「眠そうだね、アナエル。天国でも中間管理職というのは面倒って感じ?」  
 大きな欠伸を噛み殺すアナエルは、目尻に涙の玉を浮かべていた。  
「私は権天使の長だからからな、サレオス。公爵閣下と違って忙しいのだよ」  
 愉快そうに笑うサレオスは、じと目で軽く睨み返され、フンと鼻を鳴らした。  
 アナエルは天使、サレオスは悪魔……そして今、二人は天国と地獄、両国の代表として  
ハルマゲドンの真っ最中だった。既に戦い始めて、十七年と四ヶ月がたとうとしていた。  
「さて、今日は少し気合入れて稼ごうかなっ! 僕、ちょーっと負けてるみたいだし」  
 褐色の肌に銀髪の、サレオスはアナエルから見ても美しかった。全魔力の数万分の一を  
魔界より分身として今、彼女は小悪魔の姿で三次元世界に送り込んでいるのだ。それは、  
同じく全霊力の数万分の一として顕現しているアナエルも同じ。  
「このルールは基本的に、悪魔側に有利だと思うのだが……っと、マリアのお出ましだ」  
 二人は今、眼下に小さな町を見下ろしている。時代は中世、地球の人間の町だ。  
 互いに頷き合うと、二人はそれぞれ天使と悪魔の翼を翻して、街道沿いの片田舎へと  
舞い降りた。その身体は人間のサイズよりも小さく、慎重は15センチ程……そして何より、  
普通の人間達には見えない。伝説の妖精もかくやという、可憐にして妖艶な二人の美貌は  
たった一人の人間にしか見えない。  
 未来の聖母、マリアにしか。  
 
「おやマリア、おはよう。ちょいとお待ちよ……ほら! 焼きたてだよ、持っておいき」  
 一日の始まりで賑わう町の中心部、パン屋の前に一人の少女がいた。粗末なボロを纏い、  
黒い長髪は伸び放題。虚ろな目の彼女はしかし、良く見れば整った顔立ちに見える。訳を  
知らぬ者が見れば、清楚で可憐な令嬢が、どうしてこんなと思うかもしれない。  
「おばさん、ありがと、ございます。いただき、ます」  
 パンを受け取る少女が、拙い言葉で深々と頭を垂れた。その顔を上げた時、黒い前髪が  
揺れて、少女の顔全体が露になる。  
 隠れていた大きな縫い傷が、大きく顔の左半分を縦に走っていた。  
「おい、またパンを娼館のガキに……白痴の痴女なんに商売道具を!」  
「お前さん、いいじゃないの! この子は娼婦じゃない、ただの下働きさ」  
「しかしいつも、金を持ってこないじゃないか!」  
「ケチな事をお言いでないよ! ……ほら、いいからもう行きな。落すんじゃないよ」  
 少女はもう一度頭を下げると、力一杯パンを抱きしめ踵を返した。  
 彼女の名はマリア。この町にふらりと現れた浮浪児だった。今は町外れの娼館に拾われ、  
毎日下働きをしている。頭が弱く、心は壊れ、何より折角の精緻な顔も傷が台無しに……  
だからマリアは客と寝ることはなく、炊事や洗濯をして、辛うじて生き長らえていた。  
 最も、客の取れない少女に娼館が与えるのは、薄汚い屋根裏部屋だけだったが。  
「よぉマリア! この間の話、ちゃんと姐さんに伝えてくれたんだろうな? ああん?」  
 不意に逞しい体躯の男が、マリアの前に立ちはだかる。彼はさも当然の様に、マリアが  
胸に抱くパンを取り上げる。焦点の合わぬ目でマリアは「パン、わたしの」と、背伸びで  
両手を伸べた。  
「俺がいくら姐さんに貢いだと思ってる? なあ、ちゃんと伝えたか、って聞いてんだよ」  
「あう、うう……パン。……ねえさま? つたえた……つたえた、わたし、つたえた!」  
