【 通信教育 】 鈴音(すずね) 〜羞恥・露出編〜  
 
(うわ〜〜〜、うわ〜〜〜〜……ッ)  
露出した内太ももを撫でるように風が通り抜ける  
短かすぎるミニスカートは強風にはためき、鈴音の手に固く抑えてられていた  
(はっ、恥ずかしすぎる〜〜〜〜……ッ)  
駅のホームに降り立った鈴音は、神妙な面持ちで、おずおずと階段を降りていった  
これから二駅の散歩  
それが今回の『ノルマ』だった  
 
鈴音が利用し始めた通信教育調教システムは【羞恥露出コース】  
文字通り、恥ずかしいことをして楽しむコースだ  
しかしもともと鈴音にそんな性癖があったわけではない  
同じ学校に通う女子校生の中には制服を改造ミニスカートにしている人や、大胆に露出した私服の人もいたが  
鈴音自身はドノーマルな制服で私服もやぼったいものを好んで着ており、  
そんな人たちを見ても、すごいなぁ。と思っているだけだった  
そんな鈴音がネットで【depths】のHPにたどり着いた時に、エッチなこととして最初に思い浮かべたのがエッチな格好をすることだったのだ  
 
「なに、これ?」  
数日前の事だった  
初めに届いたセット内容を見た鈴音は首をひねった  
まず出てきたのがメイク道具一式  
それと、なにか黒と白のヒラヒラした布  
何度も首をひねりながらセットを床に広げ、付属の説明書に目を通す  
「ごすろり衣装……、……ゴスロリ!? 着るの!? ていうか、服なのこれ!?」  
物静かな鈴音が珍しく声を上げた  
 
羞恥・露出プレイは一人では成り立たない  
『第三者に見られる』、もしくは、『見られてしまうかもしれない』という状況が必要だ  
だがそこには常に『身内や知人にバレてしまう』という危険性が伴う  
そこで【depths】社が考案したのが、このコスプレ作戦だった  
 
(いないよね……? 知ってる人いないよね……?)  
改札を抜けて、駅構内をギョロギョロとしつこいぐらいに確認する  
その大きな瞳は、太く長い特盛りつけまつげと、何重にも引かれた黒いアイラインで作られたもの  
さらに厚いファンデと真っ黒な口紅で、顔から生気は消え、人形のように整えられていた  
指示通りの完璧な化粧  
鈴音が心配するように、知人に会ったところでコレを鈴音と気付くものはいないだろう  
 
(よ、よーし……、いくぞぉ……)  
ようやく決心のついた鈴音は移動用に着ていたジャケットを脱いだ  
ベースカラーは白と黒、ふわふわのレースに、ちりばめられたリボン  
誰が見てもゴスロリ衣装には間違いなかったが、その露出度の高さは人目を引きつけた  
肩から脇、二の腕までをさらけ出した白のノースリーブフリルシャツ  
胸元はざっくりと開いていて、靴紐のように編み込まれたデザインは  
寄せ上げブラと、黒のショートコルセットで主張された谷間を妖しく彩った  
下半身はふわふわのアンダースカートで裾の持ち上がった超ミニのプリーツスカート  
そこから伸びるガーターベルトが絶対領域の輝きを引き立て  
斜めに入った格子模様のデザインストッキングの足先を、ショートブーツが締めていた  
 
ずんずんと歩き進める鈴音の背中に人の目がついて回る  
シャツの背はこれでもかというほど開いていて、白い背中を露出していた  
(うう〜〜〜〜、早く、早く、恥ずかしい〜〜〜〜ッッ)  
持ち上がったスカートがバサバサと揺れる  
恥ずかしさから視線を落とし、駆け足にも似たスピードで、さっさと二駅歩いてしまおうと急ぐいでいた  
 
しかし、急ぎ足も長くは続かない  
疲れてきた鈴音は、ペースが落ちると共に周囲に目を配るようになった  
(あ、線路あった……、このまま歩いても大丈夫だよね?)  
なにせ知人に遭遇しないよう自宅から八駅離れた街を選んだのだ  
知らない街を迷わず歩けるわけがない  
 
ところが、視線を上げてみると意外なものも見えてきた  
胸元を覗き込む視線  
脚を撫で回す視線  
スカートのたなびきに引き寄せられる視線  
背中に穴の開くような視線  
視線、視線、視線……  
すれ違う男たちの視線が、まるで鈴音をなめるようにまとわりついていた  
(ひぃぃぃぃぃ…………)  
鈴音の背中に悪寒が走る  
(な、何がいいの? これの何がいいの?)  
自ら選んだ露出プレイだが、鈴音はその良さを理解できずにいた  
 
鈴音は再び目を伏せて、先ほどよりもさらに早い急ぎ足で駅へと急いだ  
ズンズンと歩き進める鈴音は気付かぬうちに雑居ビル街に迷い込んでいた  
辺りに人がいなくなって鈴音は初めてそれに気付いた  
(あ、あれ? ここどこ? 線路は?)  
風に吹かれるゴミ、補修されるようすも無い狭い道路に、薄汚れたビル  
そのビルからは飲み屋やスナックの看板が飛び出している  
 
危険  
危険! 危険!  
女一人!  
しかも変態みたいな格好!  
ひとけも無い!  
いや、それは無くていい!  
だって  
下手に男の人がいたりしたら……  
 
(おか……、犯される……ッッ!)  
 
