・注意事項は特にありません  
 
 
 
・少女剣士の手難 ep9  
 
 その日ダレイオス山脈を闊歩していた一行は、運が悪かった。  
 雄性しか存在せぬかれらが人間の雌にきわめて飢えていて、何より数が多すぎたからだ。  
 四人の冒険者と十体ものサイクロプスは、およそ二十歩ほどの距離をあけてばったりと相対した。  
 
 サイクロプスは、人間の倍はある青い体躯に一つ目、小さな一角を有する怪力の獣人種である。   
 強さでいえばミノタウロスより下だが、凶暴性には勝らぬるも劣らぬものがある。  
 欲情している時のかれらの膂力は、時としてミノタウロスをも凌駕するほどだ。  
 ただし身体はもろいため、攻撃を受けさえしなければ危険な相手ではない。  
 
 場に居あわせた十四‘人’は、それぞれが敏速な反応をみせていた。  
 冒険者たちは刹那のうちに『尖塔の陣』を形成した。  
 先頭に少女剣士リディア、その後方に弓使いロシーニ、その両斜め後方に魔術士ラバンと僧侶キフレセルである。  
 そして、隊形もくそもなく向かってくる魔物どもを迎え撃った。  
 
 
 
「はぁぁあッ!!」  
 
 リディアは『土神の剣』を岩地に突き立て砂塵の衝撃波を迅らせた!  
 先頭のサイクロプスは疾駆中途それをまともに喰らって仰け反ったところを閃いた茶色の刀身に首を刎ねられた!  
 さらに少女の横をかすめるように風をまとった三矢が奔りサイクロプス一体の頭部に突き立ち濃い緑の血と脳髄をまきちらした!  
 
「……《紅蓮華》!!」  
「……《聖十字の槍》!!」  
 
 術士ふたりが放った魔法は眼前に迫っていたサイクロプスを瞬く間に屠った!  
 それでも数の上での劣勢は否めない。  
 残った七体は、少女剣士に三体が、魔術士・僧侶にそれぞれ二体が襲いかかった!  
 リディアは一体だけに的を絞って突きを放ち、受け止めようとする掌すら突き破って首をつらぬいた!  
 しかし残った一体に腹を抉られ、そのまま崩れ落ちてしまう……  
 ロシーニは逃げ惑うキフレセルを追いかけるサイクロプス二体に照準を合わせ、つがえた一矢を三矢にしてはなった!  
 一本はずし他はそれぞれ一本ずつ頭部に命中したが、絶命させるには至らず動きは止まらない!  
 そのうち一体はロシーニに向き直って突撃してきて、もう一体はキフレセルの後頭部を殴りつけた!  
 僧侶の頭のシルエットが欠けて窪んだのを視界に映してしまったロシーニは、激しい憤りに歯軋りして弓を引きしぼった!  
 こちらに向かってきたサイクロプスに三矢を射て絶命させ、ふたたび矢をつがえようとしたが――遅かった……  
 彼のおもては凄まじい悲哀の念に満たされたが、それすら瞬く間に苦痛の色に塗りつぶされた!  
 リディアをしとめたサイクロプスが、後ろからロシーニの首をつかみ持ち上げたのだ!  
 彼が動かなくなるのには多くの時を要さなかった。  
 口角に泡がたまり、整った顔貌はかくんと傾いていた。  
 首の骨を折られたのである……  
 見れば、援護もなく二体のサイクロプスを相手にしていた魔術士も、血を流して地に伏していた……  
 
 ――リディアたちは全滅した――  
 
 
 生き残ったサイクロプス四体は邪魔立てしようとする男三人を片付けると、満足げに咆哮した。  
 山脈の方々までに響きわたるほどのものだったが、少女の眼が覚めることはなかった。  
 そして四体は、うつ伏しているリディアを四方に囲み、股間のモノをそびえ立たせながらお互い顔を見あわせた。  
 中でも身体の大きいサイクロプスが少女のもとにしゃがみこみ、栗色の髪をひっぱって顔を上げさせ、頬をぱしぱし叩きはじめた。  
 はっきりいって相当な痛みだったので、リディアはすぐに意識をとりもどした。  
 
 分かったのは、自分が魔物に囲まれていることと、土神の剣が手元にないことだ。  
 衣類は全く変わりないものの、髪をつかまれているため逃げることすらかなわない。  
 ――ふいに、閉じている口に何かがあてがわれた。  
 それはサイクロプスが有する、異様に大きな、青い陰茎だった。  
 かれらはこの様にしてそこらをうろつく人間の雌をとらえ、種子を植えつけることによって繁殖しているのである。  
 が、今の目的はとりあえず欲望を満たすことだった。  
 
