俺の友人に秀というやつがいる。  
成績優秀・スポーツ万能・性格もよく顔も並より上。  
完璧超人のようだが、神は変なところでバランスをとった。  
そう、秀は背が低く……さらに前髪後退型若ハゲなのである。  
高校生男子には実に辛い事実。  
多少のやっかみも加わって、禿秀といじられる始末。  
いじめではないぞ。このくらいの年齢の男には、こういうあだ名がつきがちだ。  
俺なんて、エロ外道と呼ばれてる。……お前ら俺の無修正DVDがいらないようだな……。  
 
閑話休題  
 
そんな秀だが、この間俺はびっくりするものを見てしまった。  
あの秀が、なんと女の子と一緒に街を歩いてたのだ!  
しかもオシャレな美少女。背もすらりと高い……秀と同じくらいか?  
そしてその目……どう見ても秀に惚れてた。  
バカヤロウ!お前を信じてたのにっ!裏切ったな?僕の気持ちを裏切ったな?!  
チビでハゲなくせに美人をはべらすって、お前はマフィアのドンか?!  
カッコイイじゃねーか畜生。  
俺は早速写メを撮って、仲間全員に送ったのだった。スクープ(笑)。  
 
 
「あいつはタダの幼なじみだ」  
やけに据わりきった目で秀はそんなことを言った。信じられるかバカヤロウ。  
「違う!本当に違う!あんな性格悪い女、彼女なわけねーだろ!  
 あいつは……昔から、俺のことからかってばかりなんだよっ!  
 塾の時も受験する気はなかったのに、俺に勝つために塾に入って……いつも俺に勝って  
 わざわざ勝利宣言して嘲っていくんだよ!  
 ……なのに親や先生の前じゃいい子ちゃんで……やっと学校が違うと思ったら  
 今度は家事の練習とか言って弁当を作るのは……まあちょっとは嬉しいが……  
 髪が薄いからってひじきをわっさり入れたり、背が低いからって牛乳を1パックつけたり!  
 必ず嫌がらせ、必ず毎日嫌がらせ!何で俺がこんな目に………  
 おい、聞いてんのかお前ら?!」  
「シンジマエ禿秀」  
「何でだっ?!」  
 
まあ、総合して言うと、秀はいい奴で面白くて、神様に愛されたこんちくしょーだってことだ。  
ああ、俺も幼なじみ欲しいーっ!  
 

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