私立椎木女子学校初等部。  
設立してまだ15年程度しか経っていない新しい私立校ではあるが、10人程度の少人数制のクラスという制度が奥様方に受け、  
今では児童数800名を数える大型校となっていた。  
学力も申し分なく、赤いブレザーに紺のリボンとスカート、そしてベージュのブラウスというこの学校の制服は、児童達の誇りだ。  
またこの学校では、クラスメイトの少なさによるコミュニケーション不足の解消を、豊富な部活動で補っている。  
だが、その「豊富すぎる部活動」には、問題のある部活も多い。  
 
そんな問題のある部活の一つがいる@化学実験室」の窓が、突然爆発する。  
下にいた茶道部の児童は ……突然の爆発にも動じる事なく、その場所から避難する。  
そして、安全な場所まで逃げた後、彼女達は口ぐちにこう言った。  
「また笠置さんが変な事した!」  
どうやら、あの部屋が爆発するのは日中茶飯事の事らしい。  
 
そして、爆発を起こした犯人もまた、その事を予測していたのか、廊下で科学室の破壊を見守っていた。  
制服を着ず、代わりにワンピースサマードレスを着用し、腕を組みながら満足そうに科学室を見守っている、眼鏡の美少女。  
彼女こそ、「変な事した笠置さん」 笠置霙(かさぎ みぞれ) 11歳。  
「魔法発明部」という謎の部活動(…と言っても部員は彼女一人なので厳密には同好会なのだが)に所属する女子小学生である。  
性格や言動は、一言で言うと変人、もしくは変態。  
だが、魔法か科学かは知らないが、彼女の開発する発明品の性能は折り紙つきだ。  
彼女は「少なくとも」自分が想定した通りの発明品を作り出してきた。  
 
爆発の後、化学実験室の中身は…なんと、カチンコチンに冷凍されていた。  
氷柱と青白い膜につつまれた教室を見て、霙は嬉々として独り言を喋る。  
「……よーしよし、『フロア型冷凍爆弾』の調子は凄く良い感じね…♪ 後は温度を調整すれば……。」  
しかし、そんな嬉しい気分も、後ろから聞こえる声で台無しになる。  
「笠置さん。」  
その声がした瞬間、先程まで笑顔だった霙の表情が、一瞬で曇る。  
まだ名前を呼ばれただけなのに、親に怒られた子供が見せるような拗ねた表情をしながら、霙は声の主を見た。  
そして、心の中で、(やっぱり貴方か…。)と呟く。  
 
声の主は、霙と同じクラスメイトの茉莉姫(まつりひめ)こなた。  
見た目は「制服に着られている」感じがする、大人しそうな美少女なのだが、中身は、超が付くほどの真面目娘であり、学校の風紀を乱すような輩は許さない性格だ。  
余談だが風紀委員でもクラス委員でもない。 だがその性格か、事実上クラス委員と言うややこしい位置にいたりする。  
 
おでこが目立つポニーテールの少女は、可愛い顔に似合わないしかめっ面で、霙を見つめていた。  
「……笠置さん、貴方また化学室を爆破したようですね。」  
「はい、しました。」  
すぐ観念する霙。  
こなたは頭がよく、更に口も上手い。しょっちゅう口論している霙には、その事がわかる。  
霙自身も小学生にしては知識はある方だが、残念ながらこなたとの論戦に勝てた事は一度もない。  
「いつも言っている事ですが、笠置さん。  
貴方は椎木女子学校の児童という自覚が全く足りません。」  
いやまぁ確かにこの学校に入れた事は光栄だけど、まだ子供の時点で学歴を気にしてたらこの先つまらなくなるわよ…と霙は言おうとしたが、やめた。  
もし言ったら烈火の如く怒り、そして泣いてしまうだろう。  
 
