - Epilogue -  
 
 
 
「…………っっ!!!」  
「ちぃ…………」  
「くそ、俺としたことが…………」  
 
 三人とも異なる反応を見せ、僧侶キフレセルなどはすでに虫の息だ。  
 少女が絶頂を迎えたまさにその時、モーへギ族に矢を射られたのである。  
 彼らも油断していたわけではなかったが、まともに対応できる矢の数ではなかったし、なにより体力が尽きていて本来の運動能力を揮えなかったのだ。  
 
「かの娘が資格無しと判った以上、そちらに用はない。そして、かの娘も同様……」  
「やめてぇぇぇぇぇぇえッ!!!」  
 
 仲間の窮地をみた少女は気丈にも救命を懇願した。  
 しかし、それは一言で斬り捨てられた。  
 
「――殺れ」  
 
 第二射が、まともに動けない三つの的に放たれた。  
 今度は完膚なきまでに頭部をつらぬき、全員が脳漿と血しぶきをまきちらして息絶えた。  
 
「いやあああああぁぁあああ!!!!」  
 
 悲痛な絶叫が、砂色の高台に何度となくこだました。  
 しかし、三つと数えぬうちに少女の悲鳴はやんだ。  
 緑の瞳に映されたのは、先端に刃を飾った触手がうねうね躍っていた光景だった。  
 その奥では、モーへギ族長があるかどうかわからないくらいの微笑をたたえている。  
 リディアがなんらかの感情をもよおす前に、もう触手は閃いていた。  
 少女は激痛を覚えた。  
 それが両腕をそっくり断ち切られたものとわかり――  
 
「ぎゃあああああぁぁぁぁぁあ゛あ゛あ゛あ゛ーーーー!!!!!」  
 
 ふたたび絶叫をあげた。  
 大粒の涙がつぎつぎに頬をつたい、異常な形相で顔をふりまわした――のに、老体の笑みがまた眼に入ってしまった。  
 悲鳴をあげながらも、リディアはキッと強気な視線をモーへギ族長に送ったが、彼の顔色はまったく変わらなかった。  
 触手がまた閃いた。  
 今度は両肢をそっくり断ち切られていた――  
 
「い゛や゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!! あ゛ッッあ゛ッッあ゛ぎゃがッッぐえ゛お゛あ゛ーーーーーーー――――――」  
 
 四肢からおかしいくらいに血を噴いて、壮絶に叫びながら、気を失えない自分を呪った。  
 苦痛に耐える修行を積んできた彼女は、これほどではないにせよ相当に痛覚を深くえぐったこともあるから、未だに意識を‘保ったままでいられる’のだ。  
 今のリディアにとっては地獄でしかなかったが。  
 そして、三度目の触手が閃き――――  
 
 少女の首に、一筋の黒線がなぞられた。  
 その筋はだんだんと赤い色に変わって……――真横に血をふき出した。  
 少女の顔に感情らしきものは塗られていなかった。  
 口からも瞳からも血を流して、可愛かった顔は唐突に、地面にむけてポトリと落ちた。  
 
 何で……あたし、試練を受けるなんて、言っちゃったのかな……。  
 いちどわたして、から……また、とりかえすほう、ほうをねれば……よかった、んじゃ……って、あれ?  
 あたひ…………しんだ、はす……なの……に、なんで…………かんが、えれれ………………  
 あ………………はん、か………………へむく…………なっ…………………………て………………………………――――――――――  
 
 
 
 BAD END  
 

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