最強の空手家像ってやつを教えてやろう――  
 まず身長――176センチ。  
 体重――胸に脂肪を残して60キロ。  
 ベンチプレスは……どのぐらい上げられるのか知らないや。  
 その脚力は100メートルを11秒台で駆け抜ける。  
 そしてそのパワーは――欧米人を遥か凌駕するッ!  
 とまあ、そんな体力バカが俺の目の前に立ち塞がっているわけだ。空手家ではなくバスケ選  
手だけど。それもこの夏に引退したけど。  
「やっぱりね。サブミッションって大事だと思うのよ!」   
 馬鹿げた体力の体力バカ――美空姉ちゃんはぴょんぴょん跳ねながらそう言った。シャツの  
中でブラに拘束されていない乳房がぶるんと弾ける。  
 彼女の足元には『喧嘩商売』の単行本。やれやれ、この展開は俺に格闘ごっこに付き合えと  
いうことらしい。正直勘弁して欲しい。いや姉ちゃんだって本気は出さないだろうが『猫に本気で  
襲われるのと虎にじゃれつかれるのはどっちが怖い?』と、そういう話である。  
「たとえばさ――」  
 姉ちゃんの言葉を聞き終えた瞬間、俺の目の前には純白のショーツがあった。  
 とびかかってきた美空姉ちゃんの股間である。その光景が網膜に残っている間に頭を両足で  
挟まれる。幸せに浸る間もなく半回転して床に叩きつけられる。いろんな意味で若い娘さんの使  
う技ではない。薄い絨毯ではクッションとしては心もとないが、そこは姉ちゃんの技術によるもの  
だろう。対して痛くはなかった。そんな気遣いするぐらいならそもそも投げないで欲しい。  
「ちょ、ちょっと待ってって!」  
 組み伏せた俺の腕を取ろうとする姉ちゃんの右手首を掴んで止める――いや、止まらない!  
「んー。力比べ、する?」  
 俺に手首を掴まれているのにも関わらず、姉ちゃんはそのまま強引に俺の腕に手を伸ばして  
くる。女の力じゃねえ。  
「なんつってね」  
 俺の足を姉ちゃんの空いた左手が掴んだ。と思った次の瞬間には俺の身体は掴んだ姉ちゃ  
んの手を軸にダイナミックな回転をしていた。前言撤回。人間の力じゃねえ。  
 あおむけからうつ伏せになった俺。驚いて力が緩んだ瞬間に俺の手を逃れた姉ちゃんは素早  
く俺の背中へ跨り、流れるような動作でチョークスリーパーに取っていた。取られてしまった。絞  
められてはないけど。  
「ね。これでぎゅーってすればどんだけタフでも倒せるじゃない」  
 俺の首に腕を絡めて耳元で囁く無邪気な声。字面だけ捉えればロマン溢れるではないか。  
「いやそうだけど、そんなことより……」   
 そんなことよりも。ぴったり張りついた身体と身体とか。背中に当たる柔らかな膨らみとか。  
 こんなの昔っからいつものことなのに、妙に意識してしまう。  
 昨夜『あんなこと』があったから。  
 そうだ。『あんなこと』があったんだ。  
 それなのに姉ちゃんはどうしてこんなにも、いつも通りなのだろう。  
 どうしてこんなにもいつも通りで居られるのだろう。  
「ぎゅー」  
 ふざけた声とともに『ぎゅー』っとされる。どれだけタフでも倒せると豪語したが、俺の意識はし  
っかりしている。  
 姉ちゃんの腕は首から俺の頭へ移っていたから。  
 倒せるはずがない。  
 優しくその胸に抱いてくれただけなのだから。  
「姉ちゃん……?」  
「ぎゅー。よしよし」  
 頭を撫でられる。  
 ……これは一体、なんなんだ。  
 何故だか抵抗できないのだが、いつまで抱き締められて撫でられていればいいんだろう。  
 
