真夜中。私は目を覚まして飛び起きた。全身にぐっしょり嫌な汗をかいている。体が妙に熱くて頭はぼんやりする。
「はぁはぁ、はぁ……」
荒い息を整えて時計を見ると午前4時過ぎ。ユウくんが向かえに来るまであと三時間もない。
今日もまた2年前のあの日の事を夢に見た。
あの夢を見た後はいつもこんな風に体が熱くなっている。
股間がむずむずしてしょうがなかった。そっと手を当てて確かめてみると、パジャマのズボンはなんともなかったのに、ショーツはしっとり湿っている。
「くぅ、んっ」
ぼうっとした頭でそこを探っている内に敏感な部分を擦ってしまった。途端に下半身にじぃん、と痺れが広がる。
私は無意識に指を動かしてい快感を貪っていた。くちゅくちゅと水音を立てて私の膣内を私の指が弄る。
「んっ、はぁん、やっ、こんなの、ダメなのにぃ……止めなきゃ……んんっ、ダメっ、止まんないよお……」
割れ目から溢れるおツユがショーツをぐしょぐしょにする。
遂には両手を使ってクリと中、両方を責め立てしまう。
「ふあぁぁぁぁっ!もっ、もう、イクっ!んあぁぁぁぁ!」
イッてしまった……。余韻から覚めると激しい自己嫌悪が襲ってきた。
あの日の事を夢に見て、アソコを濡らして、しかもオナニーまでしてしまうなんて……。
私はノロノロと服を脱ぎ始めた。後二時間くらいでユウくんがくる。こんな濡れたショーツをはいているなんて知られたら、恥ずかしくて死んじゃう。
しかし両足が不自由な私は、ショーツを変えるだけの行為に30分もかけてしまった。
疲れてベッドに倒れ込むとすぐに眠気が襲ってくる。
脱ぎ捨てたショーツをベッドの下に隠し(乾いたら適当に洗濯物に入れる気だった)、私はそのまま眠りに落ちた。
でも私の身体はまだ収まってなかったようで、起きたら代えたショーツにもシミが出来ていた。しかもそれをユウくんに見られるという最悪のおまけ付きで。
あの日、私を絶望に叩きこんだ事件から2年。
両足の自由を失った私が今日まで生きてきたのは隣家の幼なじみの勇人くんのおかげに他ならない。
ユウくんはこうなった私を見た時、この世の終わりみたいに嘆いていたらしい。
でもそれからユウくんは私の世話を積極的にやり始めた。
母子家庭で勤めに出なくてはならなかったお母さんはとても喜んでいた。もちろん私だって、最初は恥ずかしかったけど、昔から大好きだったユウくんといつも一緒にいられるようになってとても嬉しかった。
実際、私たち親子はユウくんに救われたようなものだ。でも、だからこそユウくんに対して申し訳ない気持ちで一杯になる。
ユウくんはいつも茶化すように「気にすんな」って笑うけど、どうしてユウくんがそこまでしてくれるのかわからない。
ユウくんが優しいから?私の事を放っておけなくて?確かにそれもあるんだろうけど、私はユウくんから義務感のようなものを感じるのだ。
どうして?私がこうなった事にユウくんには責任なんか無いはずなのに……。
その日もいつもと一緒だった。朝、ユウくんに起こされてユウくんと学校に行きユウくんと一緒に過ごす。
私が謝りユウくんが謝るなと怒る。それはわたしたちの日常だった。
でも、お昼休みになって、ご飯を終えた私の耳に聞こえてきたあの会話……。
「ほら、あの女だよ…」
「あー、例の車椅子女」
「あの五人にマワされたってヤツ?」
ダメだ、と思った時にはもう遅かった。一瞬で頭が真っ白になり、「あの時」の光景が脳裏に蘇る。
奪われる唇。揉みしだかれる乳房。突き出される肉棒に割れ目に押し入ってくる舌。
荒々しく蹂躙されていく私の身体。でも私は次第に歓んで――
「嫌!ごめんなさい!止めてぇ!」
気付けば私は涙を流し、半狂乱で頭を抱えこんでいた。肩は震え、口は勝手に言葉を紡ぐ。
怖い。怖くて堪らない。
そんな私に救いの声が投げ掛けられた。