 だが少女は、異常な悪臭をはなっている青い魔物のソレを、頑なに口に入れようとしなかった。  
 サイクロプスは唐突に、少女の腹に拳をめりこませた。  
 
「う゛゛あ゛ッッ!! …………がぁ……」  
 
 一気に昇りつめてきた胃液が吐き出され、呼吸を困難にした。  
 地を這うようにうずくまる少女の悲痛なうめき声が、獣人たちの耳朶をうつ。  
 気を失わなかったのは――かれが意図的に手加減したからだった。  
 ひときわ大きなこのサイクロプスは、四体の中でも知性(と呼べるのか定かではないが)を併せ持っているのである。  
 
 かれは再びリディアの髪を引っ張り、その小さな口にはかわいそうなほど大きい肉棒をあてがった。  
 それでも彼女は強く歯を食いしばり、決してそれを受け入れようとはしない。  
 ドォッッ――――  
 
「ぐ゛゛ッッ!!! …………」  
 
 激しく濁った苦鳴。  
 反響しそうなほどの打音は、少女の背中に握り拳がたたきつけられた音だ。  
 視界は生理的に出てくる涙で不明瞭になり、息苦しさにごほごほと咳き込みながら、呼吸器官を働かせようと必死にもがく。  
 
 青い獣人は容赦がない。  
 頬を濡らした少女の髪をみたび引っ張りあげ、半開きになった口に意地でも欲望を挿入ようとする。  
 また殴られる――――そんな考えをよぎらせた自分を戒めるように、リディアはぶんぶん首をふった。  
 
 だが、ぎゅっと眼をふさいだ彼女の予期に反して、拳は飛んでこなかった。  
 どころか、髪さえも離され拘束も解かれた。  
 しかし当然、少女には逃げるいとまなど与えられない。  
 かれ以外のサイクロプスが二体やってきて、あっというまに四肢をつかまれ拘束されてしまった。  
 今度はあお向けになったリディアに、大きな方と残った方のサイクロプスが胴体の側面にかがみこむと――緑の羽織をまたたく間に引き裂かれた!  
 
 少女は悔しげに顔をゆがめ、手足に力を入れて暴れようとした。  
 悲しいことに、ほとんどと言っていいほど四肢は動かせなかった。  
 そして白いさらしすらビリビリに破られ、形の良い乳房があらわになった。  
 さらに下方には太く青い腕が伸び、切れ込みの入った脚衣をもひきちぎられ――純白の下着すら取り去られてしまった!  
 全身に着ていたものが、十も数えぬうちに全て剥ぎ取られてしまったのだ。  
 
 作法も何もない、一方的な淫獄が幕をあけた。  
 
サイクロプスたちは、いきなり三点を舐めはじめた。  
 両乳首と、陰核である。  
 一体は両手を拘束し、一体は太ももをつかみながら陰部に顔を伸ばし、二体は思いのままに乳頭を貪る。  
 
「……く…………………………んッ……………………あぁ…………」  
 
 少女は必死に声を抑えようとした。  
 暴力を振るいながら犯されるものとばかり思っていたから逆に拍子抜けし、快感に対する防御が甘くなってしまっていた。  
 乳頭から、あるいは下方から、きゅぷきゅぷ、ちゅくちゅく、と舐め吸う淫音が聞こえてくる。  
 耳を塞ぎたくともかなわず、秘めやかな処と両乳首に走る感覚は、認めがたい心地よさをリディアに提供していった。  
 
「ふくっ………………んあ…………ひゃっ、あっ…………………ぃあッ……!」  
 
 食いしばろうとする歯はむなしくゆるみ、その度に切ない鳴き声が洩れでてくる。  
 どうせならさっさと強姦して欲しい、とすら少女は思った。  
 そうした方がふっきれて思いきり抵抗できるからだ。  
 こういう風に徐々に淫楽に溺れさせられるのは、リディアにとってきわめて苦手であり、なによりこの上ない屈辱なのだ。  
 
