「わっかりましたー!任せてください!!」  
少女の可愛らしい元気な声が村に響く。  
今回の仕事も、普段こなしているのと同じ、なんて事ない怪物退治の1つのつもりだった…。  
 
セリア=ローラント。  
まだフリーの冒険者となって日が浅い、あどけない少女である。  
しかしながら、天性の運動神経と剣技のセンスの良さで与えられた依頼をことごとく完遂し、その若さにして一躍冒険者として有名になった。  
だが彼女の名を知らしめている要素はそれだけではない。  
 
顔立ちを見ると、まだ色気とは縁遠い、子供らしい可愛らしさのそれ。  
身長も150センチそこそこで、同年代の女性の標準程度である。  
しかしそれに対して乳房の発達がやや進んでおり、まだ発育途中ながら良い形に育っている。  
このギャップが、肩まで流れるように伸びる美しい金髪のミドルヘアーと相まって、何とも形容し難い色香を放っているのである。  
そして、体にぴっちりとフィットして鎖骨からみぞおちの辺りまでを覆うブラウンのインナーが、形良い胸のラインを惜し気もなく浮き立たせる。  
その上から、インナーで覆った部分に加えて肩を保護する、女の子らしい色合いのピンクのライトアーマーを装備。  
おへそなどの腰周りは大胆に露出させている。  
脚を守るのは、アーマーとセットになっている、すねまでを保護するピンクのレガース。  
その中からすらりと伸びる、白のニーソックスに覆われた丸みを帯びている太腿。  
そして、同じく白のミニプリーツスカート。  
スカートの丈が短いため、派手に動いたらこれまた純白の下着が見えてしまいそうになるけど気にしない。  
 
この目を引きやすい外見で、セリアは冒険者でありながら、一部でアイドル的な人気を得るにも至ったのである。  
もっとも彼女にしてみれば元よりそんな意図があるわけでもなく、単に女の子としての可愛らしさを重視した戦闘服を求めた結果のことだったのだが。  
 
とにかくそんなこんなで、実力と人気を兼ね備えたセリアの元には連日多くの仕事の依頼がやってくる。  
その中で今回受けた依頼は、「モンスターが村の近くに現れて危険なので退治して欲しい」という最もスタンダードなタイプの物だった。  
情報によれば、この村を脅かしているモンスターはヒドラの一種。  
通常のヒドラは水中に住む体長数ミリ程度の無害な微生物なのだが、しばしば体長数十センチになり水辺に上陸し、無数の触手と軽い毒を持ち動物を攻撃するようになる突然変異を起こすことがあるのだ。  
おまけにこの変異体、一度発生するとある程度まとまった数の群生をなすことが多い。  
そのため、平穏な暮らしを送っている村人にとってはちょっとした恐怖なのだ。  
とは言っても基本的に強い戦闘能力を持つことはなく、少し剣の扱いと身のこなしに慣れてしまえば簡単に群れごと潰すことができるようになる。  
そのため、駆け出し冒険者にとっては戦闘経験を積む良い相手となり、ある程度熟練した者には手頃な小遣い稼ぎとなる人気モンスターなのである。  
 
「はっ!はっ!やぁっ!」  
セリアは慣れた剣さばきで襲いかかる触手をなぎ払い、1体1体を確実に仕留めていく。  
「それっ!えぇい!!」  
ぶちっ!ぶちゅっ!!さくっ!!  
ヒドラの群れを潰すのはこれで3回目。  
案の定彼女にとって恐れる相手ではなく、指一本、いや触手一本すら体に触れさせずに次々と化け物を殲滅する。  
その都度、ヒドラの体液や触手から飛び散る粘液がわずかに鎧や体に付着する。  
液の量自体はわずかで、体の動きに差し支えるほどでもなければ皮膚に付く程度では毒性も発揮しない。  
しかしこいつとの戦い方自体には慣れっことは言え、「怪物の体液が体に付着している」という感覚は何度体験してもなじめそうにない。  
宿に戻ったらしっかり洗い流そう。  
そんなことを考えながら30体くらいは倒しただろうか。化け物の気配が確実に減っているのが感じられた。  
「どうする?まだやるの?」  
森の中の水場という場所柄湿気が多いため多少汗ばんではいるものの、息を切らすわけでもない余裕の表情でセリアが挑発する。  
腰周りを露出させているのは、単純にデザイン的な可愛さだけでなく、セリアが自分の汗で体が蒸れるのを好まないため通気性を良くする目的もある。そしてこんな時、その心地良さを実感するのである。  
 
