脚を持ち上げられて拷問器具に逆さ吊り、ぱっくり開いた紅い肉の割れ目、ツンと勃つクリトリス。  
 捕らえられた女は拘束される瞬間すら平静を保って、男が鋭利な小型ナイフを取り出した時にも  
それを冷たく見据えていたが、慣れた手つきで秘所を守る毛を剃られだした瞬間、心の奥底で何かが  
ごりっと疼いた。  
 それが何なのか考え込んでいる内に、器用に剃り上げられてしまい、ぷっくりとした恥部があらわになる。  
 女は突然少女になってしまったような羞恥に身悶えしそうになるが、これが拷問だということを思い出して  
かろうじて堪える。  
 「スパイ稼業など今どき流行らんだろうに。さっさと依頼人の名前など吐いてしまえ」  
 セオリー通りに黙秘を決め込む女に、拷問係りの男はため息をつく。  
 「いかんなぁ、こんなうら若い女性がドス黒い世界に首つっこんじまって」  
 世間話のような口調で男は話しかけながら、どこにも隠れようのないクリトリスをじっと観察する。  
 刺すような視線が集中するのを感じ、必死で女は羞恥が表情に出るのを抑えるが、徐々に身体の  
異変に気づいていった。  
 縛られている両脚を閉じ合わせるかのように無意識に身じろぎしてしまい、あわてて理性で抑え込む。  
 じわじわと熱く昂ぶっていく身体の芯が、ある一点への刺激だけを女に要求してくる。  
 「うちで扱ってる媚薬でね。剃る時にローション代わりに使わせてもらったよ。遅効性だから効果は長いよ」  
 男はクリトリス以外の性器には媚薬がつかないよう苦労したんだ、とは、女に告げなかった。  
   
 さわられもせずひたすら男にクリを視姦され、強くなっていく媚薬の猛りに女はついに泣き喚き、髪を  
振り乱しながら懇願した。  
 「いい加減にしてよ、さわって、さわってよぉ! もうおかしくなりそうなの、ねぇ、逝かせてよぉ…  
 めちゃくちゃに捏ねまわして逝かせてくれたら喋るから、ねぇ、ねぇってばぁ!」  
 「ああ、なかなかいい声で鳴くな」  
 男は顔を近くに寄せて唇がクリトリスに触れんばかりの距離までくる。  
 女はじくじく疼く肉芽の芯を男の舌でねぶり上げられるのを興奮した目で待つ。  
 「まだ駄目だな。もう少しお預けだ」  
 低く響く男の声がクリトリスを震わせただけで、焦らされ続けた女の身体はあっけなく軽い絶頂に達する。  
 しかしそんなものでは物足りない。  
 「うくぅっいやっちゃんと逝かせてぇ!」  
 「嘘をつくな、逝っただろう。こことここの穴が教えてくれるからな」  
 愛液があふれ出るそこに指が肉を掻きわけ入ってくる。  
 「ちがっクリがいいのっクリにさわってぇぇええ」  
 「一回逝けば十分だろ? 俺はこっちに興味があるんだよ」  
 この男の言葉こそ嘘だったが女にはわからない。  
 媚薬はクリトリスの表面から浸透し、奥の奥まで伸びる根っこのようなところまで作用し熱を帯びさせ  
狂おしい快楽を要求する。  
 女の乱れようとクリの充血具合が、まだ男の期待値まできていない、それを指して「お預け」と言った  
男の意図はこの女には当然わからず、駄々をこねるように泣き続ける。  
 「そこ違うのクリなのっクリにいっぱいしてよぉっクリじゃないと逝けないの!!」  
 「お前は勘違いしてないか、自分がスパイだってことも忘れたのか?」  
 「しゃべるって言ってるじゃない! 逝かせてくれたらしゃべるってさっきから……!」  
 「言わなくても構わんのさ。これは俺の趣味みたいなもんだ。もう少しつきあってくれよ、お嬢さん……」  
 男の瞳に尋常でない嗜虐の色が揺らめき、女はぞくりと背を震わせる。  
 恐怖心よりも劣情をかきたてられ、いまださわられないままのクリトリスがさらにビクビクと疼く。  
 「おねがいおねがいクリがいいのっ……さわって………!」  
 女は自分がゆっくりと堕ちていくのがわかる。  
 あと少ししたら目の前でにやつくこの男の玩具になって喜ぶのだろう。  
 ぬめる指でクリをしごきぬかれ、尖らせた舌で舐めまわされ、男の吐く息すらも貪欲に快楽の糧にする。  
 「……ああっ………」  
 己の妄想に脳が焼かれ、ねじれた深い吐息をはいて女はまた勝手に逝った。  
 
