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一、日本国籍を有する者すべての性は、日本国政府が管理するものとする。
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性交管理法に伴うモニタ地区のみなさまへ
概要
この度施行される性交管理法は、
平成××年に発生した未知のウィルスに対応するため、公布されました。
ウィルスは日本国内に止まらず、地球規模で猛威を振るいました。
ご存知のように、世界各地で死亡者が後を絶たず、各国その対応に追われました。
ウィルスは、遺伝子にも影響を及ぼし、その出生率は激減し、
わが国が抱える少子高齢化に拍車をかけ、深刻な状況に陥っています。
政府は、
国が個人の性を管理することにより、安定した出生、安定した養育を実現し、
諸問題の解決を図ろうとの結論に達しました。
それに伴い、○○県○○市○○区周辺を広域モニタ地区に指定し、
住民の皆様のご協力を得たいと考えております。
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一、満26歳以上の未婚の男女は、政府指定の婚姻をするものとする。
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性交管理法について
全国を、性交管理法(以下、性管法)で定められた12の地域に区分し、
さらに細分化した地区から無作為に選ばれた男女に、婚姻、性交、出産、養育をして頂きます。
婚姻
各地区、順に政府からの書類が郵送にて届きます。
書類の各項目に記入し、記載されている指定日時に、最寄の区市町村役所にいらしてください。
その際、身分証明書(運転免許証など)、実印、同封されている12ケタの
英数字の記載されたPOCカードを忘れないでください。
処理が完了次第、婚姻が成立します。
生活
男性側の住居に住むことが望まれますが、本法律はそれを強制するものではありません。
性交
性交は届出制となります。
円滑な処理を図るため、インターネット、または電話での届出となります。
インターネットでは、各項目にチェックを入れる形となります。
電話では、案内メッセージに従ってください。
避妊をする際は、避妊用精液採取キットを必ず使用してください。
出産
出産費用は免除いたします。
養育
第一子につきましては、養育費、義務教育費の免除とさせて頂きます。
第二子以降に関してましては、それぞれ規定の待遇を用意しております。
以上が今回の法律に関する主な説明となります。
皆様は対象地区になりますので、全国に先駆けて本法律に従うことになります。
モニタとはいえ、違反されますと同等の罰則を受けます。
なお、性交管理法は平成××年四月一日に制定されます。
もうだいぶ暖かい。
役所仕事のあり方には改めて辟易する。それだけではない。
この異常な人の数。男女二列の長蛇が、
所内に貼られた臨時ロープに沿って律儀に続いている。
役所の対応の悪さも相まって、イライラに拍車をかける。
その行列の先は婚姻届の受け付けである。
しかしそれは役所内に設置された薄型テレビの中のニュースの話だ。
どこかの区役所の映像らしい。
昨日は四国の村役場だった。やはり婚姻届の行列の映像だった。
しかし彼らはモニタ地区の人間ではない。
これは性管法モニタ開始後、起きた現象である。
彼らは恐らく普通の恋愛をし、相応しい時期が来たら結婚をする人々だ。
しかしその時期というものが、もう直ぐ意味をなさなくなる。
そう、平成××年四月一日が間近に迫っているのだ。
そこで、その前に結婚してしまおうという魂胆だ。
モニタ地区の人間は、その余地さえなかった。
それが俺の苛立ちの最大の理由だった。
中高生の間では、学校出たら結婚。というのが叫ばれているらしい。
大学生の学生結婚も、頻繁に聞くようになった。
書類で済んで、好き合ってるなら、とりあえず結婚という感じなんだろう。
25歳をラストイヤー、モニタ地区の夫婦を、影で事務夫婦と呼んで蔑んでいる。
現段階でそうなのだから、四月以降は更にひどいことになりそうだ。
俺?
