実家に帰省したら幼なじみが変貌していた。まるで鞄の中のTHE 歩兵の軍曹のように。
俺が東京の大学に行く前に見た彼女は気弱な女の子で、離れたくないと言って泣いた程、涙脆かった。
実家の戸を開けた時、彼女達がいた。彼女の名前は江田島まりん、隣に姉の江田島亜美が立っていた。
二人と居間に上がると二人とも勝手知ったる…とばかりに振る舞っていた。
まあ、6歳(亜美ねえは7歳)からの付き合いだしな。
そして飯を作って貰い、三人で食べた。片づけが終わった後、亜美ねえは帰ったがまりんは俺の部屋に入ってしまった。
俺は部屋に入る事もできず居間でくつろいでいた。二階からまりんが降りて来た。
格好は先程まで着ていたワンピースでは無く、“俺の”迷彩服だった。
「まりん、今まで俺の部屋の手入れしてくれてありがとう。母さんから聞いてる。」
まりんは可愛い声でこう言った。
「東京帰りのクソ虫野郎にしては立派な心がけね。夏休み中シゴキ倒してやるから覚悟しなさい。」
は?クソ虫?何かの聞き間違いだよな?ひろ君って呼んでくれるはずだよな?
「このアタシがアンタみたいなクソ虫の専任教官になったげるのよ?嬉しいでしょう?」
俺の部屋のフルメタルジャケットのネタか?まあ合わせてやるか。
「サー、イエッサー!」俺はまだ、まりんをナメていた。
直後、顔を胸に埋められてしまった!豊かな胸は幸せを与えてくれる代わりに呼吸を塞ぐ。
鋭い声で「アンタには私が男に見えんのかコラ?もういっぺん返事しろ。」腕が後頭部を圧迫する。
「サー!イエス、マム!」死にたくないので叫ぶ。すると解放された。酸素を求めあえぎ呼吸がおこる。
「クソにふさわしい名前を考えてやったわ。ヒロポン二等兵だ。良い名でしょう?」
正直、放心状態だった俺は無意識で返事をした。
「ヒロポン、聞いて驚きなさい、家に来てもシャブは置いてないわよ?どう?シャブりたい?」
意味が分からない、覚醒剤みたいなあだ名で呼ばれている事自体訳分からん。
「サー、ノーマム!」うかつにイエスと答えた瞬間白いクスリを取り締まる公務員に捕まってしまう。
家の両親が帰ってきた。
「おう浩希、帰ってたか。まりんちゃんも居るのか。話は弾んだか?」