ひっと息を飲む音が、部室内にやけに大きく響いた。  
 
新聞部自慢のキャスター付きの椅子を無造作に引き寄せると、座っている少女もガクガクと振動する。  
眠たそうに閉じかかった瞼と、わずかに開いている口。欠伸をしようとしていたのか、口元に当てられた手。  
何気ない動作の瞬間がまるで時間から切り離されたかのように、少女は一切の動きを止めていた。  
 
きゅ、と足で椅子を止めると反動で少女の体が大きく揺れた。硬直した体は地面を踏み締めることを放棄し、椅子の勢いのままに傾ぐ。慌てて抱き留めると、ふわりと甘い匂いが鼻先をくすぐった。  
視線は相変わらず、半開きのままどこか宙を見ている。  
 
「みくを離しなさい!」  
 
向かい側から抗議の声が響いた。その声を無視して、俺はみくと呼ばれたこの少女を抱き上げる。  
座った姿勢を留めた彼女は、行儀よく膝に収まった。  
何か言いたそうな唇を撫で、白くすべすべとした頬をくすぐる。そのままつい、と制服の胸元にまで指を這わせば、肌が指先へ吸い付いてくるような錯覚さえ覚える。普段ならくすぐったがって身じろぎをするだろうが、時間を奪われた彼女は黙って指に身を任せている。  
生身ながらまるで人形のようだ。僅かに触れた胸が、柔らかい弾力で指を押し返した。  
 
「やめなさいよ!この変態!」  
 
やわやわと胸の感触を楽しんでいる俺を、先程の声が強く詰った。  
変態と言われてさすがに面白くないものだから視線を上げると、キッとこちらを睨んでいる少女と目が合う。  
黒いセミロングがよく似合うこの少女は、足の時間だけを奪われているため、先程から地面に縫い止められたまま友人の危機を見せ付けられているのだ。  
 
「私達に何をしたのよ!何をしたか知らないけどこれは立派な犯罪だわ!!早く元に戻しなさい!」  
 
少女は自身の置かれた状況に怯えながらも勝ち気さを失っていない。  
俺がようやく反応したことで、一気にまくし立ててきた。  
 
全く、こっちは随分とやかましい。大人しくお人形しているみくちゃんを見習って欲しいものだ。  
やかましく騒ぐ少女を尻目に、俺はみくちゃんのスカートの中に右手を滑り込ませる。  
左手はセーラー服をたくしあげ、ブラジャーを外そうと悪戦苦闘中だ。  
勿論みくちゃんは文句一つ言わずに膝に収まっている。  
 
「やめなさいよ!聞いてるの!?」  
 
 
友人の本格的な危機を察したのだろう、黒髪の少女は一層金切り声を響かせる。  
やれやれ、このままだと集中できそうにない。片方の意識を残したままというシチュエーションは諦め、俺はそっと右手を上げる。  
 
「あんたなんて警察につきだし…」  
 
パチン。  
 
指を鳴らすと、部室は完全な静寂に覆われた。  
 
形のよい眉を吊り上げ大きく口を開いたまま、黒髪の少女は呆気なく時間を止める。勝ち気な少女はその瞬間から、みく同様人形となる。  
 
 
ふぅ、とため息をついて俺は黒髪の少女を品定めする。こうして黙っていれば可愛いのに、と残念な気持ちになりながら俺は少女のスカートを一気にまくりあげる。  
少女は文句も言わず、愛らしいピンクの下着を覗かせている。目は相変わらず俺がいた方向を睨み据えたままだ。  
 
「みくちゃんが終わるまでこうやって待っててね」  
 
彼女の手にそっとスカートの裾を掴ませると、俺はお人形遊びへと戻ったのだった。  
 
 
静かな部室内を淫らな水音が満たす。  
外から聞こえる運動部の掛け声がかえって非現実的に感じられるほど、新聞部の部室は異様な雰囲気に包まれていた。  
 
部室の中央に据えられた作業台の上に、少女が腰掛けている。  
いや、置かれているといったほうが正しいだろうか。まるで彫像のように、みくと呼ばれたその少女はぴくりとも動かないのだ。  
その少女の頬を、俺は満足してなであげた。  
みくのブラウスは大きくはだけ、ブラジャーは既にホックが外されて腰の辺りに引っ掛かっている。スカートはその役割を忘れたかのようにめくりあげられている。おかげで可愛らしいショーツが丸見えだ。  
 
欠伸をする瞬間を切り取った、何気ない表情。とろりと閉じかかった瞼は今にも瞬きしそうなほど。  
顔だけをみれば、まるで部活中に居眠りをしかけているように見えるだろう。  
乱れた着衣とのアンバランスさが、なんとも言えず色っぽい。  
 
 
肩をそっと押せば、ごとんと音を立ててみくは作業台に仰向く。座った姿勢をそのままに、足はくの字に曲がり宙を向いている。  
足を掴んで軽く力を込めれば、簡単にM字に開かれる。生物の時間を操ることが出来る俺にとって、体の一部の時間を動かすことなど造作もないことだ。  
例えばそう、感覚や一部の感情のみを動かすことさえも可能なのだ。  
くつくつと小さく笑って、俺はみくの下半身に手を伸ばす。  
 