今年26の至って普通の男だ。
…そう、…妙な封筒が届いたある地区の出身という事を除いては。
「宮田さん、お待たせいたしました。処理が完了いたしましたので、二階応接室へお進みください」
つまり、晴れて結婚したわけだ。相手が誰かなんて知らないが。
今の今まで、このくそみたいな法律が不愉快で不愉快でたまらなかったが、
ここへきてなんだか緊張してきた。急に相手の事が気になりだした。
容姿で言えば、美人かそうでないか。つまり五分と五分だ。
性格や癖などいろいろな事が関わってくるが、自分の好みかそうでないかでも、五分五分なわけだ。
階段の踊り場で立ち止まっていた事に、しばらく気がつかなかった。
応接室入り口にカードスキャナーがあり、POCカードを挿入してくださいとの事。
しばらくすると、扉が開き、一人の役人らしき人物が中に招いた。
「お二人が揃いましたね」
ソファーに後姿の女性がいた。胸が高鳴る。
「お掛けください」
基本的に、同地区(小中の学区程)では選ばれないが、稀にあるらしい。
なぜか、一体誰なんだ?という感覚も出てきた。
「あ、じゃあ、失礼します」
さあ、どっちに転ぶ。
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一、無作為に選ばれた本婚姻を拒否することはできない。
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「では、こちらが性管法婚姻届になりますのでね、こちらに判を押してもらいましょう」
「…………………」
「では男性の方から、こちらへ」
「はい」
手が震える。
「緊張なさらず」
「ええ」
ゆっくり印鑑を離す。そこには朱色の刻印がしっかりとされていた。
「それでは女性の方」
「はい」
女は細い声で軽く会釈したが、セミロングの髪が顔を覆いその表情は伺えない。
女はしなやかな指で淡々とした感じで判を押した。
「えー、POC番号A072KY12KF88、宮田徳さん、POC番号F651KL86UV64、笹野美佳子さん、
お二人の婚姻が正式に受理されました。ご結婚おめでとうございます」
「……………」
答えようがない。なんというか、そんな乾いた心境だった。
女も答えなかった。
「この後少し説明がありますのでお付き合いください。
用意ができましたらまたこちらに。それではしばし休憩という形で」
「あっ」
腰を上げた時には役人は部屋を出ていた。
二人の時間を作ってくれたとでもいうのだろうか。
「……………」
正直言うとショックだ。この女と一緒になるとなると自信がない。
なんと言うか、割と第一印象は当たるというが、多分当たっている。
まず、好印象ではない。醸し出る陰鬱な雰囲気。
容姿端麗の女性は、相応の男性と一緒になる処理がされるという噂があるが本当らしい。
いや、そんな男女はそもそもこの法律とは無縁だろう。
この法律は余り物救済と言っても過言ではないのだから。
ガチャ
「お待たせしました。どうですか?」
意味深な表情の役人。
「えー、晴れてご夫婦になられまして、あらためておめでとうございます。
早速ですが説明させて頂きます。まずこちら、ご結婚記念の招待状です。あ、ホテルのね」
いろいろ重い言葉に聞こえてくる。
「そしてこちらが、避妊用精液採取キットになります」
いやらしさを感じさせないように淡々と続ける。
「こちらはですね、男性型避妊、つまりコンドーム使用時に限られますが、
射精後すみやかに膣から引き抜き、その際根元を押さえこぼれないように
気をつけてくださいね。口を縛らなくて結構ですのでコンドームごと、
こちらのボックスに入れ、しっかり密閉したのを確認して郵送してください。
もちろん費用はこちら持ちです」
横の女と夫婦にされ、その行為に関して指図される。まさに性管法。
よくもまあ、そうすらすらと恥ずかしげもなく話せるものだ。さすが役人だ。
「精液採取は重要です。精液保存の技術が進歩し、手軽に採取できることから、
個々人にして頂くことになっています。研究兼保存目的で政府の管理下です。
なにせ性管法は精子管理法と言ってもいいぐらいですからね」