 犬か何かになった気分だ。  
 
「何をしているの?」  
 何とも言えない空気を粉々に破壊してくれたのは、透き通ったソプラノボイスだった。  
 視線を移すと、戸口のところにぴんと背筋を伸ばして立ち、訝しげな目でこちらを見ている人  
物が一人。  
「お、七海ちゃん。おはよー」  
「おはよう、姉さん。……で、朝早くからリビングで何を騒いでいるのかな?」  
 どうやら七海お姉ちゃんの目が細められているのは眠気のせいだけではないようだ。現在、  
日曜の朝八時。いつもなら七海お姉ちゃんはゆっくり寝てる時間である。  
「えーっと、ね。お姉ちゃん、これはねえ……」  
「愛しい弟を可愛がってやってるのだ」  
 七海お姉ちゃんの眉が微かに吊りあがる。美空姉ちゃん、ちょっと黙ってて。  
「姉さん……姉さんはもしかして今、私に喧嘩を売っているのかな?」  
「んにゃー」  
 俺の背中から美空姉ちゃんが離れる。軽い足取りで七海お姉ちゃんの前へ。そして――  
「怒るなよー。もう、可愛いなあ」  
 抱きついた。何やってんだこの人。  
「朝からあまりうるさくしないでよ姉さん」  
「んにゃー」  
「わ、か、った、の?」  
「……ごめんね」  
 素直に謝れて気が済んだのか、七海お姉ちゃんは美空姉ちゃんの腕を離れて二階の自室  
へ戻って行った。ちなみに俺はというと、いつでも逃げられるように窓辺へ移動していた。  
「怒られちゃった」  
 俺の方を振り向いて肩をすくめる美空姉ちゃん。  
「ま、仕方ないね。それより――」  
 一旦言葉を切った姉ちゃんの表情が俄かに真剣味を帯びる。  
「元気無いね」  
「そんなこと――」  
「嫌だった、かな?」  
 誤魔化す言葉をかき消して美空姉ちゃんは言う。ついさっきまでのおふざけのことを言ってい  
るのではないことぐら俺にだってわかる。だってその声はどこか、泣きそうな迷子のようで。  
「俺は……」  
「もしそうなら、ごめん。……ううん、謝って済むことじゃあ、ないよね」  
 俯いて、くるりと振り返る姉ちゃん。リビングを出ていくその背中に、俺は何も言うことができな  
かった。  
 数秒そこで呆けてから、長く溜息をつき「朝飯作んなきゃ……」と独り言を呟いてから動き出し  
た。なんだかやけに情けなくて泣きそうになってくる。  
 
「うひゃー! いい汗かいたー! シャワー浴びよーっ!」  
 朝ごはんが出来た頃合いを見計らって降りてきた美空姉ちゃんは何故か汗まみれで呼吸も  
乱れていた。自分の部屋で一体何をしていたのだろう。  
「もうすぐ全部できるから、すぱっと入ってきなよ」  
 努めて平静を装って言う。  
「あいあーい」  
 返事する声はいつも通りの姉ちゃんだった。俺と同じようにメッキの平静なのかどうかは判断  
がつかない。  
 数分遅れて七海お姉ちゃんが降りてくる。よっぽど気持ちよく二度寝していたのだろう。ふらふ  
らとおぼつかない足取りで洗面所に歩いて行った。おはよう、と言ったところで聞こえないだろう  
から今は無視。  
 食卓に三人出揃うまで十五分弱。  
 風呂上がりの美空姉ちゃんはいつものシャツに下着に首にタオルをかけていた。  
 七海お姉ちゃんの方はすっかり目が覚めたのか凛とした顔に戻っていた。これから部活なの  
かセーラー服に身を包んでい軽音楽部の新部長さんは忙しいらしい。  
「おかわり、おかわり、おかわりだー」  
「どうせ二合は食べるのだから、炊飯器から直接食べたらどうだろうか、姉さん」  
「いやそれは行儀が悪いなんてレベルじゃないから」  
 普通も普通。いつも通りの朝食の風景。  
 普通なのが異常だった。  
 
