そうだ、私はおっぱいが大好きなんだ。  
 学校の勉強にも、流行りのアクセサリーにも、雑誌の話題にも、ゲームや漫画にすら退屈し  
ていた私にとって、唯一興味を持てるのがそれだった。  
 小学五年生。クラスの皆も、ブラを付ける生徒がちらほら見受けられる時期。そんな彼女達  
と共に着替える中で、私の中の何かが目覚め始めたのだ。  
 おお、すごいぞ。これこそ天啓だ。  
 女の子に生まれたことに初めて感謝した。私が女の子だからこそ、こんなにもたくさんのお  
っぱいを見ることができるのだから。  
 視て、見て、観て。研究することができた。  
 しかし。次第に。それだけで良いのかという思いもあった。  
 見るだけで満足か?  
 研究者を名乗るのなら、もっとよく調べなくてはいけないのではないか。それはもちろん、  
文化的、歴史的な側面からおっぱいがどんなものか調べる必要もあったが、やはり私の使命と  
は、美しいおっぱいを捜し求めることではないのか。  
 まあ、所詮は小学生。私にできることには限界がある。  
 が、しかし、小学生だからできることもあるハズだ。  
「だから優樹ちゃん。おっぱいちょうだい」  
 そう。  
 例えば、クラスで一番の美巨乳を持つ彼女を守り、さらなる美巨乳へと育むことくらいはで  
きるハズなのだ。  
「……えっと、言っている意味がわからないんだけど」  
 優樹はテーブルに載せられた私の足に気圧されて、ペンを持ったまま後ずさる。  
 軽く、引いていた。  
「だあーかあーらあー……」  
 私はテーブルに載せた足の膝に肘を乗っけて、優樹に向けて見栄を切る。  
「ユッキーがクラスで一番の美巨乳でしょ? おっぱい研究家としては、あなたを抜きにおっ  
ぱいは語れないのよ」  
「いや……えっと、その……」  
 優樹は両手で口元を抑えて、首を縮めた。困った時にする、彼女の癖だ。  
「すずちゃんは、女の子だよね?」  
「そーよ。明星鈴理。第二小学校五年二組よ」  
「で、すずちゃんと私は、さっきまで一緒に宿題やっていたよね? この、私の部屋で」  
「そーよ。だって私の部屋にはクーラーないんだもん。ユッキーっと二人で分担してやった方  
が、早く終わるし」  
「分担って言うか、すずちゃんがわからない問題を私が教えてあげるだけだけど」  
「そーよ。そうやってユッキーが私に教えれば、ユッキーの理解も深まって成績も良くなるじ  
ゃない」  
「…………」  
 ふぅ、と。  
 疲れたような、呆れたようなため息をついて、優樹は肩を落とした。  
「それがなんで、いきなりおっぱいの話になるのかな……」  
「違う。おっぱいの話じゃなくて、ユッキーのおっぱいの話よ」  
「えー。私のおっぱい限定なの? 別に私より綺麗な人は……」  
「自覚ないんかぁー!」  
 ぱっしーんと、私は小気味良い音を響かせて優樹の頭をノートではたく。  
 全く。我が親友ながら情けない。  
 彼女は、私と同じ小学五年生だ。長い髪をワニクリップで結い上げ、夏らしい涼しいげなサ  
マードレスに身を包む様は、清楚なお嬢様といった赴きがある。  
 しかし、そのイメージを払拭するだけのインパクトを、彼女は文字通り自らの胸に秘めてい  
た。  
 載っているのだ。  
 何に。私達が勉強道具を広げ、私が踏み付けにしている小さなテーブルに。  
 何が。彼女。鹿島優樹の服を内側から押し上げるおっぱいが、テーブルの一部を占領してい  
るのだ。  
 恐るべき事態である。  
 
 優樹は華奢だ。手も足も、首も腰も白くて細い。不健康というほどではないが、重い荷物は  
まず持てないし、背の順でもクラス前から三番くらいだ。  
 それなのに、おっぱいは。おっぱいだけは、クラスの誰よりも大きい。  
 それは、つまり。胸囲だけでなくカップ数でも圧倒的だと言うことだ。小学生にして、彼女  
