エルトリア自治区。人と獣人が共に暮らしているこの世界。  
自然界はこのバランスバランスができようとしていた。  
しかし、このバランスを崩そうとする者達がいた。  
ビーストハンターと呼ばれる密猟者たちだ。  
密漁により獣人たちは無残に殺され、女の獣人は慰め物として高値で売られていった。  
そして、人間を疑い始めた獣人が、村々を襲った・・・  
 
街を歩く一人の少女。彼女の名はネイラという。  
肩の辺りまである茶髪。髪と同じ色のぱっちりとした茶色の眼。  
白いショートパンツから伸びる長くスラリとした脚がまた美しい。  
そんな彼女はフリーの冒険者だ。あちこちを渡り歩いて仕事を見つけては、  
仕事を成功させて報酬を得て、その金でしばらくその地に住み着き、金が  
無くなったらまた仕事を探す・・・そんな生活を続けている。  
 
ネイラが今回請け負った仕事は「ビーストハンター『ベイツ』の捕縛」である。  
「ビーストハンターも最近増えたわね。でもアタシにとっては美味しい仕事。  
チャッチャと片づけてさっさと帰ろっと」  
ネイラは格闘技に精通している。というより、どんな仕事でもひょうひょうとこなせる  
腕を持っているので別に仕事に困るようなことはないのだ。  
 
ベイツの館が見えてきたところでネイラはふと立ち止まった。  
建物の脇から数人の男がこっちを狙っているのに気づいたからだ。  
「お姉ちゃん、そんなに急いでどこ行くんだよ」  
「ちょっと俺らと付きあわねーか」  
「お礼はたっぷり弾むぜ」  
男3人、皆、顔に下卑じみた笑いを浮かべている。  
しかも男のうちの一人は手に角材まで持っている!おそらくはベイツの部下だろう。  
ネイラに好意を持っていないことは明らかだ。あわよくば・・・という感じさえ見受けられる。  
「嫌よ。あんたらみたいな男の腐ったのとデートするなんてね」  
それを聞いた男が顔を真っ赤にして怒鳴った。  
「こっ、このアマ、調子に乗りやが・・」  
振り上げた角材がネイラの頭に当たることはなく、ガランと音を立てて地面に転がる。  
ネイラが男の腹に蹴りを叩き込んでいたのだ。フラフラとよろめくと後ろにズーンと倒れ込む男。  
「ひっ・・・」  
残り2人の表情が怯えたものに変わる。  
「はぁっ!」  
裂帛の気合いとともにネイラの回し蹴りが男の頭部に決まる。吹っ飛ばされた男は無論起きあがってこない。  
残り一人は二人が瞬殺された様子を見ると、  
「ばっ、化けモンだー!」  
その場から一目散に逃げ出してしまった。  
 
邪魔物を片づけたネイラは館の入り口へと向かった。  
大きな扉の前まで来ると、ベイツが大声で部下に怒鳴っており、その横で部下と思しき男が鎖で縛り付けられた  
獣人・・・明らかに獣と思われる耳がニョキッと伸びている!・・・が倉庫らしき建物の中へと引っ立てられているところだ。  
「ちょっとごめん、ベイツっていう男がいるって聞いたんだけど、どこ?」  
ベイツと呼ばれた大男はギロっとネイラを見る。  
「お嬢ちゃん・・・ベイツっていう奴を捜してるのか?」  
「そうよ」  
「俺がベイツだよ!」  
いきなりネイラに掴みかかると、ガッチリと羽交い締めにした。  
「お前がビースト売買を嗅ぎ回ってる奴ってのは分かってるんだよ!こっちに来な!」  
ベイツはネイラをズルズルと倉庫の方へと引きずっていく。  
「離して!離しなさいよー!」  
ネイラは力一杯に暴れ回るがびくともしない。  
「これからお前さんには見せたいものがあるんでな。おい、口に当てる例のアレを頼む!」  
ベイツが呼ぶとすぐさま別の部下がやってくる。  
「ベイツ様に楯突いた代償は高くつくぜ!」  
そう言うなりネイラの鼻元に強烈な臭いのする薬品が染みこんだ布を当てた。  
ネイラはベイツにしっかりと掴まれているため逃げようがない。  
「くっ・・だ・・・だめ・・・」  
ネイラは必死になってこらえようとするが、すぐにグッタリとしてしまう。  
ベイツは開け放たれている倉庫までネイラを引きずっていった。  
 