その時。  
 
ざざざざざ…  
 
前方遠くで、何か大きな物がゆっくりと這いずる音がした。  
木々に邪魔されてその正体を確認することはできないが、おおかた熊さんか何かが歩いてきたのだろう。  
「危ないから一応逃げておいてね」  
セリアがつぶやき、残り数体のヒドラを一気に片付けようと一歩踏み込んだ瞬間。  
 
がさがさがさ…  
 
木の陰から、目を疑いたくなるような物が出現した。  
大きさ2メートルは下らないであろう巨大、いや超巨大ヒドラだ。  
 
「お…大きい…」  
 
これにはさすがのセリアも攻め込むのを躊躇せざるをえない。  
通常のヒドラが持つ触手の太さは直径5ミリ〜10ミリ、太い物でもせいぜい20ミリが良い所である。  
しかしこの化け物の触手は、通常のそれの5倍はあろうかと言う極太の物だった。  
そんな物が、たった1つの体から数十本、ひょっとしたら百本はあろうかという単位で蠢いているのだ。  
 
(あんな物の直撃を受けたら…)  
 
セリアに緊張が走る。  
これまで戦ってきたどの相手よりも遥かに強大な相手であることは一目瞭然だ。  
と言うより、正直なところ戦って勝てそうな相手ではない。  
この世界、冒険者が依頼を果たせずに帰って来ることは別に恥ずかしいことではなく、またそれで評判が落ちたり依頼金を受け取れなかったりするわけでもない(もちろん成功報酬は出ないが)。  
しかしセリアはなまじ負けの味を知らないまま人気になってしまい、それが裏目となってその退き所を見極める判断力が不足していたのである。  
 
(ここで逃げ帰っては朗報を待っていてくれる村の人たちに格好がつかない)  
 
そんな子供らしいプライドに流され、彼女は勝ち目が無いと自覚する相手に無謀にも立ち向かっていくのであった。  
 
 
「えぇーい!」  
がっ。  
「それっ!!」  
がりっ。  
「このぉっ!!!」  
がんっ。  
 
「うそぉ…」  
セリアの顔から血の気が引いていく。  
いつも相手にしている巨大ヒドラの触手は、細くて柔らかいこともあって剣を使って簡単に切断することができる。  
しかしこの超巨大ヒドラの触手は太さ自体も勿論のこと、異常なまでの弾力を誇っており、華奢な彼女の筋力ではとても切断できる物でなかったのだ。  
そのため敵の手数を減らすことができず、セリアは防戦を強いられる一方になった。  
 
「はぁっ!ふっ!くぅっ!」  
かんっ。かんっ。かんっ。  
しなるように襲い掛かる触手を必死にかわし、かわしきれない物は剣で受け流す。  
冒険で多少は鍛えられたとは言え、やはり年頃の女の子であるセリアの体力はそうそう続かない。  
ここが逃げ出す最後のチャンスだった。  
しかし前述の「格好悪い」というプライドの他に、自分の攻撃が全く通用しないことによる動揺でセリアはパニックになり、「退却」という選択肢自体が脳内に浮かばなかったのである。  
攻撃をなんとか回避・防御しながら、一歩ずつ超巨大ヒドラに近寄っていく。  
もはや大逆転勝利の道は、本体の急所に渾身の一撃を叩き込むしかないと判断したのだ。  
既に全身汗だらけで、その上触手が振られた時に飛び散る少量の粘液が付着して酷く気持ち悪い。  
 
「はぁっはぁっ…はぁっ…」  
数分間この死闘を続け、とうとう本体まで2メートルの場所までたどり着いた。  
ここまでこの猛攻の直撃を受けていないというだけでも、セリアの戦闘センスが並々ならぬ物であることが理解できる。  
いつもの巨大ヒドラを倒す時の急所を元に、この化け物の急所にあたりをつける。  
そして、触手の一瞬の隙間を縫い!  
 