はDだのEだの言う世界を超越してしまっている。  
 この巨乳。この爆乳。しかしその恐ろしさに対し、優樹はあまりにも無自覚だ。  
「ていうか邪魔。どうしてこんなに大きくなったの」  
 机に載るおっぱいを、彼女は単なる脂肪のカタマリに過ぎないと思っていた。それがどんな  
に奇跡的で魅力的かなど、全く考慮していない。  
「ランドセルしょって歩いていると、ヘンな目で見られてる気がするし」  
 優樹がランドセルを背負っていれば、確かに後ろ姿は小学生だ。実際小学生なのだから当た  
り前だ。だが、彼女を背中から追い越した場合、多くの人間は驚くことだろう。中に風船でも  
詰めたかのような、一種冗談じみた、あるいは罰ゲームのような、彼女のおっぱいに。  
「暑いし。重いし。ムレるし。痛いし。いいことなんてないよ」  
 一応。優樹はその双丘を支えるため、身嗜みとしてブラをつけている。だがその熱量は夏場  
には辛いものがあるらしく、しかも肩紐が食い込んで痛いとのことで、学校から帰るなり彼女  
はブラを外してしまう。そうして器を失い、解き放たれたおっぱいは、本来の柔らかさを発揮  
して、彼女が動く度、ワンピースの内側でたふたふと……いや、ぷるるん、ぷると……違うな……どたっぷーんと。そ  
う、どたっぷーんと揺れているのだ。  
 それがどんなにすばらしいことか!  
 そんな彼女の親友であれるということに、私がどれだけ光栄に思っているか!  
 どうも、優樹は、その辺りに関して無自覚なようなのである。  
「いや、その。いいから宿題やろう? 私のおっぱいの話なら後でも……」  
「後も先も、なしよ! 今後の予定なんてない! 今する!」  
「えー」  
 心底イヤそうな顔をして、優樹はますます私から離れた。  
 ガチで引いていた。  
 しかしその背後は壁だ。優樹はそれ以上下がることはできない。  
「だ、だって意味わからないし! おっぱいちょうだいって、いくら大きいからってそれは出  
ないよお!」  
「母乳出せなんて言ってないわよ。興味はあるけど将来的な話でいいわ」  
「あるんだ! 興味!」  
「ちょうだいというのは、私がユッキーのおっぱいを撫でたりさすったり揉んだり頬ずりした  
り舐めたりしゃぶったり吸い付いたりする権利が欲しいということよ」  
「なでなでするの!? さわさわするの!? もみもみするの!? ほっぺですりすりする  
の!? なめなめするの!? ちゅぱちゅぱするの!? ちゅーちゅーするの!?」  
 わざわざいやらしい表現に置き換えて、優樹は身悶えした。膝を抱えて、胸元への視線を遮る。  
 そのせいでパンツが丸見えになってしまうのだけど、私は言わないでおくことにした。  
「やめてよー! 不許可! それはダメ!」  
「いいじゃん。減るモンじゃないし」  
 なんだか嫌がる優樹がかわいかったので、私はあえてチカンのような手つきで指をわきわき  
と開閉した。  
「む、むしろ減って欲しいくらいだけど、それはダメだよ……恥ずかしい……」  
 ちいさな体を余計に縮めて、優樹は首を横に振る。  
「恥ずかしい、ねえ……」  
 幼稚園の頃は一緒にお風呂にまで入った仲だと言うのに、今更胸が恥ずかしいと言うのか。  
そもそも、女の子同士なのに。  
 
 だがまあ、想定外の事態というほどではない。むしろ優樹の引っ込み思案な性格を考えれば、予定通りとすら言える。  
 よろしい。ならばプランBだ。  
「……私さ」  
 テーブルから足をどけて、優樹とは向かいの位置に、正座で座る。  
「お母さんのこと、殆ど覚えてないからさ」  
「あ……」  
 優樹は顔を上げて、私に目を向けた。  
 私と優樹は幼なじみ。しかし、そのきっかけは私の母が早くに死んで、優樹の家に世話にな  
っていたからだ。  
「物心つく前に死んじゃったからさ。私、お母さんについて殆ど覚えてないんだ。覚えてると  
