私と優樹はおっぱいが好きだ。  
 正確には、私は優樹のおっぱいが好きで、優樹は自分のおっぱいが好きだ。  
 理由は特にない。私に母親がいないから、その欠落を埋めたい……だの何だのとドラマチッ  
クな理由があるわけじゃない。強いて言うなら、女の子の私でも惚れ惚れするほど、優樹のお  
っぱいが素晴らしいからだ。  
 ただ大きいだけではなく、やわらかくて、白くて、形のバランスも良い。優樹の華奢な体に  
は不釣り合いな大きさに見えるけれど、その美しさは、確かに彼女が備えるべきものなのだと  
いう説得力がある。  
 本当に不思議。  
 あんなにえっちいのに、こんなにも似合っている。  
 もう一方。  
 優樹の視点。  
 彼女自身は、あまり自分のおっぱいを好きにはなれなかったそうだ。大きくて、重くて、蒸  
れたり肩が凝ったり、やたら目立ったりするのが嫌いだと、そう言っていた。  
 でも、最近になって、変わった。  
 私が優樹のおっぱいを研究する中で、優樹も自分のおっぱいの素晴らしさに気付いてきたよ  
うだ。  
「ん……すずちゃん、もっと……もっとシて……」  
 今や、私が優樹のおっぱいを揉むことは日課になっている。  
 最初は私が求めて、優樹が嫌々従う手筈だったのが、優樹からおっぱいを差し出す例が多く  
なってきた。  
 やわらかくて大きくて、私の小さな手ではこぼれてしまいそうなそれを、私は私のしたいよ  
うにさわる。持ち上げて、揺らして、揉んで、潰して、弾ませて、落として、つまんで、ひっ  
ぱって。  
 そして吸い付き、吸い上げる。  
「んん……うう!」  
 優樹の双丘の頂点、固くなった桜色の乳首を、唇ではさんでおもいきり吸い上げる。  
 私は、この瞬間が好きだった。  
 優樹の悩ましげな悲鳴をバックに、やわらかくてあたたかい乳房におもいきり顔を埋めて、  
舌と唇で彼女のおっぱいを味わう瞬間が。  
 母親の欠落を埋めたいわけじゃないけど。  
 優樹のあたたかさとやわらかさに体を預けると、とても安心するのだ。  
「いいよ……すずちゃん……すごく、いい……!」  
 優樹が、私の頭に両手を回した。私にしがみつくように、しっかりと抱き寄せる。  
 互いに、離れないように。  
 ひとしきり、そうして優樹のおっぱいを堪能してから、私は優樹から体を離した。  
「あ……」  
 優樹は名残惜しそうに、しかし結局はあっさりと両手を開き、私を解放してくれた。ワンピ  
ースの襟を開き、おっぱいのみを露出した姿のまま、アヒル座りになって私を見ている。  
 私のだ液でてらてら光る乳首の桜色が、やけに目についた。  
「それじゃあ、体洗おうか」  
 とろんとした目で私を見る優樹の襟を直してあげてから、私は彼女を風呂場まで  
連れていった。  
 脱衣所で手早く服を脱いで、裸になる。優樹に見られても恥ずかしくないし、気にもしない。  
「……すずちゃん。おっぱいちょっとおっきくなってるよ?」  
 ワンピースの裾を半端にたくしあげた姿勢のまま、優樹が指摘した。  
「そう?」  
 私は首を曲げて、自分の胸元を見てみた。優樹のモノとは比べるまでもない、まるで貧相な  
おっぱい。触れてみても厚みがなく、形も大きさも私の理想には程遠い。  
「私は好きだけどなあ。すずちゃんのおっぱい」  
 ワンピースを脱いで、パンツ一枚になった優樹が私を見る。  
「私はユッキーみたいなおっぱいが好き」  
「それって、私みたいになりたいってこと?」  
「何言ってるの。自分のおっぱい揉んでも楽しくないじゃん」  
 私と優樹は、顔を見合わせて笑い合った。  
「それにしても……」  
 