(……それにしても。)  
こなたの小言はとりあえず聞き流すとして、霙は、少し騒がしくなってきた少女を見つめる。  
体つきはまだ幼く、顔もまた、「小学生高学年」の顔だ。  
身長135cmくらいだろうか? ぽっちゃりはしておらず、細い腕と脚は、この年頃の少女だけが持つ事が出来る、美しいラインを描いている。  
(可愛いわね…… 悪戯しちゃいたいくらいに♪)  
両手を腰に当てて、少し上半身を乗り出しているこなたを見て、霙はふと、「良い事」を思いついた。  
 
「大体貴方!制服は―」  
そこまで叫んだこなたが、ふと、怒り顔を、きょとんとした顔に変えた。  
彼女の目の前に、突如、水色の風船のようなものが飛んできて、しかもそれが目の前で破裂したからだ。  
「きゃ!!」  
こなたは短い悲鳴を上げた後、風船の中から出てきた「煙」に、全身を包まれてしまう。  
霧の中からこなたの声は聞こえない。代わりに、「ピシピシ」と言った、氷が割れるような音が聞こえ始める。  
だが、音の正体は割れる音ではない、「氷が出来る」音である。  
霙は、こなたに向かって、先程自分が作り上げた「冷凍爆弾」を投げつけたのだ。  
それは空中で爆発し、その爆風は対象を燃やすのではなく、凍らせる。  
 
煙が晴れた後、こなたは確かにそこにいた。  
しかし彼女は、上半身を乗り出して、きょとんとした表情をしながら、その小さな体を氷の膜につつまれていた。  
大きく開けられた口や、細い手足、ポニーテールやスカートの下からはつららが垂れ下がっている。  
赤いブレザーに紺のリボンとスカート、そしてベージュのブラウスという制服も、半分近くが白く染められた。  
「………。」  
大きく開けられた口からは声は出ない。 最後に小さな悲鳴を上げたその瞬間を、固定されてしまったのだ。  
 
「……と言うわけで、これが小型冷凍爆弾よ。  
さっき化学室を凍らせたもののプロトタイプで、人間くらいなら一瞬でカチンコチンに出来るの。  
一瞬だから死なない、冷凍睡眠状態になってるから、命に別条はないわよ…。」  
そして、凍ってしまったこなたに向かって、霙は嬉しそうに説明を始める。  
こなたは勿論、うなづきも、逆に首を振ったりもしない。  
喋りも、瞬きもせず、ただ、上半身を少し前に倒し、瞳をまっすぐに向けた状態で凍っている。  
 
白い冷気が漏れ出している凍結こなたを、霙はひょいっと持ち上げる。  
「一時的に重力を無効化するグラビティなんたらー」と言いながら、彼女を化学実験室の中に連れて行った。  
相変わらず凍っている部屋に、凍っているこなた。  
これだけみると、霙の方が異端なものに見えるだろう。 部屋の中で動いているのも、霙一人だ。  
「それにしても制服制服って……、 前に言ったでしょうに、私は制服を買うお金が無いって。」  
こういうと 普段なら「レンタルがあるでしょ?」とか「じゃあ部活動でアホみたいにお金を使うのは何故?」とか返してくる。  
だが、凍ったこなたは勿論そうは言わない。ただ大きく口を開けているだけだ。  
霙はハンマーを取りだして、突然、こなたのスカートを軽く叩きだした。  
凍ってしまったスカートはガラスのように割れていき、少女のパンツを守る使命を放棄する。  
中から出てきたのは、可愛らしいショーツだ。少なくとも大人っぽくは無い。  
「ほうほう…… こなたさん。意外と可愛い趣味をしているではないですか。  
……ふふ、わざわざ人を凍らせる爆弾を作った甲斐があったってもんです!!」  
 
霙は変人であり、変態である。  
自分と同世代の女子児童のパンツや下着姿を見ると、凄く興奮するタチなのだ。  
勿論、その下着の中身を見るのも好きではあるが…。  
そして、その下着姿を見る為に、色々な発明をしだしたのが、「魔法発明部」の始まりなのである。  
 
