「冷静に考えて幼稚園は早いだろ……」
俺はパソコンの画面を見ながら呟く。そりゃもはや病気の類だわ、うん。
「…………」
などと呟く俺の横で、俺を睨む幼なじみ。
「……な、なんだよ」
「……お前、自分の事例は無視か」
「は?なんだよ」
俺とこいつは幼なじみであり……少し前から、恋人同士でもある。
かと言って、幼稚園から関係を持ったりはしなかった。ほら潔白だ。
「じゃあ、初体験を覚えているか?」
「へ?あ、あぁ、もちろん……この間、だよな」
こいつと恋人同士になったとき、勢い余って身体の関係までできたのは、お互いに記憶に新しいはずだが。
だが、ますますこいつの視線は厳しくなる。おかしいな、何を怒っているんだ?
「……最後に一つ、聞くが。お前が、私を「女」として扱ったのは?」
「え、そりゃお前……あ」
ようやく気付いた俺。こいつはためにためた怒りを爆発させる。
「そうだ、お前が私を女として見て身体を弄ったり何なりしたのは小4の夏休みだったな!」
「あ、いやそれは、若気の至り……」
「若気の至り!?お前が私の身体を……そ、その、とにかく色々したおかげで一時期トラウマになりかけたんだぞ!?」
「だ、だから悪かったってば!許せ、許して!」
ポカポカとこちらを殴るのを必死にガードしながら懇願する。
そう、性教育とか第二次性徴とか諸々の影響で「女」に興味を持った俺は、
手近な「女」……幼なじみのこいつに、「実験」と称して色々やってしまったのだ。
例えば。
『ん、はぁ……な、なんか、変な感じぃ……』
『ほら、ちゃんと立ってろよ。……なんか濡れてきたぞ』
とか。
『こ、このカッコはまずくない、か……!?』
『いいじゃん、ドキドキしてるだろ?』
とか。
『そ、そんなに大きなの、入らない……』
『先っぽだけだよ、先っぽだけ』
とか。
『お、お母さん、いるのに……や、これ、丸見え……』
『大丈夫、おばさんはうちの母さんと話してるし』
とか。
つい先日、その「最終実験」として、告白と初の交わりを体験した……のだが。
「お、お前が散々、私を弄ぶから……私は、こんなになってしまって」
顔を俯かせたその先には、ちょっと身体に不釣り合いな、大きな胸。
赤い顔で、もじもじと身体を動かす様子に、俺もいつもの「悪い癖」が出て。
「……また、実験するか?」
「ば、バカ!」
ついつい出た、あの時から変わらない誘いの言葉に罵倒を返された後、
「……だ、だが。私をこんな身体にした……その責任は、取ってよね?」
上目遣いで、赤い顔で見つめられた俺は、一気に襲い掛かってしまったのだった。