・・  
・・・  
・・・・  
「お嬢ちゃん、起きたかい?」  
「うー・・・ん・・・」  
ネイラが目覚めると、四肢は全て鎖で拘束されていた。ちょうど壁に  
大の字に張り付いているような形だ。  
「これからお嬢ちゃんには見せたいものがあるんでね。あっちだ」  
ネイラのまだぼんやりとした視界にうずくまっている男がいる。  
その男がゆっくりと立ち上がり、こっちにゆっくりながら確実に歩いていく。  
「ビースト因子ってのは知っているか?ソイツが身体の中にある奴は  
獣化する奴がいる。無論全員ではない。因子があっても獣化しない奴もいるしな。  
ところがだ。俺はとんでもないクスリを作っちまった」  
「クスリ・・・?」  
「因子の活動を活発化させて人工的に獣化を起こす薬だ。実験は  
そこらの乞食で散々やったから効果も実証済みだ。コイツも報酬を  
ちらつかせたらすぐに飛びついて来やがった」  
ベイツがこう説明している間にも、男・・・獣の耳が生えている・・・はネイラの  
数メートル前までやってきていた。  
「このクスリ・・・ジーザスは凄いぞ。覚醒剤なんかメじゃねぇ。樽いっぱい分の  
精子が出るような感覚になるんだからな」  
ネイラは目の前に居る男に犯される、と本能的に悟って冷や汗を出していた。  
「いやっ、来ないで!来ないでよっ!」  
「ウ・・・ウウ・・」  
男はズン!と壁に手をつくと、その舌でネイラの頬をベロリとなめる。  
そのあまりにもおぞましい感触に、ネイラは眼の前の男の両腕に毛が生え始めているのに気づかなかった。  
ブルっとネイラが身震いする。  
 
「ウウー!」  
男が右手でネイラの胸元を掴むと、一気に服を引っ張る。  
バリバリバリっ!」  
音を立ててネイラのシャツが一気に破れ、飾り気のない白いブラジャーが露わになる。  
「いっ、いやっ!」  
あまりの恥ずかしさにネイラは胸元についている傷口を見るのも忘れていた。  
シャツを引き裂かれた際に、伸びていた爪で肌をひっかかれていたのだ。  
それなりに豊満な胸の谷間をブラジャーが頼りなげに覆い隠している。  
それを見た男はますます欲情していた。いつの間にか男の全身ははちきれそうになっている。  
顔をよく見ると、口元から牙が伸び、顔が長くなり、耳もより長く伸びている。  
男はいままさに狼男に変身しようとしてるのだ。  
「やああああ!」  
ネイラは身体を左右に必死に振って逃れようとする。  
ジュル、ジュル、ジュル、ジュル・・・狼男が舌なめずりするたびに、  
何か濁ったものを吸い取るような、醜く、不気味な音が聞こえてくる。  
 
(ケモノニ・・・ナレ)  
 
その時、ネイラの頭の中にどこからともなく言葉が響いてくる。  
「何・・・これ・・・」  
その言葉の意味を理解する前に、「心」だけは奪われまいとして、ネイラはじっとこの陵辱に耐えようとしていた。  
狼男は、ネイラのショートパンツを左手で実に器用につかむと一気に引き裂いた。  
今や自分を守るものが布切れ2枚となってしまった事もあって、ネイラは恥ずかしさで下を向いた。  
下着姿にされてしまったネイラに出来ることは、怪物の快楽に身を委ねるか、それとも気が狂うまで耐えるか、この2択しか無かった。  
その間にも、狼男の右腕はネイラの「性感」を呼び覚ましていく。  
我慢していたネイラではあったが、時間が経過するに連れて、狼男の愛撫を「気持ち悪い」「おぞましい」と感じなくなっていた。  
右手が、いつの間にか勃起していたネイラの胸の頂をもみしだく。  
 
(ケモノニ・・・ナレ!)  
(ネイラ!)  
 
また声が頭の中に響く。いつの間にか彼女の心臓が早鐘を打っている。  
(ケモノ・・・何のこと?)  
「・・・!」  
胸を揉みしだかれ、彼女の体がエビのようにびくんと反り返る。  
言いようの無い刺激が体の中を駆け抜け、身体全体に突き抜けるような熱さが走る。  
二つの果実を時にはきつく、時には優しく揉む。人にあらざる異形の生物とは思えないようなテクに、彼女の五感は甘い感覚に包まれた。  
「はあぁぁんっ・・・」  
彼女の口から甘い声が漏れる。彼女はその触りごこちを快感と感じてしまっていた。  
もっと気持ちよくさせてやろうとばかりに、ブラの下から潜り込んだ腕が彼女の胸を触る。  
ネイラは抵抗を完全に諦めてしまっていた。手がブラにかけられ、それをただの布きれと化した。  
(目覚メヨ・・・ネイラ!)  
(ケモノニ・・・ケモノニ・・・ナレ!)  
ネイラの形の良い二つの果実が露になった。爪がその胸の頂きを挟み込む。。  
痛いとも、おぞましいとも感じなかった。あたかも体中に電撃が走るような感覚をネイラは味わされた。  
意識が朦朧とする中、「最後の砦」にも、手が迫ってきた。そこは既に吐き出された蜜でしっとりと湿っていた。  
ビリリッ!  
手が布切れに食いつき、それを一気にもぎ取る。  
ひんやりとした感覚が身を守るものがなくなったことを証明していた。  
ショーツを引き裂かれ、生まれたままの姿となってしまったネイラは、ハッハッと、粗い息を吐き出す狼男を見てこう悟った。  
(これ・・・まさか私の子供を産もうとしているの?)  
その彼女の疑問を肯定するかのように、狼男の手が秘所を這いずり始めた。  
(早ク・・・獣ニ・・・ナレッ!ネイラッ!)  
「貴方は・・・あっ!」  
その声に反応した瞬間、ネイラは中枢神経に雷が落ちたような衝撃を受けた。  
眼の前には獣が獲物に襲いかかる光景が映し出された。体中が燃えるように熱くなっていく。  
ネイラ心臓は限界までドクンドクンと大きく拍動している。もう心臓が爆発しそうな感覚だった。  
そして、ネイラの両目がカッと見開かれ、怪しく輝いたのだった。  
 