いえば、お母さんのおっぱいを吸っていた時の、赤ちゃんの頃だけで……」  
「うう、すずちゃん……!」  
 あ、涙目になってる。優樹。  
「ご、ごめんね? 私、てっきりすずちゃんがやらしい目的だとばっかり……そんな、そんな  
ことだとは全然気付けなくって……」  
「別にいいよ。ユッキー。恥ずかしいことを無理にやらせるなんて、私こそ友達失格だもの」  
「そんな……そんな……」  
「さて。続きやろうか。二十三ページまでやったっけ?」  
「すずちゃん!」  
 優樹が、ペンを取ろうとした、私の手を握った。  
「……えっと、その、平気だから」  
 顔を真っ赤にして、唇を震わせて、けれどまっすぐに私を見て、優樹は私に告げる。  
「私のおっぱい、ちょっとだけなら、すずちゃんの好きにしていいよ?」  
「……ユッキー」  
 私は、頬をほころばせて、にこりと笑った。  
 あは。  
 計画通り、だ。  
 
 涼しい部屋。  
 カーテンを締め切って、外からの視界を遮る。あるいは、部屋の中に集中する。  
 ドアに鍵はかからない。けれど、今この家には誰もいないので、邪魔が入る心配はないだろ  
う。  
 セッティング完了。  
「脱ぐ? それとも脱がす?」  
「それくらいは自分でやるよぉ……」  
 優樹は襟元からボタン外し、肩から落とした。途中、やはり胸が引っ掛かったが、なんとか  
腰まで下ろすことに成功する。  
「……わ」  
 成長した優樹のおっぱいを、間近で、真正面から見たのはこれが初めてだ。彼女は、私には  
ブラの柄すら教えようとはしなかったから。  
「やっぱり、私のおっぱい、ヘンだよね……」  
 手を後ろで組んで、胸を隠してしまわないように。しかし私と目を合わすこともできず、優  
樹はぼそりと呟いた。  
「ないない。むしろ、いいおっぱいだよ」  
 部屋の中では、優樹はブラを付けない。だから、彼女の白いおっぱいはそのまま剥き出しに  
なっている。  
 いかにも大きくて、重そうなおっぱい。しかし、彼女の呼吸に合わせて揺れるそれには、柔  
らかさを容易に想像させた。  
 他人にはまだ触らせたことはないであろう乳首はかわいらしい桜色をしていて、乳輪も適度  
な大きさをしている。  
 ううむ。それにしても、ブラを付けてもいないのに谷間があるとはどういう了見だ。有り得  
るのか。そんな存在が。  
 きっと遺伝なんだろうなと思う。優樹のお母さんも、彼女に負けず劣らずの美巨乳だし。も  
っとも、優樹のお母さんはお尻もふとももも豊かで、華奢な優樹とは一味違うけれど。  
 その辺りのアンバランスさが、優樹にとっては『ヘン』だということになるのかもしれない。  
 だが、しかし。  
 私の興味はおっぱいのみだ。女性の美しさはあくまで副次的なモノに過ぎない。アンバラン  
スだろうがなんだろうが、優樹のおっぱいは素晴らしいし、研究に値するのだ。  
 
 そしてなにより、彼女はまだ小学五年生。将来有望だ。アンバランスさを解消することも、  
より美巨乳を目指すことも、これから少しずつやっていけばいい。  
「あ、あんまり見ないで……」  
 優樹が、恥ずかしそうに身をよじった。たったそれだけの動作で、彼女の二つのふくらみが  
左右に揺れる。  
「見るの、ダメ?」  
 素直に聞いてみた。  
「ダメじゃ、ないけど……もう! 恥ずかしいの!」  
「そこをあえて、私のために我慢してくれてるんでしょう? ありがとう。本当に感謝してる  
よ」  
「え……」  
 御礼を言うと、優樹が当惑した。本当は優樹のやさしさに付け込むようなマネをしたことを  
謝りたかったけれど、それは堪える。  
 乳研究の道は、生半可な覚悟では進めないのだ。私の罪悪感や優樹の羞恥心には、犠牲にな  
ってもらう。  
 さて。  
 このまま私が優樹のおっぱいを触るのもアリだと思うけれど……  
「ねえ。ユッキー」  
