「日本人、最高…」
懐かしき我が家の居間で、俺は至福のため息を漏らした。
ぬくぬくとしたコタツによく熟れた蜜柑、惰性でついついつけっぱなしにしているテレビは紅白歌合戦を映している。
そう、今日は一年間を締めくくる大晦日だ。
普段は魔女という仰々しい肩書きを持つ俺だが、今日ばかりは普通の高校生として過ごさせてもらっている。
おとぎの国というものは意外に良心的なようで、申し出さえすれば上限一週間の帰省休暇をくれるのだ。おとぎの国といえど、こういったことに関しては現実的である。
さすがに魔女役の長期の留守はまずいために、今回は3日だけの短い帰省となったがそれでもやはり嬉しいものだ。
何よりも、久しぶりにみるこちらの世界の女の子の新鮮さに心臓は高鳴りっぱなしだ。二次元的な美女もいいが、やはり慣れ親しんだ大和撫子達が俺の中では1番なのである。
帰省目的が女かよ、と言われたら返す言葉もないが、青春真っ只中の男の脳内はいつだって異性でいっぱいなのだ。
振り袖美人が見られるなんて、正月か成人式くらいなものである。
「うぉぉぉぉ!俺、初詣行ってくらぁ!!」
サブちゃんが歌うわよぉ、という間延びした母親の声を背に、俺は小雪ちらつく大晦日の夜に飛び出したのだった。
「おぅおぅ、いるわいるわ…」
近所の小さな神社の境内は、早くも地元の参拝客で溢れ返っている。
近くに高校があるためか、俺と同年代の若い人の姿もちらほら見えた。運のいいことに、グループで連れ立った女の子達も結構いるようだ。
俺の姿には不認知の魔法がかけられているため、不躾に顔を覗いて品定めしていても女の子達は嫌な顔ひとつしない。
おとぎの国とは違い、現実世界で魔法を使うのは背徳感もあいまって非常にぞくぞくくるものだ。彼氏の目の前で彼女の乳を堂々と揉めるとは、魔法様様である。
人込みの中でセクハラ紛いの品定めを続けること数10分、ようやく気になる女の子を見つけた。
白ベースの振り袖を着たスレンダーな少女と、ピンクの振り袖が似合う可憐な少女が神社の前で談笑しているのを発見したのだ。
近づいてよく確認すると、どちらも非常にかわいらしい。
思わず手を伸ばし、ピンクの振り袖の子の柔らかそうな頬をむにりと摘んでみた。当然、彼女は俺に顔をつままれても全く気付いた様子もない。
「もー、円香はひゃふらひほっへ」
更にみよーんと頬っぺたを左右に伸ばすが、少女は自分の話が言葉になっていないことにも気付かずにふがふがと会話続けている。
「真由、何言ってるか分からない」
円香と呼ばれた少女がそう指摘するが、彼女自身も真由の両頬が伸びている事に気付いていないようだ。
ちょっぴり子供っぽい見た目の真由に対し、円香はなかなかに発育がよろしいようだ。
振り袖の厚い生地の上からでも、胸や尻に程よいボリュームがあるのが分かる。
クールな印象を湛えた涼やかな目やキリッとした眉とは対照的な、何ともアンバランスな美しさを持っているではないか。
「ひゃふ!ふへほりゅ…」
一方、言葉にならない反論をする真由は黒目がちな大きな目とそれを彩る長い睫毛が印象的な可愛い少女だ。
うむ、一年間の締めくくりに相応しい上玉である。今夜はこの二人で楽しむことにしよう。
「さて、そろそろか」
時計の針を確認しながら俺はひとりで頷いた。ここではなんなので場所の移動することにしよう。
二人を魔法の力で誘導しながら、人気のない茂みへと誘う。彼女達は自らの意志で移動していると感じているため、特に抵抗することもなく着いてきた。
念のために周りから見えぬように結界を張り、俺はようやく自身にかけた不認知の魔法を解いた。