「一度に何度もされる場合は、その都度ボックスを用意する必要があります。
届出される時に、項目に個数をチェックされる事をお勧めします」
「はあ」
「こちらとしては、これらが使われないのを望みますがね、あはは。
でね、基本避妊はコンドームだけにして下さい。やってみればわかると
思いますが、その他の避妊法では精液の採取は困難になりますので。
ちなみにコンドームもこちらで用意したものを使用して頂きます」
「はあ」
「性交の届出は当日中なら問題ありません。もちろんコトの前にですよ、あはは」
「……………」
「ではこちらが避妊用精液採取キット。ボックスはいくつ用意します」
「……………」
「どうかされました?」
「まかせます」
「かしこまりました。こちらがコンドームになります、どうぞ」
「はあ」
「説明は以上になります。なにか質問は?」
「いえ」
「……………」
「あ、あとですね、初回は一週間以内に行ってくださいね。
まあ今宵は初夜ですからねえ、問題ないですよね」
「なぜ一週間なんです」
「まあいろいろありましてね。では以上です。
タクシーを用意していますのでご利用ください。では失礼します」
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一、本法律に違反すると、規定の罰則を受ける。
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タクシーを喫茶店で降りた。
口を開いたのは女の方だ。
この話を破棄したいという。それはこちらも一緒だった。
罰を受けるのは覚悟のようだ。こっちはそれに対しては少し動揺した。
一週間という決まりがあるのを思い出した。
とりあえず、一週間、会わず、“せず”でこの場を別れる事に。
今宵は初夜、我ひとり過ごす夜
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一、刑に背く行動をとった場合、強制執行となる。
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あなた方は、定められた期間に性交を行わないばかりか、結婚破棄の申し出を提出。
よって両名を連行する。
役所窓口で声にして伝えたものだから、回りの空気が変わった。
直ぐに警備員に取り押さえられ、奥に連れて行かれた。
窓のない車に乗せられ、どこかに向かう。
車を降りると、一面コンクリートの、地下駐車場のような空間。
隅に扉があり中へ連れられる。重い扉が背後で音を立てて閉まった。
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A072KY12KF88宮田徳、F651KL86UV64笹野美佳子両名に対し、
性交管理法第一条、一項ならびに、三項違反により処罰する。
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A072KY12KF88宮田徳、二十六歳。
交際歴なし。性経験なし。
性風俗、主にファッションヘルスによる女性との肌の交わり数度。
異性交遊および性関連極めて未熟。職場に思いを寄せる異性あり。
今件の主原因と思われる。
F651KL86UV64笹野美佳子、三十歳。
交際歴一人。性経験あり。
すなわち経験人数一人。相手は出会い系により知り合う。
二年前に、相手男性の不倫が原因で一方的に別れを持ちかけられる。
相手の女が自分より美しく、年齢も若かったことから、
自分の容姿に劣等感を持つようになる。内向きな性格が拍車をかける。
今件の主原因と思われる。
両名の身勝手な行動により、性交管理法実施に混乱をきたす恐れあり。
よって違反するところ大とみなしこれより処罰する。
「なんだこれは!」
「両名の発言は認めない。反論も認めない。疑問は、持つな、だ」
「ふざけるな」
後ろ手に縛られたまま、小さな部屋に通された。
ここも窓も何もない簡素な部屋だ。
「衣類を脱ぎなさい」
「なに?」
「こちらも強行はしたくない。衣類を脱ぎなさい」
「訳を言え」
「反論は認めない」
