九月の某日、武道家の母を持つ曙蟹太郎(あけぼの・かにたろう)は、世にも珍しい  
光景を目の当たりにする。いや、それは厳密に言うと現象であり、当たり前の生活を  
送っている人間であれば、決して体験する事のない、不思議な出来事であった。  
 
「蟹太郎!蟹太郎!」  
「なんだよ、母ちゃん」  
玄関で母が自分を呼んでいる・・・と、気づく蟹太郎。彼は、今年十五歳になったばかり  
だが、どこか老成した感があり、年齢の割には冷めた雰囲気を持っている。しかし、母  
親のセツナに呼ばれ、玄関に出向いた時ばかりは、勝手が違った。  
 
「なんじゃあ、こりゃああああああああああああああああああああああああああああッ!」  
太陽にほえるべき!という感じで、蟹太郎は叫んだ。何故ならば、玄関には自分と同じ  
年頃の少女が、半裸姿で立っていたからである。その上、  
「驚かないで!あたしよ、母さんよ!服を破られて・・・裸で帰ってきたの」  
と、自分を指差してのたまっているではないか。セツナは今年、四十歳を迎える熟女で  
ある。どう考えたって、目の前にいる少女が自分の母親であるはずが無い・・・と、蟹太郎  
は不審に思った。しかし、少女は凄まじい剣幕で、言葉を繋ぐ。  
 
「胸に傷が七つある男に、秘孔を突かれたの!若返りの秘孔を!」  
「な、なんだって?」  
少女はそう言ってよろめき、蟹太郎の胸に縋った。ぽよんと柔らかい胸と、少女の甘い  
体臭が、思春期真っ盛りにある少年の心を揺さぶる。  
 
「ちょ、ちょっと離れて!」  
少女の肩を押し、あらためて顔を見る蟹太郎。あどけなさが残る表情を見ると、確かに母、  
セツナの面影がある。しかし、秘孔を突かれて若返っちゃった、などと言われても、はい、  
そうですかとは答えられない。すると、  
「あなたね!少々、若返ったくらいで、生んで貰った母親の事が分からないの?いいから、  
服を持ってきなさーい!」  
「は、はいいッ!」  
少女に雷を落とされ、蟹太郎はようやくこれが若返った母親である事を、確信したのであった。  
 
「油断したわ・・・」  
ぎりりと歯噛みしながら、セツナは事の次第を語り出す。  
「連載が終わってもまだ、さまよっているのね・・・そう言えば、俺の死に場所は荒野しか  
ないって言ってたっけ・・・」  
セツナは買い物へ出た時、たまたま巨馬に乗った男とすれ違い、凄まじい殺気を感じた。  
しかし、自分は武道家ゆえ、男の殺気を削ぐ事が出来ず、問答無用の果し合いを申し込  
んでしまったという。。  
 
「恐ろしい強さよ・・・あいつは、馬からも下りなかったわ」  
実は、セツナは中国拳法の達人である。幼き日々より練功を重ね、今や達人の域にある  
セツナを、男は下馬もせずに倒したらしい。彼女曰く、男の攻撃さえも見えなかった、と。  
「それでね、ココを見てごらん・・・」  
蟹太郎に持ってこさせたチャイナドレスの裾を捲って、太ももをチラリと見せるセツナ。そこ  
には、蚊に食われたような跡が、いくつか残っている。  
 
「ここが秘孔らしいわ・・・その名も、若返っちゃうんだほよよよ〜んの秘孔!」  
セツナはこのセリフを真顔で言い放つ。勿論、蟹太郎は笑いをこらえるのに必死だ。  
 
「母さんね、気がついたらパンツいっちょうで道端に倒れてたわ。服は男のオーラをまともに  
受けて霧散したみたい。それで、体のダメージを調べ始めたら・・・」  
「若返っていた・・・と」  
「そうなの、とほほ・・・」  
母親のむっちりとした悩ましい太ももを見ながら、蟹太郎は話の整理に努める。秘孔を突か  
れて若返る・・・果たして、そんな事がありうるのか、と。  
 
「それでどうするの?母さん」  
「あの男を捜すわ。そして、再戦を申し込むつもりよ」  
セツナの目がリベンジに燃えている。しかし、蟹太郎にとってみれば、母親が若返った事は  
歓迎すべき事なので、心の中でひっそりと胸に七つの傷を持つ男が、この街からいなくなって  
いることを願った。  
 
「父さんが出張中で助かったわ。もし、こんな姿見られたら困っちゃう」  
「そうだね」  
チャイナドレスにエプロンという萌え姿のセツナが、夕餉の準備をしていた。それを、  
蟹太郎は背後に回って眺めている。  
 