「くふ………………ぁん…………やぁ……! あっ…………はっ…………いやぁ!」  
 
 口から出た否定の語は本能的につむがれたものだが、半分は屈辱からくるものであっても、もう半分は愉悦からだった。  
 視界を闇におとし眉間をかるくゆがませて、官能的な表情で開いた口からは涎が垂れ、またいとけない嬌声がやむことはない。  
 サイクロプスの長細い紫色の舌によってクリトリスを突っつかれ、舐め上げ、そして吸われるのは、何か儚くもやさしい快さがあった。  
 ずっとこのまま舐められていたいと思ってしまいそうなほどの、麻薬的な快楽が少女をよがらせる。  
 
「はんっ……あぁん……ひゃァ……! だめぇ……あぁっ…………あァぁッ、で、でちゃう……ッ!!」  
 
 少女の膣口からは愛液が漏れだしていた。  
 それに気付いたサイクロプスが指を入れると、リディアは大きな喘ぎ声をあげてのけぞり、同時に潮を噴かせた。  
 そのまま指によるピストン運動が続けられ、少女は平静など保てない気持ちよさを立て続けに与えられた。  
 
「んぁっ、あっ、やァっ! あっ、あっ、あぁッ、あぁァァん!! ひやっ、んっ、あぁんっ、イキそう…………」  
 
 ぐちゅっぐちゅっ、にゅちゅにゅちゅにゅちゅ…………  
 出し入れされる指には粘水がねっとりとまとわりつき、新たに生み出される性の液体が秘処の周りにまきちらされる。  
 もう脳の中は恍惚に満たされ、何か考える余裕はなかった。  
 求めるでもなく否定するでもなく、強制的に身体を駆け抜ける官能に身を任せるしかなかった。  
 恥辱に身を焦がしながら犯されているという事実に涙を流した少女だったが、意味をなすものではなかった。  
 
「あぁアあッッ!! す、すごッ、いぃぃッ!! ひィっはぁああんっ!! あぁん!! いっぱい出ちゃうよぉ……!!」  
 
 悦楽のあえぎ声を洩らし続けながらもイかせてもらえず、半永久的な絶頂寸前の気持ちよさでリディアは気が狂いそうだった。  
 舌が両乳首を、花芯をちゅくちゅくと弄び、指が秘陰をぐちゃぐちゃに攻めてもうぐしょ濡れだというのに、達するまでには至らない。  
 しかしリディアにそんなコトを考える余裕はなく、身動き取れぬままただひたすら喘ぎよがるしかない。  
 だが。それは本当に、唐突に訪れた――  
 
「っひ!!? ――――イくっ、イくっ!! イくイくぅぅっ!! あんっ、はぁぁアああんッッ!!!」  
 
 果てさせられた少女は、異常な快楽によって卒倒しそうになるのをこらえながら、つややかな嬌声を放ち続けた。  
 魔物の長い舌はいまだにクリトリスを刺激し、さらには中指の出し入れが繰り返され、透きとおった液体がサイクロプスに噴き出される  
 
「ひゃああぁんッ!!! すっすごやぁあぁ!!! だっやっめっひゃぅぅン!!! きもち……よすぎあぁぁあーッ!!!」  
 
 快楽絶頂も継続しすぎると拷問のごとくだ。  
 もはや苦悶にちかい表情のリディアは、流れ続ける涎と涙によって顔がぐしゃぐしゃになっていた。  
 もう何も考えられない。  
 脳のなかは荒淫の波にのみ込まれ、彼女はその奔流に身体を委ねながらも溺死しないようにするのが精一杯だった。  
 
「や、やだああっ!!! ダメっもうダメぇ!!! し、しんじゃあっ、あンっ!! あンっ!! やっやめへぇぇッ……!!!」  
 
 いよいよ止めるよう懇願しはじめたリディアだったが、むろんそれでやめるサイクロプスではなかった。  
 全員が手や舌をはやめて快楽絶頂を強引につづけさせた。  
 もう一分ほどもイキっぱなしの少女は、依然として案じたくなる量の愛液を噴きだしている。  
 きれいな弧を描き、ときおり軌道が変わるその聖水の筋をとらえ、サイクロプスはうまそうに飲み込んでいた。  
 
「アひィぃぃィィ…………いハぁぁッひあぁンっきゃぅアんッあッあッあッあッいやぁァぁあん…………」   
 
 あえぎ声がおかしくなってきた少女は、双瞳もイってしまっていた。  
 このままでは本当に意識を手放してしまう。  
 いや、むしろ気を失ったほうが楽になれるかも……  
 性的快楽を味わいながらもそう思ったのは、これが初めてかもしれなかった。  
 なのに――  
 まるで考えを見透かされたかのごとく、魔物たちの攻めはぴたりとやんでしまった。  
 さらには四肢の拘束すら解かれ、何を思ったか、四体のサイクロプスは少女から一歩退いた。  
 だが、いまのリディアにはかれらの行動に対して疑問を抱いたり、また自分が何か行動を起こす気にもなれなかった。  
 