 私は少し屈んで、優樹の体に視線の高さを合わせた。  
 パンツ一枚になったことで、優樹の線の細さがよりはっきりわかる。細い手足なんかは強風  
で折れてしまいそうで、立っていられるのが不思議なくらいだ。  
 言うまでもなく、おっぱいは大きいのだけど。お尻や腰なんかは、私より優樹の方が細いのだ。  
「な、なに……すずちゃん」  
 優樹が恥ずかしそうに腿を合わせて、もじもじと私の視線から逃げる。だが、その恰好で脱  
衣所を出ていくわけもないから、結果的にはされるがままだ。  
「いや、いいなーって。単純に」  
「すずちゃんったら……」  
 眉をハの字にして、しかし微笑みながら、優樹はパンツを下ろした。  
 にちゃ……  
 粘液が、パンツの裏地から、糸を引いているのが見えた。  
「ああ……またこんなに濡れてる……」  
 そう言う優樹の口調からは、あまり感情が読めない。棒読みというわけでもないのに、どこ  
か空虚な響きだった。  
「じゃあ今日も舐めてあげるよ」  
 私は風呂場の戸を開けて、先に中へ入った。浴室マットの感触を確かめて、お尻をつける。  
「ごめんね……すずちゃん」  
 大きなおっぱいを抱えるように腕を組んで、優樹も続いた。  
 そして、いつものように。  
 寝転ぶ私の顔に、跨がった。  
「……お願い。すずちゃん」  
「心得た」  
 顔に跨がる優樹のお尻を両手で支えて、私は彼女の割れ目へ舌をのばした。  
 ぴちゃり、ぬちゃ。  
 優樹のそこは、酸味のある蜜で溢れていた。  
 不思議と、汚い感じはしない。決して舐めていたい味ではないけれど、その臭いは頭の奥を  
痺れさせた。  
「んは、はっ……はあ!」  
 優樹が、自分で乳房を持ち上げる。首を縮めて舌を延ばし、乳首を舐めている。  
 日課。  
 私が優樹のおっぱいを触ること、そうして溢れる優樹の蜜を私が鎮めること。  
 必要だからというだけで、それ以上でも以下でもない。優樹が苦しんでいるなら、私が助け  
る。ただそれだけだ。  
 しかし。  
 しかし、なのだ。  
「うあ、飛んじゃう! 私、飛んじゃう!」  
 優樹が私の頭を腿で挟み、びくびくと体を震わせた。その行為のおしまいを告げる、優樹の  
反応だ。  
「はあ……は、もう、もう大丈夫だよ。すずちゃん」  
 私の頭から退いて、優樹はマットに腰を下ろした。全身に汗をかき、息も荒かったけれど、  
その表情は晴れやかだった。  
「うん……」  
 私は仰向けに倒れたまま、優樹を見た。  
 そして、言いかけて。  
「…………」  
 やめて。  
「…………」  
 しかし結局は、言った。  
「気持ち良かった? ユッキー?」  
 これまで決してしなかった問いを、優樹にぶつけたのだ。  
 
 常々疑問だった。  
 私におっぱいを触られると、優樹はどんな気分になるのかと。  
 私が自分のおっぱいを触るのとは違う。優樹に触ってもらうともきっと違う。私が優樹のお  
っぱいに触るという行為にどんな意味があるのかが、わからなかった。  
 気持ち悪いのかもしれない。親友と言えど、他人に委ねることには抵抗があるかもしれない。  
 痛いのかもしれない。私が吸うたびに悲鳴を上げるし、私も加減がわからない。  
 
