凄いものを手に入れてしまった。手の中にある小さな束を握りしめ、俺は高鳴る鼓動をどうにか押さえようとしていた。  
手の中にある束は、一見するとただのシールのようである。真っ白な付箋のようで、至ってシンプルなデザインだ。しかし、これにはとんでもない力が隠されていたのだ。  
 
「あんたの部屋に入るのも久しぶりね」  
 
肩にかかるふんわりとしたウェーブをかきあげて、綾子さんが笑った。ベッドにちょこんと腰掛け、彼女は俺の部屋を珍しそうに見回している。  
綾子さんは俺の従姉妹であり、現在俺の家に下宿している。なんでも大学に通うのに便利なのだそうだ。  
身内の俺が言うのもおかしな話だが、綾子さんはとても綺麗だ。マシュマロみたいに真っ白な肌や長い睫毛、ぷっくりとした桜色の唇が物凄く色っぽい。  
可憐な容姿ながらはきはきと活発な彼女は、大学でも相当モテているらしい。確かに姐御肌な綾子さんは、従兄弟の俺から見ても本当に魅力的なのだ。  
 
「で、急に呼び出したわけは?」  
 
ニイッと悪戯っぽく笑った綾子さんに、俺の心臓は破裂寸前だ。シールを握る手にも汗が滲む。  
しかし、これさえあれば憧れの綾子さんと―  
 
「えーっと、ちょっとした実験なんだけど」  
 
なるべく心の中を悟られぬように、朗らかに笑いながら俺は綾子さんの手にシールの一枚を貼付けた。  
 
「ん?シール?」  
 
「うん、ちょっとそのままでいて」  
 
シールを触ろうとした綾子さんを制し、俺は彼女に貼付けたシールに文字を書き込む。  
 
「なんて書いたか分かる?」  
 
俺の質問に返事が返ってくることはなかった。  
不思議そうな表情で手に貼りついたシールを見つめたまま、綾子さんは人形のように固まっているのだ。試しに目の前で手を振ってみるが、綾子さんは瞬きひとつしないまま茫洋と視線をさ迷わせている。  
彼女の姿勢の先にあるシールには「マネキン」と書き込まれていた。  
そう、これがシールの能力だ。このシールに文字を書いて対象に貼れば、対象はそのシールに書かれた通りの状態になるのだ。  
例えば犬と書けば犬になりきるし、マネキンと書けばこの通り人形になってしまう。  
 
「綾子さん…」  
 
俺の呼びかけにも気付かずに、綾子さんはベッドの上に腰掛けたままお人形さんになりきっている。  
たまらずに押し倒せば、硬直したままの綾子さんが脚をくの字に曲げたままゴトリと仰向いた。  
フリルがあしらわれた可愛らしいワンピースを思い切り捲り、ブラジャーの下の柔らかい膨らみを堪能する。無遠慮な愛撫にも文句を言わず、彼女はなすがままになっている。  
普段の彼女は絶対にしないであろう、脚をだらし無く開いた体勢。しかも本人は気付いていないと来たものだ。  
抑え切れず、俺はもう片手を秘所に這わせてショーツ越しにくりくりと刺激する。勿論マネキンに感覚はないため、綾子さんは一切反応しない。  
 
「…人形もいいけど、このままだと入らないよなぁ」  
 
濡れる気配を見せない秘所を眺め、俺はふと思い付く。相変わらず手に貼られたままのシールに新たに書き込みを加えると、俺は再び綾子さんへの愛撫を再開する。  
 
「……あ…」  
静かな部屋に、小さく声が響いた。相変わらず硬直したままの綾子さんだが、小さく開かれた口から声が漏れたのだ。  
シールには「喘ぎ有り、快感増大」と新たに書き加えた。早くも効き目が現れたようだ。  
その反応に気を良くした俺は、ふるふると震える胸に舌を這わせ、桜色の乳首をちろちろと吸い上げる。  
そのたびに綾子さんは切なそうに声を上げた。表情は固められた時のまま、一切変化せずに。  
くちゅくちゅと淫らな水音が、やけに大きく響き渡った。限界を感じた俺は、我慢出来ずに取り出した自身で綾子さんを貫いた。  
 