「きゃんっ!?びっくりしたぁ!」
急に現れた俺の姿に、真由が驚きの声をあげる。ぴゅん、と機敏に円香の後ろに隠れる姿はまるで小動物だ。
「真由、失礼でしょ。すみません、気がつかなくって」
大袈裟に驚く真由を軽く嗜めながら、円香はぺこりと頭を下げる。こちらは冷静なようで、しかし異性の突然の出現に警戒の色を示していた。
「真由、さっきの所に戻るよ」
「そういえばいつの間にこんな所に来たんだろうね?」
相変わらず後ろに隠れつつ、それでも呑気に感想を述べる真由を促し、円香はそそくさとその場を離れようとした。
カンがいいんだろうなぁと感心しながら、俺はうっすらと笑いを浮かべる。逃げても無駄さ、そろそろ例のあれが鳴るはずだ。
その俺の笑みに答えるかのように、静かな神社にゴゥーンと重い鐘の音が響いた。
近所の寺で、除夜の鐘を突き始めたのだ。
「あ、除夜の…きゃん!」
スタスタと歩き始めた真由の身体が、ビクンと大きく震えた。少し前を歩いていた円香も、歩みを止めて立ち尽くしている。
「な…なに?これ…」
目元を歪め、何かに苦しむかのように円香は唸った。
「円香ぁ!身体が動かな…あぁん!」
自らの身体に起きた異変を友人に告げようとした途中、その声は二発目の鐘の音に阻まれた。その音に打たれたかのように、真由は再び悲鳴をあげる。
「んっ…円香ぁ、なんかおかしいよぉ」
「どうして!?誰かっ…うぁ!」
続けざまに鳴る三発目の鐘の音に、今度は円香が身体をびくりと揺らした。クールな顔に焦りを浮かべ、プルプルと肩を震わしている。
当然ながらこれは俺の仕業である。俺の魔力を込めたこの除夜の鐘の音には、ある特別な作用がある。
この音は二人の動きを奪い、更には快感を感じさせる作用があるのだ。
しかも、ひとつ音が増えるごとにその快感も強さを増していく仕組みである。我ながら罰当たりなことを考えたものだ。
「…そこの方!んっ…助けてくだっ………!!」
続く鐘の音に徐々に翻弄されながらも、円香が俺に助けを求めてきた。うむ、きゃんきゃん騒いでいる真由とは違ってやはり彼女は落ち着いている。
しかし、申し訳ないがそれは無理な相談だ。何故なら犯人は俺なのだから。
「断る」
即座に吐き捨て、俺は顔をほてらせて呻く真由に抱き着いた。
「きゃあ!止めてよ変態!!」
本当はジタバタ暴れたいのだろうが、マネキンのように身体を固めたまま真由がべそをかく。動けないのは当たり前だ、プリマで鍛えた硬直魔法をなめるな。
彼女の抗議の声を無視しつつ、俺は身体の表面を撫で回しながら、可愛く結ばれた帯を解き去った。
「ねぇ!真由に何してるの!?」
布の擦れる音が聞こえたのだろう、こちらに背を向けたまま固まっている円香が焦ったように叫んだ
仕方なしに指をパチンと鳴らして円香の身体をこちらに向かせてやると、彼女の目が驚愕に見開かれた。
「やめて!真由に触らないで!」
そりゃあ必死で叫ぶだろう。残った襦袢の帯をしゅるりと解き去られ、ショーツのみを履いたまま裸体を晒す友人を目の当たりにしたのだから。
「いやぁ、円香、助けて…見ないでぇ…」
外気に曝されてつんと立つ乳首を摘むと、真由は小さく息を漏らして涙を流す。
見た目通りの控えめな胸だが、乳首は精一杯自己主張するかのように固さを増している。
「大丈夫、風邪引かないように周りの温度はばっちり管理しているから」
「そういう問題じゃ…んあああ!」
俺の回答に食ってかかろうとした円香が、明らかに艶を帯びた声をあげた。
そうこうしている間に、既に鐘の音は二桁に突入しているのだ。快感は確実に二人を蝕んでいる。