 苦しいのかもしれない。行為の後の優樹はいつも息を切らしているし、股間からは涙のよう  
に液が溢れている。  
 けれど、何にしても、一番の問題は。  
 優樹は気持ち悪くても痛くても苦しくても、自分からは決して白状しないであろうというこ  
とだ。彼女は私の親友であり良き理解者ではあるが、私のために気を使いすぎる部分がある。  
 優樹のこういう部分に、私はもっと注意深くなくてはいけないと、最近は思っている。私は  
なにかと一人で突っ走り、いつも優樹のやさしさに甘えている。しかし二人はいつまでも一緒  
にいられるわけではないし、いつかは私も一人でやっていかなくてはいけない。中学生になれ  
ば、電車も大人料金で乗らなければいけないのだから。  
 優樹が何も言わなくても、私は彼女の気持ちを察してあげなくてはいけない。それができる  
自分になりたい。そう思っていた。  
 焦り。そう言っても良いかもしれない。  
 早く大人にならなきゃと、早く大人になりたいと、心が奔って落ち着かない。  
 優樹のようになりたいわけではないけれど、どんどん大人へと成長していく優樹を見て、思  
うところがないわけではないのだ。  
 そんなある日の夜、私は気がついた。  
「あれ……」  
 パジャマの中に手を差し入れて、確かめる。  
 間違いなかった。  
「濡れてる……」  
 おしっこではない。それよりも粘着質な汁で濡れて、パンツの生地が肌に張り付いていた。  
 匂いも確かめて、確認して、確信すり。  
「ユッキーのと同じだ」  
 さすがに味を確かめる気にはなれなかったが、間違いなくそれは、私から出た蜜だった。  
「でも、待てよ……」  
 その時私は、胸を触られていたわけではない。ただ、優樹のことを考えていただけだった。  
 胸を触られるとこうなる。  
 確か、優樹はそう言っていたはずだった。  
「私と優樹で、何か違うのかな?」  
 冷静に思考を巡らせる。  
 一方で。  
「ひぅ……うん」  
 私の指は、パンツの上から私の割れ目を摩っていた。  
 舌で舐められば止まる。  
 しかし、私の舌は私の下腹部には届かない。今、ここで、代用品を探さないと。  
 それを考える前に、体が答えを知っていた。  
 もっと強く、もっと早く。  
「んあ! んああ!?」  
 蜜は止まらない。  
 指をどんなに動かしても舌とは違うし、むしろ逆に勢いが増しているようにすら感じる。  
 止めなきゃ、違う。止めなきゃ。  
 ぐるぐると思考が周り始める。この蜜を止めるにはどうすればいい? 何をすればいい?   
そもそも、触っても良い場所?  
 意味が真っ白に潰されて、言葉ではなく文字が頭の中を飛び交う。  
 そんな中で、私は自分をつき動かす衝動に気がついた。  
「きもち……良い」  
 いつのまにか私はパンツを脱いでいて。  
 固くなり始めたクリトリスを、懸命につまんで、転がしていた。  
 気持ちいい、気持ちいい、気持ちいい。  
 もはや、それしか考えられない。その先も、その後も、真っ白に潰される。  
 ただ、感じている『今』だけがあった。  
「あ、あ、ああ!」  
 体が自然とのけ反り、全身の肉が震えた。  
 肉体から魂が抜けて、周囲に広がって、溶けるように。  
「はあ……はあ……」  
 気がついたら、息が荒かった。  
 同時に、とんでもないミスをしてしまったかのような罪悪感が襲ってくる。  
 
「私、私は……」  
 理解した。  
 私は、とてもいやらしいことをしたのだと。  
 そして、いやらしいことは気持ちいいのだと、気がついた。  
「ユッキー……」  
 嘘だったのだ。  
 優樹は、気持ち悪くも痛くも苦しくもなかった。ただこんな風に、気持ち良かっただけだっ  
たのだ。  
「うらぎりもの」  
 布団を頭からかぶって、私は膝を抱えた。  
 それが、昨晩の出来事。  
 そして、だから今私は優樹に問う。気持ち良かったのかと。  
「…………」  
 優樹は、なかなか口を開かなかった。俯いて、私から目を逸らした。  
 こんなことは言いたくないが嘘もつきたくない。そんなためらいだ。何度も見てきた私だか  
らこそ、それがわかる。  
「なんで、黙ってたのさ……」  
 ふつと、胸の奥に何かが灯った。  
 それは怒りのようで、悲しみのようでもあった。激しいようで冷たくて、とにかく、胸がど  
うしようもなくざわついた。  
「優樹はいつも……いつもそうやって、一人で大人に……!」  
 あだ名ではなく、本名を呼び捨てにして。  
 私はもう一度、優樹を押し倒した。  
「すずちゃ……それは……!」  
 倒れた優樹なおなかにまたがり、そのおっぱいに手をかけた。  
 潰すように、わしづかみにする。  
 綺麗でやわらかくて白い、彼女の大人を示す由縁を握りこむ。  
「わたしが、どんな気分で……!」  
 大人になっていく優樹を見ていたか!  
 大人になれない自分を思い知らされたか!  
「優樹は、いつもっ! 肝心なことは何も言ってくれなくて! いつのまにか、本当の優樹が  
どこにもいなくなって! わたしは……」  
 優樹の胸に、私の涙が零れた。  
 涙? そう、涙だ。  
「私は、一人ぼっちじゃないか……」  
 こんなに優樹が近くにいるのに。  
 触れ合えるのに、おっぱいを触れるのに。  
 私は、孤独だった。  
「すずちゃん……」  
「私、いいよ?」  
 優樹のおっぱいに指をくいこませて、私は伝える。  
「一人じゃないなら、私、優樹のドレーでも構わない。優樹のしてほしいこと、全部してあげ  
る。だから、だから……」  
 置いてかないで。  
 彼女のやわらかいおっぱいを揉みながら、私は泣きじゃくった。  
 こどもみたいに。  
「……違う。違うの。すずちゃん」  
 そんな私の頬に、優樹が手を差し延べた。その白い指で、私の涙をやさしく拭う。  
「私も、すずちゃんも、女の子でしょう?」  
 穏やかに。しかし悲しげな口調で、優樹が言葉を紡いだ。  
「本当は、女の子同士でするのはダメなんだよ。気持ち良くなっちゃ、ダメなの」  
「そんなの……!」  
「すずちゃんが好きなのは、私のおっぱいでしょう?」  
 優樹の手が、私の腕を滑って、私の手首を掴んだ。私の手を、おっぱいから逃さぬよう固定  
する。  
「それじゃあ、ダメなの。すずちゃんは、私の気持ちに答えられないから……気持ち良いけど、  
辛いんだよ」  
「そんな!」  
 優樹は、私の親友だ。  
 