 朝食を済ませてしばらくすると、七海お姉ちゃんは部活のために家を出て行った。俺と姉ちゃ  
んは用も無く、家に残った。うちの親は二人とも仕事人間で家にはほとんど居ない。「七海が居  
れば大体なんとかなるだろう」と言うのが両親の弁。実際に家事をやっているのはほとんど俺な  
のだが、その辺についてどう思ってるのだろうか。  
 まあとにもかくにも、今うちに居るのは俺と美空姉ちゃんの二人きり。重要なのはそこだ。  
 なんとなく落ち着かない俺はソファに寝転がって面白くもないテレビを眺めていた。  
 姉ちゃんの方は何故か部屋の隅でスクワットをしていた。シャツと下着なので谷間とか股間と  
かが偉いアングルで見えたりするのだが……勘弁してくれ。  
 それきりそちらの方を見ないようにしていた俺は、いつの間にか姉ちゃんがすぐ後ろに立って  
いるのに気がつかなかった。  
 正直かなり驚いたのだが、それを押し隠して「どうしたの?」と訊いた。  
 姉ちゃんは、彼女にしては珍しく、沈んだ面持ちで言った。  
「動いてるとね、大抵のことは頭から吹っ飛んで行くんだ。でもね、今回はダメ。多分、そんなこ  
とでふっ飛ばしちゃいけないんだと思う」  
 一旦言葉を切った姉ちゃんは深く、深く呼吸して、真っ直ぐに俺の眼を見た。  
「大事なことだから、耳の穴かっぽじってよおく聞くように――あたしは、大地のことが好き」  
「それは――どういう意味で?」  
「よくわかんない……大地は弟で、あたしはお姉ちゃんで、それが行き過ぎて『こう』なっっちゃっ  
たのか。男の子の大地を女の子のあたしが好きなのか……よくわからないけど、あたしがあんた  
が好き。大好き。それはわかるんだ」  
 それで、と彼女は言う。  
「大地は――あたしのこと、好きなのかな?」  
 じっと目を見つめられたまま、真顔で尋ねられる。  
 答えを言うなら、好きだ。  
 だけど俺の『好き』は、はたして姉ちゃんの言う『好き』と同じなのかどうか。気まぐれで、まるで  
綺麗に晴れたり雨が降ったりの空のようにころころと変わる表情が好きだ。底抜けに明るくて子供  
っぽいところが好きだ。何がなんだかわからないけど、とにかく好きだ。  
 わからない――姉ちゃんもわからないと言った。  
 もしかしたら……俺と同じように姉ちゃんも何もわからないまま、だけど大好きで、ただそれだけ  
なのかもしれない。俺と姉ちゃんで決定的に違うのは、ストレートに相手にぶつかるかどうか、そ  
だけなのかもしれない。  
「俺は……」  
 美空姉ちゃんはこういう人だ。感情にブレーキは無い。小賢しいハンドル操作もない。急発進、  
急加速、最高速度でいくとこまでいく。俺は弟だから、生まれた時から姉ちゃんの弟だったのだ  
から、それをよく知っている。だから、それをよく知っている俺は、それを受け止めなくちゃならない。  
 ソファから降りて、姉ちゃんのすぐ近くに立つ。俺より高い位置にある目を見返して、言った。  
「俺も姉ちゃんが好きだ。わけわかんないけど、とにかく好きだ」  
 背伸びして驚いた顔をしている姉ちゃんの頬にキスしてやった。昨夜はわけもわからないうちに  
キスされたから、お返しだ。  
「大地……」  
 数秒の間きょとんとしていた姉ちゃんだが、みるみるうちに大きな猫目の目尻に涙が貯まっていっ  
た。感極まった姉ちゃんは俺の背骨を折らんばかりの勢いで抱きついて来た。マジ痛い。  
「大地ーっ! 大好きっ!」  
「いや、ちょ、くるし……」  
「好きだよ大好き! 可愛いなあもう! ぎゅーってしてすりすりしてぺろぺろしたい!」  
 ぎゅーもすりすりもぺろぺろも既にしてるじゃないか。そんなことより力を緩めてくれ。  
 これ以上は本気で意識を失うかもしれないと思った俺は逆に姉ちゃんを抱き返してソファにダイブ  
した。  
「んにゃー。何すんのー?」  
 ナニするんだ、とか言ったら俺は俺を許せなくなるので黙っておく。というか姉ちゃんの腕が緩んで  
やっと酸素にありつけたのでそれどころじゃなかったのだが。  
「昨日のリベンジ? 朝ごはん前にシャワー浴びといてよかったかな。食後の運動にもなるし、しちゃ  
おっか」  
 しちゃおっか、って……断る言葉が一切出てこない自分が情けな――いや、そんな俺が大好きだ。  
「昨日よりもっと、らぶらぶっぽいエッチしようぜ〜」  
 そう言う姉ちゃんが、舌舐めずりする魔女のように思えたのは、あながち間違いじゃないだろう。  
 僕の下で悪魔じみた笑みを浮かべる姉ちゃんに覆いかぶさるようにして、言う。  
「望むところだよ。らぶらぶっぽくしてやる」  
 
