「今日は僕の誕生日なのですが、祝ってくれる人は誰もいません」
ハッピー バース DIE!
「一人寂しくケーキです。乾杯」
おいおい無視か? 死神様だよ〜ほらほら〜。
「あー美味しい。ホールケーキ大人買いです。凄いいっぱいあるよ!」
何こいつ、ひょっとして私の姿が見えないとか? うっわ〜霊感弱っ。どんだけ+の気の持ち主だよ。
「そういえば蝋燭出すのを忘れたな。ま、良いか。三十路なことを再確認してもね」
あ、そうだ。驚かせちゃえ。手始めにスプーン曲げ〜。
「あれ、何で涙が出てくるんだろ」
曲がんねーよ! 何だよちょっと、凄いネガティブオーラに負けてんじゃん私。
「イチゴがしょっぱいよ…何だこれ」
くっ…くぬっ……はぁ…はぁ、…ダメだこいつ…神をも凌駕してやがる!
「食べて忘れよう。僕には食べることしか出来ないんだ…うっ…」
はあ…折角お命頂戴しに来たってのに、どうすんのよこれ。
「……もう無理…紅茶…」
ね〜ね〜、ね〜ってば〜。
「くらくらする。少し、横になろう」
ちょっと、お願いだから…無視しないでよ〜。
「今日は静かだな……いつもか」
がーん!
「…僕だって…誰かと一緒にいたいのに……」
こなくそ! こんだけ存在感出してんだからいーかげん気づけよ!
「……すー」
って、ちょっと? 早く仕事して帰りたいんだけど、寝ないでよ。
「…すー」
ね〜起きてよ、ね〜…起きて下さいよう〜。
「……」
…うう〜、何で私がこんな目に遭うのよ…。
「…枕…」
え? あの…わ、やめっ…!
「……う」
ちょ、くぉらっ! 誰を抱き枕にしてくれてんだテメ! 退、け…って、聞いちゃいねー。
「…んん」
や、スリスリしないで…うあ…あ…むぎゅ〜。
「……すやすや」
……ちくしょー、起きたら絶対殺してやる…。