 好きでないわけ、ないのに。  
「そういうのは、違うんだよ」  
「ひゃ……!」  
 優樹の指が私の股間に延びて、クリトリスのあたりをつっついた。  
「大人になりたいの? 鈴理」  
 そして、優樹の指が私のクリトリスの包皮を剥いて、剥き出しになったそこをつまんだ。  
「だったら、シテあげる。多分、最初で最後だと思うけど」  
 私の中心をコスる優樹の声には、夕闇のように暗い響きがあった。  
 
 いつの間にか私は、優樹に背中から抱きしめられていた。  
 彼女の濡れたおっぱいが、固く尖った乳首が、私の背中に押し付けられる。優樹のやわらか  
さに、包まれる。  
「優樹ぃ……」  
 私は彼女の名前を呼ぶ、しかし返ってくるのははかなげな吐息だけで、言葉はなかった。  
 ただ優樹は、その指で私の体をまさぐる。私のおっぱいを、おまんこを、指でやさしく撫で  
ている。  
 私の蜜が、優樹の指に絡み付く。その蜜を、優樹は私の体に塗りたくった。  
 蜜で互いの皮膚が溶けて、どろどろに混ざり合う感じ。  
「優樹! 優樹!」  
 私は動けない。  
 両手を上げることも、開いた脚を閉じることもできない。彼女の愛撫を、ただ受け入れるだ  
けだ。  
 クリトリスを、優樹の指がつまんだ。乳首をコスって、押し潰した。  
 けれど、中には入ってこない。  
 私の表面をどんなに汚しても、優樹は私の中に入ろうとはしなかった。  
「んはあ……はあ……!」  
 でも、気持ち良い。  
 優樹の指が踊るたび、私は喘いだ。まるで、彼女のための楽器になったかのような気分だ。  
 丁寧に手入れをされて、美しくて淫らな声を上げる、楽器。  
 乳首もクリトリスも、いまや痛いくらいに固くなっている。全身がどろどろになっても、ま  
だ私の奥から蜜が湧いてくる。  
 それが、怖い。  
 自分の体が、なにか別のモノに支配されるような恐怖があった。  
「ひぅっ……なああ……」  
 自問する。  
 優樹は、気持ち良くなってはいけないのだと言った。確かにそうだ。女の子同士でこんなこ  
とするなんて、どうかしている。  
 おっぱいが好きな女の子はいても。  
 女の子が好きな女の子は、有り得ないのかもしれない。  
 でも、でも。  
 気持ち良いことなのに、どうしていけないのだろう。  
 私は優樹のことが好きなのに、どうして怖いのだろう。  
 どうして。  
「ふあ……あああ!」  
 優樹の指が、一際強く私のクリトリスをつまんだ。  
 そしてそれを、シゴき始めた。同時に、尖った乳首も同じように刺激し始める。  
 痛みよりも、快楽があった。  
「だ、だめ! 優樹、それっだめ!」  
 勝手に、私の腰が浮き上がる。優樹の動きに合わせて、かくかくと揺さぶられる。  
 涙が出てきた。口を閉じていられなくて、よだれが顎を伝う。それ以上に、割れ目からは蜜  
が溢れていて。  
「い、いっちゃ……いく、いっちゃうよ……!」  
 どこにとか、何をではない。意味を失った、しかしこの上なくぴったりな言葉を私は叫んだ。  
 そして。  
「や、やああ!」  
 全身の肉が、きゅうと閉まった。びくびくと、電撃が走ったかのように痺れる。  
 さらに。  
「も、もれちゃう……あ、あ、とま、とまんない!」  
 