(若返るにもほどがあるな・・・)  
セツナのヒップは肉付きが良く、素晴らしいラインを誇っていた。若返る前でさえ、世の  
男どもを惑わすような、官能的な熟尻を持っていたセツナが、少女の姿に帰っている。  
(可愛かったんだなあ、若いころの母さん)  
蟹太郎は、若返った自分の母親が見せる色香に、すっかりと当てられていた。いつしか、  
呼びかけも母ちゃんから母さんに変化している。  
 
「蟹太郎、お皿出して」  
「うん」  
食器棚から皿を出すように促され、立ち上がる蟹太郎。この時、シンクの前に立っていた  
セツナのヒップを、蟹太郎の下半身が掠めた。すると・・・  
「きゃッ!」  
息子が背後を通り抜け、僅かに下半身が触れた──ただ、それだけのことでセツナはぽ  
うっと頬を染め、生娘のような声を上げてしまう。  
 
「何だよ、変な声を出して」  
「ごめーん。若返って、お尻が敏感になってるみたい」  
ふふっと目元を歪めても、若返る前のような皺が出来なかった。それが、蟹太郎には不満  
であり、また嬉しくもある。今のセツナは、母であっても少女なのだ。しかも、美しく悩ましい  
ときている。そう言った物事が複雑に絡み合い、息子の心を弄んでいる。  
 
「メキメキ食べるのよ、蟹太郎。育ち盛りなんだから」  
「母さんもね」  
「そういえば、そうね。何せ、若返っちゃったから」  
母子の夕餉の時が、穏やかに流れていく。もっとも事情を知らない他人が見れば、その様子  
は若夫婦が睦まじく食事を摂っているようにしか、見えないかもしれないが。  
 
「しかし、母さんがその男を見つけ出したとして、果たしてリベンジは成るものか・・・」  
その日の夜更け、蟹太郎は寝床に入った後も中々眠れず、悶々としていた。目を閉じて  
眠ろうとしても、復讐を誓ったセツナの事が気になって仕方が無いのである。  
 
「もし、負けたら今度こそ・・・」  
男は下馬もせずに、セツナを倒した剛の者。たとえ、首尾よく果し合いに事を運んでも、  
勝つことはおろか、無事でいられるかどうかも分からない。蟹太郎の脳裏に不安が過ぎる。  
「やばいよなあ・・・」  
そう言って、何度目かの寝返りを打った時、蟹太郎は自室の扉がそっと開いた事に気が  
ついた。そして、今まで聞いた事も無いような、か細い不安そうなセツナの声が聞こえてくる。  
 
「蟹太郎・・・起きてる?」  
廊下の明かりで逆光となったセツナのシルエットが、蟹太郎の視界に入ってきた。薄手の  
寝巻きを羽織っているのか、体の端に下着のラインが透けて見えている。  
 
「起きてるよ。どうしたんだい?母さん」  
「ちょっと、眠れなくて・・・一緒に寝てもいい?」  
「うん。今、場所を空けるから」  
「ありがとう」  
母と床を共にするなど、数年ぶり──と、この時の蟹太郎に、別段不自然な所は無かった。  
もともとが甘えっ子で、子供のころはいつも同じ部屋で寝起きをしていた仲なのである。故に、  
同衾する事に依存は無い・・・筈だったのだが。  
 
「もうちょっとつめて」  
と、布団に入ってくる母、セツナの肢体は若返っていた。面影は残っているが、同じ年頃の  
異性となった彼女が、無防備に体を寄せてくる。この事は、蟹太郎にとっては慮外であった。  
「あんまりくっつかないで、母さん・・・」  
「でも、くっつかないと、母さん布団からお尻が出ちゃうわ。ホラ、足をそっちへ・・・」  
蟹太郎の布団は一人用で、二人で寝るにはいささか手狭である。だが、セツナはお構い無し  
に潜り込んできた。その上、自身が布団からはみ出ぬように、しかと蟹太郎の体に足を絡め  
ながら、しがみついている。  
 
「よもや、十五歳になった蟹太郎と、一緒に寝られるとは思いもよらなかったわ。あなた、  
高校に入ってから、母さんの事を避けるようになったし」  
「そうかなあ・・・」  
セツナの両腕が、蟹太郎の体をしっかりと抱いている。そして、絡めた足は素足だった。  
どうやら彼女は、寝巻きの上だけを羽織って、下半身は無防備な姿らしい。  
 