「くらえぇぇぇっっ!!!」  
 
ぱりーーーーーん!  
 
残った体力を全て込めた渾身の一撃は、怪物の体に傷一つ付けられずに跳ね返された。  
そして。  
乾いた音を立て、剣が真っ二つに折れてしまった。  
 
「う…そぉ…」  
ずざざっ!  
一瞬何が起こったか理解できなかったセリアは、攻撃の勢いをそのままに派手に転倒してしまう。  
 
勝てない。勝てない。  
 
怖い!!  
 
唯一の武器を失い、見たこともない怪物と対峙し、生まれたのは恐怖。  
ヒドラは別に動物を殺したり食べたりしようという生物ではなく、単に自分達を脅かす存在に対しての防衛機能として触手を使った攻撃を行うというだけだ。  
しかしそうと分かっていても、女の子がたった1人でこんな状態に放り出されたら本能的に怯えてしまうのはごく自然のことである。  
 
(逃げなきゃ…逃げなきゃ!)  
 
怖くて半泣きの顔になりながら必死にその場から逃げようとするが、腰が抜けてしまって立ち上がれない。  
その隙だらけの姿を超巨大ヒドラは見逃さなかった。  
 
どくんっ。どくんっ。  
べちゃっ!べちゃっ!  
「いやぁっ!?何これぇっ!?」  
 
本体から粘液の塊が撃ち出され、セリアの全身を正確に捉える。  
その量は優に2リットルを超えているだろう。  
まるで接着用の液体糊を全身にかけられたかのようだ。  
真っ白と言うよりはわずかに黄色がかった液体の色は、何とも形容し難い生ぬるい臭いとの相乗効果で強い生理的な嫌悪感を催させる。  
「いやぁ…べたべたぁ…」  
何とか体を動かすことはできるものの、強い粘性を持った液体が全身にまとわりつき、とても戦ったり逃げたりできる敏捷性は生み出せない。  
粘液はグリーブやインナー、ニーソックス、そして下着の中にも侵入してくる。  
ぬるぬるした感覚が、直接肌に触れている衣類の外側からも内側からも発生する。  
立ち上がろうとして脚を立て体重をかけると、スライムを踏んでいるかのような心地悪い弾力性。  
腕やへそ、太腿と言った露出部分も大量の液で包まれ、どこかいやらしさを連想させる光沢を放つ。  
お気に入りのひらひらしたミニスカートも腿にへばり付いて、今は不快感を増大させるだけだ。  
そして可愛らしい小さな顔は汚らしい薄黄色の液でパックされ、まるで数十人という男性からの射精を受け止めたかのように液が滴っている。  
本当に気持ち悪い。  
 
ヒドラが、自分の状態に混乱しているセリアの動きが極端に鈍くなったのを確認する。  
そして、仲間をことごとく殺された怒りによる拷問が始まる。  
 
ひゅんっ!ばしっ!  
ひゅひゅんっ!!ばちっ!びしっ!  
「いやぁっ!痛い!痛い!痛いよ!!」  
 
空気を切る音が立つほどの勢いで、極太の触手が鞭のようにセリアの体を打つ。  
鎧の上から殴られるだけでも全身を目が回るような衝撃が襲うのに、肌の露出部を直接打たれた時など、それを遥かに上回る我慢できないほどの痛みが走る。  
鎧が傷付き、ニーソックスが破れ、肌にあざができる。  
 