 
 
(離れた、か。今しかチャンスは無さそうだけど、果たして間に合うかね…………)  
 
 うつ伏せに倒れたままかれらを観察していたのは、魔術士ラバンである。  
 始めから敵わぬとみた男は、昏倒するように魔物の攻撃をもらった。  
 腹に受けた一撃で内臓がつぶれたかと憂えたが、普段から鍛錬していた所為で致命傷にならずに済んだ。  
 また、それきり追撃を受けなかったのも幸運だった。  
 尾をひく鈍痛は収まっていないものの、今はそんな事二の次三の次である。  
 
 しかし。  
 険を帯びた紫の瞳からは涙があふれ出ていた。  
 ロシーニとキフレセルが凄惨に殺されたことの衝撃は、彼が思っていた以上に大きかったのだ。  
 
 以前属していた組織で、ラバンは多くの仲間の死を見届けた。  
 当然その中には親しかった者もいたし、手を出した女もいたりした。  
 ちょっとした失敗で捕まり、凄惨な拷問を受けて絶望のなか息絶えた者もいた。  
 だからなのか。  
 彼は親しい仲間に死が訪れても、精神が大きくゆらぐことは無くなっていた。  
 
 組織をはなれ、リディア達の仲間に加わった当初も、別にこいつらが死んでも代わりはいるしな、くらいにしか思っていなかった。  
 だが彼らと時を重ねるにつれ、その考えが徐々に無くなり別の考えが芽生えたのを実感していた。  
 自分を認めてくれるこいつらを死なせたくない……主だった思いはそれだった。  
 最近その自己顕示欲が満たされなくなっていたが、彼らをうしなって気付かされた。  
 俺って幸せだったんだなあ、と……。  
 
 亡き者を悼むとともに、せめて二人が異なった意味であれ愛いたリディアを救うべきだと、ラバンは気持ちを切り替えようとした。  
 
(未完成の召喚術――水氷の精霊イーサラグズ――一瞬でも、あれを喚び出せれば…………)  
 
 魔術士はうつ伏せになったまま眼をつぶり、精神を『自然魔術の境』に送って、こう呟きはじめた。  
 
「イーサラグズ……イーサラグズ……イーサラグズ……」  
 
 返答はない。  
 体力が擦り減っていくのに焦燥を感じて、ラバンは必死に呼びかけた。  
 
「イーサラグズ! イーサラグズ! 水氷の精よ! 我が呼び掛けに応じ給え!」  
 
 その空間で青いシルエットがぼんやりと浮かんだような気がしたが――すぐに消失した。  
 もの凄い脱力感が男をおそった。  
 だが、彼のなかの強烈な反骨心があおられ、挫けるどころか更に強く呼びかけていた。  
 
「イーサラグズ! 水氷の精よ! 我、御身を呼び奉る! イーサラグズよ! 我を救け給え!」  
 
 ふたたび、青い人型のシルエットが浮かび、顔と思われる部分の双眸が具現化した――――  
 
 しかし、それきりだった。  
 ラバン‘だった’頭部は無惨に踏みつぶされ、脳漿とあかい血が砂色の岩地にいろどられた。  
 
 いくら本人が『自然魔術の境』に精神を置こうとも、肉体は現世にいる。  
 あれだけの大音声を発すれば遠巻きにいるサイクロプス達の耳朶をうつに決まっているのだ。  
 邪魔さえ入らなければイーサラグズを喚び出せるだろうという、いわば賭けだったのだが……結果は残酷なものだった。  
 
 サイクロプスが少女から離れた後にラバンが叫び出したのは、ただの偶然だ。  
 行為の最中ならば、或いは召喚も間に合ったかもしれない。  
   
 リディアは今度こそ絶望のおもいに囚われた。  
 死のうか、生きようか、本気で迷わなければならなかった。  
 
 
 
「…………………………………………」  
 
 リディアは、魔物のものを突かれ、また魔物のものを咥えながらも全くの無表情で、虚無感に満たされた瞳が中空をさまよっていた。  
 四体のサイクロプスは、抵抗もしない反応もないリディアにやや辟易はしたが、口淫してくれるようになったことで寧ろ上機嫌になっていた。  
 自らかるく腰を振り、強引に口にいれられた臭物も抵抗なく舐めているのに、その顔には感情どころか生気すらかんじない。  
 