 そうかそうか、と笑ってマリアの頭をポンポン叩くと、男はパンを頬張り立ち去った。  
 
「……朝からそうきたか。サレオス、マリアの傾きはどうだい?」  
「何が悪魔側に有利なもんか。あの娘ときたら……憎しみが増えないぞ、絶対におかしい」  
「まあ、精神が崩壊しているからな」  
「マリアが処女懐胎で子を産むまで、あまり時間がない。さてさて、面白くなってきた」  
 その子は善なる聖王となるか、悪の魔王となるか……それこそ、天国と地獄の長い長い、  
宇宙開闢より戦われてきた戦争の決定打となる。アナエルとサレオスはそれぞれ、両国の  
代表として、マリアが子を孕むまで純潔を守らせ、同時に善悪の彼岸へと導くのだ。  
 マリアに満ちるのが憎悪か、はたまた情愛か……世界の運命は今、白痴の少女に全てが  
賭けられていた。そして未来の聖母は今、空腹で肩を落とし、指をくわえて歩き出す。  
「餓えは、それをもたらす者への憎しみを呼ぶ……筈なんだけどなぁ」  
「一欠けらのパンに感謝すれども、その情がどうも理解できんとは……」  
 天使と悪魔は、小さな溜息を交わすと、聖母の双肩に舞い降りた。  
 
「あー、アナエルにサレオスだー! おはよう、ございますっ」  
「おはよう、マリア。何度も言うけどね、他の人に僕等は見えてないんだから……」  
「無駄だよ、サレオス。それよりマリア、今日は朝食を奪われたが……どう思う?」  
 道行くマリアを、誰もが奇異の目で振り返る。当然だ、気のふれた娘が、見えぬ誰かと  
熱心に会話を交わしている……普通の人間には、そう見えるのだから。  
「うーん、えーと、んっと……パン、パン……」  
「マリア、あの男は君の糧を奪ったんだ。憎いだろう? 人間は皆、君に意地悪だよね?」  
「マリア、憎しみよりも許す心を。何より先ず、パンを与えてくれたことに感謝を……」  
 左右から天使と悪魔が、肩に腰掛マリアに熱心に語りかける。  
 マリアは腕組み悩んで首を何度も傾げながら、お腹を鳴らして娼館に帰りついた。  
「マリア! ったく、この役立たずが! さあ、さっさと仕事をするんだ!」  
 娼館の主は、サレオスの大好きなタイプの人間だった。強欲で怠惰で……ここまで見事、  
七つの大罪を凝縮された人間などは珍しい位だ。ただ、マリアにはそれを憎いと感じれる  
感性が欠落していた。それでも雨風の凌げる部屋を与えてくれる……そのことに対しての  
感謝を期待するのは、アナエルはとっくの昔に諦めていた。  
 こうして空腹に半べそをかきながらも、マリアは今日の仕事に取り掛かった。  
「おなか、すいたな……ねえアナエル、てんごくはおなかがすかないって、ホント?」  
「餓えも貧困もない、魂の安息が得られる場所だよ。その天国の為にも……」  
「天使同士の熾烈な階級争いや、偉人聖人達の魂による哲学トークがあるけどね…ニシシ」  
 身を切るような冷たい水で、マリアは娼婦達の下着を洗い始めた。その頭上では今も、  
アナエルが顔をしかめてサレオスに抗議している。サレオスも太古の昔は天使だったので、  
天国がどのような場所かは熟知していた。悪魔とは即ち、堕天使のなれの果てだから。  
「おひるは、どうしよう……ねえさま、またおかしをくれないかな」  
「娼婦だがあの女達は清い心を持っているな。多くの男が想いをよせるのも無理はない」  
「岡惚れって言うのさ、アナエル。あの女だって、汚らわしい淫売に違い無いじゃないか」  
 天使と悪魔が、この娼館で一番の娼婦について議論をはじめる。しかしマリアの頭では  