「はうっ…ん、あぁぁ…あぁ!」  
年下の従兄弟に犯されていることにさえ気付かず、綾子さんは一際高い嬌声で快感を告げた。ぱんぱんと腰を早めれば、俺の動きに綾子さんもガクガク揺れる。  
やがて迫り上がる欲望を感じると、俺は自身を引き抜いて綾子さんの顔に向ける。  
どくどくと熱い白濁が、綾子さんの顔をなまめかしく染め上げた。  
 
「ふぅ…よかったよ、綾子さん」  
 
相変わらず手を見つめたまま時を止めた綾子さんは、綺麗な体をだらし無く晒したまま白濁に塗れている。  
普段の快活で綺麗な姉貴分は、ここにはいないのだ。  
 
「これからも世話になるぜ、相棒」  
シールに声をかけ、俺はこれからの生活に思いを馳せるのだった。  
 
 
薄暗い部屋で、俺はほぅと息を漏らす。  
白濁に塗れた綾子さんを清めていたら、日はすっかり落ちてしまった。ベッドに腰掛けた俺の傍らには、相変わらずマネキンになっている綾子さんが転がっている。  
 
この家の主である俺の父は現在海外出張中だし、母は父の付き添いで一ヶ月ほど家を留守にしている。  
おまけに綾子さんは春休み中で大学に行く必要もないため、まだまだ俺はこのお人形さんでじっくりと楽しめるわけだ。  
マネキンとなっている綾子さんは、シールを剥がさない限りずっとこのままだ。  
シールに書き込んだ内容次第では、今の綾子さんには食べ物もいらなければ排泄も必要ない。  
つまりは気が済むまで、この憧れの親戚は俺の玩具になってくれるわけだ。  
 
「綾子さん、ちょっと遊んでみようか」  
 
ブラジャー越しに綾子さんの胸を突いて俺は話し掛ける。  
現在、綾子さんは新しい下着(これは綾子さんのタンスから拝借した)を付けた以外は何も着ていない。  
出るところはしっかり出ている見事なプロポーションを惜し気もなく晒したまま、股を大きく開いた無防備なポーズを取っている。  
そんな綾子さんに、俺は新たに文字を書き込んだシールを貼付けた。  
シールには『右胸→マネキンスイッチ、左胸→マネキン解除スイッチ』と書き込んである。  
 
「さ、綾子さん。起きようか」  
 
ブラジャーを取り払うと、ぷるんと音を立てそうな勢いで豊かな双丘がこぼれ落ちた。そのまま俺は、遠慮なく左胸をもみあげる。  
 
「…え?」  
 
その瞬間、何をされても微動だにしなかった綾子さんの時間が動き出す。  
 
「あ……何!?嫌ぁぁぁぁ!!」  
 
己の体勢と服装に気付いた綾子さんが、悲鳴をあげながら胸を庇った。そのまま怯えるように俺から距離を取る。  
 
「何、何?どうなってるの?私、なんでこんな格好なの?!」  
 
混乱したように叫ぶ綾子さんに、俺は微笑みながら近づいた。俺の意図を計りかねて、綾子さんは涙を湛えた目で俺を見上げた。  
 
「ちょっと遊んでみたくなってさ」  
 
そう言うと、俺は素早く綾子さんの右胸を揉む。柔らかい感触を乱暴に掴んだ瞬間、悲鳴をあげかけた表情のまま綾子さんは再び動きを止めた。  
 
不安定な姿勢のまま硬直した綾子さんが、体勢を保てずにトスンと倒れる。受け身さえ取らず、まるでただの物のように彼女は横たわっている。  
そのギャップが面白く、俺は綾子さんの胸を交互にもみしだいていった。  
 