「……ぃ、ちぃ!大丈夫だ、ちぃ!」
ユウくんの声。それが意識をゆっくりと落ち着かせる。そうだ、あれは過去の事なんだ。そう認識する事で私は現実に引き戻されていく。
でも、気が付いた時にはユウくんの姿は無かった。クラスメイトの希美に連れられ教室に戻る所だった。
「ユウくんは……?」
「さぁ?なんか用事あるみたいな事言ってたけど」
希美に聞いても不思議そうに答えるばかり。
私はため息をつくと、下腹部に目を向けた。身体の奥底が熱くじゅんと潤んでいる。たったあれだけで浅ましい肉体は反応してしまっている。
辛くて苦しくて、きっとユウくんの顔を見れば安心できるのに……。私は必死にユウくんのいない不安と身体の疼きに耐えていた。
教室に戻っても浮かない顔の私に希美は優しく声をかけてくれる。
「千佳、その……元気出してよ。勇人くんがいなくて不安なのはわかるけど……」
「うん、ありがとう……」
だけど答える声も上の空。希美には悪いけどやはり気になってしまうのだ。
でもそんな私をさらに追い詰めたのは他ならないユウくんだった。
ようやく戻って来たユウくんは隣に私じゃない女の子を連れていた。
途端、私の心が凍り付く。
クラス委員長の三沢さん。とても美人で私と違って明るくて。お手本のような魅力的な女の子。
ユウくんは背も高いし頭も良いし、私のひいき目を抜いても間違いなくカッコ良い部類の男の子だ。
だから二人が並んでいるのはすごく絵になった。そしてそれはとても私を不安にさせた。
ユウくんが三沢さんの肩を抱き、彼女は頬を赤らめ、やがて二人はゆっくり顔を近付けて――。
そんな光景が浮かんできて私はぶんぶん頭を振る
でも元から不安定だった私の心はもう完全にぐちゃぐちゃになっていた。
さっきの無遠慮な言葉と今見た光景、蘇る「あの日」の事への恐怖心と三沢さんへの醜い嫉妬心、そして抑えきれない身体の火照り。それらがない交ぜになって泣きそうになる。
「ちぃ、大丈夫か?」
ようやく私の傍まで来たユウくんが心配そうに尋ねてきたけど、愛想笑いで応える事しか出来なかった。
その晩、お母さんが帰って来ない家の中で、私はユウくんを求めた。ユウくんはいつも通り少し笑って私にキスをする。
ユウくんの手が私の身体を撫で上げていく。その愛撫はとても優しくて、いつも私を甘く酔わせる。
だけど今日は違った。朝から昂ぶっていた身体とぐちゃぐちゃになった心は一度くらいのエッチでは誤魔化されてくれなかった。
「ユウくん…もう一回」
「ちぃ…?」
昼からずっと抱えていた不安とユウくんがいなくなるかもという喪失感を埋めようと私は知らず口に出して二度目を求めていた。
その浅ましい願いがますますユウくんに悪く思われてしまいそうで、私は子供のように泣きながら言葉を重ねた。
ユウくんはただ一言、「何があった」とだけ聞いてきた。私が昼からずっと不安に思っていた事を伝えるとユウくんは黙って目を閉じる。その姿を見てある事に気付いてしまった。
「私はユウくんがいなくちゃ生きていけないけど、ユウくんはいつでも私を捨てられる。」
それはずっと考えないようにしていた可能性。私はそれが一番怖かった。ユウくんが私の前から消えてしまう事が。
だから言葉が自然と口を衝いて出た。
「置いていかないで…」
なんて自分勝手な言葉だろう。ユウくんに自分を捨てて私に尽くせと言ってるのと同じだ。
私みたいなのは生きてたって迷惑なのに、恥知らずにもユウくんと生きていきたいと願っている。
けれどユウくんはただそっと私の頭を抱きしめる。そして優しく耳元で囁いた。
「大丈夫、嫌いになんかならない。何処にも行かないよ。ずっとちぃの傍にいるよ…」
その言葉には不安も恐怖もなにもかも全てを吹き飛ばすような不思議な力があった。