 力が入らなくなって、私はおしっこを漏らしてしまった。浴室マットに黄色い液体が跳ねて、  
独特の臭気が鼻に届く。  
 恥ずかしい。  
 この歳になって、漏らすだなんて。  
「ごめんね。鈴理」  
 今更のように、耳元に声が届いた。  
「私、もう無理なの。我慢できないの。これ以上鈴理といたら、もっとひどいことするよ。で  
も鈴理はそんなのイヤなはずだし、そんなことされるべきじゃないの」  
 感情を押し殺した、機械的な口調だった。命令系でもないのに、そこには有無を言わさぬ響  
きがあった。  
「それでもって言うなら、言ってあげる」  
 大嫌い。  
 そう言って。  
 優樹は、私から腕を解いた。私を解放した。  
「大嫌い……って……」  
 私は優樹によりかかったまま、動けない。  
 親友だったのに。  
 どうして、そんなことを言うんだ。  
 優樹はそれ以上語らない。弁明も補足もない。無言こそが、この上ない拒絶だった。  
「…………」  
 私は、立ち上がる。  
 優樹のやわらかさとあたたかさから、体を離す。  
 そうして、一度だけ、彼女を振り返った。  
 今度こそ、絶句した。  
 優樹の目には、まっくらな穴が空いていた。すべてを諦めて、またその諦めにすべてを巻き  
込むかのような、深い闇がたゆたっていた。  
 そういう、あらゆる干渉を拒絶した目だった。  
 そんな、寂しい目をしていた。  
「……だめだよ」  
 私は。私には。  
 そんな顔をした親友を、放って置けるわけがなかった。  
 その大きくてやわらかくて、大好きな胸に飛び込んだ。  
「優樹。私達、親友だよ」  
 おっぱいに、思いきり、顔を埋める。  
「だからだめ。一人になっちゃだめ。二人で、いつも一緒だよ」  
「鈴理……」  
「私は、一人ぼっちは嫌だけど……」  
 顔を上げて、私は、まっすぐに優樹の目を見た。  
「優樹が一人ぼっちになるのは、それ以上にだめだから」  
 驚いた顔の優樹。  
 そこに向けて私は悪戯っぽく笑って、続けた。  
「私、本気だもん。優樹となら、ヘンタイだっていいもん。だって、優樹はこんなに気持ち良  
いんだから」  
 私は優樹のように頭は良くない。けれど馬鹿は馬鹿なりに、やり方はある。自分が何をして  
いるのかくらい、ちゃんとわかっていた。  
「他の人となんて考えたくないし、優樹を他の人に譲りたくない。優樹のおっぱいも好きだけ  
ど、優樹の方が、それよりもずっと好きなんだもん」  
 独占欲。  
 上等だ。  
 なんと言われたって構いやしない。そんなこと、知るもんか。  
「鈴理……」  
「ね? だから、今度は私の番だよ」  
 そうして私は優樹のおっぱいを持ち上げて、彼女の乳首に吸い付いた。  
 