上半身はビシッとした制服姿なのに、下半身は可愛いショーツ一丁。  
そんな情けない恰好にされたこなたをじーっと見つめているうちに、霙はとある事を思いついた。  
(そう言えば……凍って動けないんだから……。中身もみちゃおうか)  
すかさずハンマーを取りだして、 霙はこなたのショーツをゆっくり叩いた。  
中から出てきたのは…あったかそうな色をした、お尻。  
スカートとパンツの中まで冷凍爆弾は届かなかったらしく、お尻だけは肌色のままである。  
そして、こなたは上半身を前に倒している… つまり、お尻は後ろに突き出している状態だ。  
「………。」  
美味しそうなお尻だ。  
けど、こんなお尻の中にも、汚いものが詰まっているんだろうなぁ…。  
(だめ! 見るだけ! ……見るだけにしないと…!)  
頭を大きく振って、先程自分の中で生まれかけたイメージを振り払う。  
しかし、その欲望を抑えられるほど、霙は大人ではない。  
そして、凍っていて動けないこなたにも、彼女の行為に抵抗する権利は無い。  
 
霙は正直になる事にした。  
「ごめんねこなたさん。 ……可愛いから、可愛いから……ね。」  
凍っているこなたは反応しないが、お尻だけはまだ微かな温度を残している。  
付きだされたお尻、丸見えの穴。 ……その穴に、霙は、メスシリンダーを突っ込む。  
凍っているわけじゃなさそうなのに、こなたのお尻は堅い。  
…… けど、ゆっくり、ゆっくりそれははいっていく。  
「お……おお」  
直接触っているわけではないのに、霙は何故か、自分も気持ちの良い感触を感じていた。  
当たり前だ。本人は気付いていないが… メスシリンダーを持っていない左手が、自分の股をいじくっているからだ。  
無意識のうちに自慰をしている。  
今まで、口では全く勝てなかったこなたを、凍らせて、動けなくして……そして……。  
「んんぅ!!」  
……メスシリンダーが奥まで入った瞬間、霙は絶頂を感じる。  
それと同時に、今、自分が自慰行為をしているという事に、はじめて気づいた。  
「…… ……はぁ……。」  
なんという、絶好のチャンスに…… 自分でイッてしまうなど。  
しかし、ここまでやっておいて、こなたが目覚める様子は全くない。  
冷凍爆弾の性能のチェックが出来ただけ、霙は良かったと思う事にした。  
 
 
結局こなたには、自分の制服のスカートを着せて解凍する事にした。  
パンツはどうしようもないのでそのままだが…。  
このまま保存してあげてもよかったが、それだと色々面倒そうなので、解放する事にしたのだ。  
彼女は別れるまで、相変わらず強気だったが…遠くから彼女の悲鳴が聞こえてきた。  
どうやらパンツが無い事に気づいたらしい。  
 
「……けど、良かったなぁ…… こなたさんのお尻。」  
霙はうっとりとしながら、こなたのお尻に突っ込んだメスシリンダーを舐め続けていた。  
 
 
翌朝。  
こなたはランドセルを背負い、怒り顔で登校していた。  
「笠置さんと別れた時は日もかなり暮れてたし、パンツも無かったし…絶対彼女、何かしたわね……!!  
こうなったら彼女を叩いてでも、私に何をした―」  
 
次の言葉は出なかった。  
突如、彼女の後ろに飛んできた風船が爆発したからだ。  
こなたは昨日と同じように、一瞬で凍ってしまった。  
歩きながら、怒りながら、冷凍されたのだ。  
その後ろから、霙が嬉しそうな声で近付いてくる。  
「さぁて…… ちょいと 私の発明につきあってもらうわよ!……恋愛と言う、発明にね!!」  
こうしてこなたは 外的要因のせいで、入学時からずっと続いていた皆勤賞を逃す事になり、  
……いつしか二人はお互いを大事に思いあうようになるのだが、それはまた、別のお話……。  
 
 
 
私立椎木女子学校初等部は、児童達の意志を尊重するという事で、部活動の活動には極力口を出さない方針でいる。  
だが、教員たちは、「それが良い方向ばかりに働かない」と言う事は…見ないふりをしていた。  
 

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