「っていうかあたしが言うことじゃないよね。昨日は、ごめんね。なんかあたしも暴走気味だったって  
いうか、言い訳するつもりじゃないけど、大地がどこか行っちゃいそうで怖くて、だから――」  
 それ以上聞いても面白い話じゃないのは明らかだった。だから俺はその口を塞ぐ。多少強引な方  
法を取ることになったが、そのまま聞き続けてはいられなかった。  
「ん、んむ……」  
 おしゃべりな口を黙らせるには、口で塞いでやるのが一番いいだろう。  
 そのまま長く、長く、姉ちゃんの口を吸う。  
「ぷはっ……」  
 ついに呼吸の限界がきて唇を離す。息をしなくちゃ生きていけないなんてとんでもない欠陥だ。  
 とろんとした瞳で俺の顔を数秒見つめて、照れ笑いする姉ちゃん。つられて俺も笑った。  
「姉ちゃん、脱がすよ」  
「ん」  
 シャツをたくし上げると、二つの熟れた果実が姿を現した。正直、言葉にならない。不思議な感動  
に打ちのめされてしまった。昨日は真っ暗だったから、まじまじと見るのはこれが初めてなのだ。  
「すごい、ね。なんか……」  
「んあー。うれしハズカシ」  
「さわっていいかな?」  
 まさか拒否されるとは思っていないが、許可でも貰わないことには触れてはいけないような気がした。  
「もちろん。思う存分もみもみしてぱふぱふしていいよ」  
 生唾をひとつ飲み込んで、おそるおそる触ってみる。まるで吸い込まれるように指先が埋もれていく。  
柔らかいなんてもんじゃない。もっと、強く揉んでみてもいいものだろうか。ちらりと姉ちゃんの顔を見る  
と、目と目が合って、くすりと笑われた。「いいよ」って言われた気がした。少し力を入れて揉む。揉みし  
だく。姉ちゃんの胸が、俺の手の中で自在にかたちを変える。こんな物質がこの世にあるものなのか。  
「ん……ふ……」  
 足をもじもじを動かして僅かに身悶えする美空姉ちゃん。  
「もしかして、感じてる?」  
「もしかして、じゃあないよ。きゅんきゅん感じてるよ」  
 きゅんきゅんなんですか。それは嬉しい。  
「ね、大地。座っててよ」  
「ん?」  
 どいてどいて、と姉ちゃんの上から下ろされる。おっぱい残念半分、期待半分でその言葉に従う。  
 ソファから降りた姉ちゃんは悪戯っぽく笑って、  
「一回やってみたかったんだよね。フェラとパイズリ」  
「あん?」  
 何だって?  
「ふっふっふ〜ん」  
 嬉しそうに俺のズボンに手をかける美空姉ちゃんに、俺は抵抗することも忘れて今の言葉を脳内で  
反芻していた。知っている言葉のはずなのに、何を言っているのか理解ができない。下着の中からこ  
ぼれ出てきた俺の一物を見て、姉ちゃんは感嘆の吐息を漏らした。  
「うひゃあ、改めて見てみると、なんだかアレだね」  
 アレってなんだ。可愛いと言われたら若干悲しいぞ。  
「う〜ん。お腹のあたりがじんじんする」  
 それじゃいただきます、と言って姉ちゃんは――躊躇いなくそれを口に含んだ。  
「ん、じゅるっ……んむ」  
 本当に咥えている。本当に咥えられている。あの姉ちゃんに。あの姉ちゃんが。  
「うわ、これ、すご……」  
 みっともなく喘ぐ俺に、姉ちゃんは満足そうに目を細て一物から口を離した。銀の糸が一瞬光る。  
「まだ我慢してよ。本番はこれからなんだから。よっせ……」  
 美空姉ちゃんはその立派に育った乳房で俺の一物を挟みこんで、両手を使って擦り上げた。  
 なんて弾力。なんて圧力。それなのに優しいほど柔らかい。  
 想像もしなかった感触に目がチカチカする。電流が駆け抜けているようだった。  
「ちゅっ、ぺろ、ちゅる」  
 その上姉ちゃんが先端にキスをし、さらに舐めまわし始めたものだから、一気に絶頂の高みまで押し  
上げられてしまった。  
 何か言う間も無く、美空姉ちゃんの顔に思い切り射精してしまう。  
「んにゃー。いっぱい出たねー」  
 怒られるかとも思ったが、姉ちゃんは嫌な顔ひとつせずに呑気な口調で言った。むしろ微笑んでいる  
ようにすら見える。  
 