「いや!……んあ!……なんで!!」  
 
止まったり動いたりを面白いくらいに繰り返しながら、綾子さんがいやらしくうごめく。その様子にちょっぴり嗜虐心がくすぐられた俺は、机の中から玩具を取り出した。  
 
男性器を象った、いやらしい玩具。  
友人からネタでプレゼントされたバイブを、今や泣き出した表情のままマネキンになってしまっている綾子さんに容赦なく押し込む。  
更にシールに『快感10倍』と書き込むと、バイブの振動をMAXに引き上げた。  
 
ヴヴヴ…という低い振動に揺られ、綾子さんの瞳に溜まった涙がこぼれ落ちた。  
そっとその涙を嘗めとってやると、綾子さんの剥き出しの胸にぞわっと鳥肌が立つ。  
マネキンとなった綾子さんは、自覚さえできないまま硬直した体の内に爆発寸前の快感を留めているのだ。  
かわいらしい桜色の乳首も、今では痛いくらいに自己主張している。  
 
「さ、綾子さん。イッちゃおうか」  
 
そう囁いて、俺は綾子さんの左胸を掴んだ。  
 
「…っ!?やだ!何?だめぇぇぇ!?」  
 
訳の分からぬまま一度に快感から解き放たれ、綾子さんが折れそうなくらいに体を反らせる。  
 
「んあああ!ふぁぁ…あ…!!」  
 
ぷっくりとした唇から悩ましい喘ぎを漏らし、秘所で未だに暴れるバイブに翻弄されている。  
溢れんばかりの蜜を滴らせて動物のように鳴く綾子さんは、いつもの面影さえ感じさせない。  
その淫靡な表情を留めようと右胸を揉むと、快感を表情に刻んだまま綾子さんはマネキンに戻った。  
 
すっかり暗くなってしまった部屋で、俺はいやらしいマネキンの体をそっとまさぐる。  
この愛らしい人形にはまだまだ飽きそうにない。  
このシールの更なる使い道について、俺は期待に胸を膨らませるのだった。  
 
 
硬直を解かれた綾子さんが、そっと俺にしだれかかってきた。  
潤んだ目で俺を見上げ、裸体を隠すかのように胸元にタオルを抱き寄せている。  
シールに『恋人』と書かれた綾子さんは、ついさっきまで泣き叫んでいたことも忘れて今では俺の恋人になりきっている。甘えるように擦り寄る綾子さんを、俺は優しく押し倒した。  
先程抜き去ったバイブを再び秘所に押し当てると、彼女は切なそうに吐息を漏らした。快感を押し殺すように胸元のタオルケットをぎゅっと握り締めている。  
 
シールに書いた『快感10倍』の文字は未だ消えていない。  
そのせいだろう。綾子さんは快感を声に出すまいと必死になっているが、反り返ってヒクヒク震える身体が早くも絶頂を迎えようとしていることを物語っている。  
さっきは散々悲鳴に近いくらいに喘ぎ声をもらしていたのに、恋人の前では清廉さを崩すまいとしている。  
わざとゆっくりとバイブを沈めていくと、綾子さんの身体が大きく跳ねた。  
 
「あうぅ…そこ…だ…めぇ…っ!!」  
 
シールの効力によってもたらされた、呆気ないほどの陥落。  
もどかし気に腰を揺らし、たがが外れたように綾子さんがよがり狂う。秘所からは蜜が溢れ、小さな突起はピンと自己主張している。  
 
その突起に一瞬だけ触れてやると、綾子さんはねだるように腰を突き出してきた。  
そんな綾子さんから逃げるように、俺は肉芯に小さく触れては止め、突起を弾きかけては止めを繰り返す。  
その間も秘所ではバイブが動き回り、綾子さんはまるで陸に打ち上げられた魚のように苦しげに身体を波打たせた。  
 
「ね…意地悪しないでぇ…」  
 
もはや理性も限界なのだろう。絶頂をねだり、彼女は興奮を滲ませた表情で俺を見上げる。  
いつも姐御肌な綾子さんも、体を重ねた男の前ではこんなにも乱れるのか。  
リクエストに応えて、俺はバイブの出力をMAXにして肉芯を摘みあげてやった。  
 