「な、何? すずちゃん?」  
「んー。あのさ」  
 私は優樹の反応を見ながら、慎重に切り出す。  
「揉んでくれない?」  
「もむって……すずちゃんのおっぱいを?」  
「いや違う」  
 即答。私のおっぱいは小学生並……いや、それ以下のささやかな大きさしかない。触られる  
と乳首が痛くなるので、できれば勘弁してほしかった。  
「え? じゃあ、私が、私のおっぱいを揉むの?」  
「いぐざくとりぃー」  
 親指を立てて、私は優樹の推察を肯定した。  
「な、も……ま! みむ!」  
 混乱してる。  
 顔真っ赤だ。  
 でも。  
「そ、そんなこと……っ!」  
 怒っているわけでは、なさそうだった。  
「こう、ね。ユッキーなりの方法で、その美巨乳をアッピルして欲しいのね。ダメかな?」  
「だ……ダメじゃ……ないけど」  
 おや。意外に前向きな返事だ。イヤだとは言ってない。  
「そ、その。内緒だからね? 私がそんなことしたって誰かに言ったら、すずちゃんでも絶交  
だからね?」  
「言うわけないよ。私をなんだと思ってるのよ」  
「うんと、ヘンタイ?」  
「…………」  
 優樹のほっぺをつねった。  
「ひがっ! ひがふほ! へんはいへほ、あはひわ……」  
「あによ」  
 たっぷり三十秒引っ張り倒してから、ぱちんと弾いて優樹を解放。  
「ヘンタイでも、見捨てたりせずに、嫌いにならずに、一緒にいるから……」  
 痛む頬をさすりながら、優樹が笑った。  
「……えっと、ありがとう」  
 私の方が当惑してしまうような解答だった。  
 優樹がやさしいのは知っているけど、ヘンタイを看過するのは少し行き過ぎではなかろうか。  
いや、私のことだけど。  
 なんだかちょっと、彼女の将来が不安になった。これは絶対、ダメな男にひっかかるタイプ  
だ。彼女の人生と彼女のおっぱいを守るため、私も気をつけなければならないのかもしれない。  
 咳ばらい。気を取り直す。  
「ん……それじゃあ、揉んでみせてよ」  
 あくまで、命令ではなくお願いとして、私は優樹に告げた。  
 
「うん。揉むね……」  
 優樹はそれでも拒否せずに、自らの乳房に手を添えた。  
 したから、掌で支えるように、押し上げる。重力の影響で、彼女のおっぱいがおまんじゅう  
のように潰れた。それは彼女の華奢な手には余り、今にもこぼれ落ちてしまいそうだ。  
「よいしょ……」  
 優樹は、それをなんとかこぼさぬよう指を広げて、側面へと手を滑らせた。そうして左右か  
ら力を加えて、柔らかな肉鞠を縦に潰す。  
 谷間ができた。丸い形が優樹の手の形に潰れて、なんともいやらしく変形している。  
「こんな感じ?」  
 恥ずかしげに、優樹が私に尋ねた。  
「ううん……」  
 不満ではない。しかし、完全なポーズでもまた、ない。まだ若干、優樹には照れが残ってい  
るようだ。  
「もっとこう、動きがほしいな」  
「動き?」  
「なんていうかな。こんなふうに……」  
 私は自分の胸元に両手をあてがい、そこにある架空の巨乳をもみしだく。  
「上下とか、左右とか、円を描くみたいに」  
 私のその手つきで、優樹の顔がますます赤くなった。  
「う……うう、わかった」  
 が、やはりまだ優樹に引くつもりはないらしい。  
 私に言われた通り、彼女は自らの乳房を鷲掴みにして、動かしてみせた。  
 上下。左右の乳房が、互い違いにバウンドする。その間は常に接していて、柔らかい谷間が  
歪む。  
 左右。優樹の手が左右に開き、汗で蒸れた谷間を開く。次の瞬間、そこは柔らかい音を立て  
て閉じ、乳房が潰される。それを繰り返す様は、つきたてのお餅でつくったアメリカンクラッ  
カーに例えられた。  
 円。下行くとに潰れて、上に行くと離れる。やわらかいふたつの球体が、一挙動ごとに歪む。  
 凝視。  