「どう? せーしかかった顔、エロい?」  
「エロエロだよ姉ちゃん」  
「そそる?」  
「ギンギンだよ姉ちゃん」  
 へへへ、と笑って姉ちゃんは自らの顔についた精液を指で掬い取り口に含んだ。  
「ちゅぽ……うへえ、変な味」  
「世界三大珍味にノミネートされてるよ」  
 テーブルの上のあったティッシュを渡す。エロエロだけど、いつまでも精液まみれにさせておくわけ  
にもいかない。  
「んあー。ありがと」  
 顔をふきふき。姉ちゃんはティッシュ箱をテーブルに戻すと、そのままこちらを振り返らずにテーブ  
ルに手をついた。肩越しに俺の顔を見て、悪戯っぽく笑った。  
「エロエロでギンギンになったの、ちょうだい」  
 お尻を上げておねだりしてきた。血流加速血圧上昇。鼻血が出そうだ。  
「で、では遠慮なく」  
「どうぞ召し上がれ」  
 既に湿っていたショーツを下ろす。こっちも、まじまじと見るのは初めてだ。  
 桜色の肉壺が、ひくひくと動いていた。まるで俺を誘っているように。俺を欲しがるように。  
「毛、薄いんだね」  
「んあー。そうなのかな? あんまり人の見たことないからわかんないけど」  
 まあ俺はよく見てるからな。画面の中で。  
「触るよ」  
 割れ目にそって指を這わせる。美空姉ちゃんが押し殺したような吐息を漏らす。ゆっくり、ゆっくりと  
なぞる。ぷっくりと膨らんだクリトリスに指先が触れると、姉ちゃんが「ひぅぅ」とか細い声を上げた。  
「やばい、すごい可愛い」  
「真顔で言わないでよぉ、恥ずかし過ぎておしっこ漏れそう」  
「あ、いいねそれ。ちょっと見たいかも」  
 俺の軽口に「変態め」とくすくす笑って答える姉ちゃん。  
「ね、もう我慢できないよ。お願い、ぶちこんで」  
 姉ちゃんは片手で自らのアソコを広げて、濡れた瞳で本格的におねだりしてきた。  
 今の間に俺のものもすっかり復活している。俺は蘇ったそれを彼女の入り口へとあてがった。  
「じゃあ、いくよ」  
「うん」  
 美空姉ちゃんの返事を聞くと同時に、一気に押し込む。  
「はうっ! くぅぅん」  
 なんだ、これ。  
 姉ちゃんの中がうねうねと動いて絡みついてきて、擦り上げてきて、揉み下ろしてきて。それにすごく  
熱い。融けてしまいそうなほどに気持ちいい。  
「あっ! 何これ、すごい、すごいよぉ……」  
 それは姉ちゃんも同じようで、甘えた声で鳴きながら一心不乱に腰を振る。俺も快感に駆り立てられ  
るまま、がむしゃらに姉ちゃんのひきしまったお尻に腰をうちつける。  
「あっ! ああっ! やっ! だめぇ、だめっ、だよぉっ!」  
 息も絶え絶えに言いつつも、姉ちゃんの腰の動きはますます早まっていく。ダメというなら、俺だって  
もうダメだ。それに呼応してピストン運動を加速させる。絶頂を目指して。  
「あっ、あっ、やあああぁああ!」  
 姉ちゃんの身体が跳ねる。と同時に――俺は彼女の中にあらん限りの昂りを叩きつけていた。  
 びくん、びくんと姉ちゃんの身体が俺の射精に合わせて痙攣する。精液の最後の一滴まで搾り取らん  
とする動きだった。血を分けた弟の精が欲しくて身を震わせているのだ。  
 