「あぁ…!んあぁぁぁぁぁ!」  
 
ビクンと跳ね上がり、綾子さんは瞬く間に絶頂を迎える。全身を紅潮させ、いやらしくバイブをくわえ込んだまま彼女は喘ぎ泣いた。  
 
「ああ!!く…んっ…ぁ………………」  
 
身体を弓なりにしならせて嬌声をあげていた綾子さんが、突如声を止めた。身体もピンと反り返ったままぴくりとも動かない。  
不思議に思って綾子さんを見遣ると、俺は納得して思わず笑ってしまう。  
 
綾子さんの右手が、彼女の右胸を覆っていた。絶頂の間際、綾子さんは自身の右胸も同時に揉みあげてしまったのだ。  
右胸がマネキンスイッチになるという文字も未だ消えていない。より激しい快楽を貪ろうとした結果、綾子さんは文字通り自らの手でマネキンとなってしまったのだ。  
頬を真っ赤に染め、大きく開かれた目はぼんやりとくもっている。右胸にそえられた手はしっかりと胸を掴み、人差し指で自らの乳首を弾こうとした瞬間のまま止まっている。  
左手も左胸に伸ばしかけ、たっぷりとした膨らみを掴もうと開かれたまま動きを止めていた。  
 
「綾子さん、見た目によらず淫乱なんだねぇ」  
 
声をかけてやるが、綾子さんは絶頂の瞬間のままマネキンとなっている。  
俺の言葉さえ耳に入らず、彼女は自身を慰めるいやらしいオブジェと化していた。  
まるで板のように固まっている綾子さんを抱き起こすと、大きな胸がふるんと揺れた。  
柔らかいその身体を堪能しながら、俺は殺風景な自身の部屋を見渡す。  
ふと思い付くと、俺は綾子さんに貼付けたシールに新たな文字を書き込んだ。  
 
 
翌朝、俺は学校に行くために重い体を起こした。  
昨晩は遅くまで綾子さんで遊んでしまったため、なんだか体が怠い。  
しかし大学生の綾子さんとは違い、高校生の俺はまだ春休みには入らない。今週いっぱいは学校に通わなくてはならないのだ。  
目覚めきらない頭を無理矢理覚醒させ、俺は『ポールハンガー』にかけてある制服に手を伸ばす。ふと顔をあげると、ぼんやりと虚ろな表情をした綾子さんと目が合った。  
 
綾子さんのシールに新しく書かれた文字、それは『ポールハンガー』である。  
美しいプロポーションを誇るかのように立ち、横に腕を広げ掌を上に向けたまま綾子さんは硬直している。  
現在、綾子さんはピンクのレースの下着とニーソックスを付けた以外は何も着ていない。  
マシュマロ肌を惜しみなく晒したまま、彼女は俺の部屋のインテリアとなっているのだ。  
彼女の細い腕は、しかし制服やら俺の重いスクールバッグやらを掛けてもびくともしない。  
しっかりと『ポールハンガー』になりきっている彼女に、俺はバイブを装着して電源をいれる。彼女の中でそれは低い振動音を立て、彼女も小刻みに震え出した。  
そんな彼女のブラジャーに無遠慮に手を突っ込むと、そっと乳首を摘む。  
 
「ん…あ…あっ…」  
 
その瞬間、綾子さんから小さく喘ぎ声が漏れだす。  
シールに散々書き込んだ結果、彼女は乳首のスイッチでポールハンガーと化したまま快感を感じるようになっている。  
表情すら変えず、無感動なくせにどこか艶っぽい声を漏らしながら綾子さんは『ポールハンガー』の役目を果たしつづける。  
 
「じゃ、俺が帰るまでお仕事頑張ってね」  
 
喘ぎ続ける家具の声に見送られ、俺は部屋のドアを閉める。  
さあ、今日はシールでどんな子と遊ぼうか。  
清々しい朝日に照らされ、俺は学校への道のりを急ぐのだった。  
 

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