私の名前は野上 龍子、栄えある野上家の長女。  
通称PSC、運輸局管轄の監査官を父に  
専業主婦を母にもつ、平凡な大学生です。  
 
「―――だよねェ」  
「そうそう、両親がヤッてる声とかマジキモくない?」  
昼下がりの大学の講義室。  
黒板に独特の音を刻むチョークと教授の声。  
私達三人はY談中。  
「そうですね。自重して欲しいものです。」  
教授の授業を真剣に聞く人、単位を取るために出席している人、  
徹夜麻雀で居眠りしている人、メール打ちに集中している人、  
様々だ。ちなみにY談に興じる私達は単位の為だ。  
出席してノート出していれば単位くれると好評なこの若い教授。  
背が高く、眼鏡を掛けていて、どことなく癒し系な顔立ち。  
『―――――と、聞いていますか?そこの三人、  
野上君、小沢君、中村君!』  
 
新婚SS『龍と虎は新婚気分』  
 
「もォ…カナの声が大きいから見つかったじゃない、学食おごりなさい」  
「なーに言ってンのよ、タツ。アンタの声が大きいからでしょ?」  
ビッと割り箸の先で私を指すこの子の名前は中村 香奈子(なかむら かなこ)  
母さんの姉である美人、朝子伯母さんの三女である。  
私の事を『タツ』と呼ぶ。龍子(たつこ)だからタツ、随分と単純だ。  
「嘘だ〜無実だ〜武(たけ)ちゃんも何か言ってよ!」  
もぐもぐと天ぷらうどんを食している眼鏡っこに私は言った。  
この子は小沢 武子(たけこ)、あだ名は『武ちゃん』。  
父さんの後輩に当たる小沢 治子さんの長女だ。  
 
治子さんの料理も美味しいけど、その旦那さんの料理はもっと美味しい。  
毎日、あんな美味しい料理を食べられる事ができる武ちゃん。  
かなり舌が肥えている。  
スーパーで買った駄菓子に  
「私が本当の駄菓子を味あわせてやります」とか  
小さい時に自家製のお菓子を売っている駄菓子屋のお爺ちゃん相手に  
『お爺ちゃん、腕を上げましたね。これ以上、私を喜ばせないで下さい』  
とひたすらウンチクを述べていた。  
「大賀教授の講義中にY談をしていた貴女達に非があります。  
喧嘩両成敗という事でチャラですね。」  
『「お前もだろ!!」』  
と私とカナのツッコミ。大学の食堂でのいつもの光景。  
私、カナ、武ちゃんは小学生からの馴染みだ。腐れ縁とも言うらしいけど。  
「はぁーあ、タイガーは何かとうるさいのよねェ…どーせ単位目当てって  
わかってるんだから、無視すればいいのに」  
ぶすッ…とむくれるカナが言う『タイガー』とは大賀 虎太郎(たいが こたろう)先生の事だ。  
「私達三人に照準が定められている可能性がありますね。この三人の中に教授の  
意中の乙女がいるのでは?はっ、まさか私の貞操を!?」  
「おーい、おい、武ちゃーん、もどってこーい。」  
武ちゃんの妄想グセはたまに傷だ。  
「だ、ダメです…教授!ははは、良いではないか、そして私の柔肌を這う手は――――――」  
ぼむっ…有無を言わさないカナの拳が武ちゃんの前頭部に振り下ろされた。  
「痛いです。」  
眼鏡のずれを直しながら武ちゃんは言った。  
「うーるさーい!ったくお武っちは妄想グセが悪いんだから。  
どうせ、妄想オナニーばっかしてるんでしょ?知ってる、オナニーしすぎるとバカになるんだぜっ!」  
……身も蓋もない言い方うをするカナ。この辺りは伯母さんの血を受け継いでいるんだろうなぁ  
美人だけに告白された回数は数知れず、しかしこういう物言いから、七日と保たず男の子達は去っていった。  
「…香奈に言われたくはありませんね。妹か弟が欲しいからと避妊具に針で穴を開けるような香奈には。」  
「欲しかったんだから仕方ないじゃない。見つかってお母さんに半殺しにされかけたけどさ!  
武っちはいいわよねー、下に妹、弟が三人もいるぢゃない!!」  
「ふっ…母に搾取される父の精液が濃厚で受精率が高いの原因です。  
文句をいうなら毎晩、泣かされている父に言って下さい。」  
……これを言い出したら止まらない二人。小声で言ってるからいいものを、かなり恥ずかしい。  
まぁ……かく言う私も…二人にはいえないけど……そのエッチなのだ。  
その理由は――――――  
 
「じゃーねぇ、タツ。また明日ァ、夜バイト終わったらメールするよ」  
「では、龍子。私もスーパーの特売に行きますから、御機嫌よう」  
「うん、またね。」  
と二人と別れた後、下宿しているアパートへと帰宅した。  
こぢんまりしているけど、綺麗なアパート。  
1階がコンビニなので使い勝手が良い。  
かと言って、頼ってばかりいるとインスタントに惣菜、レトルト漬けになるので自炊。  
倹約になるし、その分、好きな事に使えるのだ。  
鼻歌混じりに料理を作る、新婚さんの気分てこんな感じなんだろうなァ…  
母さんにもこんな頃があったんだろうなぁと妙な感慨に耽る私。  
今日のご飯は海老フライにマカロニサラダ。それも二人分。時刻は午後20:10。  
そろそろ、帰ってくる頃だ。  
ガチャガチャと鍵が開く音がする。あ、帰ってきたらしい。  
「あ〜寒い、寒い…もう冬だなァ…龍子、ただいま」  
眼鏡に鞄、昼間注意された大学の先生。  
「あ、お帰りィ、先生、外寒かったでしょ?」  
――――――とこの言葉が全てを物語っている。  
そう、私、野上 龍子は先生と同棲しているのである。  
 
続  
 

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