 おっぱい以外は華奢な優樹がするいやらしい行為を、私は瞬きもせずに見つめた。  
「う……もう、ダメ!」  
 無言に耐え切れなくなったのか、不意に優樹がおっぱいから手を離した。その反動でふたつ  
の肉鞠がすとんと落ちて、たっぷんと弾む。  
「やっぱり恥ずかしいよぉ……すずちゃあん……」  
 両手で顔を隠して、優樹は顔を伏せた。そんな中でも乳房は彼女自身の腕に挟まれ、吸い付  
くように形を変えた。  
「よしよし。よくがんばった。偉いよユッキー」  
 私は、純粋に感謝の気持ちでもって、彼女の頭を撫でてあげた。  
「もういいよ。ありがとう」  
 ひとしきり撫でて、優樹を安心させるために、にこりと笑う。  
「すずちゃん……」  
 優樹は顔を上げて、私を見る。  
 やっと終わった。よかった。助かった。そんな顔だ。  
「後は私がやるから」  
「ええ? ちょっと!?」  
 そんな顔に対して、そう言うことは私にも辛かったが、我慢する。してもらう。  
 私は一瞬の隙をついて、優樹の乳房を乳輪ごと鷲掴みにした。  
「だ、だめえ! すずちゃん!」  
 それは、想像していたよりもあたたかくて、やわらかかった。押せば押すほど、どこまでも  
形を変えていく。私の指に吸い付いてくる。  
 きもちい。  
 背筋が震えた。全身の血が酸っぱくなったような気がした。えも言われぬ高揚に突き動かさ  
れて、私は優樹のおっぱいを揉み上げる。  
「つ、強くしちゃだめだよ……そんな、激しくされると……」  
 優樹が何を言っているのかも聞こえない。彼女のおっぱいは、一度触れただけで私を一瞬で  
虜にしてしまった。  
 おお。なんということだ。  
 
 こんな大変なものを、優樹はいつも抱えているのだ。これは大変だ。本格的だ。そこらの男  
なら、いや、女の子でも、このやわらかさには逆らえないに違いない。  
「……やだ」  
 ふつと、私の内側で何かが燃え上がった。  
 おっぱいが潰れるのにも構わず、私は優樹を押し倒し、馬乗りになる。  
「いたっ、す、すずちゃん!?」  
 目を丸くして、優樹が私を見上げた。  
 でも、それだけ。  
「すず……ちゃん?」  
 私の名前を呼ぶだけしか、しない。  
「やだ。やだよ。やなんだから……」  
 口から、勝手に、言葉が漏れた。  
 私は優樹の桜色の蕾を摘んで、引っ張り上げる。  
「ひ……いたい! いたいよすずちゃん!」  
 大きく、重い乳房を支えるには、彼女の乳首は少し小さすぎるようだ。だが私は構わず、容  
赦せず、弾けるまで彼女の乳首を引っ張る。  
 やがて、それは汗で滑って。  
 優樹の上で、たぷんと跳ねた。  
「……すず、ちゃん?」  
 聞こえない。わからない。  
 私は唇を舐めて、唾液で濡らして光らせた。  
 そうして、ゆっくりと、彼女の乳首に唇を寄せる。  
「ふあ! あ、あ!」  
 唇で、噛んでみた。  
 舌先で、つついてみた。  
 口いっぱいに彼女のおっぱいを吸い上げて、舌で嬲った。  
 私がそうする度に、優樹の足がぱたぱたと暴れる。  
 私は、存分に優樹の乳首に吸い付きつつも、余った手で、もう片方の乳首をも摘んだ。  
「くっ……ふぅ!」  
 親指と人差し指で、ころころと転がしてみる。  
「な、なんかヘン、だよ……なんか、きちゃ……ダメぇ……」  
 激しく。もっと。強く。  
 私がそうしてテンションを上げていくと、ある変化に気がついた。  
 口に含んでいるそれと、指でつまんでいるそれ。  
 両方が固く、しこっている。  
 やわらかいカタマリのかで、そこだけがやけに固くて、熱い。  
「やめようよ……なんか、こわいよ……」  
 ふっと、私は行為を止めて、顔を上げた。  
 優樹の顔を、間近で、正面から見つめる。  
「すずちゃん。お願い……」  
 優樹は。  
 涙目で、眉をハの字に曲げて、唇をぷるぷると震わせていた。  