「円香…あっ、んん!…」
鐘の音に加え、胸を弄られている真由はすでに余裕などないようだ。顔を覗き込めば、早くも焦点が合わない目がぼんやりと遠くを見据えている。
ゴゥンと新たな音が加わるたびに、真由はどんどん深みへ堕ちてゆく。既にぐっしょりとショーツを濡らしている秘所は、軽く撫でただけで更に蜜を増した。
「ふぁ!…きもひ…いよぉ」
崩れ落ちることも出来ずに立ち尽くしたまま、真由の官能はどんどん高まって行くようだ。
恍惚の表情を浮かべて秘所をさらけ出す真由を軽く撫で、俺は円香に向き直った。
「真由!真由、しっかりして!」
「ま、こうなったらあとは勝手になるさ。次は君の番ね?」
「やだ、くるな。来ないで!」
目を恐怖に見開いた円香が、震えた声で叫ぶ。遂に彼女の余裕が崩れたのだ。
無視して振り袖に手を伸ばし、乱暴に前を押し開けると大きめな胸がふるんと揺れながら現れる。やはり、発育はかなりいいようだ。
たっぷりとした重さを湛えているその膨らみを掴んでやると、むにむにと驚くほどの柔らかさで形を変えてゆく。
「あ…あ、あ」
胸を見られたショックだろうか、円香の顔が怒りを湛えたまま青ざめていく。
羞恥を上回る怒りが、彼女の中で煮えたぎっているのだ。
「馬鹿ぁ!最低よ!!あんたなんて警さ…ふあぁん!」
勇ましく言い切ろうとした円香を嘲笑うかのように鐘と共に乳首を摘めば、案の定一瞬でその表情が蕩けた。
スルスルと全ての布を押し開けショーツを下げると、真由以上にいやらしく濡れた秘所があらわになる。
「怒ってる割にはここが濡れてるけど」
「言う…な…うぁ!ふ…あああん!」
ひたひたと音を立てわざと水音を聞かせると、淫靡な表情を浮かべながら円香が喘ぐ。
淫核をくりくりといたぶりながら乳首を舌で転がすと、次の鐘の音とともに円香は静かに果てる。
「……っ!〜〜〜!!」
酸欠の金魚のように口をパクパクと動かし、目をめいいっぱい開きながら彼女は声なき嬌声をあげた。
その顔からは既に険は抜け落ち、ただただ快楽に染められている。
「ふぁ、あん!あはぁう…!」
一方の真由は既に何度か絶頂を迎えていたようだ。
甘い声をあげながら蕩ける彼女の秘所から、ぴゅっと潮が噴き上がってる。幼い顔をしていながらかなりの淫乱っぷりである。
「ま………ゆ……」
そんな友の痴態を眺めながら喘ぐ円香に指を差し入れると、嫌そうな表情とは裏腹に貪欲に締め付けてくる。
後ろから抱きすくめて愛撫するたびに、もはや理性も溶けきった甘い声で円香は媚びた。あの凛とした眉も目尻もへにゃりと力を無くし、彼女は動くことも出来ずに喘ぎつづけるのだった。
鐘の数はまだまだ残っている。
「…はれ?」
不意に、暗闇の中で愛らしい声が上がった。
「円香、なんかいつの間に年が明けてる!」
携帯の時計機能を確認しながら、真由が驚いたように叫んだ。まだ目がどこかトロンとしているが、意識は徐々にはっきりとしてきたらしい。
「その携帯壊れて…ってやだ、私の携帯でも年明けてる」
「でしょ?怖ーい!ていうか、なんか変じゃない?」
「ぼーっとしてたのね。まあいいや。真由、甘酒もらいに行こう」
「わーい!」
目の前の俺に気づくこともなく、先程の痴態に気づくこともなく、少女達は再び賑やかに神社へと戻っていった。
しかし、円香が下半身の疼きに耐えるかのように歩いているのを俺は見逃さない。
「それはお年玉ね。帰ったら思いっきりイケるようにってな」
記憶を消すと同時に新たに埋め込んだ魔法の効果に、俺はほくそ笑んだ。戦利品のショーツをポケットに仕舞いながら、俺は鼻歌混じりに二人の姿を見送るのだった。