「なんで?ねえ、どうして?」
さっきから私は問いかけている
家賃7万5千のワンルーム
部屋には誰もいない
私は私自身に同じ疑問を何度も繰り返してぶつけていた
3日前の会社の飲み会が全ての始まりだった
お酒を飲むとテンションが上がる
特に私はそうだ
したたかに飲んで楽しくて…最後はよく覚えていない
どうやらその飲み会で口を滑らしたらしい
以前に出来心でやってしまった会社のお金のちょっとした使い込み
それを隠すための経理のごまかし
そういえば、皆で「昔は私も悪かった自慢」で盛り上がっていた
元々引っ込み思案で怖がりな私は大した話のネタもなく内心少し悔しかったのを覚えてる
だからきっと喋っちゃったんだ
あんな男に
それを悟ったのは2日前だった
二日酔いのぼぅっとした頭と眠そうな目でパソコンのキーボードを叩いていた私の所にアイツはやってきた
「去年の28万円はちゃんと経費で落ちたかい?」
少しの間ぽかんとしていた私
面白そうに私の顔を見ていたソイツ
そして私の酔いは一気に醒めて全てを理解した
その時どの位取り乱していたかは分からないが、真っ青になって手がガタガタ震えていたことだけ覚えてる
多分、その時の私の態度がいけなかったのだろう
「あれは話合わせたツクリ(笑)仮にホントでも証拠残すようなヘマしないよ〜だ」
そう軽く流せれば、アイツも付け込んでくることはなかっただろう
そして言われるままに、会社帰りにアイツの車の助手席に座ったのが昨日だ
もちろんと言うか当然と言うか車はホテルに着いた
後は言いなり
部屋に入ると目の前でストリップをさせられた
脱いでるとこを動画で撮られた
パンティ1枚で気をつけをさせられた
絶対動くな、と命令されて立ったまま体中なぶられた
ベッドで四つん這いにされて犬のマネをさせられた
犬のマネでフェラチオを強制された
そのまま履いていたパンティを横にずらされバックから犯された
初めてだった
愛はなかった
興奮もなかった
ただアイツは遊んでいた
そして道端に唾でも吐くように私の膣に無造作に遠慮なく精液を吐き出した
その後で逆流した精液と破瓜の血で汚れたパンティを履いたまま、また気をつけをさせられた
その姿を撮影されてようやく悪夢のような2時間40分が終わった
この時私は一体どんな顔をしていただろう?
今私は考える
このまま今の職場にいつづければ、これからもアイツのオモチャにされてしまうだろう
警察に行く?
田舎に帰る?
死ぬ?
色々な考えが頭に浮かんでは消える
悔しさと情けなさに体が震え涙が流れる
アイツにされた行為にではなく
その流れを断ち切れなかった私自身の不甲斐なさに
そんな私を嘲笑うように携帯が鳴っている
アイツからの呼び出し
ディスプレイには、命令されて登録した「マイダーリン」の文字が踊っていた