そう、ユウくんが傍にいてくれる。これ以上何を望むのか。
ユウくんが私の唇を塞ぐ。頭にピンクのもやがかかったように思考が停まり、私はゆっくりと二度目の行為に溺れていった。
そんな幸せな気分で眠りについたのに、悪夢はその日もきっちりと、まるで義務のように私の元を訪れた。
「んぶっ、んふぅ、ちゅぶ、はぁ、も、もうひやぁ、ひゃめへぇ」
「おっ、いいな。初めてにしちゃうめーじゃん、千佳ちゃん」
夢。これは二年前の夢。
私は学校帰りの制服姿のまま、手足を縛られ知らない男の人のペニスをくわえさせられていた。
周りには4人の男の人がニヤニヤして立っている。
「うっ、もう、出すぞ!」
「んんっ!?んはぁっ!……うぐ、げほっげほっ!」
口の中に苦くて生臭いものが出され、たまらず吐き出してしまう。
白くてドロドロしたものが制服を汚すのを私はぼーっと見ていた。
(これが、男の人の、せーし……。私、こんなの口に出されて……)
「ほらほら休んでるヒマないよ」
「んじゃ、俺はコッチ」
「ひっ!?いやぁ!」
いつの間にか、制服の下に手を入れられ胸をまさぐられていた。更に別の一人がスカートの中に顔を突っ込み下着の上から股間を舐めてくる。
「へぇ、おとなしそうな顔して結構デカイじゃん」
「こっちはちょっとすえた匂いがすんな。つか千佳ちゃん、ちょっと濡れてね?」
「ひぃっ、やあぁぁぁぁ!やめっ、やめてぇぇぇぇ!」
おっぱいとアソコを無遠慮にいじくられ、恥ずかしくて頭ブンブン振って悲鳴をあげる。でもそれ以上に怖くて身体が縮こまり、私は抵抗も出来ずにいた。
「んな嫌そうな顔すんなよ。乳首ビンビンになってる癖に」
「くふっ、んんっ……ふぁ、あんっ」
(いやだよ……、なんで私がこんな目に……)
私は小さく喘ぎながらそんな事を考えていた。
それでも徐々に嫌悪感が減り、触られている部分が痺れてくる。頬が熱くなってくるのが自分でもわかる。
(気持ちいい……?いや!なに考えてるの、私!?)
必死にその感情を否定しても、甘い声が止まらない。同時に頭がぼーっとして切なくなってきてしまう。
「惚けた顔してんな。良くなってきたか?」
「んじゃもう挿入れちまうか」
「あ、テメ、ずりぃぞ、抜け駆けかよ」
「いーじゃねーかよ。『アイツ』に話つけたのオレだぜ?」
彼らの話すのを聞いて、私はびくりと身体を震わせた。
だけどもう遅かった。濡れた割れ目に固いモノが押し当てられて、今にも突き破らんとしている。
「やだっ!やめてっ!お願い、やめてぇぇぇぇ!いやあああぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
ズン!という衝撃と一緒に下半身が圧迫される。自分のなかにミリミリと押し入る異物感と激痛に私は声も上げられなくなった。
「かはっ、あぐっ、がああぁぁぁぁ……」
「千佳ちゃんの処女、もーらい♪つーかキツいな〜」
(あぁ……やだよ、私の初めて、奪われちゃったよぉ……)
壊れてしまいそうな激痛が何よりそれを実感させる。同時に瞼には一番近しい男の子の笑顔がちらりと映った。
(ユウくん、私処女じゃなくなっちゃった……。ごめんなさい、ユウくんにあげたかったのに……。ユウくん……ユウくん、助けて……)
当然ここにはいないユウくんが私を助けてくれるなんて事は無かった。
「おら、そろそろ動くぞ」
「あ……が、い、痛い、やだ……抜い、てぇ」
男は私の呻き声など耳に入らないように、腰を動かしてくる。
その間にも他の男達は胸やお尻をさわさわと撫でてきた。痛い痛いと喚く私をあやすように刺激を送りこんでくる。
やがて挿入している男が小さく呻く。
「ぐっ、いくぞ。たっぷり出してやる」
「えっ!?いやぁ!やめてぇ!そ、それだけはダメ!許してえぇぇ!!!」
ビュルッ、ビュクッ、ビュッ!
「やあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
お腹の中が大きく動いて熱いものが出されていくのが感じられる
やだよ、赤ちゃんできちゃうよ、と弱々しく呟く。身体はもう糸が切れたように動かない。
「あ、あはは、はは……」
私は心が砕けてしまったかのように空虚な気分で、血と精液が混ざったものを見ていた。
それでも私に休息は与えられなかった。
「んじゃ、次オレな〜」
「や……も、やめ……」
どれくらい時間が経ったのか。
男達は5人とも好き放題に私を犯し、私の身体はどんどん開発されていった。
アナルやフェラも何回もさせられ、もう身体のどこでも気持ちよくなってしまいそうだ。
私の格好はひどいもので制服は上着だけ脱がされ、はだけたワイシャツからはおっぱいが曝されていた。
下着は上下ともどこかに行ってしまっていたし、スカートは大きく捲れて、お尻が丸出しになっている。
今も挿入されている結合部が完全に丸見えだった。
ジュプジュプと音をたてるそこは、既に破瓜の痛みはかけらも無く、出し入れされる度に悦びに震えていた。
「ふぁ、あんっ、ああっ、ふ、太いぃ!くひっ、やぁん、おちんちん、ふ、深くてぇ!ひぃん、激し過ぎますぅ!」
もう恥も外聞もなかった。
私は存分に嬌声をあげ、自分から腰を振っていた。
男達はそんな私に仕上げとばかりに一斉に群がってきた。
「はぁぁっ!?うそっ!?うしろもぉ!?」
まずはおしりの穴が責められた。ほんの少し前の私ならそんな所は他人に見せる事すら嫌がってた。
でも今は前の穴と同じように気持ちよくなる所という認識しかない。排泄機関ということさえ忘れかけていた。
「はひぃんっ!そんな、んあぁっ!はぁっ、に、二本なんてぇ!ひあぁ!す、凄いぃっ!くふっ、んひぃっ!こ、こんなの、あんっ!耐えられないよぉっ!!」
それでも両方の穴を同時に責められたのは初めてだ。
あまりの快楽に頭が真っ白になり、だらしなく涎を垂らしてよがることしかしない。
考えられるのは自分を貫く肉棒の硬さと太さだけ。
だから目の前に3本目が突き出された時、私は何の躊躇いも無くぱくりとくわえこんだ。
「はむ、ちゅぶ、んぶ……ん、はぁ、おひんひん、おいひい……」
「うわ、自分からしゃぶってるぜ、この娘」
「もうすっかりチンポ大好きになっちゃったな〜、千佳ちゃん」
「は、はいぃっ!私っ、おちんちんだいすきですぅ!だからぁ、もっと、もっとくらさいぃっ!」
すぐさま残りの2人のものも差し出される。私は迷いなくそれを手で扱き始めた。
今や私の身体はおちんちんでいっぱいだった。
私は狂喜の声をあげながらひたすら快楽を貪り続ける。
一瞬、誰かの顔が思い浮かんだ気がしたけど、どうでもいい。今はただもっと気持ちよくして欲しかった。
「んはあぁぁっ!す、凄いよぉ!おまんこもおしりも、おくちでするのもいいのぉ!も、もぉ、おかひくなっひゃうぅ!もうひゃめぇ!イク、イクぅ〜〜〜〜〜〜っ!!」
―――――――――――。
真夜中。私は目を覚まして飛び起きた。全身にぐっしょり嫌な汗をかいている。体が熱くて頭はぼんやりする。
「また……」
また、あの夢を見てしまった。しかもついさっきあれだけユウくんに愛してもらったというのに。
あの後、男達は満足して帰っていった。残された私は正気になった途端、自殺を図った。いまもあの時の絶望がありありとよみがえってくる。
「くひぃんっ!」
股に手をやるとお漏らししたかのようにぐちゃぐちゃになっている。
「もう、ヤダよぉ……」
つくづく自分の浅ましさが嫌になる。
あの夢は、恐怖から始まり快楽に溺れ、後には絶望と自己嫌悪しか残さない。
こんな夢をあと何回見るんだろう。私は声を殺して泣き続けた。
ふと時計を見ると午前3時過ぎ。ユウくんが迎えに来るまであと4時間。
「ユウくん……」
普段なら頬を上気させ、下着まで濡らしているような姿を絶対に見せたくない。
けど今は恥ずかしい姿を曝しても無性にユウくんに会いたかった。
私はユウくんの家の方を向き呟いた。
「ユウくん……、早く来て……」
了