「彼女でも出来たのかしら?」  
「ううん。そんな事、微塵もないよ」  
「ふふッ・・・それを聞いて、何だか嬉しいような寂しいような、複雑な気分になったわ」  
蟹太郎の項に、ねっとりと纏わりつくセツナの吐息。囁く様に、また語りかけるように紡がれ  
る母子の会話は、明かりを落とした薄暗い部屋の中で、淫靡にこだまする。  
 
「あッ!母さん、何を・・・」  
「黙って・・・」  
布団の中で、セツナの腕が悪戯を仕掛けていた。彼女は手首をしなやかにくねらせ、蟹太  
郎の股間を易々と手繰っている。そして──  
 
「若返ってて、敏感になってるの・・・体が火照って仕方がないのよ」  
「でも、親子だよ・・・俺たち」  
「お布団の中の事は・・・誰にも分からないわ・・・」  
セツナの誘いに、蟹太郎は思わず竦んでしまった。若返った美しい少女が、淫らなきらめき  
を求めている。それも、母子という血の繋がりを越えてしまおうと言っているのだ。  
 
「母さんのも触ればいいわ」  
セツナは、積極的に蟹太郎を性のとば口へいざなおうと、目を蕩けさせながら息子の手を  
取り、火照って仕方が無いという場所へ招いた。  
「あ、温かい・・・っていうか、熱い」  
蟹太郎は抗う術を持たず、ただ乞われるがままにセツナの割れ目へ触れている。二本揃え  
た指先には生肉の感触が伝わり、そこがつるりと滑らかな膨らみである事を知った。  
 
「毛が生えてないね、母さんのココ」  
「うふふ・・・恥ずかしながら、母さんのココに毛が生えてきたのは、高校生になってから  
なの・・・もっとも、胸は大きかったけど」  
無毛の丘を息子に知られたセツナは、それを恥ずかしがると言うよりは、愉しんでいる。  
そして、蟹太郎の指を内股で挟み込み、淫らな遊びをねだるように腰を振った。  
 
「指を入れてみて。蟹太郎」  
「う、うん」  
手探りで割れ目を裂き、指を入れる蟹太郎。人差し指と中指をうまく使い、セツナの恥肉  
をゆっくりと掻き乱していく。陰裂の上部にある肉真珠は包皮から顔を出し、女穴からは  
ねばつく愛蜜が垂れていた。それらを、蟹太郎は指先に神経を集中させ、堪能する。  
 
「あはっ・・・恥ずかしいわ」  
そう言って、膣口を絞るセツナ。言いながら掛け布団を蹴り、足をぱっくりと開いてもいる。  
息子の指使いが嬉しくて仕方が無い──そんな淫蕩な表情を見せていた。  
 
「くちゅくちゅ言ってるね、ココ」  
「蟹太郎の指が良くしてくれてるからよ。ああ、母さん気持ち良くなってきちゃった・・・」  
規則正しい抽送を繰り返す指の動きに合わせ、セツナは腰を使い、貪欲に愛を求めていく。  
そして蟹太郎も、若返った母の乳房に喰らいつき、乳を授かった昔日を思い出すかのごとく  
激しく吸いつけた。  
 
「ああッ!」  
乾いた布団の上で身を捩じらせるセツナ。乳房に喰らいつかれ、乳首を口に含まれた事で  
軽く気をやっていた。もう、こうなれば母子とも後には引けない。  
「これをちょうだい、蟹太郎・・・母さんをそれで楽しくさせて・・・」  
身を寄せている我が子の股間へ手を伸ばし、男をくれとねだる少女母、セツナ。無論、蟹太  
郎の男根はすでに強張り、女を犯す事に何の躊躇も見せてはいなかった。  
 
「どうすればいいの?」  
「おちんちんに手を当てて、そっぽを向かないようにしなさい。後は、割れ目を上から  
伝って、小さく窪んでる所を見つければいいわ・・・」  
セツナの手ほどきによって、蟹太郎の男根はついに女穴の入り口へ到達した。もう、  
腰を少し押し出せば、二人は一つになってしまう。  
 
「腰だけを前に出すのよ。母さんの体にしがみつきながらやれば、うまくいくわ」  
「うん・・・ああ・・入っていく・・母さんの中に」  
「ふうんッ・・・ああ、入ってきたァ・・・」  
つがいになる瞬間は、二人とも目を閉じていた。そして、互いに結合部に神経を集中さ  
せて、忌まわしくも素晴らしい時に感嘆の声を漏らす。  
 