黒子のような姿の顔を隠した人間が現れ、羽交い絞めにする。
Tシャツに、刃を入れる。みるみる引き千切られ上半身が露になる。
黒子は、何を思ったか腹を目掛けて思い切り肘を入れた。
息ができなくなり、倒れ込みたいが、黒子たちは下半身に取り掛かる。
ジーンズは、ベルト、ボタンを外し裾から一気にずりおろす。
一緒にパンツが脱げてしまった。そしてそのまま横に放り投げられた。
とっさに股間を隠し腹の痛みと共にうずくまった。
女は、ブラウスをボタンごと引き裂かれ、下着姿にされている。
チノパンを同じように脱がされた。そのまま開放されたが、
ブラジャーのホックに手を掛けられると、胸元に手を覆いしゃがみ込んだ。
黒子は後ろから首に腕を回し、空いている手でブラを取り払う。苦しむ女。
まるで見せつけるようにされたので、女の乳房に見入ってしまった。
再びしゃがみ込み、咳き込む女。
女の背骨が浮き上がる。その先に下着から覗く尻の割れ目の窪みにできた黒い陰り。
黒子はそこから指を入れ下着を取り払おうとする。
すると女が持ち上がり、脱げた時には一回転してしまった。
黒子は用を終えたといわんばかりに、パンツを投げ捨て退出した。
女は泣いているようだった。
「自らすればこうはならないのだと、以後心するように」
「ではすみやかに性交を開始しなさい」
「はぁ?」
「発言、反論は認めない。二度も言わせるな」
「意味がわからないと言っているんだ。これが処罰と言うのか?」
「そうかA072KY12KF88宮田徳は性体験がないんだったな。ヘルスには通ったんだろう。
毎日自慰に耽り、知識はぬかりない。開始しなさい」
顔が熱くなる。
確かに、経験はないしこの法律の裏の部分、つまりセックスができるという事は、
やはり、男としては引っかかるポイントではある。しかし俺はそういうわけにはいかない。
「F651KL86UV64笹野美佳子。ならばキミがリードしなさい」
女はまだうずくまって泣いている。
「これが政府の、国の仕事か!」
「発言は認めない」
こんな問答が延々続いた。
「やむを得ない。第二段階に移る」
部屋に大きな骨組みの機械が二つ、コンピュータが一台運ばれてきた。
工学系の学校で作られるロボットのような骨組みの機械は、どうやら拘束具のようである。
抵抗しても無駄であった。されるままに、手を縛られ、足を縛られ、首、腰も固定される。
そう、まるでダヴィンチのウィトルウィウス的人体図のよう。
女も抵抗しない。気を失っているようにだらっとしている。
女の方は、いわゆる分娩台のような構造。そこに乗せられ、足を固定台に拘束される。
同じように腰、首、手と。
二人の頭には脳波形のコードをいくつも取り付けられ、コンピュータに波形が表れる。
また黒子が現れ、横に立つ。黒く茂った下半身に手を伸ばす。
性器を愛撫している。これまでこの異様な状況で、性器は何の反応も示さなかった。
目の前に女が股を広げていてもだ。もちろん未経験というのが大きいのかもしれない。
皮を被った先端が黒子の手の中で、顔を出す。黒子は恐らく男だ。そっちの気はない。
嫌悪の一言。しかし、物理的刺激で否が応にも反応し始めた。
女も股間を愛撫され、敏感な部分に触れられると何度も小さく痙攣した。
やはり気を失っているのか、声はない。
陰茎の根元にグッと力を入れられ、皮は完全に剥け赤紫の亀頭が脈を打つ。
皮を何度も根元に押し付けられ、女の痙攣を見ていると、性的終末がこみ上げてきた。
裏筋に触れられた途端、陰茎が痙攣し射精してしまった。
「早く採取を!」
今まで流れていたスピーカー越しの指示の声が始めて上ずった。
PCの波形図は激しく波打っている。
別の黒子が飛び散った精液を採取し、もう一人が陰茎に滴る精液を採取し、
陰茎を勃起させた黒子は手を精液まみれのまま出て行った。
部屋の中には、むっと精液のにおいが立ち込める。
女が意識を取り戻し、この状況に驚愕の声を上げる。
半勃ちの陰茎の下から竹を縦に割ったような筒があてがわれた。
九十度ほどの高さで固定し、上蓋を被せられ、陰茎は筒に包まれた。
その後潤滑剤が加えられ、往復運動を始めた。機械的な動きだが、とてもソフトな触感だった。