 
ネイラは全身がカッと熱くなるような感覚を味わっていた。  
それと共にネイラの首筋の辺りからジワっと毛が生え出す。  
ミリ、ミリ、ミリ・・・徐々にネイラの体躯そのものも肥大化していく。  
 
(痛い・・・痛いよ・・・)  
 
ネイラの耳はピンとした形になり、上方向へとゆっくりと伸びていく。  
手や足からも徐々に爪が大きく、鋭いものが生えてくる。  
「グゥ!?」  
目の前の獣人はネイラの変化の様子に驚きとまどっていた。  
 
(く、くるっ、きちゃうっ!!)  
 
ネイラは身体の中で何かが暴れ回る感覚に耐えていた。  
尻から、何かが生えてくる感覚。ネイラはそれが何かすぐに理解できた。  
人外の証。人でない異形に変化している証拠。尻尾が、ゆっくりとではあるが確実に生えてきた。  
いつの間にかネイラの身体は全体がふさふさとした黒色の体毛にすっかりと覆われていた。  
ググッ、と鼻が前に反りだし、耳がすっかり上へと伸び、手足の爪もすっかり狼のそれとなっていた。  
身体は二回りほど大きくなり、尻からは見事な尻尾が生えていた。  
 
変身が終わり、自らの身体が人間から獣へのそれに完全に変わると、ネイラは咆哮を上げた。  
 
ヴオオオオオオッッ  
 
自らを拘束していた鎖をまるで紙のようにあっさり引きちぎると、ネイラの変貌に驚いて立ちすくんでいる  
狼男にネイラは猛然と襲いかかっていった。  
筋肉質の肉体から繰り出されるネイラのパンチが狼男の顔面に命中し、狼男を10メートルほど吹き飛ばす。  
地面にもんどりうって倒れる敵に対し、ネイラはさらに追撃を加えた。  
 
ヴオッ!ヴオッ!  
 
地面に倒れた狼男の胸を容赦なく爪で切り裂くネイラ。  
さらに口元から鋭く生えた牙が狼男の首筋に食い込む。  
 
「ヴ・・ヴ・・・」  
 
狼男の呼吸が徐々に弱まっていく。ネイラは狼男から離れると、  
狼男の身体を空高く持ち上げる。そして空高く放り投げる。  
天井にぶつかる直前、狼男の上昇が止まり、そしてネイラの方に向かってスーッと落ちてくる。  
・・・その下に・・・ネイラが突きだした鋭い爪がついた手があった。  
肉を刺し貫く音とともに、辺りに、ネイラの体中に大量の血が飛び散る。  
ネイラに胸を串刺しにされた狼男はまだピクピクと痙攣を起こしていた。  
その様子を気にするでもなく、ネイラは狼男の身体から腕を抜き去ると、無造作にその場に放り投げる。  
 
「くっ、や、奴は化け物か・・・!」  
一連の様子を見ていたベイツは冷や汗をかきながら部下と一緒に逃げ去っていった。  
 
男達が去った無人の倉庫で、ネイラはまた、勝利の雄叫びとしても言うべき咆哮を上げた。  
そして、その血まみれの身体でゆっくりとした歩みで倉庫の外へと歩みを進めた。  
 
いつの間にか日が暮れ、辺りには闇が忍び寄ろうとしていた。  
舗装されていない田舎道をどこに向かうでもなくさまよい歩くネイラ。  
 
(アタシは・・・一体・・・何なの?)  
 
(身体が・・・まだ・・・熱いよ・・・)  
 
ネイラの体躯が徐々にしぼんでいく。全身を覆っていた黒い毛も徐々に消えていく。  
爪も、牙も、耳も、尻尾も、獣であることを指し示すものが全て元に戻っていく。  
せり上がっていた鼻も引っ込んでいき、ネイラの顔は少女であった時のものに戻っていった。  
二回りほど身体が小さくなったネイラ。田舎道を歩いているのは、既に狼娘などではなく、  
全身を血に濡らしたネイラという一人の人間の少女だった。  
 
(ふぅ・・・疲れちゃった・・・ちょっとだけ休もうかな)  
 
そう思った瞬間、ネイラの視界がブラックアウトし、ネイラの身体は前のめりにゆっくりと倒れていった。  
 
 
「あ、誰か倒れて居るわ!」  
「ん?女・・・女か?でもなんで裸なんだ?」  
「すぐに運びましょう!」  
 
ネイラにはこれらの村人の声は聞こえるはずもなかった。  
 

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