 彼女は生きることを選んだ、というよりは死のうという気力を失してしまっていた。  
 なにより、怖かった。  
 だから少女は捨て鉢になってしまった。  
 もうどうでもいい。めちゃくちゃに犯されたからって構いやしない……  
 
「……………………っ…………ん…………」  
 
 ドク、ドク、と少女のなかに熱いものが放たれた。  
 中出しされたというのに、やはりほとんど反応がない。  
 緑の両眸はふつうに開いているし、口もやわらかに閉ざされていて、突かれる痛みも性的な気持ちよさも感じているようにはみえない。  
 
 犯し手が代わって、ふたたびリディアは欲望のはけ口にされた。  
 かれらの性欲は異常だった。  
 もう一時間近く輪姦ているというのに、射精のいきおいは留まる気配がない。  
 少女の全身はいまや白濁の液体にまみれていた。  
 これでは剣士としての矜持どころか、人といういきものが本来もつ自尊心を廃棄せねば、精神の均衡なぞ保てるわけがなかった。  
 
 この輪姦はおよそ二時間ほどつづいた。  
 その後、少女ははだかのままサイクロプスの住処に連れ去られた。  
 
 
 - Epilogue -  
 
 一週間後。  
 リディアは、魔物たちの前では感情の全てを無くし、しかし幼児退行することはなかったが、精神は完全にヤられてしまっていた。  
 今も、十ものサイクロプスに囲まれて、上下の口に肉棒を何度となくぶちこまれながらも、何の反応もない。  
 わりに、自然と腰を振っているし、滑らかな舌使いでサイクロプスに顔射されていたりする。  
 面妖な光景だった。  
 
 一ヵ月後。  
 少女の腹は大きくなっていた。  
 かれらはあまり妊婦を好まないらしく、少女が欲望をぶつけられる機会は極端に減った。  
 夜、サイクロプスの目につかぬところで、リディアはすすり泣いていた。  
 これが何を意味するのか。  
 それは最早、彼女にだけしか理解らず、苦しみを共有できる者は誰一人としていなかった。  
 
 二ヵ月後。  
 少女はサイクロプスの子を産み落とした。  
 自らの息子を見て、少女は失神してしまった。  
 その後日、彼女はすぐに輪姦れた。  
 リディアの相貌はやつれはて、本来のかわいさや艶やかさを失っていたが、サイクロプスにとっては瑣末なことだった。  
 
 三ヵ月後。  
 少女は二体目の魔物を産み落としたあと、命のともし火がのこり僅かであることを悟った。  
 結局、人間は来ても殺されるか逃げるかで、少女はすこしの望みすら断たれた気がして、いよいよ‘本当の意味で’発狂した。  
 サイクロプスの前で人形のごときふるまいであったのは、あくまで演技だったのだ。  
 彼女は大声でなにかを支離滅裂にわめきながら、サイクロプスの住処から逃げ出そうとした。  
 眼の前に立ちはだかった青い巨躯をみても、リディアは止まろうとはしなかった。  
 サイクロプスは哄い、リディアの首根っこをつかんでもちあげた。  
 じたばたもがく少女をながめつつ――突然、指で秘処を弄りはじめた。  
 
「あっ…………! あぁぁ……!!」  
 
 苦しみながらの、悦びの声だった。  
 魔物がニヤニヤしながら指をうごかし、愛撫するうちにそこは段々と濡れてきて、いやらしいにゅぷ音が聞こえてきた。  
 少女は甘い鳴き声をだし、身をよじりつつも抵抗しなくなった。  
 指が遠慮なく膣のなかをさぐりだすと、ぐちゅぐちゅという音とともに愛液が散りはじめる。  
 少女は挿入られるたび「あん!! あん!! あん!!」と小気味よくあえぎ、せまりくる快感に全てを委ねた。  
 そして、サイクロプスの指が最奥までねじこまれると、唐突に絶頂を迎えた。  
 弓なりにのけ反った身体と快楽に塗りつくされた顔で、少女は恍惚の嬌声をあげている。  
 噴水のように透明の水がほとばしり、魔物のこぶしが粘液まみれになる中、リディアの呼吸は止まってしまっていた。  
 魔物が腕に力をいれすぎて、首の骨が折れてしまったのだ。  
 
 だが、うっとりした面はとても幸せそうに、その死を受け入れているようにも見えた――  
 
 
 
 BAD END  
 

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