 「これが惚れた相手なら、道具など使わないのが俺の主義なんだが……お前さんはなぁ……」  
 女の焦点の定まらぬ瞳をのぞきこみ、男は哀れみの視線を注ぐ。  
 「仕事だからな……俺が疲れないやり方でさせてもらうよ」  
 油断ない動作で女を見据えながら、仕事道具を手元に寄せる。  
 その中から軸の細い筆を選び、毛先の具合を確かめるように何度も指でなでる。  
 「極上の筆だよ。俺は道具には凝る方でね」  
 白く整った毛先が男の指に弾かれる様を、女は羨ましそうに目で追う。  
 「こう、ね……弾力が違うんだよ。ほら……なでるだけでわかる」  
 女は歯噛みし、男の指が触れる筆に嫉妬するが、頭がおかしい証拠だ、口には出来ない。  
 「いきなり逝かすのも味気ない、どうするかな」  
 剃ったばかりで生々しい白さの肌が、充血した秘所の紅さを際立たせている。  
 その真ん中にぽつんと勃ちあがって身を震わすクリトリスが、男の目にたいそう眩しい。  
 いっそのことひねり潰して絶叫をあげさせたくなる。  
 だがそれはいつでも出来ること。  
 筆の先に息をふきかけ湿らせて、クリトリスを覆う皮のごく先端にすっと触れさせる。  
 小さくも鋭い刺激が女を仰け反らせ、恥ずかしげのない喘ぎを簡単にあげさせた。  
 「うごかしてっそれうごかしてぇぇっ」  
 がちゃんがちゃんと手錠を鳴らし暴れだす女にも男は慣れたように取り合わず、絶妙な力加減のまま  
じっとそこから筆を動かさずにいた。  
 女がぶるぶる腰を震わせ出したのを見て取ると、何の感慨もなく筆先をクリトリスからはずしてしまう。  
 来るはずだった絶頂に無惨に逃げられ、いやぁ、と泣きながら小声で女は繰り返し続ける。  
 男の表情には何も浮かばず、女の怨嗟など聞こえていないようにしか見えない。  
 視線の先にある恥部では、女の汗と愛液がとうとう媚薬と混ざり合ってしまい、膣へ、尿道へ、肛門へと、  
容赦なく侵入していく。  
 「あ〜あ……」  
 男が呟いた意味にも気づけない女は、ただひたすらクリトリスへの愛撫を要求していた。  
 「いいのかい? それで」  
 「はやくいじって逝かせてよぉっクリいっぱいいじって!」  
 シュッと男が筆の先をクリトリスの周りに走らせると、腰をよじらせ女は身悶えして応えた。  
 「焦らしちゃだめっはやく、はやくちゃんと弄ってぇ」  
 男は呆れたように溜め息をついたが、思い直して毛先を女のぬめりでたっぷり濡らすと、固く尖ったクリトリスを  
根元からぐっとひとなでし、間髪いれず皮をかぶらせたまま上下左右に軽快にすべらせていった。  
 溢れる粘液を絡みつかせながら濡れそぼる筆がクリトリスをなでまわす。  
 獣の舌を思わせる滑らかな動きがクリトリスをなぶり震わせ追い詰めていく。  
 限界まで膨らんだ肉芽は皮から自らはみだし、男をさらなる暴挙へと誘う。  
 筆で押さえて皮をのばして広げると、ぷるりと艶めきながら身を晒した。  
 「もったいぶりやがって……」  
 惚けたような独り言が男の口からついて出る。  
 むしゃぶりつきたくなるが辛うじて堪えた。  
 媚薬を舐めるわけにはいかない、それにこれはただの仕事だ。  
 
 愛液と混じり薄まった媚薬を、別の筆ですくいとり、ねっとりとクリトリス全体、皮に隠れていた奥部分にまで  
ぬりこめていく。  
 その間にも女は幾度も快楽の絶頂を与えられ、望みが叶った満ち足りた顔をして喘いでいたが、急に  
違う種類の熱が主張してきたのを感じ、つかの間の偽りの幸福だったということを悟る。  
 「い……いれて………」  
 「なんだ? 聞こえん」  
 「さっきみたいに指いれてぇ!!」  
 男は女の身勝手な叫びを鼻で笑い、  
 「悪いな、本当は俺、こっちが本命なんだよ」  
 熟れたクリトリスだけを筆先で愛でた。  
 「なんでもする……なんでもしますから………おねがい……」  
 女は泣き震え、心の底から男に請うた。  
 「そうだな………耐えろ」  
 絶望の淵で女は身を投げ快楽に酔い、逃れられない悪魔を愛することに決め、目を閉じる。  
 拷問を受け入れ気が緩んだ瞬間、尿道から潮が派手に飛び散った。  
 「おっと、そういうのも対策があるんだよ。待ってな、お嬢さん」  
 クリトリスを筆で滑らかに擦り続けながら、細長い透明な棒を器用に口でくわえ、ごく小さな穴へにゅるにゅると  
差し込んでいった。  
 小振りな突起がついたその細い棒は尿道の中から容赦なくクリトリスをしごきあげ、女の意識を奪っていく。  
 「ひぐっあああああっっぎもちいいいいもっともっともっとぉぉぉ逝くいくぅぅぅぅぅっ」  
 どろどろに溢れかえる潮やら愛液やらが逆さに吊られた女の上半身をべっとりと彩っていき、かすかに混じる  
媚薬も手伝い、どこまでも女を狂わせていく。  
 鼻歌でも歌いだしそうな調子で、男は剥き出しのクリトリスを丹念に筆で捏ね回し、尿道越しにクリトリスの  
付け根をごりごりとしごき続けた。  
 嬌声と悲鳴の区別がつかなくなってきた頃、ピー、と無粋な連絡音が入った。  
 全てを唐突にやめて、男は仲間に応答する。  
 『依頼人の名は吐いたか』  
 「駄目だ、女の割には見上げた根性でね。あと小一時間待ってくれ」  
 『わかった。殺すなよ、お前はいつもやり過ぎる』  
 「ああ、そうだな……」  
 拷問器具に吊られた女を壁際から眺めながら、男は真面目な声で呟いた。  
 「……気をつけるよ」  
 
 
    end.  
 
 
 
 

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