少しも理解出来ず、ただ「おかしをくれるお姉さん」でしかない。  
 残念なことに、その日はマリアの口には、飴玉一つ入ってはこなかった。  
   
 マリアが全ての仕事を終え、屋根裏部屋のベッドに空腹で倒れ込む。  
 遠くに男達の猛る声、女達の喘ぐ声が入り混じって聞こえた。  
「おなか、すいた……」  
「今日は久しぶりに運が悪かったね、マリア。ニシシ、不運を嘆いてくれないかな?」  
「しかし現実問題、聖母の健康維持も私達の務めだ……サレオス、今日はマナを与えよう」  
 マナ……それは天使の霊力や悪魔の魔力を、物理的な物に変換したエネルギー。  
 アナエルとサレオスは、互いに自分達の属性へとマリアを競って引っ張り合いつつ……  
こうして聖母の肉体維持には、協力してあたるという協約が存在した。  
「マナ? マナ……マナ、なんだっけ。あ、あうー、また、アレを、するの?」  
 ベッドに身を起こすと、光の灯らぬ大きな瞳で、マリアは天使と悪魔を見上げる。  
「ニシシ、口では嫌がってても……好きだろ、マリア。ユー! 堕落しちゃいなヨ!」  
「だ、だってー、アレは……きもち、いいんだもん」  
 頬を赤らめ、マリアはもそもそと服を脱ぎ出した。  
「いいかいマリア。これはあくまで聖なる行為なんだから。主への感謝を……ま、無駄か」  
「かんしゃ、かんしゃ……ありがとう、ってことだよね? えと、それ、たべれる?」  
 サレオスのにやけ笑と、アナエルの深い溜息が見下ろす中、マリアはじたばたと着衣を  
全て脱ぎ捨てた。痩せた華奢で貧相な、しかし眩しい裸体が現れる。痩せ気味の肢体は、  
薄っすらと肋骨が浮き出て、乳房も小ぶりで尻や腿の肉付きも豊かとは言えない。何より  
男を知らぬ恥陸は無毛で、綺麗な秘裂がつるりとあるだけだった。  
「サレオス、毎度のことだけど……マリアの純潔だけは、絶対に守るんだよ」  
「解ってるよ、アナエル。マナの注入には本来、男女の交わりが一番なんだけどね」  
「でも、マナってきもちいーよね! おなかへるのなおるし、わたしすきかも!」  
 呆けた顔で、時々与えられるマナの快楽を思い出して、マリアがにへらと笑う。  
「さて、じゃあ……」  
「うん、僕達も……」  
 アナエルとサレオスは互いに空中で向き合い、互いの股間へと手を伸ばした。  
 
「マナ、マナ♪ おなかがいっぱい、マナいっぱい♪ うふふ……あはっ」  
「まったく、マリアはいつも気楽でいい……ん、んっ、サレオス、そこ……」  
「天使様も感じるだろ? ほら、僕もこんなに……んふうぅ! で、出た……」  
 涎を垂らして口元を拭う、マリアの眼前で天使と悪魔が互いの股間をまさぐり合う。  
 本来、天使にも悪魔にも性別はない。たまたま二人とも、よりマリアに好印象をと、  
見目麗しい女性の姿で地上に降臨していたが。今、二人の股間には、マナ注入の為……  
見るも逞しい、勃起した男性器が現れた。  
 小さな小さな二人の股間に生えるのは、子供の小指よりも小さな、しかし見事に臍まで  
反り返った逸物。滴る先走りに濡れる先端は亀頭が露出し、身体の比率から見れば実に、  
巨大過ぎると言っても過言ではない。  
「さあマリア、先ずは……僕が前からマナを送り込んであげよう」  
「サレオス、まあ私達のサイズでは破瓜まで届かないけど…解ってるね?」  
「ニシシ、そう言う君は後がお気に入りなんだろう」  
 マナの注入には、性の交わりが必要だが……マリアは運命の子を処女懐胎する宿命。  
 一番効率のよい、女性器への注入だけはできなかった。マリアが純潔を失ってしまえば、  