ばしっ!ばしっ!ばしっ!ばしっ!  
「いやぁ…あぁ…あぅっ…はぅっ…痛い…」  
 
1〜2分も殴られ続けると体力・気力共に根こそぎ削り取られ、喘ぐ声も次第に小さく消え入っていく。  
汚らしい液体で体中がべとべとにされ、不気味な触手で痛めつけられる。  
極限状態に追い込まれたセリアは、どうすれば良いか分からずただただ涙を流すしかできなかった。  
 
やがて獲物が弱ってほとんど動かなくなったことを確認した怪物は、先までとはうって変わってゆっくりと這い寄るように触手を伸ばす。  
「こ…今度はなに…」  
もはや15分前とは一変し、粘液と涙でぐしゃぐしゃになったセリアの表情には怯えの色しか浮かばない。  
そして、太い触手がゆっくりと両腕と両足を拘束し、その体を少し浮かせる。  
 
ずりっ。ずりっ。  
「やだぁっ…気持ち悪い…」  
 
触手が体を這い回り始めた。  
先ほど素早く体を打たれた時とはまた違い、不気味な触手がゆっくりと体を這いずるのはただただ気持ち悪い。  
最初に粘液を吐きかけられてから時間が経過して、そのほんの一部が乾いたり地面に滴り落ちたりし、少しだけ不快感が薄れかけてきた所で再び全身に塗りたくられる。  
また、本体の中からも再び液の塊がぶつけられ、またも全身どろどろになってしまった。  
下着の中にもたやすく侵入して、陰部や尻を表面から撫で回す。  
「いや…そんな所触らないで」  
触手は困惑の声を上げるセリアには構わず、全身の中で最後に残った最も侵入が困難である場所、ぴっちりと上半身にフィットしているインナーの中に狙いをつける。  
そして遂に、比較的細い1本がみぞおちの窪みから胸を侵食し始める。  
その後を辿るように、数本の触手が胸全体を味わう。  
「やだぁ…やだよぉ…」  
通常時で体のラインをはっきりと浮き立たせる構造上、鎧を装着していなかったら服越しに触手の蠢く様子がそのまま浮き立つのが見て取れたことだろう。  
 
ひとしきり不快感を味わわせたところで、肌を陵辱していた触手が一旦体から離れ、体を拘束したまま別の触手がゆっくりと近寄る。  
「な…何…?」  
次に自分の身に何が起こるか予想できないセリアだったが、その触手が再び体を這いずった時に明らかな違いが感じられた。  
「いや…え…あれ?え?」  
新しい触手が体を擦ると、垢すりをされているかのような少し心地良い刺激が流れる。  
相変わらず体中不快以外の形容が無かった先ほどまでの陵辱とは変わり、その気持ち良さに戸惑いを隠せない。  
しかし、その触手が体から離れた次の瞬間、体中に変化が起こった。  
 
「いやあああああああっ!かゆい…体がかゆい…熱い…熱くてかゆい!!何これ!?」  
 
ヒドラの体液には媚薬性の成分があるのだが、微量なためその効果は簡単に表れない。  
そこで彼らは2種類の役目の触手を持つように進化したのだ。  
すなわち、粘液を分泌して滑らかな体で体中に塗りつける物と、硬い繊毛を身に纏って全身に苦痛にすらならないような微小な傷を付け、塗られた液を体中に吸収させる物だ。  
今セリアの全身には激しい性的欲求が走っているのだが、まだそのような知識を持っていない彼女はそれを表現する言葉を知らず、「痒い」という表現で代用しているのである。  
 
「誰か…助けてぇ…かゆい…熱い…何なのこれ…?」  
 
細かい傷を付けられた体に、またも改めて粘液が吐きかけられる。  
そのべたべたの全身を震わせ、助けを求める。  
もちろん体は拘束されたままなので、どんどん増大するこの「痒み」を自分で解消することはできない。  
 
「あぁぁぁぁ!いやぁぁぁ!!だれかぁぁぁ!!」  
 
しばらく放置され、半ば発狂する寸前まで追い込まれる。  
その時。  
先ほどたくさん倒したはずなのにどこにそんなに隠れていたのか、普通の巨大ヒドラが群れをなして登場した。  
 
 

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