「ウ、ウウッ!か、母さん・・」  
「いやあ・・・蟹太郎ッ・・・」  
ぬれそぼった女穴に息子の分身を迎え入れた時、セツナは今までに無い快楽を得た。  
それは、夫や他の異性とでは決して味わえない、禁断の果実を食したような体験──  
「す、凄いわ・・・アア・・・」  
体が若返り、性感が過敏になっているセツナは、ねじ込まれている男根の存在に狂喜  
した。何せ、自分が血肉を分け与えてやった息子が、胎内回帰を果たしているのだ。  
これが、喜べない訳が無い。  
 
「蟹太郎・・・もっと、激しく・・・してッ」  
「う、うん」  
若返った女体を愛息子に捧げるという、あり得ない背徳感がたまらない。セツナはそう  
思い、また蟹太郎も同じ年頃の少女母を貪り、危険な情事に酔う。今や二人は母子で  
あり、恋人であり、また、互いの性欲を慰めあう一対の獣でもあった。  
 
「母さん、俺、出ちゃう・・・」  
男根を数回出し入れしただけで、蟹太郎は泣き言を垂れた。とは言っても、彼は今しがた  
女を知ったばかりなので、やむを得ないと言えばやむを得ないのだが。  
「いいのよ、たっぷり出しなさい・・・母さんが、全部受け止めてあげるわ」  
セツナは息子の放精に備え、心持ち腰を浮かしている。射精が始まったら、膣口を締めて  
腰を使い、粘液を搾り取ってやるつもりなのだ。  
 
「ううッ!」  
蟹太郎の慟哭は突然に来た。男根の先がぷくりと膨れたかと思うと、次の瞬間にはもう、お  
漏らしをしている。波打つ間も無く、鈴口からは断続的に白濁液がほとばしり、少女母の子宮  
めがけて飛んでいった。  
「ああ───ッ・・・」  
女の一番奥深い場所に、びしゃびしゃと男液が放たれている。しかも、その主は紛う事なき  
我が息子──そして、自分は若返ったとは言え、母・・・と、セツナは目まぐるしく脳内を駆け  
巡る事柄に打ち震え、戦慄いていた。だが、その間にも蟹太郎は凄まじい勢いで、子種を送り  
込んでくる。思わずセツナは、最高──と叫びそうになった。  
 
「母さん、ああ!」  
「かッ、蟹太郎・・・」  
セツナは身をひくつかせ、最後のひとしずくまでも胎内で息子を受け止めようと、膣口をきゅう  
と締め上げた。その感触を、蟹太郎はまるで心身ごと女穴に引きずり込まれそうな錯覚と共に  
得る。もし気を抜けば、我が身はこのまま本当に胎内回帰を果たしてしまうのではないかとすら  
思わされてもいた。それほど、少女母が持つ女穴の吸引力は凄まじい。  
 
「全部出た?うふふ・・・」  
「う、うん」  
頃合を見計らい、セツナが蟹太郎に問う。淫靡ではあるが、優しい母の顔で。  
 
「やだあ・・・あそこがたぷたぷ言ってる。恥ずかしいな」  
男根が抜かれると、セツナの女穴は粘った水音をさせた。無意識に膣穴に力を入れる  
と、蜜壷にたまった男液が逆流して、女の羞恥を誘う。  
 
「妊娠しちゃうかもよ、うふふ・・・そうしたら、どうしよう?ね、蟹太郎」  
「ど、どうしようって言われても」  
「その時は仕方が無いから、二人で育てましょうね」  
いまだ萎えぬ蟹太郎の男根をさすりながら、セツナは微笑んでいた。母子ではあるが、  
若返った今、自分は女として蟹太郎を欲している。幸い亭主は出張中で、滅多に家には  
帰って来ない。それならば、母子は夫婦のように暮らしていけるのではないか──そう  
思っていた。  
 
「まだ元気ね。どう、お口でしてあげようか?」  
「い、いいの?母さん・・・」  
「ふふッ・・・いいのよ」  
天を突かんばかりに反り返った男根を、ぱくりと頬張るセツナ。そして、ゆっくりと頭を上下  
させ、蟹太郎を新たな官能の渦へ引きずり込んでいく。  
「ああ・・・チンポが蕩けそうだ・・・」  
放精を果たしたばかりの男根は敏感になっていたが、鈴口にセツナの舌が当たると、もう  
たまらない。蟹太郎は、これが母の舌である事も忘れ、本能に正直なまま腰をくねらせる。  
 