 ぐったりと力の抜けた姉ちゃんの身体をソファに横たえる。俺より大きい姉ちゃんの身体がやけに軽  
く思えた。俺の一物が抜けて、姉ちゃんの内腿を精液と愛液の混じった白濁とした液体が濡らした。  
「はっ、はあ、はあ……らぶらぶっぽくって言ったのに、ケモノみたいだね。ビーストだよ」  
「いや、ごめん。なんか、止まれなくって」  
「あたしも同じだからいいよ」  
 身を起こした姉ちゃんはソファに座って呼吸を整えていた俺の肩にしなだれかかってきた。そのまま  
首筋を舐め上げられる。上へ上へと上って行き、耳たぶをはむはむと甘噛みした後に胴の方へ移動。  
乳首をぺろりと舐め、ちうちう吸われる。こそばゆくて仕方ない。  
「何やってんだよ姉ちゃん」  
「んあー。復活するかなあと思って……ねえ大地、もう一回、しよ?」  
 普段は身長差的に俺が見下ろされるかたちになっているから、姉ちゃんから上目遣いで懇願される  
なんて初めてのことで――なんか初めてのことばっかりだな今日は……当然断れるはずもない。  
 姉ちゃんの肩を抱いて押し倒す。あの体力バカの美空姉ちゃんがいとも簡単に俺に組み伏せられて  
しまった。これは、なんか妙に気持ちがいいな。無意識の打ちに鬱憤が貯まっていたのだろうか。  
「いくよ姉ちゃん!」  
「来い弟!」  
 挿し入れる。一気に奥まで。  
「ひゃうっ! き、たぁ……」  
 さっきもそうだったけど、姉ちゃんはこうやって一気に押し込まれるのが好きなのかもしれない。さす  
がブレーキの無い超特急だ。  
 二度、三度と突いていくうちに素敵な発見をする。  
 さっきは姉ちゃんの背中しか見えなかったけど(もっともそれはそれでとても良いものだった。運動し  
ているだけあって腰のくびれとか筋肉の付き方が格好いいのだ)、この体勢だと暴れん坊おっぱいが  
堪能できるのだ。  
「姉ちゃん、ちょっとこう、腕組んでみて」  
「んあー。こう?」  
 俺に言われた通り胸の下で腕を組む姉ちゃん。乳房がより一層たぷんたぷんと揺れる。これはもう  
マシュマロどころかプリンくらいの弾力はありそうだ。俺が姉ちゃんを突き上げる度にばいん、たぷん、  
と揺れるおっぱいに俺の脳まで揺れてきた。  
「大地って、おっぱい好きだよね」  
「え? ああ、まあ……いえ、大好きです」  
 ここでお茶を濁しては男じゃないだろう。姉ちゃんは嬉しそうに目を細めた。  
「あたしさ、昔は自分の胸嫌いだったんだよ、邪魔だし。でも大地がさ『おっぱいは悪くない。おっぱい  
に負けない女になればいいだけの話だろ』言ってくれて、それであたし自分の胸も好きになれたんだ」  
「……」  
 そんなこと言ったのか。記憶が無いのがせめてもの救いかもしれない。  
「だからさ、この胸、大地の好きにしていいよ。あんたのおかげであたしも好きになったおっぱい」  
「い、いただきます!」  
 そんなこと言われたら断れない。断らない。  
 先端でぴんと尖った乳首に夢中でしゃぶりつく。  
「にはは。赤ちゃんみたい。よちよち」  
 頭を撫でられる。ある意味では屈辱的なのかもしれないが、全然気にならない。むしろもっとして欲し  
いだ。  
「こうしてると、大地の赤ちゃんが欲しくなってきちゃうかも。パパだけど弟……変なの」  
 自分で言って自分で笑う姉ちゃん。多分わかっていないのだろうが、そんなことを言われたら俺の息  
子が爆発してしまいそうになる。パパだけど弟のムスコ……なんだそりゃ。  
「姉ちゃん。俺また出そうだよ」  
「ん。いいよ、ぴゅっぴゅしちゃって」  
 姉ちゃんの足首を掴んでお尻を上げさせ、射精に向けて動きを激しくする。肉と肉がぶつかり合って  
滑り気のある汁を飛ばした。  
「あっ、急にはげし、くぅっ!」  
「油断して余裕こいてるから」  
 突然の激しい責めに姉ちゃんは喉を反らしてぜいぜいと切羽詰まった呼吸を繰り返す。数キロ走った  
程度では乱れない息が、こんなにも余裕がなくなって。  
「あんっ! はうっ! ああっ! だ、大地ぃ! 好きだよぉ」  
 姉ちゃんが両手両足で俺の身体にしがみつく、その瞬間。  
 ――どぴゅ、びゅっ、どくん。  
 三度目だと言うのに、今日一番の射精だったかもしれない。姉ちゃんの膣一杯に精液を流しこんで、  
俺は深く息を吐いた。姉ちゃんはお腹のあたりをさすって幸せそうに微笑み、言った。  
「大好きだよ大地。何回でも言うよ。大好き」  
 