 気になったことがある。  
 優樹はおっぱいが好きだ。少なくとも、私に責められることに抵抗があるわけではないはず  
だ。  
 
 とはいえ、優樹がおっぱいのみでイッた所は見たことがない。ひょっとしたらイッたことも  
あるかもしれないけど、それならそのあとで舐める必要はないはずだ。  
 となると、私の中にチャレンジ精神が湧いてくる。  
「ちょ……鈴理……おっぱいばっかり……」  
 はたしておっぱいへの責めだけで、優樹をイカせることはできるだろうか。  
 もちろんそれは、今までのように漠然とやるだけではダメだ。彼女の求めることを把握し、  
一つずつそれを叶えてあげなくてはいけない。  
 まずは小手調べとして、私は指で優樹のおっぱいを撫でてみた。  
 相変わらず……いや、今まで以上に、優樹のおっぱいは大きい。私の手にはおさまらないし、  
両手を使っても零れないように支えるのがやっとという感じだ。  
 形も、こんなに大きいのにぴんと乳首が上を向いていて、乳輪のと白肌のバランスも良い。  
 さらにさらに、そのおっぱいは軽く指で触れただけでも容易に潰れ、力を入れた分だけいや  
らしくどこまでも形を変えて、指に吸い付いてくるのだ。  
 事実は小説より奇なりとは言うけれど。  
 彼女のおっぱいに勝る芸術品は、きっとこれまでもこれからも現れることはないだろう。  
 しかし。今回の私の目的はあくまで優樹を楽しませること。私一人で、勝手に楽しんではい  
けない。  
「……こうかな」  
 そっと、包み込むように、やさしく。  
 私と優樹のおっぱいは違う。しかし、それは内部に蓄えられた脂肪の多寡でしかない。皮膚  
の感覚に、たいした違いはないはずだ。  
 上下左右に、あくまで優しく、握るでも触れるでもなく、撫でるように。  
「うう……ん」  
 優樹が肩をよじって、喘いだ。それは小さな刺激だったろうけれど、敏感になった彼女の皮  
膚には十分な刺激だったのだろう。  
 私はさらに、人差し指と親指とで彼女の乳首をつまんだ。もちろん両方同時に。  
「んん、んう!」  
 そして優樹にされたように、そこをシゴいてみた。彼女の反応を注意深く観察し、適切な強  
さと速度を探す。  
「はあっあ、ああ!」  
 私の指についた蜜によって、優樹の乳首はてらてら光っていた。そしてそれが上手い具合に  
潤滑油の役割を果たし、より深い刺激を与える。  
「い、いいよお……鈴理、そろ、いい……」  
 違う。まだまだだ。  
 もっともっと、高くまでいけるはずだ。  
 私は片手を開けて、代わりに唇で吸い付いてみた。  
 固い乳首を唇で挟んで固定し、舌でぺろぺろと刺激する。  
「んはあ!」  
 
 びくん、と優樹は背筋を反らした。そうなってもまだ、私は責めを続ける。  
 口の中いっぱいにだ液を貯めて、ただ優樹の乳首を愛撫する。  
 好き。  
 言葉にすればたった二文字にしかならないその言葉を、言葉以外の方法で伝えようとする。  
 指先で、唇で、舌で、粘膜で。  
 胸いっぱいに溢れる想いのすべてを、おっぱいにぶつける。  
 もっと、もっと、もっと、もっと。  
「す、すってるう……私のおっぱいが、鈴理の中にい……」  
 ちゅう、ちゅう、きゅう。  
 音がたちそうなくらい、私は口をすぼめて優樹のおっぱいを吸った。私の口と優樹のおっぱ  
いが、深い場所で繋がってくる。  
「あ、あ、鈴理、鈴理ぃ……」  
 優樹が、私の頭に腕を廻して来た、私の頭を、しなやかな指で撫でてくる。  
 そこで、はたと気がついた。  
「優樹……」  
「な、なに、鈴理……んぐ」  
 私は。  
 優樹の唇に、自分のそれを重ねた。  
 そして息を吸い込んで、舌と舌を絡める。  
 それだけではない。優樹の脇に腕を通して、体と体を密着させた。  
 乳首と乳首を合わせて、キスをした。  
「んん、んっんー!」  
 優樹もそれに習い、私を抱きしめる。  
 そうだ。優樹は言葉にしなかったけれど、いつもそう願っていたんだ。  
 私にしがみついて、離さないで欲しいと、ずっと訴えていたのだ。  
 それをしてあげれば良いだけだった。それだけでよかった。  
「んふ、ん、んううー!」  
 ぎゅっと。私達は抱き合って。  
 舌を絡めあって、乳首を擦り付けあって。どろどろに溶け合って。  
 優樹の体が悦びで震えるのを、私も感じることができた。  
 
 人差し指と人差し指を合わせる。  
 いつしか二人の間で交わされた、仲直りの合図。  
 私達は互いに向き合って寝転がり、それをしていた。  
「大嫌いだなんて言って、ごめんね」  
「いいよ。これから大好きって、たくさん言ってくれるんでしょ?」  
 優樹が顔を赤らめて、私はけたけたと笑った。  
 付き合わせた指を進めて、絡ませて、手を握り合う。  
「それじゃあ、そういうことで、仲直りしようか」  
「うん。じゃあ頑張って。大嫌い一回につき、大好き百億万回だから」  
 そんな単位ないよと、今度は優樹も笑った。  
 きれいな笑顔だった。  
「それじゃあ、とりあえず一回目」  
 大好き。  
 そんな、宇宙人にも伝わるくらいのシンプルな言葉から、私達の関係が再出発したのだ。  
 

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