天国と地獄の戦争は、決着の決定打を失い……再び終りなき闘争に逆戻りしてしまう。  
「アナエル、サレオス、きょうもいっぱいしてね……あはっ、おなかいっぱいにしてね」  
 マリアは涎を垂らしながら、膝立ちに指をしゃぶって物欲しそうに目を潤ませる。  
「ふふ、マリア……今日こそ淫らな愉悦で堕落させてあげるよ……魔王を生むためにさ」  
 先ずはサレオスが、マリアの下腹部へと舞い降り、綺麗なクレパスを両手で左右へと  
押し開いてゆく。既にもう、マリアの溢れる淫蜜は、内股へと滴るほどに溢れ出していた。  
「ほら、皮を剥いてまずは、これをねぶってあげるよ……ここ、好きだろう」  
「あふぁ……はうう、し、しびれひゃう……それ、それっ、ギュッってして欲しいの」  
 サレオスは小さな両手で、マリアの陰核の包皮を剥き、強く握ってしごきながら口で  
丹念に舐る。痺れるような快楽がマリアを突き抜け、思わず前のめりに彼女は手を突き、  
四つん這いでシーツをギュムと掴んだ。  
「マリア、私はいつも通り此方から……ほら、こんなにヒクつかせて」  
 自然と尻を突き出す格好になったマリアの、小ぶりな尻の谷間にアナエルが身を埋め、  
その奥にすぼまる菊門にしゃぶりつく。過去に何度もマナを注がれたそこは、マリアの  
処女を守るために、第三の性器に作りかえられていた。  
 マリアのアナルはあっというまに、アナエルの両手で押し開かれる。その愉悦に声を  
はばからず喘ぐマリアは、直腸へとしなやかなアナエルの足が差し込まれて絶叫した。  
「あふぁ! あっ、はああ……おひり、きもちひぃ……」  
「相変わらずゆるいな、マリア……ほら、両足が入った。このまま私を飲み込むんだ」  
 そういい終わらぬうちに、アナエルは己の下半身をスッポリと、マリアの使い込まれた  
汚らわしい排泄孔に入れてしまった。無論、アナエルの強張りが直腸で暴れる。  
「僕はこっち、ニシシ……たっぷりマナを注いであげるね。随分拡張できてきたし」  
 とめどなく溢れる愛液に、全身びしょ濡れになりながら。マリアのクリトリスを甘噛み  
しつつ、にやりと笑ってサレオスが羽ばたくと……自らの男根を手に、マリアのクレパス  
へと身を寄せる。  
 サレオスは最初は指で尿道をほじくり、丹念に舌で舐め取ると……おもむろにそこへと、  
己の強張りを挿入した。一際激しい快楽が押し寄せ、マリアは身震い前後を抉ってくる  
天使と悪魔に歓喜した。  
「いい締め付けだよ、マリア……おしっこの穴でこんなに乱れて」  
「こっちもこんなにだらしなく緩んで。マリアは処女だが、女の悦びに貪欲だな」  
 尻の谷間でアナエルは、盛んに自分の下半身をマリアの直腸に出し入れする。同時に、  
サレオスも尿道に挿入したペニスで、激しい腰使いで挿抜を繰り返した。  
「サレオス〜、すご、すごっ! わたしもう、ふあ、あああっ!」  
「何だか弛緩してきたよ、マリア……あっ、漏れそう? いいよ、僕に浴びせても」  
「逆にこっちは、ギュウギュウに絞めてきた……さあサレオス、共にマナを放とう」  
 サレオスとアナエルは、同時に達した。二人のペニスは白濁としたマナをマリアの中へ、  
断続的に大量に注いでゆく。マリアは純潔の乙女であると同時に、淫らな白痴だった。  
 天使と悪魔が離れるや、法悦に涎をたらしながら、マリアはだらしなく失禁した。  
 

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