 あの後、大好き大好きと言って離れない姉ちゃんに再び欲情した俺は、結局たっぷり十ラウンドは闘  
ってしまった。その後二人でシャワーをあびてべたべたのぬるぬるになった身体を洗った。  
 そして今、日曜の午後の街、二人。  
 身体を動かした後はご飯、と言う姉ちゃんに連れられて街へ繰り出したのだ。正直なところ俺は体中  
がだるいのだが、一歩前を歩く姉ちゃんは今にも走りだしそうなほど軽やかな足取りだ。さすがである。  
ちなみに姉ちゃんはいつも通りのジャージ姿で、ちょっとオシャレしてみせる素振りさえなかった。まあ  
らしいといえばらしいが。俺だってそんなに気合入れてるわけじゃないし。まあ、恋人というのとはまた  
少し違うのだから、こんなものでいいのだろう。  
「あ、あそこの店! 美味しくて量もけっこう出てくるんだよ!」  
 そう言って姉ちゃんは古ぼけたラーメン屋を指差した。俺の話も聞かずに中に入って行ってしまう。  
後を追って店内に入ると既に姉ちゃんは二人分の席を確保していた。  
「あたし醤油と味噌と塩と豚骨ひとつずつで、大地は何がいい?」  
「タンメンで」  
「あいよー! ……なんだって!?」  
 一度は頷いた店主だが、すぐに驚愕に顔を歪めた。姉ちゃんがもう一度注文を繰り返すと、黙って  
頷いたが。  
 よく食べることだ。いくら食べても太らない人なのでいいが。太らない秘訣は『動くこと』だそうだ。暇  
潰しに腕立てやスクワットに勤しむようになれば誰だって太らない。美空姉ちゃんの一日の消費カロ  
リーってどのぐらいなんだろう?  
 食事を済ませた後、ボーリングやバッティングセンターなどが混在するスポーツセンターに来てみた。  
身体を動かしてないと落ち着かない姉ちゃんだから、遊ぶならこういう場所の方がいいだろう。泳ぎ続け  
ないと死ぬ魚に近いものがあるのかもしれない。  
 姉ちゃんが真っ先に目をつけたのは野球ボールを投げる的当てゲームだ。昔これを達成したらウン百  
万とかテレビでやってたなあ。  
「うっし、いくぞ!」  
 姉ちゃん、振りかぶって、投げた。外角高め、ストライク。備え付けのスピードガンに表示された数値は  
102。案外普通だな。――単位がmi(マイル)で表示されてるのは業者のミスだろう。  
「あーあ、後一個だったのに」  
「残念だったね」  
「あー悔しい! 次、ボーリングいこ!」  
 はいはい、とついていく。およそ運動関連では超人的な成績を見せる姉ちゃんだが、こういう細かいコン  
トロールが要求されることは比較的苦手なのだ。本職のバスケでも身長と跳躍力を活かしたパワープレ  
イがメインだし。  
 さて、そんな姉ちゃんのボーリングはというと。  
「うりゃー!」  
 一喝して力任せに16ポンドの球をぶん投げる姉ちゃん。レーンを七割過ぎたところで漸く着地し、破壊的  
な勢いでピンを弾き飛ばす。  
 ボーリングとはピンを倒すスポーツで決してピンの破壊を目的としてはいあにはずなのだが、俺の勘違い  
なのだろうか……  
 
 
 
「いやー、楽しかったね!」  
「俺は疲れたよ。店員怖がってたし」  
 まあでも。楽しかったのは同意だが。  
「じゃ、帰ろっか! そろそろ七海ちゃんも帰ってくるし。また動いてお腹空いたし」  
「そうだね。俺はそろそろ夕飯の用意しなくちゃ」  
 跳ねるように、歩いて行く姉ちゃんの少し後ろを歩きながら。俺はなんとなく頬が緩んで行くのを感じた。  
 俺は生まれた時から姉ちゃんの弟で、ずっと一緒に生きてきたのだ。きっとこれからもそうなのだろう。  
 だから、今日も。  
 一緒に遊んで、一緒に帰って、一緒のご飯を食べて一緒に寝よう。  
 だから、明日も明後日も。  
 一緒に楽しく笑って、一緒に幸せに過ごそう。  
 
 
 
≪了≫  
 

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