「ほら皇女様、しっかりと踏ん張っていてくださいな。  
 それとも椅子に座る癖がついてしまって、立てませんか?」  
裸の少女を嬲りながら女が囁く。  
少女――“元”皇女アリンは唇を噛み、後ろ手に縛られたまま大きく股を開く。  
 
彼女は3日前までクウェラ帝国の皇女であった。  
しかし革命が起き、帝国が打倒された今は一人のうら若き女囚でしかない。  
 
ただ、アリンは並の少女ではなかった。  
慎重に溝を彫り宝石を埋め込んだようなブルーの瞳。  
眉からすっと伸びた小さな鼻梁。  
上唇のやや尖った薄い唇。  
そして額を、頬を、そして肩をやわらかく包む陽光のような髪。  
「ひょー……改めてじっくり見ると、本当に人形みてぇだな」  
「あぁ、人形屋のオリグもあれを模して何度も挫折したって言うぜ」  
「今何歳だっけ…え、14? へぇ、の割に随分良い脚してるな」  
国民が口々にアリンを品評する。  
 
彼女は今、査定されていた。  
皇族としての罪がどれほどの物かを図る為だ。  
この国の宗教観では、女性の陰核の感度がその罪深さを示す指標だった。  
陰核は「快楽を生むだけ」の不浄の器官とされたのである。  
女の場合、その陰核への刺激でどれだけ悶え乱れるかで刑罰が決まった。  
 
帝国に関わるすべての女性が査定を受けた。  
アリンの母、アグネアは若い頃娼館で働いていた為、熟しきった身体が快楽を拒めなかった。  
結果極刑とされ、四肢を縛られてどこかへ連れ去られた。  
アリンの姉、サリファはそのプライドの高さゆえ、身体を汚される前に舌を噛んだ。  
アリンの親友、シスター・ケイシーは極度の不感症であったため、3年の肉体労働で済んだ。  
 
そしてついに最後、クウェラ帝国第二皇女、アリンの査定が始まったのである。  
 
アリンは背筋を伸ばし、毅然と前を見据えたまま辱めに耐えていた。  
耐えなければならない理由があった。  
今回の革命は成功したが、それは急進派勢力が穏健派のそれを僅かに上回る辛勝だった。  
今ならばまだ、穏健派でアリンの力になってくれる者もいるはずだ。  
だが年月が経ち、新たな国で急進派が支配的になればそれも叶わない。  
父が殺され、母が連れ去られ、姉が死んだ今、鍵となるのはアリンしかいないのだ。  
チャンスは短い。  
この査定で身の潔白を証明し、なるべく早く勢力を立て直さなければならない。  
 
しかし、アリンは心配で仕方なかった。  
彼女は元来、性に関心の強い性格だからだ。  
修道院で姦淫することなかれ、肉欲に溺れる事なかれ、と説かれるたびに窮屈な思いをしたものだ。  
何度も同室のケイシーと折り重なり、互いの花園を舐めあっていた。  
自慰を覚えたのは物心つく前だ。  
そんな自分が、果たして……耐えられるのか?  
 
「あら皇女様、太腿がひくついてしていますわ。おしっこでもしたいのかしら?」  
女の言葉に、アリンは後ろ手に縛られた手を握り締める。  
 
女の指は陰核を撫でるように往復しながら、蜜を執拗に塗りつけている。  
果実酒のようなきつい匂いのする蜜だ。塗られた部分が一瞬熱く、次いでひんやりと冷える。  
冷えた後は神経が剥きだしになるような感覚で、どくどくと脈打つのだ。  
アリンはそのせいでもうかなりの汗をかいていた。  
「あら皇女様、愛らしいクリトリスがどんどん硬くなって参りましたわ。  
 コリコリしてとても美味しそう」  
女がそうなじりつつ、足元から一つの瓶を取り出した。  
中を見てアリンは思わず目を剥く。  
瓶の中には水に近い透明な色をした、蠢く軟体生物がいる。  
 
「特殊なヒルですわ。血を吸ったりはしないのですが、代わりに、この蜜が大好きですの。」  
女が周囲に聞かせるように語りながら、瓶に先ほどからアリンに塗りたくっている蜜を一滴垂らした。  
その瞬間。  
「キィイーー!!」  
金属を引っかくような音が発せられた。ヒルの鳴き声だ。  
ヒルは頭から蜜を被ると、狂ったように瓶の中を転がり始めた。  
喜んでいるのか、狂っているのか。  
「な…何の音だ?」  
「気持ち悪い……なに?」  
周囲から動揺気味の声がする。離れた場所からはこの透明なヒルが視認できないらしい。  
 
見えなくとも、そのヒルがただ出されただけでは無いのぐらいわかる。  
アリンは自分の血の気が引いていくのを感じていた。  
女がそのアリンを見上げて笑う。  
「ふふふ……気付きまして?貴女のお母さん、アグネア様もこのヒルに『ココ』を吸われていたのよ」  
女がアリンの陰核をとんとんと叩いて言った。  
アリンは思い出す。  
母が、あの淑やかさを大言するような穏やかな母が、聞いた事もない低い声でうめきながら転がり回っていた事を。  
何度もあさましく腰を地面に打ち付け、ぶりぶりと大便まで漏らして泣き叫び。  
ヒルが陰核に吸いついていたというのなら、その全てに説明がつく。  
確かに、申し訳程度に嬲られる様からは想像できない乱れようだった。  
 
「ふふ、全部を理解できたようね、美しい皇女様。  
 ごめんね?貴女が耐えてるのは解るけど、どうしても貴女を極刑にしたい人たちがいるのよ」  
女が笑いながら瓶に手を入れ、ヒルを掴みだす。  
「やめてっ!」  
アリンは余りの汚辱感にたまらず叫んだ。  
動揺するアリンの太腿に飛びついたヒルは、陰核の蜜へと一目散に擦り上がる。  
そして強かに吸い付いた。  
「うう!!!」  
アリンの金髪が風に泳ぐ。柳眉がきつく寄せられる。  
ちゅう、ちゅう、ちゅう、と吸われ、先ほどまでイヤというほど嬲られていた陰核から電流が流れ出す。  
「…はぐっ!」  
アリンは目を見開いた。  
そして膝頭を微かに震わせると、ぺたりとその場にへたり込む。  
 
「まず、1回」  
女が見下ろして呟いた。  
次いでその視線は、ヒルに吸われて高くしこり立った陰核に向けられる。  
「まるでおちんちんね、皇女様。  
 ……ここからは、麗しい姫様の射精大会よ」  
 
 

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