(若返って良かったわ・・・ああ、蟹太郎のおちんちん、美味しい・・・)  
セツナはそんな事を考えながら、懸命に男根へ奉仕した。こうしてずっと、母子は互いの肌  
を密着させ、闇を越えていったのである。  
 
そして、数日後──  
 
「蟹太郎!蟹太郎!」  
「なんだい、母さん」  
玄関先で、母が自分を呼んでいる。と、この時、蟹太郎はふと、嫌な予感に包まれた。  
そして玄関に向かうと、やはり太陽に吼えなされという感じで、、  
「なんじゃあ、こりゃああああああああああああああああああああああああああああッ!」  
と、叫んでしまう。  
 
「また、やられたわ!今度は、羅刹を名乗る男に破孔を突かれたの!」  
そう言って慌てふためくセツナは、今度はなんと小学生くらいのおちびちゃんになってい  
た。むっちりと脂の乗ったバストやヒップは当然のようにすぼみ、今やそこいらの子供と  
なんら変わる所は無い。  
 
「若返りすぎだ!」  
がくりと肩を落とす蟹太郎。するとセツナは、  
「大丈夫。これでも、ちゃんと蟹太郎を受け止めてあげられるから。実はさっき、魚屋の  
おじさんとしっぽり・・・」  
と言って、ぽっと頬を染めた。  
 
「なに?今、なんて言った?」  
蟹太郎が問うと、セツナはしまった!というような顔をした。思わず口にした魚屋の・・・と  
いう一節が、怪しい疑惑を生んでいる。  
「まさか、母さん・・・浮気とかしてたのか?」  
ずずっと少女・・・否、幼女母に詰め寄る蟹太郎。しかし、セツナは唇を尖らせ、口笛なんか  
を吹いて誤魔化そうとする。そして──  
 
「少しだけよ」  
ぷいっと背を向けて、幼女母は蟹太郎の疑惑を肯定した。  
 
「母さん!」  
「大人には大人の事情があるのよ!」  
「今はどう見たって、子供じゃないか!」  
「魚屋のおじさんは、こういうのが好みなのよ!肉屋さんと違って・・・あッ!しまった!」  
鬼気迫る遣り取りの勢いに余って、セツナはまたもや罪を暴露してしまう。もちろん、蟹  
太郎は激昂した。  
 
「母さん!いったい、何人と浮気してるんだ?」  
「・・・魚屋さんと肉屋さん・・・それと、商店街の端にあるカラオケボックスの店員のお兄さ  
ん・・・えへへ、彼、若返った母さんにセーラー服を着せてね、三回も・・・」  
「具体的な話はいいよ!」  
蟹太郎が問い詰めると、セツナは大して悪びれもせず、すらすらと答えていく。聞いての  
通り、反省の色などはまるで無い。  
 
「なんて母親だ!若返った途端、オプショナルなプレイに耽溺して!」  
「その母親に、中出ししたのは誰?おちんちんしゃぶって貰って、夢見心地だったのは、  
いったい誰なんです?はん!」  
「そッ、それは・・・」  
セツナに開き直られて、言葉を失う蟹太郎。こういった修羅場では、たいていうぶな男の方  
が負けるのである。  
 
「話は終わりよ。さーて、ランドセルはどこにあったかな・・・」  
家の中に上がり、物置を物色するセツナ。しかし、蟹太郎は呆然と幼女母の姿を見ている  
だけだ。  
「あった、あった」  
どういう経緯で持っているのかは不明だが、セツナは区指定のスモッグと黄色い通学帽、  
それに赤いランドセルを引っ張り出してきた。しかも、それらを着慣れた感じで身にまとい、  
手早くお出かけ支度を済ませる。  
 
「♪魚屋のおっさんが、へをこいた、ブリ・・・」  
昭和テイスト漂う歌を口ずさみながら、セツナは蟹太郎の前を横切り、家を出ようとした。  
歌が暗示しているように、彼女は先ほど口走った危険な性癖を持つ魚屋の元へ、行くつ  
もりらしい。どう見ても小O生としか思えない装いは、新たな趣向のために仕立てたので  
あろうか。  
 
「母さん!行かないで!」  
蟹太郎は情けなくも、目に涙をいっぱい浮かべて哀願した。するとセツナは、  
「夜にはお相手してあげるわ。それまで待ってなさい、ボウヤ。チュッ」  
と、投げキッスをひとつくれて、玄関のドアを駆け抜けていった。そして、蟹太郎は・・・  
 
「助けてー!ジュウOイさまー!リュウOンさまでもいいからー!」  
と、狂ったように叫ぶのであったとさ。  
 
おわり  
 
 

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