くちゅり。  
 
水音が、響いた。  
 
ショーツ越しに動かしている指に、少しずつ湿り気を感じはじめた。くちゅくちゅと音を立てて秘所をまさぐりながら、みくの小さな唇に吸い付く。  
微動だにしない舌を存分に責め立て、秘所をまさぐる指の動きを速める。  
指先に捉えたぷくりとした部分を引っ掻けば、みるみる内にショーツが愛液に濡れた。  
現在、みくは時間を止められたまま性感だけが動かされているのだ。欠伸をしようとしたその瞬間のまま、みくは一方的に感じさせられているのである。  
 
「…そろそろ、かな」  
 
 
誰に言うでもなく呟くと、俺は取り出した自身をみくの秘所へあてがう。  
 
「じゃ、いただくね」  
 
理不尽な宣告も、みくの耳には届かない。今ここにあるのは、みくという名のダッチワイフなのだ。  
 
ズッズッと湿り気を帯びた音を立て、みくを容赦なく穿つ。ぽっかりとだらしなく口を開けたまま、みくはストロークに合わせて揺れている。  
文句ひとつ言えないまま、秘所だけがとめどなく蜜を流し続けていた。  
 
空いた手で豊かな胸を揉み上げれば、一層蜜の量が増した。ストロークを早めると、胸がまるで皿の上のゼリーのようにふるふる揺れる。  
 
静かな部室内には、水音と自身の荒い息遣いだけが響いていた。  
 
 
 
夕日に満たされた放課後部室。  
作業台の上には、白濁をまとった少女が転がっている。その近くには、黒髪の少女が苛烈な表情のままに固まっている。  
 
 
「ふぅ」  
 
まだまだ、ご馳走は残っている。  
満足気にため息をついて、俺は次の獲物へと向き合った。  
 
 
 
尻の下に柔らかい感触を感じる。  
そっとそれを撫であげれば、ふよふよと柔らかく弾力を返してきた。  
 
 
現在、みくは椅子になっている。椅子というよりはベンチだろうか。  
気をつけの姿勢を保ち、ふたつの椅子に頭と腰を預けただけの状態。いわゆるヒューマンブリッジである。  
ぼんやりと宙をみつめるみくは、まさか自分が椅子にされているとは夢にも思っていないだろう。  
時間から切り離されたみくは、俺の体重でさえも易々と受け止めている。  
想像以上の座り心地に、なんだか嬉しくなった。  
 
 
「いいの?大事なお友達が椅子にされてるよ?」  
 
みくの感触を楽しみながら、俺はからかうようにもう一人の少女に視線を向ける。  
先程まで俺を罵っていた少女は、友人の異常にも気付かずに明後日の方向を睨みつけている。  
 
「相変わらず怖い顔」  
 
丸見えのショーツをなぞりながら呟くが、当然ながら返事はない。  
ふと思い付いて、俺は少女をこちらへと抱き寄せた。  
立ち上がった姿勢のまま硬直している少女の体は、まるで板のように持ちづらくて仕方ない。どうにか空気椅子の姿勢に変え、彼女は俺の膝へと収まった。  
二人分の重さにも、椅子のみくはびくともしない。  
 
 
膝の上の少女の制服には、森谷加奈と書いたネームプレートが付いている。なかなか可愛い名前である。  
 
「せっかくなんだからもっといい顔しなよ」  
 
悪戯心から吊り上がった眉と目尻を押し下げれば、まるで困ったような表情へと変わる。俺を怒鳴り付けようと開かれた口も、こうなってしまえばポカンと呆けているようにしか見えない。  
少し間が抜けているようにも見えるが、苛烈な表情よりは彼女の可愛らしさは引き立っている。  
表情に満足すると、俺は加奈の制服を脱がしにかかる。ブラウスのボタンをぷつんと弾けば、下着に包まれた形のいい胸が顔を覗かせた。  
 
「加奈ちゃんも結構大きいね」  
 
みくとは微妙に違った感触を楽しみながら声をかけるが、相変わらず表情は困ったように眉を下げたままだ。  
そのままショーツも取り払い、加奈を膝に乗せるとそのまま一思いに貫く。いわゆる対面座位だ。  
前戯がないために若干入れづらいが、動かすにつれて徐々にほぐれてくる。腰の動きに合わせて、彼女の胸も踊るように弾む。  
がくがくと揺れる加奈の、ぽっかりと開いた口に舌を潜り込ませ、欲望を放つと同時に舌を吸い上げる。  
時を止められたまま、加奈も無意識のままに愛液を溢れさせた。  
 
椅子になりきったまま友人の痴態を見上げるみくの顔も、俺と加奈の液で怪しく濡れた。  
 
 
すっかり薄暗くなった部室で、俺は満足気に二体の人形を見つめる。  
 
相変わらず仰向けのまま椅子になりきっているみくの右手に、備品のペンが握らされている。ペンの先は彼女の腹の上に跨がる加奈の秘所にくわえ込まれていた。  
淫靡なポーズをそのままに、二人は時間から切り取られたように動かない。  
 
 
この可愛い人形は、まだまだ俺を飽きさせない。人形遊びの続きを楽しむべく、俺は静かに立ち上がるのだった。  
 

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