 そして、なにより。  
「あ、あ! ダメぇ!」  
 赤くなって、恥ずかしがって、とろんと濡れた瞳が。  
 もう我慢できないくらい、かわいかった。  
 私は両手で優樹の乳首を摘み、真ん中へ引き寄せた。  
 二つの突起をくっつけて。  
 その両方を、一気に口に含んだ。  
「やあ! すずちゃん、すずちゃん!」  
 唇で、舌で、存分にかわいがってあげる。  
 私の頭が、優樹のおっぱいに沈んで、息が詰まりそうになる。  
 そんな私の頭を、優樹の両手が抱え込んだ。  
「なんか、なんか怖いよ! すずちゃん! なんか、来ちゃうよぉ!」  
 あたたかい手と、やわらかいおっぱい。  
 フラッシュバック。  
 私はその瞬間、確かにあの頃に戻っていた。  
 だから、あの頃していた行動を、もう一度優樹にもしてあげた。  
 
「はあ……あ、あ!」  
 吸う。  
 吸う、吸う、吸う。  
 吸う。  
「んなああ!」  
 あの頃感じたような、甘い味はしなかったけれど。  
 代わりに、がくんと落ちるような感覚と、優樹が一際強く私を抱きしめ、びくんと震える気配がして。  
「……はう、はあ」  
 気がつくと私は、体全体の力が抜けてしまった優樹に、馬乗りになっていた。  
 
「もう! もう!」  
 優樹が、仕切に体を擦り、泡を立てている。  
「ちょっと、って言ったじゃん! なんで止めてくれなかったの!」  
 水風呂に浸かる私に、非難の目を向けている。  
「……だから、ごめんって」  
 私はもう、ただただ頭を下げるしかない。  
 どうかしていた。  
 自ら研究家を名乗りながら、対象物に飲み込まれては世話がない。情熱は確かに必要だが、  
冷静な部分もどこかに残していなければ研究家失格だ。  
「なんか、すずちゃん別人みたいだったし。私、すごく怖かったんだよ?」  
 特に、私が舐めつくした乳首を入念に洗いながら、優樹はぼやいた。  
「……返す言葉もございません」  
 へこんだ。  
 優樹は美巨乳の持ち主である以前に、私の親友だ。私は彼女が好きだし、その友情を壊して  
まで研究をしたいとは思わない。  
「だいたい、最中に『やだ、やだ』って自分で言ってたでしょ。やならやめればいいのに……」  
「あ、それは、違くて」  
 私は片手を突き出して、優樹を制した。  
「その、ユッキーのおっぱいが、私以外の人に触られるのは、やだなって、そう思っただけな  
の」  
「え?」  
「独占欲だよ。最悪。ユッキーは親友なのに、対等なのに、それを私は所有物みたく……」  
 言いながら、自己嫌悪に苛まれる。  
 モノじゃない。  
 人をモノ扱いしてはいけない。  
 優樹は、優樹のモノなのだから。  
「……本当、ごめん。もう、こんなことはしないよ」  
 深く、深く頭を下げた。  
 土下座にも近かった。  
「…………」  
 優樹の視線が、そんな私に突き刺さる。  
 そして。  
「わっ、ちべた!」  
 不意に、シャワーの冷水が私にふりかかった。  
「……べ、別に、もうしないでとまでは言ってないから!」  
 私の顔にシャワーを向けたまま、優樹が続ける。  
「すずちゃんは、これからも研究を続けたいんでしょ? だったら、いつでも……とまでは無  
理だけど、たまになら私も協力してあげるから!」  
「ユッキー?」  
「だから、ね? もう仲直り!」  
 シャワーを止めて、優樹が私に人差し指を突き出した。  
「……うん」  
 私も人差し指を突き出して、優樹のそれと突き合わせる。  
 宇宙人の映画を二人で見てから恒例になっている、仲直りのおまじないだ。  
「ほどほどにね。すずちゃん」  
「心得た。我が同朋」  
 そうして私達は互いに目を細めて、静かに笑い合ったのだ。  
 

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