やがて拘束機が動き出し女の股に近づく。女の股がいやらしく照る。
拒否の声を上げるが機械を止める事はできない。
女の性器の目の前で、陰茎が無機質な往復運動に耐え切れず、再び勃起をした。
拘束機と分娩台が互いに、最善の位置をと上下左右に探っている。
適切と判断したのだろう、乾いたビープ音がして、陰茎の筒が素早く外された。
拘束機が本体を支えに、男を拘束している部分を前後にスライドさせた。
もちろん最初の前への動きで男の陰茎は、女の膣へ挿入された。
「ああぁぁぁぁ」
「いやあぁぁぁ」
女の抵抗むなしく、何度も何度も陰茎が出たり入ったりを繰り返す。
機械は、ガチャコン、ガチャコンと大きな音を立て、陰部は互いの粘液でぬちゃぬちゃと音を立てる。
奥まで打ち込まれると女のふくよかな腹から、豊満な胸へと波を打つ。
女の苦痛の喘ぎが「うっ、うっ」と続く。
「このピストンは波形から読み取ったデータで、キミがしたい動きそのものである。
さらにこちらである程度射精を制御している」
機械的な動きに節々が痛みだす。それを忘れさせるぐらいの快感も伴う。
悔しい。こんなかたちで始めてを迎えるとは。
「これが処罰と思うかね。我々はただ、君達に性交をしてもらいたいだけだ。
A072KY12KF88宮田徳。キミの思いを寄せる女性は今日婚姻届を提出し受理されたよ。
それから、F651KL86UV64笹野美佳子。アナタの元恋人も本日婚姻届を受理された」
「嘘だ!そんな訳はない!うおぉぉぉ!」
「そ、そんな……。あぁぁぁぁ……」
男は悔しさからか咆哮し、女は泣き叫んだ。
その直後、男の腰が女の股の深い所まで押し付けられ、拘束機はガタガタいいながら男の絶頂に答えた。
射精したのだ。拘束機は深い所で最後の往復運動を何度か繰り返し、ゆっくり引き抜き、本体に収まった。
結合から解き放たれる瞬間、亀頭の先と膣口にいろいろな液体の混ざったなんともいやらしい架け橋を作った。
橋は重力に耐えられず直ぐに崩壊した。
股間はなんだかくすぐったいような感覚だ。
屈辱的な満足感と脱力感に睡魔が襲う。
膣内射精を確認した。以上で刑の執行を終了する。
ただし両名の結婚破棄は認めない。以後仲睦まじく暮らすように。
「おおおおおい。あんたら本当は何者だー?」
「……………………………」
A072KY12KF88宮田徳。キミは、思いを寄せていた職場の女性から訴えられていた。
F651KL86UV64笹野美佳子。アナタは、元恋人を取り戻そうとした。
二人とも、相手を手にかけ、その後自ら、なんて考えていたのでは?
「………………」
「………………」
答えない所をみると図星だね。
見ていられなくてね。
A072KY12KF88宮田徳。キミはすこし幻想が過ぎる。ストーカー行為に歯止めが効かなくなりかねない。
F651KL86UV64笹野美佳子。アナタは自暴自棄になりやすい。自らを傷つけかねない。
それとは別に、普通に結婚した人々が少なからず増えたことは良かった。報酬もあってね。
仕立て上げた広告代理店もさぞ満足だろう。
婚活なんてのもその類だ。彼らの得意とする所。でっち上げの天才だ。
どういうことかって?
政府主導には間違いない。
少子高齢化に関する新案の話に便乗させて頂いた。
都市部で一人暮らし。非社交的。テレビはあまり見ない。もっぱらインターネット。
さらにネットの情報を鵜呑みにしがちな視野の狭い性格。
性管法の話を誰かとしたかね。テレビのニュースを真実と思ったかね。
君達二人が思いのほか疑問を持たないので、当初は逆に心配したよ。
実験は途中で頓挫するってね。
私は役所でキミ達に応対した人間だ。正直あのくだりは自分なりに即興も加えて楽しんだよ。
早速結果が出たようだ。
キミ達二人は、もっと深い所で幸せになれる。それは遺伝子が証明している。
先程も言ったが、これから交際を始めてみるのは如何か。
結婚しているのに、妙な感じだろうがね。あはは
我々は、犯罪未然防止及び遺伝子の結び付きを研究している新設の科学機関。
特務ゆえ名称はない。しいていえばセックス仲介人。
では、以上でサンプル15671を終了する。
性交管理法なんて通ると思うか?
通らないね。
おわり