確かな危機感  
そのとき後ろでガサゴソと音がした  
瞬間的に振り向くと、ビルの陰に何かがいるっぽい  
(ねこ……? 従業員……? 浮浪者……? へんしつしゃ……?)  
しょわっ  
ほんのわずかにおしっこが漏れた気がしたが  
そんなことを気にする様子もなく鈴音は駆け出していた  
(やだ、やだやだやだやだっっ!!)  
 
強調された胸を揺らし、ミニスカートがはためくのも無視してただ走った  
歩きにくい靴を履きながらも鈴音はなんとか次の駅へとたどり着いた  
ぜぇぜぇ息を切らしながら、人ごみのありがたさを感じつつトイレへと向かう  
個室に入ってようやく落ち着きを取り戻しつつあった鈴音は用を足そうとパンツを下ろした  
そこで思い出したのがさっきのお漏らし  
(あちゃー、濡れてる……。る?)  
パンツにこびりついていたのはぬるりとした愛液だった  
それも少しじゃない  
 
白い愛液はおりもののようにナプキンに溜まっていた  
(……う、そ……)  
その愛液だまりにぽたりとまた愛液がしたたった  
(まだ……、止まってない……、濡れてる……、襲われる怖さで濡れてる  
 見られる怖さで、濡れてる……)  
鈴音は信じられない様子でアソコに指をやった  
「……ぅんッ」  
(やだ、気持ちいい……  
 ホントに、感じてる……  
 こんなに、感じてッ……るッ  
 どうして、こんなッ……にッ……)  
 
確かめるために伸ばしたはずの指が止まらない  
(あっ……、はぁっ……、くぅぅっ……)  
息を殺してこっそりとアソコをまさぐる  
「はぁぁぁぁ……、ああぁぁ……」  
ヒートアップした鈴音からは声も漏れ出し、しだいに動きも音も大きくなっていった  
だが、鈴音はいけなかった  
それどころか、必死になればなるほど快感は薄れていき、ついには指も止まってしまった  
 
(……どう……して……?)  
アソコは熱く脈打ち、その感覚は脳にもビンビンきていた  
体も心も今すぐイキたい衝動に包まれていた  
おあずけなんて耐えられない  
なのに感じない  
(なんで……? なんでよ……?!)  
四方を壁に囲まれた狭い個室で鈴音は一人あせっていた  
(……?)  
姿勢を変えようと動いた鈴音の手が個室の壁に触れた  
(壁……、ドア……、……ああ……、そうか……)  
イケない理由がそこにあった  
(ここには、『目』が、ないんだ……)  
 
しばらくして、駅の反対側の出口から鈴音が出てきた  
目標の次の駅まではすぐだ  
だが鈴音の足取りはのろのろとしていた  
まるでふらついているかのような歩み  
「あぁ……、ああぁ……」  
うつろな表情から力の無い声が漏れている  
それと、小さなモーター音が下のほうからも漏れていた  
ガーターベルトにはローターのコントローラーが止められていて、コードはスカートの中へ伸びている  
 
ふと、鈴音の視線が道行く男性と合った  
男性の視線がわずかに下がる  
胸だ  
胸を見ているんだ  
この人は私の胸をむちゃくちゃに……  
そう感じた瞬間、鈴音の背中をゾクゾクとした快感が駆け上がった  
(ぁあッ)  
鈴音は思わず声が出そうになった  
 
(ずっといい……、トイレの時よりずっと気持ちいい……)  
歩きながらのオナニー  
鈴音は付録のローターを使うことで、それを実現した  
(見てる……、見てる……、あの人も……、この人も)  
視線を感じるたびに刺激が背筋を駆け上がる  
膝を震わせ、もう歩けなくなった鈴音は近くの電柱へと寄りかかった  
酔っ払いのような動きの女に周囲の視線が集まる  
(見てるッ……、見られてるッッ……!!)  
「あッ……、はあぁッ! ぁああッッ!!」  
鈴音は電柱を抱きしめながらエクスタシーを迎えた  
「ぁああ……」  
ぐったりとした鈴音だったが、滴り落ちそうになっている涎をすすると、再びふらふらと歩き出した  
 
次の駅まであと2km  
たどり着くまでに、鈴音は何度絶頂に達するのだろう  
 
END  
 
 

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