♪はっぴばーすでーとぅーゆー はっぴばーすでーとぅーゆー♪
♪はっぴばーすでーでぃあ○○ちゃん〜 はっぴばーすでーとぅーゆー♪
誰もが馴染みのあるメロディだが、
この短いフレーズを何時間も無限リピートで聴き続けていると
流石にそのうち苦痛を伴う騒音にしか聴こえなくなってくる。
「あぐっ……ひぅ……ブヒっ……」
……もっとも、その賛歌を贈られている当の本人、
本日誕生日を迎えた自分は、
その狂ったBGMを気にする余裕があるような状況ではなかったが。
――誕生日のお祝いに、最高の快楽をプレゼントしてさしあげます――
家に訪れてくるなり突然そう言った怪しい男。
危険を感じて追い返そうとするより早く、その男が何かの薬を嗅がせてきて、意識が遠のいて。
目が覚めたら、そこは、牧場か何かの動物小屋のような、地面が剥き出しの木造の建物の中で、そして……
「……ブヒ……!?」
自分が、人間ではなくなっていて。
冗談半分に書き込んだとおりの、雌豚の獣人のような姿になっていて。
「私どもの店……まぁ判りやすく申しますと獣化風俗店なのですが、そのサプライズサービスなのですよ」
某匿名掲示板などに集う、いわゆる「ケモノ系」の趣味の人をターゲットにした商売らしい。
「まぁご自宅のご住所など調べさせていただいたのは法的に少々グレーゾーンではあるのですが、
これも、願望を抱く方の所へしかるべき供給をさせていただきたいという
熱意の現れだと思ってご勘弁いただきたいところです。
ああ、広報も兼ねた初回サービスなのでお代は結構。
もちろん後から請求したり、本体はタダだけどオプション料金が付く、などという事もございません。
ご不安でしたらちゃんとした書類を……」
とそんな事を、男は立て板に水の勢いで随分と流暢に話していたが、正直半分も耳に入ってこなかった。
それどころではなかったのである。
何故なら、状況への驚きとか混乱とかもあったが、それより何より
「あっ……は、あぁ……ん」
か……感じ……過ぎる。
産毛みたいな柔らかく細かい体毛が全身に生えてるけど……ッ、
ま、まるで、快楽神経が皮膚の表面に剥き出しになってるみたいだよぉ……。
男物の服は、肥大化した体にはサイズが合わなくてキツい……というだけでなく、
布地が毛皮に擦れるだけで感じてしまって、おかしくなりそう。
触ってもいないのに恥ずかしい液体が、ズボンの股間にじんわりと、失禁したかのように大きな染みを作っている。
「んぉ……あうぅ……」
甘ったるくいやらしい匂いが、信じられないくらい強く自分の身体から染み出しているのがわかる。
大きな鼻がヒクヒク動き、自分が淫猥な牝の香りを漂わせていることがわかってしまう。
そしてその空気にあてられますます興奮していく悪循環。
熱を帯びた秘所や乳首が服に触れて、たまらない。
耐えられず、どうにか衣服を脱ごうとするも、蹄では上手く脱げずもがいていると、
「……ああ、動物らしく、お召し物を脱いでの行為がお好みですか?
サービスとして、常時強力発情・全身性感帯化・快感超強化などのオプションを付けさせていただいております。
当然ながら、本日のサービスが終われば後遺症等は一切無く人間に戻れますので、ご安心してお楽しみください」
と言って男が優しい手つきで着衣を取り払った。
窮屈だった男物のシャツから巨乳と言っていいほどの豊満な胸がまろび出る。
形も良いが、固くなった乳首だけはケモノらしく人間より少し大きめにピンと立っている。
腹部にも、乳房の無い小さな乳首がいくつかあって、触れると頭のてっぺんまでぞくぞくして口の端から涎が垂れた。
「んごぉ……おぅ、んぉおおっ、ふゴ、ブヒィイ……!」
鳴き声混じりの嬌声が大きな耳の中で反響するようでますます自分で自分の興奮を煽る。
器用さの失われた蹄だけど、しとどに濡れた秘所をごりっと擦った瞬間は
息が止まって天国に行ってしまうかと思えるくらいの感覚で……
「あふぅっ!きもちいいよぉ。きもひブヒィイイッ!んああ。ブヒゃあああ!」
やがて、今日限りの悦びなら存分に楽しもうと、抵抗も自己嫌悪も薄れ快楽の中に堕ちていった。
けど
ひとしきり楽しんだあとで
「やはり誕生日といえばロウソクさしたクリームたっぷりのケーキですよね」
と言って、男が
「ロウソクは、年齢の数だけ、挿すんですよね」
男が、連れてきたのは
自分の年齢と、同じ数の、雄豚。
「お代は頂きません。本日のサービスは心を込めて完遂させていただきます……が
お客様がこのプレゼントを味わいつくすまでは、サービスを完遂させていただいたことになりませんので……
ご満足していただくまで、お客様にお帰りいただくわけには参りません、よね?」
抵抗どころか、抗議の声を上げる間もなく、1匹目の雄豚が覆いかぶさってきて
「ああ、ちなみにお客様に施したのは、誕生日にしか使えない術なので……
戻す術も、本日中にしか使えませんがあらかじめご了承ください。
もし延長されるようなら、元に戻れる機会は来年のお誕生日まで……」
「ブギヒィイイイイイッ!!!」
男の事務的な言葉は鳴き声で遮られた。
……悲鳴とか、怒号とかじゃなくて、
……「気持ちよくて」上げた絶叫だった、ということに、自分で愕然とした。
無理無理無理いや駄目死んじゃうしんじゃうおかしくなっちゃうやめてうわっなにコレ
いいよすごくいいよいやだなんだよなにヨガってるんだよ自分やめてよこんな
あひぃっ自分の肉が、膣がきゅっと、むしゃぶりつくように、からみついて、
いやだよやめてようそだうそだこんなのこんなの自分がほしがってるみたいじゃないか
そんなほしくないほしいはずがないおすぶたの×××だなんていやああ
雄豚おすぶたオスブタおすブたうわあああたまのなかがおすぶたでいっぱいになるぅううう
からだのなかもこころのなかもおすぶたがはいってくるはいってくる
いやぁやめてみもこころもぶたに、ぶたになっちゃうぶたにブたにブタブタブゥブウウウブヒィイイ
……豚の交尾には数十分かかる。
1日1回でも体力的にはきついらしい。
ましてや10匹以上など、下手をすれば死んでしまうだろう。
というか死にそう。
……で、でも。もう正直数も数えてられないけど、
なんとか、なんとか耐え、た。
多分、これで、ちょうど次の豚で、最後の、は、ず……
「あらら。日が変わってしまいました。1年延長コース確定ですね。ご愁傷様です」
あ っ 。
「まぁ延長代をお金で頂こうとは言いませんよ。
そうですね。せいぜいこの豚小屋で、イロモノ好きのお客様の相手をしたり、
さかりのついた雄豚を慰めたり……豚の仔を産んだり、といった仕事をしていただくくらいで。
……おやおや、泣くほど嬉しいんですか?」
嬉しいわけなんて無い、と言おうとしたけど、それより先に
もう誕生日プレゼントとしての意味を失ったはずの、最後の雄豚が圧し掛かってきて
……嬉しいかも知れない、と快楽の中で少しでも思ってしまった自分に、絶望した。
おわり。