「ただいまー」
「もう帰ってきただか・・・」
「もっといちゃついてても良かったのにな〜」
おいおいお袋・・・。
雪掻きの合間に、梅姉ちゃんにブレーンバスター、バックドロップ。
半泣きの梅姉ちゃんが、復讐心で掘った落とし穴、それに気が付いた俺が梅姉ちゃんを放り込む。
どの辺にいちゃつきがあったんですかね?
「・・・温泉行くから支度するわ」
「ニヤニヤ、二人で行くんだべ」
あー確かに二人でだけど、〈ニヤニヤ〉は普通は発音しねーよ。
「第一浴場行くんか?」
「そうだけど」
「第一浴場か、昔っから武志は、あの露天風呂が好きだったからなー」
「梅子ちゃんにお願いして、武志を連れてってもらっただよ」
「・・・何でそんな顔してんだお袋」
「ニヤニヤ、もう二人は大人だべし余計ことは言わないよ・・・」
「あー思いだすべさー、あたしが父ちゃんと結ばれたのは・・・」
はいっ!止めて下さい。
そのまま続けるなら、氷室の中に葱と一緒に保存します。
「ぴんぽーん♪」
家にチャイムはねーよ、口で言う必要は無いべや・・・
「ぺんぽーん♪」
「武坊、アリス@梅姉さんが迎えに来たよー」
・・・間にアットマーク、何時の人だよ。
「あー、少し待ってくれー」
「お袋、タオル出して・・・」
あれっ?、何時の間に玄関行ったんだお袋。
「・・・貴女ね、私の武志にまとわり付く、素性の分からぬ雌猫は」
「何を言うのかしら、貴女こそどんな権利があって、私の武志に粘着するのかしら」
さて、小芝居をやってる間に、支度、支度と・・・。
「お待たせっと・・・」
「・・・お前なー」
玄関には、青色のワンピース姿、ご丁寧に白いエプロンまで着けた、美少女が・・・
「・・・痛い」
「何がですが」
「・・・お前、成人女性」
「おうっ!、酒も煙草も孕みもオッケーだべ」
「・・・半袖の夏服」
「どうせ、車で移動だから大丈夫だ」
「・・・その服、小学生から着てるやつ」
「ニヤリ、覚えていたんだな」
ニヤリは発音しなくもいいよ。
ああっ!もー止めて下さいです。
俺の暗黒史つーか、トラウマつーか・・・青いせっ、性つーか ・・・もろもろの物が襲ってくるんですけれど。
「・・・まだ似合うだべか?」
ヤバい、正直可愛です。
四六時中一緒だった、頃を思いだしてしまったので、負けは確定だけど・・・
何かむかちゅく。
「あー、確かに昔と同じく良く似合いますです。」
・・・何だよ、その満面の笑み。
「えーと、ちなみにブラジャーは、まだジャ〇コの子供服売り場の、初めてのブラジャーコーナーですか?」
おー珍しい、むくれっつらだ。
「・・・私に触手があったら武坊を、あーしてこーして・・・」
あーあ、梅姉ちゃんがぶつぶつ何か呪詛を始めたよ。
「・・・梅子恐ろしい子、武志が大好きな、そのドレスを着てくるなんて・・・」
「そのドレスを見たあと、武志は毎日のように語ってたわ」
「まるでふしぎの国のアリ・・・」
「うおーい!・・・」
「小芝居やめっ!。」
「風邪ひくべよ、とっとと行くっ!」
あーもう、梅姉もお袋も二人してニヤニヤしやがって。
お袋、手を振るのは良いが、何故に握り拳、何故に人差し指と中指の間に親指を入れる・・・。
やれやれ、15才で家を出た気持ちは、梅姉ちゃんと会ったら吹き飛んでしまったなー。
んーと、 俺は梅姉ちゃんとどうなりたいんだろう?。
んーと、考え始めた時点で駄目な気がする。
何で俺は、梅姉ちゃんと離れたんだろう・・・
「あーっ、車の鍵が・・・」
「どうした梅姉ちゃん?」
「はっ、排水溝に・・・」
「・・・」
「はっ、半袖で寒いので、武坊ん家のおこたで待ってるです。」
「・・・」
「玄関のポストの裏に、スペアキーがあるです」
「・・・」
「武坊は取ってくるで・・・おうっわ!」
はい、雪山に放り投げました。